予想外の楽曲も！　大きな感動が広がったゆかりん武道館ライヴ！　「田村ゆかり LOVE LIVE 2014 Spring」レポート

　全国7都市で10公演を駆け巡った2014年春のライブツアー「アニメロミックス presents田村ゆかり LOVE ▽ LIVE 2014 Spring *Fruits Fruits ▽ Cherry*supported by JOYSOUND」(▽はハートマーク)の追加公演が2014年3月29日(土)・30日(日)に日本武道館で開催された。

　会場の暗転をきっかけに“ゆかり愛”を背負った王国民たちがペンライトで客席をピンク一色に染め上げる。すると会場内に用意されていた3つの巨大モニターにはゆかりんが映し出され「みなさんこんばんは、田村ゆかりです。 今日はみなさんに恋のお話をしようと思います。まだ恋をしらないある女の子のお話」。ぬいぐるみのうさぎさんと共に、ファンタジックな“恋を探しにいく物語”がはじまっていった……。

　リボンが添えられた黄色のミニドレスで、武道館のステージ中央の階段上に登場したゆかりん。大歓声が沸き起こるなか、桃色男爵(バックバンド)、桃色メイツ＆桃色メイツJr.(バックダンサー)、 桃猫団(くすんだねことくすんでないねこ)とともに『純愛レッスン』、『恋のタイムマシン』、『100 CARAT HEART』を届け、序盤からシンガロングの嵐に。

　武道館が狭く感じるほどの一体感で、この日のライブを勢いよく立ち上げていったが「“張り切っていきましょー、ぶどうかーん！”みたいなの、苦手なの知ってるでしょ？　そういうキャラじゃないし……自分の殻が破れない！」と、MCでは相変わらずマイペースなゆかりん(笑)。

　さらに、先日お仕事で一緒になった先輩から「切なさがにじみ出てる」「友達がいないの？」と聞かれて困惑した話や昔のペンライト秘話など、“ゆかりんらしい”MCを繰り広げ場内が和やかなムードになったかと思うと──「私の演じたなかで大好きなキャラクターの歌です」と、なかなかライブでは聴くことのできない『Butterfly*kiss』を歌い、武道館に大きな感動が広がっていく。きっと、それぞれがそれぞれの想いを馳せながら聴いていたことだろう。

●ひさびさのバーチャルデートでは、桜並木を歩くシーンも

　今回は11月にリリースした10thアルバム『螺旋の果実』を引っ提げての全国ツアーということでアルバム曲を中心にしたセットリストであったが、ツアータイトル・Fruits Fruits ▽ Cherry（桜が舞う季節の意）にちなんで、千秋楽では“桜”や“花”にまつわるワードが出てくる楽曲が加わっていた。前述の『Butterfly*kiss』に然り、なかにはライブでは珍しい楽曲もあり(『レゾンデートルの鍵』のアコースティックバージョンや、『天使のお仕事』など)、客席からは幾度となく驚きと歓喜の声が上がったのであった。

　さらに「今日千秋楽だからオープニングの映像ももう見られないし、今まで歌ってきたうたたちもこの順番で、同じ衣装着て歌えないじゃん。寂しいね。なんかね、ちょっとオセンチなの……終わるのイヤだなって」と、今この瞬間を噛みしめるかのようなMCもあり(直後に「あれ、もしかして“オセンチ”って死語？　昭和の言葉だった？」と自らツッコみ笑いを誘っていたが)、ひさびさのバーチャルデート・ムービーもあり──毎回これ以上ない “特別”なステージを見せてくれるゆかりんだけど──この日はいつも以上にカラフルな光を放ったライブだったと思う。

　また、そんな多彩なステージングに合わせて、一丸となってコールを贈る王国民たちの姿が本当に感動的で。ゆかたん(神楽坂ゆか)の話題となったときに客席で光っていたペンライトが一瞬にしてイメージカラーの青に変わったときは、ゆかりんも「凄い！」と感動していた様子。どんどんと高揚感が満ち溢れていくなか届けられた、本編クライマックスの『Cherry Kiss』、『You & Me feat. motsu from m.o.v.e』『Fantastic future』の会場の一体感は凄かったな。

　本当に“全てがクライマックス”と言わんばかりの盛り上がりだったけど、個人的なこの日のハイライトは最初のアンコール。アンコールが始まると同時に流れたムービー＝“恋を探す物語”の完結編で、さまざまな恋の形を知ったゆかりんは戸惑いながらも「それでも私はいつも恋をしていたいと思います」「どうか、その螺旋の先にステキな未来がありますように」と願う。そしてステージに登場したゆかりんが、幸せそうな表情で＜Darling とまれ空の時計 Darling 恋を 閉じこめて あなたの夢に さあ飛びこむのよ＞と『恋と夢と空時計』を歌いあげ、『fancy baby doll』で＜何万回生まれても君に会いたい　約束よ＞と伝え、全てを導いていくかのような『W:Wonder tale』へ。

　晴れやかな希望に満ちたその一連の流れが泣きたくなるくらい感動的で、先に流れたムービーの「どうか、その螺旋の先にステキな未来がありますように」という言葉が、胸にストンと落ちてきた。

　また、曲が終わったあと、一人ひとりと目を合わすかのように時間を掛けて手を振っていくゆかりん、そしてゆかりんに向かって「ありがとう～！！！！」と叫びながら、惜しみない拍手を送り続ける王国民たちの姿が美しすぎて、ひときわ心が震えた筆者であった。

●ダブルアンコールは想定外の楽曲！

　そして「もう1回！」の声に応え、ダブルアンコールの『Fortune of Love』(大歓声！)で全26曲、約3時間半のライブに幕を閉じたゆかりん。「今日は本当にありがとうございました。今日でツアーがおしまいかと思うと、ホントに寂しくて終わりたくないなという気持ちでいっぱいなんですけど、またどこかでみなさんにお会いできたら嬉しいです。そのときには今日と変わらず元気な姿で遊びに来てくれると嬉しいです」。大きな感動が咲き誇った“Fruits Fruits ▽ Cherry”ツアー。再び会える日が、今から楽しみだ。

[取材＆文・逆井マリ]


■アニメロミックス presents
田村ゆかり LOVE ▽ LIVE 2014 Spring *Fruits Fruits ▽ Cherry*
supported by JOYSOUND
2014年3月30日(日)　東京・日本武道館

＜SET LIST＞
01　純愛レッスン
02　恋のタイムマシン
03　100 CARAT HEART
04　Butterfly*kiss
05　Moonlight secret
06　アジュールの実
07　ひとりあやとり
08　レリーフのひとかけら
09　レゾンデートルの鍵
10　LUNATICA MARE
11　ナルシスが嘘をつく
12　Passion Error
13　PINK AQUARIUM
14　天使のお仕事
15　ほんのり桜色
16　秘密の扉から会いにきて
17　スパークリング☆トラベラー
18　LOVE ME NOW！
19　Honey Moon
20　Cherry Kiss
21　You & Me feat. motsu from m.o.v.e
22　Fantastic future

＜ENCORE＞
23　恋と夢と空時計
24　fancy baby doll
25　W:Wonder tale

＜W ENCORE＞
26　Fortune of Love


>>田村ゆかり OFFICIAL WEB-SITE