テレビアニメ『ハマトラ』原案・小玉有起先生＆NAZ・須田泰雄プロデューサー対談【後編】

　2013年末より動き出した『ハマトラ』プロジェクト。『週刊ヤングジャンプ』でのコミック連載に続き、1月7日よりついにアニメの放映もスタートした。

　今回は作品の原案、漫画の作画を担当している小玉有起氏とアニメーション制作を担当する株式会社「NAZ」の須田泰雄プロデューサーによる対談が実現！　『ハマトラ』プロジェクトの全貌について前後編に亘りバッチリ語っていただきました。後編となる本稿では、小玉先生によるマンガ版『ハマトラ』についてや、アニメ版でのキャスティングなどに迫ります！

●漫画とアニメ、それぞれの『ハマトラ』ワールド

──漫画の方はアニメよりもライト＆コミカルなテイストになっているそうですが。

小玉有起氏(以下、小玉)：須田さんはアニメで群像劇を表現したいとおっしゃっていましたが、それを漫画に落としこむのはすごく難しいんです。いきなりキャラクターがたくさん出てくると、読者は誰が主役かわからなくなってしまいますし、毎週違う話を展開していたのでは何が起こっているのかもわからなくなってしまう。なので、漫画ではナイスとムラサキのコンビを追った一本道の話にしたいということで“アニメの前日譚”を描くことになりました。彼らがコンビになった一因もそこにあると思います。

須田泰雄プロデューサー(以下、須田)：逆にアニメはそれぞれのキャラクターのバックボーンを掘り下げるよりも群像劇であることに注力しているので、見せ方はまったく異なっているのが特徴かなと。

小玉：アニメの『ハマトラ』は女性ファンが多いというイメージがありますが、漫画は掲載誌の関係上、より男性向けになっているという違いもあります。ナイスくんも下心丸出しでスケベですし(笑)。ただ、この『ハマトラ』プロジェクトというのは男性女性問わずに楽しんでいただきたいですし、むしろ男性の方には漫画を通じて興味を持ってもらえるような作品にしていきたいですね。

須田：漫画はコミカルですが、アニメはミステリーとしての側面も強いです。やはり、ミステリーを描くのが得意な北島さんにスタッフに入っていただく以上、そういった形式に落としこむのがベストだと考えました。オリジナルアニメということで先の展開もわからない中、第一話から張ってある伏線が最終的に絡み合う。

小玉：いわゆる“みんなが好きな展開”。

須田：言ってしまえばそう(笑)。古典としてあるオードックスな構成かもしれませんが、それをこのメンバー、この時代でやったらどうなるのか、というのがアニメ『ハマトラ』のキモなんです。

──『ハマトラ』は2014年の架空の横浜が舞台となっています。現代を舞台にしているということは、視聴者にリアリティを感じさせるようなギミックも多いのでしょうか。

須田：そうですね。単純にリアリティのある事件が途中からバンバン起きていきます。

小玉：インターネットを絡めた事件なんかも出てきますし、中にはドキッとする人もいるかもしれません。

須田：僕も正直、本読みのときに「これ、大丈夫なの？」って思いました。どんな反応が返ってくるのか、まったく想像がつかないので……。

小玉：内容としては、結構ギリギリなラインだと思います(笑)。インターネットを通じてのアニメ配信も予定しているということを考えると心配な気もしますが、逆にそういうシナリオも話題になってくれたら嬉しいです。

須田：すごく現実感を持たせたシナリオではありますが、そこにはアニメと現実の化学反応を見せたいという思惑もあります。もし僕らが生きているこの世界で事件が起こったときに『ハマトラ』の登場人物たちならどうするか？　自分がそのシチュエーションになったらどうするのかということを考えながら見ていただけるとより面白いと思います。中には「えっ、そういう反応をするの？」みたいな奴もいるので。

小玉：第二話のアレとか……。

須田：ああ、それ以上はネタバレになっちゃうかな！　その辺りは実際にアニメを見て確かめていただけたら嬉しいです！(笑)。

小玉：アニメの方はシリアスですが、それとは逆に漫画はわかりやすさを意識しています。アニメだと映像を見るだけで受動的に楽しめる部分がありますが、漫画だと自発的にページをめくらないと内容が入ってこない。どんな方でも楽しめるように間口を広げるべく、僕も北島さんもなるべく読みやすくなるよう心がけているので。幸い「コメディはしていいよ！」と言われているので、設定を大きく変えない範囲で勝手にやっちゃっている部分はあると思います(笑)。

●リテイク前提のデザインから誕生したキャラも！

──デザインの段階でふたりでお互いの主張がぶつかったりをすることはありませんでしたか？

須田：これは無いと断言できます！　『ハマトラ』は小玉さんありきの企画だと思っていますし、僕の方からはリテイクを出さないようにしていました。ただ、さすがにレシオのデザインを見たときはビックリしましたけど……。最初は「エリートサラリーマンで面白い喋りをする奴がほしい」と発注をさせてもらったんですけど、まさかあんなデザインが返ってくるとは(笑)。

小玉：単純にエリートサラリーマンを出してもモブっぽくなるなと思って、「どうせなら手をメカにして眼帯をつけて白衣を着せちゃえ！」みたいな感じでぶっ飛んだデザインしたんです。ちょっと前のロボットアニメ、それこそ『ジャイアント・ロボ』なんかに出てきそうなイメージで。これは絶対にそのまま通るわけないなと思っていたら、まさかそのまま通っちゃうとは……。「サラリーマンなのに白衣ですか？」という返事が来たんですが、それより先にツッコむべきところがあるだろうと！(笑)　こちらのアイディアを削らずに違うところで変更してくれたのが嬉しかったです。

須田：実はこの『ハマトラ』はずっと温めてきた企画で、絵をどうするかだけがずっと悩みの種でした。だからこそ、僕は小玉さんに出会えたことを感謝していますし、その仕事にノーを出すことはありえません！　実際レシオも小玉さんのアイディアからこういった素晴らしいキャラクターになりましたし、アニメでもその戦闘シーンは見どころの一つになっています。

──あのアームはかっこいいですよね！

須田：彼は「透視」のミニマムを持っているんですが、むしろロボットアーム(アニメでは、“ガントレット”に設定を変更)とどっちがミニマムなのかわからないぐらいです(笑)。スタッフの話だと、レシオ役の中村悠一さんも「俺のキャラだけ武器が二つあるんだけど」とおっしゃっていたみたいで(笑)。

──ちなみに声優さんはオーディションで選ばれたのでしょうか？

須田：そうです。(ナイス役の)逢坂良太さんはキャラクターに合わせて、オーディションにヘッドホンまでつけてきてくださったようでビックリしました。

小玉：逢坂さんだけでなく、今回のキャスティングは本当にそのまま僕らのイメージ通りですよね。

須田：イメージ通りだと胸を張っていえます。会話劇は『ハマトラ』の面白さの一つですし、僕らも役者さんが自由にお芝居ができるように工夫をさせてもらっています。声が前提のプレスコというわけではないんですが、パクズレ(セリフと絵のズレ)などでお芝居を妨げたくはないので、アフレコのときには役者さんたちには明確な絵を見せていません。

　代わりにお芝居に合わせて後から絵を修正して修正して対応するようにしています。バースデイ役の福山潤さんなんかは「もしもしもー？」とかガンガンアドリブを入れてメッチャ面白い感じにしてくださっているんで、この方式にしてよかったなぁと思っています(笑)。まだアフレコは数回残っているのですが、以前にいただいたアドリブを台本に落としこんで持っていくと福山さんがどうするのか……そこもまた楽しみですね！　さらにアドリブで返ってきたらどうしよう(笑)。

小玉：そんなにアドリブがあるんですか？

須田：結構みんなぶっ込んできますよ！　はじめちゃん役の加藤英美里さんや、マスター役の斧アツシさんもチョイチョイぶっ込んでくるので(笑)。あと、ゲストの声優さんもかなり豪華な感じになっているので、そちらも注目です。次回予告は様々なキャラクターの言葉が群像劇的に散りばめられているという演出なんですが、そこにゲスト声優さんのセリフも混ぜるようにしているので耳に自信のある方は毎回予想してみるのも面白いかもしれません。

──アニメの放映開始は1月7日深夜からになります。今から反響が楽しみですね。

須田：最近だとTwitterを見たときに『ハマトラ』のキャラクターのアイコンを使ってくださっている人がいて、そういうのを見るとすごくテンションが上がるわー、ってなりますよね！　マスコットのトランカー君も大人気みたいで。

小玉：トランカー君って、軽い落書きから誕生したキャラクターなのに(笑)。アニメの放映が始まってからさらに人気が爆発してくれたら嬉しいですね。アニメの方は僕自身もまだしっかりとはチェックできていませんが、第三話まで見ていただければきっと面白さを感じていただけるのではないかと思います。

須田：その辺りから少しずつ作品の根っこにある事件が見えてきますからね……。僕らも群像劇感、ミニマムシーン、そしてデザインと、あらゆる面で作品の魅力を皆さんに伝えられるようにこだわっています。ぜひアニメ『ハマトラ』を、そして『ハマトラ』プロジェクトに触れてみてください。どうかよろしくお願いします。

＜ハマトラ PROJECT＞

■テレビアニメ

【放送情報】
テレビ東京：2014年1月7日から毎週火曜　深夜1:40～
テレビ大阪：2014年1月10日から毎週金曜　深夜2:10～
テレビ愛知：2014年1月8日から毎週水曜　深夜2:35～
AT-X：2014年1月11から毎週土曜　夜8：00～
[AT-X リピート放送]
毎週月曜　午前11:00～
毎週木曜　朝5：00～
毎週金曜　夕方5:00～
※放送時間は変更になる場合があります。

【スタッフ】
原案：小玉有起・松舞夏
原作：カフェノーウェア
総監督：岸誠二
監督：木村寛
プロジェクト構成：北島行徳
アニメシリーズ構成：熊谷純・待田堂子
脚本：熊谷純
キャラクター原案：小玉有起
キャラクターデザイン：和図悠
カラーアートディレクション：ファンタジスタ歌磨呂
音楽：吉森信
音楽制作：DIVE IIentertainment
アニメーション制作：NAZ「Take Your Way」

【キャスト】
ナイス：逢坂良太
ムラサキ：羽多野渉
はじめ：加藤英美里
アート：神谷浩史
コネコ：安野希世乃
ハニー：喜多村英梨
レシオ：中村悠一
バースデイ：福山潤
スリー：村瀬克輝
マスター：斧アツシ
ガスケ：秋元羊介
マオ：江口拓也
セオ：岡本信彦
レイ：大橋彩香
ほか

【ストーリー】
　“ミニマム”――それは、「小さな奇跡」とも呼ばれるごく限られた人間にのみ先天的に発現する特殊能力。その能力を身に付けた者は“ミニマムホルダー”と呼ばれる……。

　2014年横浜。ナイスとムラサキのコンビ探偵“ハマトラ”は、事務所としてテーブルを間借りしているカフェ・ノーウェアで仲間たちと一緒に今日も仕事の依頼を待っていた。

　そんな中、2人の元へと舞い込んだある依頼が、2人と旧知の間柄の警察官・アートが追いかける「連続殺人事件」と、奇妙な繋がりを見せる。その事件は、被害者が全員“能力者（ミニマムホルダー）”というものだった。ミニマムホルダーであるナイスとムラサキも、否応無しに事件の渦中へと巻き込まれて行く…。

　それぞれの思い・願いを叶えるため、「覚悟（エゴ）」を貫き奮闘する若者たちの物語を描く、一筋縄じゃいかないノンストップアクションが幕を開ける――。

【楽曲情報】
OPテーマ： livetune?adding Yuuki Ozaki(from Galileo Galilei）『FLAT』
EDテーマ：羽多野渉『Hikari』（2014年2月19日発売）

【ラジオ情報】
・「ハマトラジオ　from　カフェノーウェア」

[放送時間]
12月29日(日)～毎週日曜日　24時00分～24時30分
ラジオ大阪にて放送

[WEB配信]
・ニコニコ動画
毎週月曜日　12:00　更新
初回放送日　12/30　予定

・響
毎週月曜日　12:00　更新
初回放送日　12/30　予定

・アニメイトTV
毎週月曜日　12:00　更新
初回放送日　12/30　予定

[出演]
逢坂良太(ナイス役)
羽多野渉(ムラサキ役)

メールアドレスはhamatoradio@obc1314.co.jpです。
現在、メールも募集中。みなさんからのメールをお待ちしております！

＜パッケージ情報＞
●『ハマトラ」Blu-ray＆DVD1巻初回生産限定版（仮）』
発売日：2014年4月25日(金)
価格：Blu-ray+CD 7,600円+税 / DVD+CD 6,600円+税

【収録話数】
1話～3話

【初回限定版仕様】
・キャラクターデザイン和図悠描き下ろしデジパック仕様
・三方背ケース仕様
・キャラクタープロフィールカード
・特典CD
・1～4巻収納BOX（※1巻のみ）
・7月13日開催イベント優先申込券（※1巻に昼の部予約）
・作品解説ブックレット（通常版と共通）　ほか

【初回収録特典】
・オーディオコメンタリー（各巻1話分収録）
・ノンテロップオープニング映像、BD&DVD発売・告知映像（※1巻のみ収録）　ほか

【通常版仕様】
・アマレイケース
・作品解説ブックレット（初回限定版と共通）
※初回版が無くなり次第、通常版に切り替わります。
※特典の内容・デザインは予告なく変更する場合がございます。

＜イベント情報＞
●テレビアニメ『ハマトラ』Blu-ray＆DVDシリーズ発売記念　スペシャルイベント
開催日時：2014年7月13日(日)　※2回公演予定
場所：パシフィコ横浜　展示ホールC
出演：
逢坂良太（ナイス）
羽多野渉（ムラサキ）
加藤英美里（はじめ）
安野希世乃（コネコ）
福山潤（バースデイ）
中村悠一（レシオ）　　　　and　more…

■漫画
原案：小玉有起・松舞夏
シナリオ：北島行徳
漫画：小玉有起
出版：集英社　週刊ヤングジャンプ