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映画『リトルプリンス 星の王子さまと私』のCG表現とは!?

ガンダム世代の日本人クリエイターが『ラプンツェル』の次に挑むのは世界的な名作! ディズニー出身の四角英孝さんが語る映画『リトルプリンス 星の王子さまと私』のCG表現とは!?

『塔の上のラプンツェル』や『シュガー・ラッシュ』などディズニーの人気映画にも携わった日本人クリエイター・四角英孝さんがCGキャラクター監修を務める『リトルプリンス 星の王子さまと私』。『星の王子さま』の世界観を表現するために気を使ったことや、どこか冷たさを感じるCGキャラクターに温かみを与えるための苦労などを、ご本人の口から直接語ってもらった。

▲映画『リトルプリンス 星の王子さまと私』CGキャラクター監修・四角英孝さん

▲映画『リトルプリンス 星の王子さまと私』CGキャラクター監修・四角英孝さん

 

■ 映画『リトルプリンス』のキーマンは、『ガンダム』好きで『カリ城』好き

――オファーの流れはどのように来たのでしょうか?

四角:以前は、ディズニーで『塔の上のラプンツェル』や『シュガー・ラッシュ』を担当していました。『塔の上のラプンツェル』は、かなりチャレンジでもあったので、また何か新しいチャレンジをしたいと考えていたんです。そんな時に、フランスの友人から“『カンフー・パンダ』のマーク・オズボーン監督の大きなタイトルが控えているよ”という話を持ってきてくれたんです。友人の伝手で監督から直接連絡を頂き、彼のオフィスでアイデアを聞くことになったんですが、それがサン=テグジュペリの名作『星の王子さま』の映画化だと知って、かなり驚いたのを覚えています。

――キャラクター監修とはどのような仕事をするのでしょう?

四角:アニメーションにおける現場監督のような仕事です。3Dのコンピューターグラフィックスが2Dの手書きアニメーションと違うのは、アートとテクノロジーの融合という点なんです。アートだけだと、デザインが良いのにコンピューターで仕上げた時にその魅力が損なわれてしまうということが起こり得るんです。3Dアニメは、アートとテクノロジーが共存している関係なので、僕の仕事はその橋渡しを円滑に進めるための役職と言えます。監督の考えているイメージとアートディレクターのイメージなどをCGに起こしていく段階で、各部署が完璧な仕事をこなすための環境作りをしています。

――『星の王子さま』の映画化に対するプレッシャーは大きかったですか?

四角:それはもう(笑)。最初はとてもCGに出来るようなものではないと考えていたんですが、監督が今回の映画化にかける熱意の詰まったアイデアを語ってくれたんです。この映画はディズニーアニメのようなミュージカルでもないし、以前監督が撮った『カンフー・パンダ』のようなアクションでもない。原作小説のストーリーから読者たちがさまざまな気持ちを感じたように、それを踏襲し人にインスパイアを与える映画にしなければいけない。アクションがないので、キャラクターは目や口の動きなど微妙な表情の変化で感情を表現する必要があるわけです。それは僕がCGでやりたかったことと丁度重なっていたので、これは大きなチャレンジになると考えて、思い切ってディズニーを抜けて参加することになったんです。まぁ大きな理由のひとつに、撮影のためにパリに住めるというのもあったんですが(笑)。

――CGキャラクターを作り出すうえで、注意したことや拘ったことを教えてください。

四角:表情にはかなり注意をしました。その他には「ウォークサイクル」という、キャラクターが歩いたり走ったりしたときの動きにも気を使いました。動きで個性を出す手法は、ディズニーでも同じようなことをしているのですが、映画によってキャラクターの移動する姿には違いがあるんです。ウォークサイクルによってキャラクターがどのような性格なのかを表すこともできます。僕が過去に携わったラプンツェルなども彼女らしい走り方になっていたりします。ウォークサイクルの要素は『リトルプリンス 星の王子さまと私』の制作にも取り込みました。

――公開が決まり完成が見えてきたことでプレッシャーからは解放されましたか?

四角:そうです、一応制作でのプレッシャーからは解放されました。ただ、映画をご覧になったお客さんの反応は見られていないので、そこは緊張しています。当然いろいろと賛否両論はあると思うんです。70年間も愛され続けた本なので、そのイメージを壊したくない、そのままにしておいて欲しいという人は多いと思うんです。映画では本の内容をしっかりと守り、周りから話を進めています。“原作の内容には絶対に触れない”というのは良い判断だったんじゃないかと思ってます。

――マーク・オズボーン監督は宮崎駿さんの影響を受けているとおっしゃっていましたが、四角さんは日本のアニメや宮崎駿監督から吸収したことはありますか?

四角:アニメーション監督が宮崎監督の影響を受けているというのは、海外だと珍しいことではないんですよ。それくらいに日本のアニメは影響力が強いんです。僕が今までに関わってきた作品でも、指示出しの時に「宮崎監督テイストで」という発言があったりするくらい。アニメーション映画に関わるほとんどの人が宮崎監督の影響受けてると言えるかもしれません。

僕が宮崎監督の作品として最初に出会ったのは『未来少年コナン』の時です。その時は監督のことはあまり知らなかったのですが、その後『ルパン三世 カリオストロの城』で深く宮崎監督を意識し始めました。

僕の世代はアニメーションで育っているんですよ。『機動戦士ガンダム』も小学校低学年の頃にやっていて、ガンプラも集めていました。その後理系の方に進んで、大学でハードウェアを学びました。そんな時期に『トイ・ストーリー』を観て「コンピューターグラフィックスを勉強すれば映画に携われる」と感じたことが、今この業界にいることに繋がってます。

今でこそ3Dでアニメを作っていますが、キャラクターの目や口の細かい動きで感情を表現する方法は、小さいころから観てきた日本のアニメーションの繊細さから影響を受けているんだと思います。

――海外で話題になっている日本のアニメなどありますか?

四角:『進撃の巨人』などは、海外でも有名です。『シドニアの騎士』は、最近人気が出てきている作品だと思います。仕事柄3Dを使ったアニメに目が行きがちで、手書きのアニメをあまり詳しくないんです。ただ、海外のアニメーションの業界で働いていることもあって、さまざまな国籍の方々から、おすすめの日本アニメを教えてもらうことも多いですね(笑)。

――最後に読者に向けてのメッセージをお願いします。

四角:この映画は手書きのアニメーションの手作り感や繊細さなどデリケートな日本のアニメのファンが持っている繊細さの琴線に触れる表現がしたいという目的で作りました。こちらからのメッセージをアニメイトTVの読者たちがどういう受け取り方をしてくれるのかが気になります。CGという媒体なのでおそらくいろんな批判もあると思いますが、心を開いて見てください。もしかしたら日本でやっている手書きのアニメとCGが融合できる日が来るかもしれません。まだCGのアニメが生まれて20年しかたってない新しい分野なので、暖かく見守ってほしいなと思ってます。

本当に最初から最後までおバカな映画ですが、うがった見方をすればこんな映画が作れる世の中って、素晴らしいと思いませんか? 是非、劇場に足を運んで、みんなでおバカになってください。

──ありがとうございました。


<作品情報>

11月<2D/3D>全国ロードショー!

11月<2D/3D>全国ロードショー!

「星の王子さま」―――それは、世界で最も愛されている一冊の本。
砂漠に不時着した青年飛行士が、ちいさな星からやって来たちいさな王子に出会うこの物-語は、世界中で270以上の言語・方言に訳され、翻訳の多さでは聖書に次ぐ世界的なベ-ストセラーとなり、その数は今なお増え続けています。
物語が誕生してから70年以上の時を経た今、この愛すべき物語は、史上初の長編アニメ-ーション映画となりました。

王子さまに出会ったあの飛行士がもし生きていたら?残された人生で、王子さまの物語を-誰かと分かち合いたい、そしてもう一度、王子さまに出会いたいと願っているとしたら?-飛行士の前に現れたのは、9歳の女の子。もうひとつの「かけがえのない物語」が、いま-始まろうとしています。

 
>>映画『リトルプリンス 星の王子さまと私』公式サイト

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