『赤毛のアン』から30年『こんにちはアン』井上あずみさん&谷..

世界名作劇場26作目は『赤毛のアン』放送30周年記念作品『こんにちはアン』。主題歌を歌うのは井上あずみさん!レコーディング現場で谷田部勝義監督とともに話を聞きました!

 『赤毛のアン』放送30周年を記念し、アン・シャーリーの幼年時代を描いた『こんにちはアン』が、通算26作目の「名作劇場」物語として、4月より放送開始。谷田部勝義監督と主題歌を歌う井上あずみさんに話をうかがいました。

 L.M.モンゴメリの書いた小説「赤毛のアン」が、今年で出版100周年を迎えます。同じく「世界名作劇場」で放送したアニメ『赤毛のアン』も、今年で放送30周年を迎えることになりました。その「赤毛のアン」放送30周年を記念し、アン・シャーリーの幼年時代の姿を綴った、児童文学作家バッジ・ウィルソンの手による「こんにちはアン」が、「世界名作劇場」通算26本目の作品としてアニメ化になることが決定。今回『こんにちはアン』の監督を担当するのが、『古代王者 恐竜キング Dキッズ・アドベンチャー』などを手がけてきた谷田部勝義さん。さらに、オープニング/エンディングテーマの『ヒカリの種/やったね♪マーチ』を、『となりのトトロ』などで有名な井上あずみさんが担当。その主題歌レコーディング現場へお邪魔し、歌入れ後、お二人に『こんにちはアン』の魅力について伺いました。番組は、4月5日より毎日曜日の19時30分よりBSフジにて放送がスタート(5月よりCSアニマックスでも放送開始)。お楽しみに!


――これまでにも、さまざまな名作を産み出してきた『世界名作劇場』シリーズ。その第26作品目に当たる最新作『こんにちはアン』を、谷田部監督が手がけることになりました。まずは、その意気込みから聞かせてださい

谷田部監督:「名作劇場」とは何か??と聞かれた場合、僕は、「時代背景を問わず、普通の人たちが一生懸命に生きている姿。その一生懸命に生きている人たちの応援歌になる物語」。それが“名作と呼ばれる作品たちの根幹を成すもの”と捉えています。つまり「名作と呼ばれている作品をアニメ化したから『名作劇場』ではなく、先に上げたような想いを描いているから、名作になっている」と、自分は捉えていますし、その心づもりで製作へ臨んでいます。


――『こんにちはアン』は、6歳から11歳頃までのアン・シャーリーを描いた物語になるそうですね

谷田部監督:今回のお話は、“赤毛のアン”と呼ばれたアン・シャーリーが、「どういう育ち方をすれば、ああいう子になるのか!?」というところへ焦点を絞りながら、作品化しようと思っています。
みなさんご存じのよう、「赤毛のアン」の主人公アン・シャーリーは、赤毛でそばかすだらけで、チビで痩せてて、孤児で、もらい子になって、もらわれた先の受け主が亡くなり、また他の家へもらわれていって……と言うお話のように、その境遇だけをみてしまうと、とてもかわいそうに見えるんですけど。本人からすれば、産まれたときからズーッとそういう環境にいたわけで、それが当たり前の現実としてあるわけです。だから、まわりの人が思うほどつらいなんて思っていない。むしろ、その環境の中で“楽しいことや、嬉しいこと、素敵なこと”を見つけだそうとしていく。それが“いい天気だった”でも“美味しいものを食べた”でも、なんでもいいんです。そういう小さな喜びが、アンにとっては生きる元気になっていく。確かに大人たちからすれば、学校にも行けず、ひどい境遇の中必至にアンは働いていくさまを、自分の価値観を通し“可哀相”と思ってしまう。それでもアンは日々元気に過ごしている。その姿を見て、今度は大人たちが“なんで彼女はこんなにも元気なんだろう”と心励まされていくよう、みずからを元気にしてゆく糧になっていく。そんな物語にしたいなと思っています。


――アンは、何事に対しても純粋に向かっていきますからね

谷田部監督:アンのまわりに居る大人たちに関しても、本当に悪い奴もいなければ、ただの綺麗な善人もいない。みんな、良いところも悪いところも持ち合わせた普通の大人たちなんですね。その大人たちが、日々苦しみながらも一生懸命に生きていく。その姿を、鳥のような目をしながら吸収していくのがアンなんです。

井上さん:『こんにちはアン』には、ホントいろんな大人たちが出てくるんですけど。みんな、生活に余裕がないから、どうしても自分のことばかりを考えてしまい、アンのことまで考える余裕がないんですね。だけどアンは、そういう大人たちがけっして嫌いじゃないんです。その姿をみていると、アンのことがとても愛おしくなってしまいます。

谷田部監督:きっとこの作品を観る人たちの中にも、この物語に出てくる大人たちのように、いろいろつらいことがあったりすると思います。そんな境遇の中でさえも、常にアンは元気でいる。その姿を見ながら、「アンでさえこんな元気にやっているんだから、俺らだって元気にやれるはず」と思ってもらいたい。そんな元気を与える作品にしていきたいんです。


――感動よりも、元気を与えていく作品にと

谷田部監督:よく「名作劇場」というと、ボロボロ泣くようなお話を思い浮かべるかも知れませんけど。僕は、泣かそうと思って作ろうとは思いません。むしろ、もっとあったかい幸せな感じの作品にしながら、結果的に涙が出るような作品になっていれば良いのかな……と思っています。


――『こんにちはアン』って、「アンの視点から観た世界」を描いた物語なんですね

谷田部監督:はい。アン・シャーリーの視点から、物語を捉え、見ています。

井上さん:わたしにも4歳の娘がいるんですけど。「うちの娘が、アンと同じような状態になってしまったら、どうやって生きていくんだろう」と、フッと考えたんですね。そのときに抱いたのが、アンみたいに何時も前向きで。たとえば、雪を見ただけで嬉しくなったり。その目で見た海景色を、一生の宝物にしようとしたりなど、そういう“ピュアな子でいて欲しい”という想いなんです。『こんにちはアン』は、大人たちはもちろん。子供たちにもぜひ見て欲しいと思ってる。きっとこの作品を観ると、いじめなどの問題もなくなっていくんじゃないかな!?そんな気にさえなっていきますから。

谷田部監督:よく、いじめや差別を隠そうとするけど、実際にあることなんだから、それを隠したり、無いことのようにしてしまうと、ますます陰湿になってしまう。
『こんにちはアン』の物語には、“人の死”も実際に描かれていきます。誰だって、いずれは死ぬ、それは現実として当たり前にあることだから、そこへ向き合い、描き出していくのも当たり前のこと。その死に関しても、アンの目の前に前触れなく突然やってくるんですよ。そのときに彼女が“死の意味”をどう理解していくのか!? そこも描いてくうえでは大事なことなんです。

井上さん:身近な人の死によって、アンはどんどん、いろんな家庭をたらい回しにされてしまうわけですからね。

谷田部監督:死を描くのだって、「その場面を観て“泣いて”」と思って描いてるわけではなく、「けっして特別なことではなく、誰にだって起きる現実なんだよ」ということを伝えたいからなんです。実際問題、僕ら自身だって、身近な人が亡くなってしまったら、生活や人生がガラッと変わってしまう可能性だって十分あるわけじゃないですか。それは、アンも僕らも、同じこと。要は、「誰にでも起きる“死”に対して、どう前向きにその人が取り組んでいけるのか!?」。それが、この作品のテーマの一つでもあるんです。

井上さん:今って、ホントに殺伐とした作品が多いですけど。そんな時代だからこそ『名作劇場』の中に描かれてゆく、素朴でピュアな想いを、わたし自身も求めたくなるんです。とくに、この『こんにちはアン』に関しては、一人の母親として「子供に見せたい作品だな」と、素直に感じています。

谷田部監督:たとえば東京に住んでても、きれいなものを見ようと思えば見られるんですよね。実際にビルが林立している間から見える朝焼けや夕焼けだって、すごくきれいだし。道端に咲いてる花だって、きれいだったりもする。要は、“きれいなものを見ようとする気持ち”が大切なんですよ。もっと言うなら、“花が綺麗”なんじゃなくて、“花を見る人の心が綺麗”であれば、そう見えるもの。その視点を持つことも、この作品を通し伝えていきたいところではありますね。

井上さん:『こんにちはアン』を観ていると、きっと『赤毛のアン』『こんにちはアン』2作品の原作も読みたくなると思います。

谷田部監督:このアニメは、『こんにちはアン』を原作にはしてますけど。やっぱし、大元にあるのは『赤毛のアン』なんですね。たとえば12歳のアンが、「普通こんなこと言わないでしょう」ということも出てきます。だけど『赤毛のアン』に描かれた15歳の彼女を語るうえでは、そのセリフが必要になってくる。そうなってくる場合は、極力『赤毛のアン』の原作の世界を尊重した描き方もしています。


――『こんにちはアン』は、アン・シャーリーという子供から見た視点はもちろんですけど。作品に登場してくるいろんな大人たちの視点から物語を見ても、かなり楽しめそうですね

谷田部監督:今回は、大人の視点へと力を入れてます。何処にでもいるようなグズな大人が何かをやることで、観ている大人の人たちもウルッと共感や感情移入できるような作りをね(笑)。

井上さん:トーマス叔母さんとかも、見てて「しょうがないな~」と思ったりしますからね(笑)。だけど、そんな大人たちも“生きることに一生懸命”だから、そこに共感を覚えてしまうんです。

谷田部監督:そう、僕はそこを大切に描きたいんですよ。

井上さん:この『こんにちはアン』。子供は、子供の感性や感覚で観ることができるし。大人はまた違った視点で楽しめる作品になっているのは、間違いないと思います。

谷田部監督:大人も子供もいっぱい出ていきますけど。けっして、嘘は付きたくないというか、何事もきれい事では終わらせたくないからこそ、そう描いてますからね。実際に僕ら大人自身が、「反省してます」と言いながら、また同じことをやってしまう。そういう生な感じを、この作品には出しています。


――主題歌の「ヒカリの種」を、今回オーケストラをバックに録音しました。あの豪華さも注目じゃないですか?

井上さん:あのオーケストラをバックに生で歌ったときは、とても緊張しました。これまでにもオーケストラをバックにレコーディングした経験はありましたけど。そのときは、完成したオケを聴きながらの歌入れだったんですね。だけど今回は、すばらしいミュージシャンの方々の演奏を直接聴いての歌録りでしたからね。「さすが『名作劇場』」と思ってしまいました(笑)。

谷田部監督:「ヒカリの種」は、広がりのある元気さが出てる歌で、エンディングの「やったね♪マーチ」は、子供たちがみんなで口ずさんでいける歌になりましたからね。

井上さん:ホント、そう。「ヒカリの種」は可愛い歌で、「やったね♪マーチ」は、聴いただけでワクワクしてゆく歌になっていますから。

谷田部監督:あとね、今回ナレーションで池田昌子さんにも参加していただいたんですけど。池田さんがちょっとしゃべるだけで、「あっ、名作劇場だ」と思えてしまうんですね。もぅ、あの池田さんの声だけで「名作劇場」の空気になれるだけに、僕らは「割と元気にやっちゃっても大丈夫だろう」という安心感を持って望んでいます。他に堀江美都子さんも、チョコッとですが登場する予定になっていますので、そこもお楽しみにしてください。

井上さん:じゃあ、わたしもぜひ(笑)。

谷田部監督:検討します(笑)。最後に1つ。30年前に製作された『赤毛のアン』は、すごく出来の良い作品ではありますけど。まだ時代がゆっくりとしたテンポで動いている頃の作品でした。でも今の子供たちは、生活のテンポも上がってきていているので、全体のテンポも上げています。


――全体のテンポを上げる……ですか?

谷田部監督:そう。当時のシナリオって、「大体200字詰めの原稿用紙60枚くらいの世界かな!?」と思えるんですけど。僕らはそこを70枚にして臨んでいる。そうすることで、全体のテンポもキュッと上がっているので、そこもぜひ楽しんでください。

オーケストラとともにレコーディングということで、スタジオも広い!

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