豪華『秋田禎信BOX』を発売する秋田禎信氏に記念インタビュー

全3冊・1200Pの豪華『秋田禎信BOX』を発売した秋田禎信氏にインタビュー――「思い返せば若さゆえに出来たこともありますね」角川mini文庫衝撃エピソードとは!?

 『魔術士オーフェンはぐれ旅』や『エンジェル・ハウリング』で知られる小説家・秋田禎信氏が、未収録話や、物語の“その後”を書き下ろした作品が、全3冊、約1,200ページにぎっしりと詰まった『秋田禎信BOX』が、2009年12月22日に発売される。

 『魔術士オーフェンはぐれ旅』は、1998年10月よりTVアニメ化もされた作品。魔術士を育成する「牙の塔」出身の魔術士にして借金取り、オーフェンがキエサルヒマ大陸を舞台に繰り広げる物語が描かれる。長編は、“鋼の後継”と呼ばれる凄腕の魔術であるオーフェンが、天人の遺産やドラゴン種族、キムラック教団らと激闘を繰り広げるシリアスな内容、短編は、冴えない借金取りオーフェンが地人の兄弟や派遣警察官マギーらと過ごすコメディタッチな内容の傾向がある。イラストレーターは草河遊也氏。『エンジェル・ハウリング』は秋田氏のもうひとつの代表作。獣精霊ギーアを扱う精霊使いにして暗殺者ミズー・ビアンカと、水晶眼を持った少女フリウ・ハリスコーの物語が交互に語られ、世界を巡る秘密がひもとかれていくのが特徴だ。イラストレーターは椎名優氏。

 『秋田禎信BOX』では、第一巻に『魔術士オーフェン』、第二巻に『エンジェル・ハウリング』、第三巻に「未収録短編集」が収録されるほか、描き下ろしイラストを多数収録、化粧箱など限定生産版だけの豪華特別装丁の特別版となっている。完結後時を経て、こうした形で発売されることについて、作者の秋田禎信氏にお話を伺ったので紹介しよう。


●10年前の自分の恥ずかしい部分も、歴史として陳列すべき

 今回の出版の経緯について伺うと、「すごく成り行きなんです。このシリーズを出した富士見書房さんの20周年記念で、後日談を書く企画があって。原稿は仕上げたのですが、作品と企画についての諸事情で、お断りする形になったんです。その後、それを自分のサイトの日記に載せてみたら、反響と一緒に、本にしてみませんかという話が来たんです」とのこと。一度は断った話だけに、何かやるに足りる理由があれば……と話していたところ、“秋田禎信BOX”という形になって“しまった”という。「こんな量になるはずはなかったんですが、書き下ろしているうちに…すごく角ばった箱になってしまいました。終わったシリーズをこうして出すわけなので、受注生産で豪華な内容に、という方向になりました」

 『魔術士オーフェンはぐれ旅』の本編最終巻が刊行されたのが2003年9月、『エンジェル・ハウリング』の最終巻が2004年10月。久々に執筆する感覚は? 「書くことにはそう手間取りませんでしたが、細かい部分を覚えてないんですよ。もう手元に原稿もありません。思い出しながら書いたので、細かいところは間違っているかもしれません(笑)。未収録話の、昔の角川mini文庫(かつて書店のレジ横で売られていた、手のひらサイズの文庫)のものとか、今見るといろいろと(技術的に)つらいですね……当時の自分がわからない。でも書き直してしまうと本末転倒なので、なるべく書き直さないようにしました。若いころの自分はもちろん恥ずかしいんですが、それを切り捨てることはできないので、自分の歴史として陳列すべきだと思うんです。今とは書き方や考え方の違いがあって、それはおそらく10年後にもそう感じるはずで。今と変わってなければ、(作家として)終わりだと思います」


●作品を書いていた当時のエピソード、そして、あとがきについて!?

 秋田氏にとって印象的だったのが、角川mini文庫で書いた時のエピソード。「最初の1冊が締切になっても終わらなくて、編集さんに泣きつきながらなんとか仕上げて送ったら、“秋田さん、これ倍書いてますよ”って。予定通りに終わるはずがない(笑)。mini文庫で上下巻も無いだろうと、翌日までに半分に削ったので……やはりめちゃくちゃだったというか、若かったなと(笑)」。そんな若き日の秋田氏にとって、出世作とも言えるのが『オーフェン』と『エンジェル・ハウリング』。秋田氏にとっての両作品とは? 「ずいぶん長い間やった仕事なので、愛着と思い入れはあります。20代の頃の自分が、がむしゃらに書いていたものなので、突っ走っていたころの自分を思い出しますね。『オーフェン』は右も左も分からない頃に書き始めたので、かなりでたらめなところも多いです。戦闘描写にしても、これは人間の骨格じゃ無理だろ、とか。でも書いている中で、物語のテーマや作り方が見えてきて、あちこちにゆれながらも書いていけたと思います」

 秋田氏と言えば、あとがきでも有名。あとがきのページ枚数が決まるまでを暴露した上での、楽屋オチ的なロングあとがきや、キャラクターを登場させての“掛け合いあとがき”などが印象的だが、「これはもう、売り言葉に買い言葉ですよ!あとがきというよりは、あとがきという名の原稿です。1巻を書いた当時のかけあいを思い出しながらやっています」とのことだった。そんな秋田氏の最新の書き下ろしによる、あの物語の続き、そしてあとがきまでが楽しめる『秋田禎信BOX』は、TOブックスより2009年12月22日に発売予定。予約締切が2009年10月30日に迫っているので、気になる人は今すぐ! 予約に走ろう。秋田氏は現在いろいろな企画が進行中で、中でも恋愛者を1本、きっちり書き上げたいとのことだ。最後に、秋田氏から読者へのメッセージを!「昔の作品がおかしな経緯を経て、おかしなまま、うまくまとまりそうです。お祭りのような感覚を一緒に楽しんでもらえたらと思います。良いものに仕上がればと思いますので、できあがりをお待ちください!」(秋田氏)。

『秋田禎信BOX』
2009年12月22日発売予定 ※2009年10月30日予約締切!!
7,350円(税込)
発売元:TOブックス

>>「秋田禎信BOX」公式サイト
>>TOブックス

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