同人のゲームショウ「秋葉原ロケテゲームショウ1」が開催

同人ゲームの“ゲームショウ”がアキバで開催!ゲームにさわって、聞いて、意見が言える。「秋葉原ロケテゲームショウ1」をレポート!

 「秋葉原ロケテゲームショウ1」が、2009年10月24日、秋葉原UDX4階にて開催された。国際ゲーム開発者協会日本(IGDA日本)が主催する同イベントは、同人・インディーズゲームの展示会で、第1回となる今回は一般・企業を合わせて28ブースが参加した。入場は無料。

 コミックマーケットに代表される同人誌即売会などで、「同人ソフトの即売会」が行われることは頻繁にあるが、今回は「展示会」。商用・同人を問わず、多くのサークルや企業が実機で作品を展示。開発担当者の説明を受けながら試遊台でゲームを体験し、その感想や意見が開発者にダイレクトで還元される、というのが、ロケテゲームショウならではの良さと言えそうだ。

 参加ブースの内分け的には同人ゲームサークルの比率が高かったが、『ひぐらしのなく頃に』の「07th Expansion」、『月姫』の「TYPE-MOON」を例に挙げるまでもなく、近年の同人ゲームサークルのトップランナーたちの作品のクオリティは高く、「商業>同人」という関係は必ずしも成立しなくなっている。販売ではなく、試遊中心のショウで自分たちの作品を世に問いたい、意見を取り入れたいと考える個人・団体が参加しているだけに、出展されている作品はどれもかなりの本気度が伺えるものばかり。『東方』シリーズの大ヒットの影響もあるのか、ジャンル的にはシューティングゲームやフライトシミュレータータイプのゲーム、アクションゲームなどが目立った。

 いずれのブースでも熱心な説明とアンケートなどのフィードバックに務めており、面白いゲームを作りたい、見せたいという熱意が感じられる雰囲気。小規模ながら、物作りに携わる人なら刺激になりそうなイベントだった。


●会場の出展作品をチェック!

 さて、会場に出展したブースから、面白いと感じられたサークル・企業を幾つかチェックしてみよう。まず、入口付近でおっと思ったのは、「Baiyon」が出展していた『PixelJunk Eden』。卓上に設置されたプレイステーション3の筐体が、同人・インディーズゲームのイベントという印象をいきなり裏切ってくれる。『PixelJunk Eden』(PS3)は、Q・Gamesが2008年7月31日に、PlayStation Storeの配信用にリリースした旧作タイトル。東京ゲームショウの「センス・オブ・ワンダーナイト」などでも高い評価を受けたタイトルを、敢えて出展したのは技術力と作品に対する自信の表われだろうか。「Q・Games」名義でも別ブースが出展されており、こちらは最新作の『PixelJunk シューター』(PS3)を展示。高い注目を集めていた。

 技術的にうならされたのは、「同人サークルRectangle」の『Raiders Sphere Engine3.5 Graphics eXhibition』(PC用)。完成度の高いフライトシミュレーターと思いきや、実際は3Dフライトシューティングゲーム。そして、このゲームは独自の「同人向けゲームエンジン」に、プログマブルシェーダやエフェクトなどをプラスしたもの。ごく簡単に言えば、『Raiders Sphere Engine3.5』というベースのゲームエンジンを利用して、別の作品を作り出すことが可能なのだ。同サークルでは、『Raiders Sphere 4th』を開発中で、安価に利用できるミドルウェアに育てていきたいとのこと。ノベルゲームの世界では『吉里吉里』のような、汎用的で高性能なソフトウェアがジャンル自体を後押ししたこと、海外のPCゲーム業界ではゲームエンジンやミドルウェアの開発が非常に進んでいることを考えると、国内の技術力の高い同人ゲームサークルからこうした発想が出てくるのは非常に頼もしい。

 こちらも同人ゲームでは欠かせない、かわいい女の子が登場する作品で目を引いたのは、サークル「m-kz」の『夕櫻を見つめて-Twilight Cherry-』。2人のかわいい幼馴染が登場する恋愛アドベンチャーゲーム……と書くと普通だが、対応ハードが「iPhone/iPod Touch」。コンシューマーやPCゲームから「iPhone」用に移植されるケースはあるが、iPhone用にシナリオを書き下ろした完全新作というのは珍しい。同サークルは今後も「iPhone」用の作品をリリースしていきたいとのことだ。違う意味で興味深かったのが、サークル「ぜろじげん」の『こえんちゅ!代乃木声優物語~空と君とあの夏と~』。なんと舞台は声優学校で、声優の卵たちと繰り広げる恋愛模様が描かれるよう。ただのノベルゲームではなく、台本の読み合わせがタイピングゲームになっていたり、作品世界内のラジオ番組などをそのまま収録していたりと、様々なアイデアが盛り込まれている。中でも驚いたのは、台詞が英語に切り替えられることで、かなりネイティブに近い雰囲気の英語に合わせて、日本語の台詞が再生される。多言語対応については今後様々なプランがあるようで、多言語対応の同人ギャルゲーというのは、受験生や海外相手に思わぬ需要があるかもしれない。

 プレゼンテーションで群を抜いていたのが、サークル「小松菜屋」。なんとこのサークルでは、会場に持ち込んだPCで、その場で同人ゲームを1本作ってしまった(!)。ゲームのネタ出しや音声収録、プログラミングなどを、来場者と協力しながらタイムスケジュールに沿って進行し、イベント終了前に、その場でメディアに焼いてプレゼントするという大胆な企画。制作風景の実演&プレゼントということで、ギャラリーが絶えないブースだった。他にも会場には様々な作品が出展されており、「同人やインディーズゲームが試遊できる(見せられる)」「開発者にダイレクトに感想が言える(聞ける)」貴重な空間になっていた。イベント終了後は懇親会も行われ、ゲーム開発者やクリエイター、そして作品に興味のあるゲームファンたちが親交を深めていた。

>>「秋葉原ロケテゲームショウ1」特設ページ(各サークルへのリンクあり)


(C) 2007-2009 Q-Games Ltd., All Rights Reserved.
※「PlayStation」、「PLAYSTATION」および「プレイステーション」は、株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメントの登録商標です。
Copyright (C) 2009 m-kz. All Rights Reserved.
Copyright (C) 2009 Zerozigen. All Rights Reserved.

「Baiyon」の『PixelJunk Eden』(PS3)

「Baiyon」の『PixelJunk Eden』(PS3)

「m-kz」の『夕櫻を見つめて-Twilight Cherry-』(iPhone)

「m-kz」の『夕櫻を見つめて-Twilight Cherry-』(iPhone)

「ぜろじげん」の『こえんちゅ!代乃木声優物語~空と君とあの夏と~』(PC)

「ぜろじげん」の『こえんちゅ!代乃木声優物語~空と君とあの夏と~』(PC)

「小松菜屋」のゲーム即興制作風景

「小松菜屋」のゲーム即興制作風景

関連タグ
おすすめタグ
あわせて読みたい

レポートの関連画像集

関連商品

おすすめ特集

今期アニメ曜日別一覧
2024年春アニメ一覧 4月放送開始
2024年冬アニメ一覧 1月放送開始
2024年夏アニメ一覧 7月放送開始
2024年秋アニメ一覧 10月放送開始
2024春アニメ何観る
2024年春アニメ最速放送日
2024春アニメも声優で観る!
アニメ化決定一覧
声優さんお誕生日記念みんなの考える代表作を紹介!
平成アニメランキング