第1巻が発売『笑えぬ童子~108の業~』真野真先生インタビュー

『コミックゼノン』からついに単行本発売!――今回は『笑えぬ童子~108の業~』が注目の期待の新星・真野真先生にインタビュー!さらに最新"ゼノンアトリエ"の秘密にもせまります!!

 衝撃の創刊から半年を経た『コミックゼノン』(コアミックス刊)。3月22日(火)には連載作品のコミックスも創刊。いよいよ単行本で読めるようになる。なかでも本作がデビューとなる真野真先生の『笑えぬ童子~108の業~』は、携帯サイトで本誌とは異なる結末が読めるなど、今までのマンガにはない画期的な試みで注目を集めている。

 今回アニメイトTVでは、コミックス第1巻の発売を控えた真野先生にインタビュー。デビューまでの道のり、今作が生まれるまでの経緯、さらに過去の経験から生まれた"アトリエ"での制作スタイルなどをうかがった。(聞き手・文:渡辺佑)

真野先生から描き下ろしのイラストもご提供いただきました!

真野先生から描き下ろしのイラストもご提供いただきました!

●初投稿は高校生

──『笑えぬ童子~108の業~』単行本第一巻発売おめでとうございます

真野先生(以下、真野):ありがとうございます。


──真野先生はこの『笑えぬ童子』がデビュー作という事なんですが、デビューに至るまでの経緯をお聞かせ願えますでしょうか?

真野:"マンガ家になりたい"というのは、小学生の頃から思っていました。どの子供もやるように、ノートや自由帳に落書きやマンガを描いたりして小学校、中学校を過ごし、高校の時に初めて45ページのマンガを一本仕上げて、郵送で某雑誌に投稿したんですが、その時は箸にも棒にも引っかからなかったですね。
 その後、大学に進学したときに漫研ものぞいたりはしましたが、結局入部しないで、運動部に所属しながら独学でマンガを描いていました。


──大学時代も投稿や応募はされていたんですか?

真野:投稿はせずに、大学時代は一年に一回ぐらいのペースで、40ページぐらいのものをマンガ雑誌に持ち込んで直接意見を頂いていました。


●『コミックゼノン』との出会い

──そこから『コミックゼノン』に持ち込もうと思われたのはなぜですか?

真野:その雑誌には3回ほど持ち込んだのですが、素質が無いと思われたのか(笑)担当さんがつくまでには至らなかったんですね。そこで目先を変えて別のところに持ち込もうかと考えていたときに、『コミックバンチ』(『ゼノン』の前身にあたるマンガ雑誌)の編集部に知り合いがいるという親戚から、「青年誌の編集さんの意見も聞いてみたら?」とアドバイスをいただきまして、それが初めて『バンチ』に持っていったきっかけですね。

ゼノン編集担当(以下、編集):持ち込みの原稿を拝見した時に、話作りの素養があるのを感じたので"絵"の方を見てもらおうと、僕が担当していた大島司先生に原稿をお見せしたら、「この子はイケる」と言っていただけたんですね。「見開きの使い方や、見せたいところをちゃんと見せる力がある」と。そこで大島先生のところでアシスタントとして絵の勉強をして頂いて今に至る、という感じです。他にもお二人ほど、絵のうまいマンガ家さんのところでアシスタントを経験してもらってます。


──そこから連載に至るわけですね

編集:今の『笑えぬ童子』と同じテーマで、やはり40ページぐらいのマンガを描いてこられたので、それを『バンチ』の賞に応募してもらったのがきっかけです。
 その後、連載を見越した読み切りを描いてもらって、『バンチ』に掲載したところアンケートの順位もすごく良くて、"このまま連載を"と思ったのですが、『バンチ』は週刊誌だったので、一話読み切りにしても20ページぐらいに収めなきゃいけない。それではこのマンガの魅力が半減してしまうと思ったんです。その後、『ゼノン』が月刊誌として創刊することになり、月刊ならボリューム的にも一話読み切りの形として載せられるということで、連載を始めていただきました。


──なるほど、週刊誌よりも月刊誌向きのマンガ家さんであるという理由が大きかったんですね

編集:そうですね。もし週刊誌で連載していただくならもっと別のテーマになっていたと思いますが、これだけのボリュームの話を描けるマンガ家さんなので、それを活かすためには月刊誌の方が良かったと思っています。


文中に登場する“アトリエ”での真野先生の作業の様子を少しだけご紹介!<br><br>

文中に登場する“アトリエ”での真野先生の作業の様子を少しだけご紹介!

<b>『笑えぬ童子~108の業~』第1巻 / 真野真</b><br>2011年3月19日発売<br>590円(税込)<br>ゼノンコミックス

『笑えぬ童子~108の業~』第1巻 / 真野真
2011年3月19日発売
590円(税込)
ゼノンコミックス

●そして『笑えぬ童子』連載へ――誕生秘話

──ではここからは『笑えぬ童子』の誕生のきっかけについてうかがいたいのですが、何かお話を考えるきっかけになった体験等はあったのでしょうか?

真野:前から"一人を幸せにすると一人不幸になる"という話は描いていたのですが、そういう図式を思いついたというか、意識したのは小学校~中学校ぐらいの頃だと思います。子供の頃は"自分が楽しいんだから周りも楽しいに決まってる"みたいに感じている時期もあったんですが、中学生ぐらいに"自分が楽しいからといって、必ずしも周りはそうじゃない"と意識した事がありまして、単純な例で言うと"受験だったら受かる人もいれば落ちる人もいる"とか。それをマンガにしたらこういう形になったという感じですね。


──自分と他者との関係を強く意識したきっかけというような体験があったと

真野:そうですね、そこまで偉そうな話ではないんですけど(笑)。でも、子供の頃の友達との些細なケンカとか、そういう事を意識してはいましたね。そういう体験と大学生の時にマンガを描こうと思った時に思いついた"座敷童子"というイメージが結びついて。「座敷童子」というと幸福を呼び込むというイメージがあったのですが、そこで「誰かが幸せになるとその裏で誰かが不幸になる」というストーリーを思いつきました。


●マンガ界を変革する『ゼノン』の"アトリエ"

──実際にプロになられての感想は?

真野:嬉しい半面、親戚や友達に自分の頭の中を覗かれてるようで恥ずかしいです(笑)。社会人経験の少なさが出てしまっているというか、キャラクターの内面を描写するときに「このキャラクターはこういう時にどういう反応をするんだろう?」と考え込んでしまって手が止まってしまう時もありますし、まだまだ勉強が足りないなと痛感します。
 絵に関してもずっと幼い女の子や男の子しか描いてこなかったので、成人の男性が描けない(笑)。30代の男の人なのにどう見ても10代にしか見えなかったり、とにかく老若男女の描き分けが出来ていないという事を自覚して、それからは老若男女の描き分けを意識しています。絵に関しては本当にまだまだだと思っているので、原先生や北条先生の作品と一緒に自分のマンガが並んで載ってしまう事が恥ずかしくて……。

編集:すぐそこで両先生も作業してらっしゃるんですよ


──そうなんですか!?

編集:(取材場所の)この部屋自体が共同のアトリエというか、我々がマンガ家さん達に提供している部屋なんです。時には原先生や北条先生に相談されたりしながら、それぞれ自分のマンガを執筆しています。
 弊社社長の堀江がこの会社を作るときに、もともと『週刊少年ジャンプ』の編集者だった経験から、新人の作家さんが連載を始めるにあたり、アシスタントさんも一緒に作業するために大きめの部屋を借り画材や設備を整えても、十週で打ち切りになってしまえば残るは借金のみ……という、いわゆる"連載貧乏"になる状況を見てきて。「マンガ家さん達がそういう状況に追い込まれるのだけはやめよう」ということになりました。例えば単行本が売れて、借金をしなくても自分でまかなえるようになったら、この作業場から出て自分で部屋を借りればいいじゃないかと。そうなれるまでの環境はこちらで整えましょうというのがこの部屋の意義です。
 実際に今も原先生も北条先生もここで作業をしていらっしゃいますので、その近くに新人のマンガ家さんに入ってもらうことによって刺激を受けていただくというか、若いマンガ家さんには何よりの経験になると思っています。


──両先生の原稿を間近で見てらっしゃるんですね、これは素晴らしい経験になりますね

真野:ええ、もう本当にありがたいです。


●デビューから半年、そして今後の展望

──現在6話まで描いてこられて、デビュー時とくらべて自分が成長したと感じるところはありますか?

真野:周りの友人や担当さんは「絵が上手くなった」とは言ってくれるんですが、自分の自覚としてはまだ全然ですね。半歩くらいは成長できたかな、といったところでしょうか。
 ストーリーというか、ネームを描く速度は上がりましたが、もっと"自分の思うような話作りができれば"と思っているので、映画などを見ての勉強は欠かせないですね。


──『笑えぬ童子』は結末が二通りあって、一方は雑誌で、もう一方の結末は携帯サイト(ゼノンランド)で読めるという仕組みですが、単行本には両方収録されるんでしょうか?

真野:はい、単行本では両方読めます。

編集:『コミックゼノン』は毎月25日発売なんですが、同時に携帯でも発信しています。従来は雑誌から単行本になり、その単行本を電子配信で発売する、という流れだったんですが、我々は雑誌そのものを電子配信で、しかも同じ日に売ってしまおうと。その際に特色を出そうという事で、ゲームでいうところの"マルチエンディング"を意識した二通りの結末を用意しました。


──最後に、今後の『笑えぬ童子』。その展望などをお聞かせください

真野:この座敷童子は心がないまま死んじゃったから、楽しい事も悲しい事も何もわからないんだけど、仏様に言われて人間の煩悩を108個集める途中で、少しづつ感情が芽生えてくる。なぜ目の前の人が泣いているのかということに気づいていく人間ドラマだと思っています。だから現時点でも少しづつ成長していて、微妙なさじ加減なんですけど「6個も感情が集まったらこれぐらいは変化するだろう」という具合に、セリフなども微妙に変化させています。
 これからは座敷童子の過去にも触れていきたくて、現代が舞台ですが、「実は江戸時代の座敷童子は……」みたいな展開も考えています。みなさんご期待ください。



『笑えぬ童子~108の業~』<STORY>
 108の業(カルマ)を求め、不幸に直面した人々の前に現れる座敷童子。感情を知らない座敷童子は「不幸の宿替え」と称して人々を幸福に導くのだが、それは他人を同じ不幸に落とすという矛盾をはらんでいた。自分のせいで他人が不幸になっていることを知った主人公達は再び「不幸の宿替え」を行うのだが…。


『コミックゼノン』は毎月25日発売!予価650円(税込)
>>コミックゼノン公式サイト

関連タグ
おすすめタグ
あわせて読みたい

インタビューの関連画像集

おすすめ特集

今期アニメ曜日別一覧
2024年春アニメ一覧 4月放送開始
2024年冬アニメ一覧 1月放送開始
2024年夏アニメ一覧 7月放送開始
2024年秋アニメ一覧 10月放送開始
2024春アニメ何観る
2024年春アニメ最速放送日
2024春アニメも声優で観る!
アニメ化決定一覧
声優さんお誕生日記念みんなの考える代表作を紹介!
平成アニメランキング