声優
アニメ『人類は衰退しました』先行上映イベントレポ

アニメ『人類は衰退しました』第1話先行上映会実施! 「わたし」役の中原麻衣さん、監督の岸 誠二さん、シリーズ構成の上江洲 誠さんによる、ぶっちゃけ(すぎ?)対談もレポート!

 都内某所にて2012年7月1日(日)、期待の新作アニメ『人類は衰退しました』の先行上映イベントが実施された。

 『人類は衰退しました』は、ガガガ文庫のライトノベル作品。「なんらかの要因」で衰退した人間と、現在地球の人類として生活している「妖精さん」との交流が描かれ、その優しい雰囲気と、皮肉めいた独特の語り口から人気を集めている。ジャンルは「ほのぼの異文化交流系ライトノベル」とでも表せば良いだろうか……。なかなかジャンル分けの難しい作品だ。

 アニメ制作を担当するのは、『そらのおとしもの』シリーズや『ペルソナ4』の制作を手がけたAIC(アニメ インターナショナル カンパニー)のASTAスタジオ。監督も、同じくAIC ASTAで『ペルソナ4』制作を行った岸 誠二さん。

 今回のイベントでは、7月1日よりテレビ放送がスタートしたばかりのアニメ『人類は衰退しました』の第1話を上映。さらに、主人公である「わたし」役の中原麻衣さんと、監督の岸 誠二さん、シリーズ構成の上江洲 誠さんが登壇し、トークショーも実施された。今回の記事では、トークショーで話された内容を含め、イベント全体の様子をお届けする。

左から、シリーズ構成・上江洲 誠さん、「わたし」役・中原麻衣さん、岸 誠二監督。

左から、シリーズ構成・上江洲 誠さん、「わたし」役・中原麻衣さん、岸 誠二監督。

●ネタバレ注意! 1話を見終えてから御覧ください、な『人類は衰退しました』第1話上映&トーク

 会場は瞬く間に満員となり、定時になると早速上映が開始された。ちなみに、当記事の掲載時には、すでに第1話は放送されているだろう。ご覧になっているとは思われるが、ここからは少々ネタばれ的な要素が存在する。そのささいな「ネタ」が非常に重要な作品なので、放送をご覧になってから読むことを強くオススメする。

 上映前には中原麻衣さん演じる「わたし」による注意事項が会場にアナウンスされた。「何か危ないことがあったら私は一目散に逃げますが……」という発言から、「歩く詐欺」こと、「わたし」の、ちょっとヒネた詐欺な部分がよく分かる。

 映像のクオリティはもちろん、中原さん演じる「わたし」のやさぐれっぷりは見事のひと言。ちなみに、上映が終わった後、司会の口から発せられた第1声は、「皆さんが食パン嫌いにならなければいいんですが……」だった。

 上映が終了すると、今回のゲストである「わたし」役の中原麻衣さんと、監督の岸 誠二さん、シリーズ構成の上江洲 誠さんが登壇。マーベラスAQLの丸山さんを司会進行役に迎え、上映された本編第1話についての対談が行われた。ここからはその様子を、テーマごとに区切ってお届けしよう。



――上映を終えて「第1話」と原作について

上江洲さん:まず、こちらに来場されている方で原作をお読みになられている方はおられますか?

(会場の7割ほどが挙手)

 手を上げられた方にはお分かりいただけたかとは思いますが、原作の1話から始めていません。せっかくなので、おいしいどころ取りで、原作のエピソードをバラバラに構成しています。

岸監督:確かに普通にやるのもいいんですが、せっかく1話完結の形式をとっている作品ですので。まずはインパクトの強い話から、と思いまして。

上江洲さん:順番通りの収録ではないので中原さんに高いハードルを課しちゃいましたね。いや、中原さんだけでなく、視聴者にもですが。いきなりドぎつい話をやって、作品の方向性を早々に理解してもらおうという意図があります。

中原さん:ハードルというか、確かに戸惑いました。まず「わたし」の見た目から。髪の毛が短いですよね。1巻から読ませていただいていて、アフレコの時点ではそのエピソードまで読めていなかったんです。「え、何で? 私の知っている話じゃない!」ってなりました(笑)。そういった作品を描く中で「わたし」の、ブラックな部分が出過ぎないように調整するのが、なかなか難しかったです。

岸監督:最初のテストでは、ちょっとダークな面が前に出ちゃってたんだよね。クールで怖い「わたし」が。

中原さん:最初は「それじゃ(恐すぎて)誰も見てくれないって!」って言われちゃって。

岸監督:親しみやすい音を模索して、3回くらいテストをやり直した結果、今の形に落ち着きました。

中原さん:毎回勉強になります。モノローグと台詞の切り替えに間がまったく無いので……。その間をやり過ぎないようにするのが大変です。


――絵作りについて

上江洲さん:妖精さんが出てくるとより楽しいね。僕の指示は字面ですから、そこからどんな絵になるのかも楽しみにしています。

中原さん:やさしいタッチで描かれてますよね。あれって色鉛筆で描かれているんですか?

上江洲さん:そうですねぇ。まぁぶっちゃけた話をするとフォトショッ……。

岸監督:うわぁ夢がない(笑)。マウスね、マウス!

上江洲さん:どっちにしろ夢がないよ。

――世界観構成と原作に潜むネタについて

岸監督:世界観の構成が本当に難しくて、(多くのスタッフに)助けてもらわないと間に合わないんです。何がどうやってネタに絡んでいるのかを知らなければいけないので。

上江洲さん:DP(デリカシーポイント)とかですよね。文字ネタなどアニメにしにくい部分は、普通スルーしちゃうものなんですが。今回はテロップを出すことも辞さない覚悟で挑んでいます。

岸監督:原作の『人類は衰退しました』の面白さって、やっぱり文字だから伝わるものじゃないですか。特にパロディ的なギャグは。

中原さん:自分世代の作品であれば分かるのですが、古いアニメに詳しいわけではありませんので…。

上江洲さん:作品の元ネタを読み解くのが難しいんですよね。会議では「原作のここはこういうパロディだ」と一つ一つ説明していくのが僕の仕事でもありました。

岸監督:いやぁ、本当に助かった。

上江洲さん:ライトノベルをあんまり読まないはずの岸監督が付箋貼って読んでるんですよ。PSPかDS持ってるとこしか知らない彼が! 面白い光景です。


――加工チキンの声について

岸監督:加工チキンの「クケェェェェェェ」って声は、ブブゼラみたいなもの※1をくわえてしゃべってもらってるんです。その結果、こんな感じになりました。

上江洲さん:「祖父」役の石塚運昇さんに「面白そうだからやらせて」って言われました(笑)。

岸監督:大ベテランも大ベテランですよ! さすがに恐れ多いです。石塚さんに吹かせたなんて言ったら、事務所の方に怒られます。

中原さん:アフレコの時に見たので、たくさんあるなら私もちょっとやってみたかったです。

岸監督:じゃあ、次回の加工チキンはオーディションで行きましょうか(笑)!


――お話の流れの作り方について

中原さん:完成した後と演じている時では、アフレコをする絵がぜんぜん違うんですね。だから改めて作品を観ると、変化を見るのが楽しいです。

上江洲さん:シナリオには、妖精の工場にたどり着くまでのあいだにも、長い道を歩くシーンなどもあったんです。他にも様々。編集してみると尺の都合で無くなるわけですが、何を残すかと言うと、何よりも食パンが自害するシーンを1話では最優先しろと。

岸監督:そこに、どうやってたどり着かせるかを考えるわけです。

上江洲さん:なかなかの死にっぷりでしたね。

岸監督:食パンの彼は間宮くるみさんに演じて頂いています。なかなか人間役でお願いできないんですが……(笑)。

中原さん:いやぁ、なんというか。ピッタリですよね!

上江洲さん:数百万人が「かわいいアニメが始まるぞ」って思いながらあのオープニングを見て、期待して。そして最後には食パンの頭が割れるとというアニメです。

岸監督:……なんだか今になってから、反応が怖くなってきたぞ!


――オープニングとエンディングについて

岸監督:エンディングの映像は、アニメーション作家の白石慶子さんにテーマだけを提示して、それに合わせて制作していただきました。曲を歌うのは伊藤真澄さんです。映像の意味を考えながら見ていただけると、いろいろなものが見えてきますよ。……真面目な話しちゃったかな?

上江洲さん:タイガーマスクの時代からアニメのエンディングは暗くあるべきだと思っているので(笑)、この不思議ダークな感じ僕は大好きです。

中原さん:不思議な曲だなと思いました。その中で、アニメの世界観を表現されていると思います。

上江洲さん:オープニングとエンディングできれいに対比されていますね。なんだか色々考察なんかができそうです。オープニングはどうですか?

岸監督:オープニングは、今回もまた踊っていただきました。

上江洲さん:曲のイメージ通りの可愛らしいデキです。「かわいい子がいっぱいいるなぁ」って錯覚させますね。まったくもって罪深いですよ、あのオープニングは。

岸監督:え、なんで?

上江洲さん:いやだって「かわいい」じゃないですか。その後にあのチキンとか、あのパンとかが出てくるんですから。オープニング詐欺もいいところですよ(笑)!

中原さん:私も、「ああいう」世界なのかなってちょっと錯覚しそうな。かわいいオープニングだと思います。

上江洲さん:いい話をすると。タイトルが出るタイミングで、緑の世界が広がるのは良い演出ですね。「衰退」と不吉なワードを使いながら、緑の世界なのがいいです。

岸監督:繁栄と衰退の対比で……これ以上は照れくさいのでいいません。


――オープニングソング「リアルワールド」を聞いて

岸監督:オープニングは、nano.RIPEさんと打ち合わせして作りました。まさかのハイテンポ系の曲が上がってきたので、絵をどうしようかなと。オープニングなので楽しくとお願いしましたが、楽しくなりすぎちゃったかな。

中原さん:元気になれるというか。「わたし」も踊っていますが、踊りだしたくなるような雰囲気の曲ですよね。

上江洲さん:じゃあ特典映像でそれ付けましょう!

中原さん:えっ……。じゃあ妖精さんは岸監督でお願いします。

上江洲さん:妖精さんの顔に全部岸さんの顔を貼り込もうよ。

岸監督:何よりも誰得やそれ!

中原さん:いやぁ、楽しみですね!

  これで、今回の対談は終了となった。今回公開された情報の殆どは、7月3日から配布される「月刊田中ロミオ」第3号にて公開されている。ちなみに、表紙、裏表紙にはちょっとした仕掛けがあったり……。無料配布されている冊子なので、アニメイトなどの店頭で発見したらぜひ確認していただきたい。また、キャストの情報は、オンエアのエンディングで公開されるとのこと。そちらも忘れずにチェックだ。

 情報の公開が終了すると、『人類は衰退しました』と同じく、田中ロミオさん著のライトノベル『AURA ~魔竜院光牙最後の闘い~』の劇場アニメ化が発表された。短いPVではあったが、会場に集ったファンには朗報となった様子で、大きな声援が上がっていた。こちらは、別の記事として掲載するので、ぜひチェックしてみてほしい。

 そして最後には、登壇した3人にコメントをいただけた。これを持って、本記事の締めくくりとしたい。


中原さん:
 今日は大きな画面で、みなさんと一緒に見る事ができて本当に楽しかったです。ぜひ家に帰ってチェックしてみてください。

岸監督:
 今日から始まります、全12話。やっと色々言えるようになりました。お付き合いいただければと思います。ぜひよろしくお願いいたします。

上江洲さん:
 今見たのが、自分の初見でした。絵を見て、それについては安心しました。明日からまた、記憶を消して一ファンとして楽しみたいと思います。みんなで応援よろしくお願いします。


>>『人類は衰退しました』公式サイト

 

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