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劇場版『gdgd妖精s』、スタッフ超ロングインタビュー【後編】

実は倍の2時間映画だったとの衝撃の事実が発覚! 劇場版『gdgd妖精s』、菅原そうた監督&森りょういちさん超ロングインタビュー【後編】

9月27日(土)より角川シネマ新宿他で、ついに3DCGアニメ『gdgd妖精s』の劇場版『gdgd妖精s っていう映画はどうかな…?』の公開がスタート。本作は『gdgd妖精s』の生みの親である菅原そうた監督と、大ヒットCGアニメ『Peeping Life』の森りょういちさんが初めてタッグを組んだ話題作。そこで今回は公開に先駆けて、菅原そうた監督と森りょういちさんにインタビューを行なった。

当初は劇場版アニメ『gdgd妖精s っていう映画はどうかな…?』についてのインタビューのハズだったんだけど……ほとんどフリートークというか座談会のようなgdgdな感じになってしまいました。ほぼ全編ノーカットの、超ロングインタビュー! あまりに長いので、2回に分けての掲載です。では、後編をお楽しみください。(前編は、こちら

▲菅原そうたさん(後)<br>森りょうちいさん(前)

▲菅原そうたさん(後)
森りょうちいさん(前)

 

■ 本作が、実は倍の2時間映画だったとう衝撃の事実!

――『gdgd妖精s』のファンは劇場版の内容がどうなっているのかを知りたがっていると思います。長時間の作品を作る際に苦労したことは?

菅原そうたさん:僕も映画とかでつまらない箇所が続くのは好きではないので、「ショートの連発でつなぐしかないかな」と思いました。言っちゃいけないのかもしれないけけど、ホントだったら現状のストーリーの倍くらいあったんです。森さんのパートも『gdgd妖精s』のパートも倍だったから、劇場版『gdgd妖精s』の当初の脚本は2時間の映画だったんですね(笑)。

一同:(笑)

菅原そうたさん:2時間の映画で、しかも構成しているストーリーがいい話ばっかりだったんですよ。だけどね……多層にわたる大人の事情がありまして。

一同:(笑)

菅原そうたさん:なので、せっかく作った2時間モノを、短くするしかなかったんです。5分くらいのシーンを1分30秒くらいに縮めたりして。細かい練り直しに苦労しました。2時間の構成を1時間に再構成するのに、3~4ヵ月かかったと思う。

――それはもったいないですね! いつの日か、ディレクターズカット版を公開してほしいです。

菅原そうたさん:ゼッタイにおもしろいってネタがあったから、いつか公開したいですよ。あるシーンなんて、すっごいアドリブシーンがあったんです。だけどそのパートは全体が長いから、部分的に削ることができずにスパーンと外すしかないというご相談になってしまい泣く泣くという感じです

――声優さんもかわいそうです。

菅原そうたさん:そうなんですけど(涙)。でんぱ組.incのパートも倍くらいありましたねぇ。

――映画が完成してから、声優さんと会われましたか? 真実を知ったらがっかりされそうですね?

菅原そうたさん:まだ会ってませんね。だってナニを言われるか怖いですから!

一同:(笑)

――だけどそれだけネタが詰め込んであるということは、お客さんは非常に濃い『gdgd妖精s』を楽しめるってワケですね。

菅原そうたさん:はい! でも2時間ギューギューに詰めてあるから脳みそが疲れちゃうかもしれない。もし疲れたら瞬間的にトイレに行ってください。目を閉じ耳をふさぎ、トイレで10秒くらい瞑想してから座席に戻ってきてください。そしたら回復してるかもしれない。

森りょういちさん:え? 上映中に席を外すの?(笑) 僕が見た感じ、そんなに疲れる感じはなかったですよ。

菅原そうたさん:ほんとに~? でもコーナーというかシーンごとの「間」を計算して作ったからかもしれない。テレビ版では3~4秒くらいのアイキャッチの間を、映画では連続で見られるように 大目に7~8秒入れたりしてるんですよね。その「間」がなかったら、もっと疲れてたと思う。『gdgd妖精s』の一挙放送を見ると、4話目くらいになると疲れるんですよね。「頼むからオレを30秒くらい休ませてくれぇ~」って叫びたくなりますよ。

一同:(爆笑)

森りょういちさん:それは毎日フォアグラ食うのと同じですね。僕がこの作品を最大の魅力だと感じるのは、菅原そうたさんを知ってるから、やたらクレジットに「監督:菅原そうた」って出てくるのが最大のギャグだと思います(笑)。

菅原そうたさん:ほんとに? 嬉しいですねぇ~。

 
■ 今回の3人は、菅原そうたさんの手を離れてMMDプロ集団にバトンタッチ!

森りょういちさん:この映画ってキャラクターがかわいいんですよ。3人はもちろん、でんぱ組.incもね。

菅原そうたさん:森さんが考える僕のイメージって、『ネットミラクルショッピング』(2008年制作の菅原そうたさんの監督作品)とか不条理なモノを作ってる人だと思うんです。なのに『gdgd妖精s』みたいなかわいいのを作ってるのが「えっ? コイツが?」みたいな。本当は毒を出したいのに、ちゃんと毒を消してかわいい作品を作ってるのがおもしろいんだと思う。

森りょういちさん:作ってる姿がおもしろいなって(笑)。

菅原そうたさん:やるときはちゃんと作りますよ(笑)。以前だったら毒を出したかもしれないけど、いまは女の子のかわいさとか萌えとかを好きになってます。『けいおん!』とかのアニメを見てから「萌え」がなにかをジンワリとわかってきたからね! 「かわいい子がいればいいじゃーん」って(笑)。漫画を描くときって、描いてる人がそのキャラの表情になったりしますよね? 必殺技を描くとき「うおおおお!」みたいな表情になるっていうか。
僕はテレビ版1期2期『gdgd妖精s』でピクちゃんを作ってるときは、表情がピクちゃんになったり手の動きがかわいくなったり、足が内股になってます(笑)。

森りょういちさん:だからなのかな? でんぱ組.incの動きとか、実写じゃなくてMMDのキャラなのにかわいいんですよ。

菅原そうたさん:だけど今回のMMDの動きは僕の手を離れて、MMDer(MMDを使いこなすクリエイター)の方々が作ってくださってるんです。作って自由にアップした映像が企業の後押しもなしに数十万再生されるような方々、僕から見てMMDの神様みたいなアニメーションのプロとモデリングのプロ、エフェクトのプロが本気を出し合って作ってるんです。僕は横から見てるだけでした。そんな方々から「このボーンの多段化はどうしましょうか?」とか聞かれても、「わっかりっませーん!」って答えるしかないですよ。

一同:(笑)

菅原そうたさん:なので僕はやってほしいことをビデオコンテを通じて伝えるだけ。エフェクトを作ってるビームマンPさんなんて、僕がイメージを伝えた以上のエフェクトを開発しちゃうんです。

――今回この映画のために開発されたエフェクトもあるってことですか?

菅原そうたさん:もちろん。でもどこが新しいエフェクトかを聞かれても僕は知らない。だってエフェクトについては丸投げですから(笑)。

――ビームマンPさんが今回の『gdgd妖精s』のために作ったエフェクトは、今後配布されるのでしょうか?

菅原そうたさん:配布されるかもしれませんね。そうしたらみんな同じエフェクトを使えるようになります。『gdgd妖精s』は全員が作者。本当はいま集まってるスタッフ以外にも、もっとたくさんのクリエイターに参加してもらいたいんです。

――映像チームは何人集めたのですか?

菅原そうたさん:たぶん10人くらいだと思います。ぼくが集めたわけではないのですが前述のポンポコPさん(前編に登場)が天才で人望も厚いため、所属されている6次元アニメーションさんを中心にいろいろ人を探してくれました。連れてきた人のなかには300万再生の動画を作ったフレディーさんという方もいるんです。

――今回の映像は、すべてMMDなのでしょうか?

菅原そうたさん:100パーセントMMDです。「MMDはこんなにキレイなものなんだ」って広めたいです。最近は擬似レンダリングの技術発達がすごいんです。いままで「Mental-ray」や「V-Ray」(レンダリングプログラムの名称)を使うと1フレームをレンダリングするのに1時間くらいかかってたものが、擬似ですがリアルタイムに表現できるんです。MMDのプラグインをいろんな人が開発してるから、高品位レンダリングのマネができるシェーダーが発明されちゃってるんです。

――テレビの『gdgd妖精s』を作ったころから、制作環境は変わっていますか?

菅原そうたさん:がらっと変わってます。テレビの1期目と2期目は3Dとかアニメーションの部分は僕がまるまるやってたのですが、今回はMMDerの方たちが僕より上手いので、初めてCGの部分を手伝えなかった作品です。
あるとき彼らが、ピクちゃんの髪の毛に物理演算を入れて動かしてくれたんです。でもいままで1期、2期と動いてなかったから映画でもやめようってことにしました。3妖精が映画のときだけ髪の毛が動くって、キャラ設定が甘いんじゃないかなって思ったんですね。ただ、でんぱ組.incのときだけは今回から登場なので物理演算で動かしていただいたんです。

森りょういちさん:なるほど。あの3妖精のキャラは「髪の毛が動かない」って設定なんですね(笑)。

■ 今回から登場した「でんぱ組.inc」やキャストや収録現場について

――でんぱ組.incを起用したきっかけは?

菅原そうたさん:誰かがでんぱ組.incをキャスティングできるかもしれないって話を持ってきてくれて、僕は「まさしく最適だ」と答えたんです。そしてスタッフで会議をして、満場一致で声をかけさせてもらうことになったんです。

――でんぱ組.incの反応は?

菅原そうたさん:メンバーのなかにアニメ好きの方が多くて、事前に『gdgd妖精s』を知ってるメンバーがいたのがよかったです。彼女たちもアニメ作品に関わりたいと思ってくださってたみたいで、喜んでくれました。最後の決め手になったのは、でんぱ組.incのプロデューサーである〝もふくちゃん“の理解でしたね。

――でんぱ組.incとお仕事をした感想は?

菅原そうたさん:いやぁ、びっくりしました。こんなにクオリティーの高い方々だとは思ってませんでした。いままで『gdgd妖精s』の3人の声優さんは奇跡の天才3人組なので、他のアイドルさんには難しい現場だと思ってたんです。でんぱ組.incはアイドルだから、正直最初は、そんなに期待してなかったんですね。でもいざ会ってみたら、ビックリですよ。ぜんぜん違う土俵のはずなのに、ギャグセンスと頭の回転がいい! すばらしい化学反応を楽しめた。

――初めの不安はすぐになくなったんですね。

菅原そうたさん:ほんとにおもしろい子たちです。


■ 劇場版『gdgd妖精s』のストーリーをちょこっと紹介!

――ストーリーについて伺います。テレビ版と違って、本筋の物語がありますが、これは映画版だから、あえてこの構造にしたのでしょうか?

菅原そうたさん:大まかなストーリーとプロット構成、展開は1期2期と同じくプロデューサーと構築したんです。でもそれだけだと肉がないので、森さんや長部さんがおもしろくなるようにアイデアを出してくださって、あのストーリーになったんです。森さんはたぶん、『gdgd妖精s』の3妖精のストーリーを書いてくれって仕事をオファーしたら、たぶん断ってたんですよ。

森りょういちさん:いやいや(笑)。断りはしませんけど、『gdgd妖精s』の3妖精はいままでの伝統があるので僕は踏み込めない領域です。なのでソレ以外の部分で、脚本を書かせてもらいました。

――思っていた通りにできましたか?

森りょういちさん:脚本はいいんですけど、僕ね……やっぱり声はやらないほうがいいなって……思うんですよね。

一同:(爆笑)

――もう完成しちゃってます(笑)。

森りょういちさん:だって、他のキャラが全部声優さんだからクリアーに聞こえちゃって、僕のキャラだけモゴモゴ言ってるから、殴ってやりたくなりましたよ。

菅原そうたさん:そんなことない! 『Peeping Life』のファンが「キターーーー!」って思うわけですよ。ホントのホントはオタクくんとか中学生のキャラとか登場してほしかったんだけど、そうなると大人的ないろいろな問題があるかもしれないからね。

森りょういちさん:もしも次なにかあるとしたら、もっと上手くやりたいなぁと思います。

菅原そうたさん:よろしくお願いします! 森さん自身が、キャラをいくつも持ってるじゃないですか? 森さんはイケメンのリア充っぽい雰囲気なのに、オタクの演技をさせたら心理描写がすごい。森さんのなかにオタクが内在してるんですよね?

――失礼ですが、森さんはオタクですか?

森りょういちさん:僕はいわゆる「オタク」ではないと思いますね。オタクを見るのが好きな人間なんです。『電車男』とか、あの時代の秋葉原のオタクが好きなんです。いまあの街はオシャレな人が多いじゃないですか? 昔のコアでオシャレじゃない秋葉原が好きなんです。

菅原そうたさん:いまのオタクって、オタクであることに誇りを持ってるんですよ。

森りょういちさん:誇りなんて持っちゃダメ!

一同:(爆笑)

森りょういちさん:チョーカーとか細身のスタイルとかダメ! お母さんが買ってきたシューズ以外は履いちゃダメ!! だからね、僕は当時のオタクの普及活動をしたいんですよね(笑)。

 
■ 映画の「ディアステージ」のシーンは、グーグルストリートビューと同じ技術を使用!?

――秋葉原にあるでんぱ組.incの故郷とも言えるライブスペース「ディアステージ」が登場しましたが、あのCGは実際に取材に行って作ったのですか?

菅原そうたさん:グーグルストリートビューの360度撮影できるカメラみたいなヤツを買ったんです。それを持って行って撮影しました。そして、その写真をアニメっぽく加工して球体に貼り付けて店内を再現したんです。

――あのカウンターとか小物はポリゴンではないんですか?

菅原そうたさん:あれはすべて絵です。あれを3Dで作るとゲロが出るほどたいへんだから、写真を元に作ったアニメテイストの絵です。1枚の絵で何十分も持たせてます。これを言うと「なんだ画像かー」って思われちゃうかもしれないね(笑)。

森りょういちさん:へー、最新テクノロジーを使った絵だったんですね。

菅原そうたさん:あのカメラを使ってわざわざアニメテイストに書き出して背景に使用してるっていう人はなかなかいないと思います。

森りょういちさん:一般のMMDerの人たちも巻き込んでますしね(笑)。だいぶ21世紀的だと思います。

菅原そうたさん:MMDerの人たちって、テレビ業界の仕事をしてなくても360度の背景とか当たり前のように使いこなしてるんです。彼らMMDerたちがテレビ番組を作ったら、本当に今のテレビよりおもしろいモノができると思いますよ。

森りょういちさん:劇場版『gdgd妖精s』は、いま風に言うとオープンソースシネマってことですね。だとしたら、データとかを開放して一般の人にも映像を作ってもらいたい。

菅原そうたさん:もう僕は「オープンそうた」って名乗ろうかな?

一同:(笑)

■ 声優3人とでんぱ組.incのレコーディングは大盛り上がり!

――収録現場の雰囲気はいかがでしたか?

菅原そうたさん:超盛り上がってました。キャスト3人とでんぱ組.incが絡んでることで、信じられないくらいの化学反応が起こりました。しかもでんぱ組.incの方が『gdgd妖精s』を知っててくれたから、出番じゃないときにスタジオのサブで待ってるときに「あーっ、シルちゃんのギャグだ! 本物みれた!」って盛り上がってるんです。僕は3人の声優とでんぱ組.incの両方のファンだから、キャストを見てでんぱ組.incが喜んで、その喜ぶ姿を見て僕が喜ぶ。いい幸せなサイクルでした(笑)。本当はあの光景をファンのみなさんにお見せしたいんです。現場でも本当に視聴者と同じような「笑い」が起こってるから、プロデューサーに「ここも映像に撮って公開したらいいんじゃないですか?」って提案してるんですけどね……。「声優さんは声のお仕事で来てくれてるから、そういう勝手なことを言うな!」って怒られるんです。(笑)

一同:(爆笑)

――現場で怒られる監督ってのも珍しいですね(笑)。

菅原そうたさん:いつもいろんなことで怒られてます。近々ですごく怒られたのは「お願いだから声優さんの全身を3Dスキャンさせてくれ」って頼み込んだときです。3人の3Dデータで映像を作ったら、実写みたいな映像をいつでも作れるじゃないですか? 常に最高に可愛いカットを、好きなだけ撮影して映像を作れるから。

――さすが、ファンと言い切るだけあって、考えていることがすごいです(笑)。

菅原そうたさん:だって、なかなかこんな役者はいないですよ。ここまでキャラと声優さんの素の性格がピッタリなんて奇跡です。明坂さんはご自身のことを本当によくわかってて、1期の制作の時、本来はピクちゃん役としてオファーしていたのに「私はコロちゃんの役の方がいいと思います」って自分ではまり役を提案してくださったんです。そのおかげで、いまの『gdgd妖精s』のカタチになっているんです。あのやりとりがちょっとズレてたら、明坂さんはピクちゃんの担当になってて、いまでもずっとかわいこぶってなければいけなかったんだから!

森りょういちさん:それは苦行でしたよね(笑)。

一同:(爆笑)

菅原そうたさん:そして三森さんが一生懸命ツッコんだり頭のいいコトを言わなきゃいけなかったかもしれなかったんです。あ、語弊がないようにしなきゃ、それじゃウソになっちゃう(笑)。三森さんは頭はいいんですけど、頭のよさとかわいらしいユルさ、優しさは違うじゃないですか? その優しさがコロちゃんにあるとキレがなくなる。明坂さんも心の底には優しさがあるけど、表面はズバズバと鋭い刀を持っているから、やっぱりコロちゃん向きでしたよね。

――3人は2期が終わってから久しぶりに集合したのですか?

菅原そうたさん:2期が終わったのが去年で、映画の声を録ったのも去年中だったから、そんなに期間は開いてなかったです。半年ぶりくらいだったかな? だけど半年のブランクなんてぜんぜん気になりません。3人が集まってスタジオでしゃべったら、そのまま『gdgd妖精s』のキャラのまんまなんです。チューニングとか必要ナシ。ただ、1期目の三森さんは素でピクちゃんだったんですが、2期目でちょっと「かわいいピクちゃん」になってたと思う。これについてファンの方々はいろいろ思うところがあるかもしれないけど、これはバンドでもなんでもよくあることなんです。ほら、1曲目が売れると2曲目はお客さんの目を意識したセルフカバー自己模倣モードに入るとか(笑)。ファンのみなさんにはわかってほしいです。

――なるほど。1期と2期の違い、ファンの方々は劇場版の前にもう一度見なおしてみるのもおもしろそうですね!

菅原そうたさん:僕のなかでも1期目は1stアルバムみたいな感じ。でも、終わったあとにすぐ「2枚目を出せ」と言われて、最初に12曲(表現したかったCGアニメネタ)使っちゃったしなぁ~、でもなんとか作らなきゃいけないって思ったんです。それで無理やり真新しいCG表現ではないですが脚本面だけで練りこんであるタイムマシーンネタを相談して入れたりしました。1期目でパーティクル(炎、爆発などの映像処理)とかを意図的にネタと絡めてたくさん言わせて出しまくるしりとりとか、物理演算とか、やりたいことはやりつくしちゃったんです。なんでも新しいモノが新鮮ってのはあります。『ネットミラクルショッピング』のときもそうだったんですが、やはり1期目のほうがパンチはありますね。そういう意味では今回の映画はゼロから発信の刺激というよりも、安定のコンテンツになっていってるかもしれない。

――安定のコンテンツに育ったからこそ、より一般の方が多く見る劇場版なのですね!

菅原そうたさん:僕は「まさかこう来るとは思わなかったでしょ?」というノリが好きなんですが、それをやりすぎるとお客さんから「なんか変わっちゃった……」と言われてしまうんですね。『gdgd妖精s』は「まさか!」というのは1期目だけにしておいて、2期目以降は安定した戦い方にしなきゃいけないのかもしれない。でも、それだと「驚けない『gdgd妖精s』は『gdgd妖精s』じゃない!」と言われるかもしれない。なんにしても、回数を重ねるとハードルが高くなってきます。

■ 脚本・森りょういちさんの「映画のみどころ」は?

――それでは最後に、森さんから劇場版『gdgd妖精s』のみどころを教えてください。

森りょういちさん:『gdgd妖精s』なのに最後に泣かしにかかろうとか、ちょっといいハナシにしようとか、その過程がおもしろいですね。「監督~、いま持って行こうとしてる~」ってね(笑)。

菅原そうたさん:いやぁ~、だってそれ、森さんにも相談したじゃないですかー。

森りょういちさん:いや、いいんですよ(笑)。そこがちゃんと映画になってる。でも、なんだかんだ言っても最終的には「キャラクターがかわいいな」というところに落ち着いてます。

菅原そうたさん:たまにはマジメなこともしますよ(笑)。

森りょういちさん:そうそう(笑)。なので、この映画を見たら『gdgd妖精s』という作品を、より好きになるのかな? 映画の次はなにするんでしょうね? ミュージカルかなぁ~?(笑)。

菅原そうたさん:森さんはギャグセンスが良いからネタでおちょくられると心に刺さってキツいよぉ~(笑)。恥ずかしいなぁ。

森りょういちさん:あとは何度も言ってますが、未来的ですよね。『gdgd妖精s』は視聴者のコメントがあったほうが盛り上がるというのをおっしゃってましたけど、日本人はアメリカ人みたいに騒ぎながら映画を見ない。笑いたいけど笑えない感覚が、またおもしろいのかもしれませんね。

菅原そうたさん:画面にコメントは出ないけど、ツイッターでつぶやいてほしいですね。あと、見てないのに映画館にいるフリをしてる人も出てきてほしいですね。家にいるくせに「映画館なう、ちょーおもしれぇ~」って(笑)。

一同:(笑)

森りょういちさん:今回は初めての映画だったけど、もし第二弾の映画があるとしたら、もっと未来的にしたらいいんじゃないですか? みんなに映画館にパソコンを持ってきてもらって、映画を見ながらコメントを打ち込めるイベントをやる。

菅原そうたさん:そうそう。映画館にニコ動の映像をプロジェクターで映し出すのもいいね。でも低解像度のネット圧縮動画だから画質が悪い!(笑)

森りょういちさん:それ、誰かお客さんのPCの画面?(笑)

菅原そうたさん:なんか知らないけど、ところどころのコメントが四角く囲ってあるの。「コイツは誰だ?」って。

森りょういちさん:いま冗談で話してますけど、十分そんな時代が来てると思うんです。10年前から考えたら、劇場版『gdgd妖精s』は事件ですよね。それが魅力! 菅原そうたさんは未来の可能性を切り開いてるパイオニアなんです。

菅原そうたさん:そう! この映画を見たら、歴史が変わる証人になれる!

森りょういちさん:「商人」も出てきますからね。

菅原そうたさん:あ、だから「商人」だったんだ。いまわかった(笑)。

森りょういちさん:全部ゼーレのシナリオどおりなってます(笑)。

 
■ 菅原そうた監督の「みどころ」

――それでは菅原そうた監督も、最後に「みどころ」をお願いします。

菅原そうたさん:いっぱいありますよ(笑)。普通の映画だったらひとつだろうけど、『gdgd妖精s』は語ったらきりがなく、とても多面的です。長編ストーリーとアドリブシーンがうまくつながる多重構造の面、トロッコシーンなどの焦りをプラスした実験的なアドリブ収録の面、CGやMMDの表現実験の面、各々エキスパートである制作スタッフが結集しその熱量の高さという面と、勿論キャストの力量の面が挙げられます。
「3人のアドリブ感」は、いつまでも変わらない。ずーっと見ていたくなるし、なんだったら毎日どこかで見たい。ただ、作る手数と予算がない……。本当は毎日でも作りたいんですよ?

森りょういちさん:そうたさん? いまは「みどころ」を語るんですよ?(笑)

一同:(笑)

菅原そうたさん:あ、そっか(笑)。あとは3人のアドリブですね。アドリブなのか脚本なのか、微妙な感じが楽しいです。アドリブだけだとぐだぐだになるし、脚本だけだと硬くなる。そのうまい塩梅のやりとり。あと、なんといっても「萌え」のなかに森さんのテイストが!

森りょういちさん:わざわざ僕を入れなくていいですよ!(笑)

菅原そうたさん:あと、同時上映の『なりヒロwww』ですね。本当はチカラを入れたかったんですけど、『gdgd妖精s』の作業が押しすぎて映像を作るのが1日しか取れなかったんです(笑)。『gdgd妖精s』は半年以上かけてるんです。『なりヒロwww』は1日しかかけてない。マジでゲロ吐きながらオレが一日で作りましたからね(笑)。

 
■ 怖いものなしの『gdgd妖精s』無双、そして、みどころ……。

菅原そうたさん:本当は僕ね、「映画泥棒」のシーンをいじりたかったんですよね。

――それは映画本編が上映される前に流れる、あの映像のことですか? あれをいじっていいんですか?(笑)

菅原そうたさん:いじっちゃダメみたいですね。

一同:(爆笑)

菅原そうたさん:あのキャラにCGを合成してみたいんですよね。「犯罪です」って言ってる後ろに、なにかチラチラCGで合成したやつが(笑)。でも、映画泥棒さんは偉いよなぁ、彼らがいるから「映画をアップロードしたら犯罪なんだ」ってことが認知されて、Youtubeに映画がアップロードされない。オレたちを守ってくれてるんです。音楽業界はあの門番がいなかったから買ったCDをアップしても犯罪っぽくない雰囲気もあって、こんなにCDが売れない時代になってしまったと個人的には思っていて。

森りょういちさん:いま、いじろうって言ってたじゃないですか(笑)。いま、映画監督のコメントじゃなくなってますよ(笑)。

菅原そうたさん:あぁ、みどころを聞かれてるんだったね。えーと、でんぱ組.incと『gdgd妖精s』と、『Peeping Life』と……。ぶっちゃけ、インターネットのいまの社会だからこそできた、本来はくっつくことはまずありえなかったキワモノ界隈の点と点のコンテンツがくっついて、ネットのミックスジュースみたいなカルチャー。それが映画になっちゃった。そんな、普通まとまるはずのなかったものが映画になってしまった。という作品です(笑)。


 
【DATA】

劇場版『gdgd妖精s っていう映画はどうかな…?』
2014年9月27日(土)より、角川シネマ新宿他全国11劇場で公開中!

<CAST>
ピクピク(サラサラ):三森すずこ
シルシル(ファファ):水原薫
コロコロ(クルクル):明坂聡美
魔女:森夏姫
王様:野沢聡
鎧犬/商人:宮本崇弘
王子:森りょういち

■でんぱ組.inc:古川未鈴/相沢梨紗/夢眠ねむ/成瀬瑛美/最上もが/藤咲彩音

<STAFF>
企画:別所敬司/福原和晃/古川陽子/尾山仁康/岩崎拓矢
原案・監督・キャラクターデザイン:菅原そうた
脚本:森りょういち/長部一幸
音響監督:久保宗一郎
録音:今泉武
音響制作:東北新社
音響効果:徳永義明
プロデューサー:別所敬司/福原和晃/鎗水善史/北澤晋一郎/高瀬裕章
制作:ストロベリー・ミーツ ピクチュアズ/ファンカンパニー
制作協力:6次元アニメーション
製作:ストロベリー・ミーツ ピクチュアズ/ファンカンパニー/ポニーキャニオン/TOKYO MX/MEME TOKYO
配給:ポニーキャニオン

>>劇場版公式サイト

●同時上映

『こんな私たちがなりゆきでヒロインになった結果www』
(※略して『なりヒロwww』)

<CAST>
梵(そよぎ)ソクラ:田村睦心
梵プラト:巽悠衣子
梵アリス:内田真礼
キャッツォ統括:西村太佑
DT:落合弘治

<STAFF>
原案・監督・キャラクターデザイン:菅原そうた
脚本:ますもとたくや
制作:ストロベリー・ミーツ ピクチュアズ/ファンカンパニー

「なりヒロwww」テレビアニメ放送開始中!
10月6日(月)25:05~ TOKYO MXで初回放送開始!
10月10日(金)22:45~AT-Xで初回放送開始!
10月8日(水)15時~ニコニコ動画で公開(毎週水曜更新)
10月8日(水)12時~ドコモアニメストアで公開(毎週水曜更新)

>>アニメ公式サイト

(C)2014 劇場版「gdgd妖精s」製作委員会
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