声優
来年のサクラ大戦20周年に向けて、きっとこの夢のつづきを!

来年のサクラ大戦20周年に向けて、きっとこの夢のつづきを! 「横山智佐のサクラ大戦・ハロウィンの新宿にさくら見参」ライブレポート

 1996年にセガサターン用ソフトとして発売された『サクラ大戦』。メディアミックス作品の先駆けとして、ゲーム、コミック、ドラマCD、OVA、テレビシリーズ、劇場版ほか様々なジャンルで展開し、とりわけ担当声優がキャラクターの衣装をまとって役を演じる『歌謡ショウ』は、アニメ・ゲーム作品の舞台化における伝説的な存在となった。

 来年はいよいよゲーム発売20周年ということで、記念イベントの開催にも期待がかかるところだが、現時点で具体的な予定はないという。ファンにとってはいささか残念だが、最もやきもきしているのは真宮寺さくら役・横山智佐さんかもしれない。2012年、2013年には自身の企画によるサクラライブ、通称「ちさくらライブ」を主催し、自らサクラシーンを盛り立ててきたが、20周年を来年に控えた今年はさらに強い使命感を持ち、去る10月30日、31日に東京・新宿FACEにて「横山智佐のサクラ大戦・ハロウィンの新宿にさくら見参」を開催した。

 そんな横山さんの熱意のもと、今回は神崎すみれ役の富沢美智恵さん、マリア・タチバナ役の高乃麗さん、李紅蘭役の渕崎ゆり子さんがゲスト参加。渕崎さんは『サクラ大戦 武道館ライブ2』以来4年ぶりに紅蘭の衣装を着てのステージということで、横山さんに感化されて帝都花組メンバーが次第に覚醒し始めているのを感じる。

 ゲストの出演は、初日の30日が富沢さん、31日の昼の部が高乃さん、夜の部が渕崎さんで、それぞれの持ち歌や横山さんとのデュエット、歌謡ショウの映像を観ながら裏話を暴露しまくったトークコーナーなどで大いに盛り上がった。横山さんも、3回の公演で歌謡ショウの初期の曲、中期の曲、後期の曲とテーマを分け、サクラソングの名曲揃いぶりを再認識させた。またハロウィンということもあって、コスプレで来場する観客も多く、歌謡ショウ華やかなりし頃の劇場の雰囲気が戻ったようだった。


■ 初日はすみれ様登場! さくら&すみれでパラパラや殺陣まで披露!

 3公演すべての幕開けともなる初日のオープニングナンバーは、大和撫子・真宮寺さくらのイメージそのものの曲「さくら」。たちまち場内がさくら色に染まり、続く「春が来る」で季節はハロウィンだというのに春の訪れを感じる。

 『歌謡ショウ』には、出演者はステージ上では徹頭徹尾キャラクターとして振る舞うという約束事があり、キャスト本人の言葉を語る機会をあえて封印してきた。今回はその縛りを緩め、キャラとキャストが両方の顔を覗かせる「ピンクゾーン」(白黒つけないグレーゾーンを、サクラ流に赤白つけないピンクにしたもの)で行くということで、当時の裏話も盛り込まれていく。

 初期のさくらの曲はキャラクターソング、歌謡ショウの劇中歌ともにミディアムバラードが多いが、4曲目の「いざ立ち上がれ」は歌謡ショウが独自路線を進み始めた第4回公演の劇中歌。完全にミュージカル仕立てで、酒場で女が男たちに奮起を促す曲になっている。曲を年代ごとに並べて聴くことで、歌謡ショウがどのように進化していったかも解かりやすい。この辺りは選曲した横山さんの狙い通りという感じだ。

▲「いざ立ち上がれ」では、それまでの清楚なさくらから一変、挑発的な表情で男たちに発破をかける酒場女シンシアとして歌う。シンシアの衣装がヘソ出しだったことも思い出深いとのこと

▲「いざ立ち上がれ」では、それまでの清楚なさくらから一変、挑発的な表情で男たちに発破をかける酒場女シンシアとして歌う。シンシアの衣装がヘソ出しだったことも思い出深いとのこと

 曲間の暴露トークも面白い。「口ずさむ歌」は第5回公演の劇中歌で、観客に一緒に口ずさんでほしいとの狙いが作り手側にはあったそうだ。ところが、さくらの父・真宮寺一馬役の故・野沢那智さんが歌謡ショウに初参加し、唯一の共演となった父娘のシーンがあまりに感動的だったため、歌のパートで観客が声を出すことを自重。結果、「口ずさんでもらえなかった歌」になったしまったとか。

 華やかなレビュウナンバーも『歌謡ショウ』の魅力のひとつ。本来は花組総出演+ダンサー隊で豪華絢爛に贈る曲だが、今回は横山さんのみで歌うため、観客にも「そこはイマジネーションで補う」ことが求められる。歌謡ショウに通った「サクラワールドの住人」であれば、曲を聴いた途端に当時の煌びやかなステージの記憶が甦り、横山さんの周りで歌い踊るほかの花組メンバーがきっと見えていたことだろう。

▲レビュウ独特の振りも懐かしい「花組レビュウ」。さらにメドレーで歴代のレビュウ曲を3曲並べ、聴き比べることができる貴重な機会に!

▲レビュウ独特の振りも懐かしい「花組レビュウ」。さらにメドレーで歴代のレビュウ曲を3曲並べ、聴き比べることができる貴重な機会に!

 続くゲストコーナーでは、初日ゲストの富沢美智恵さんが「これぞまさに神崎すみれ!」という代表曲「絶対運命のタンゴ」でステージを瞬く間にすみれ色に変える。ゲストとのデュエットコーナーも用意されており、選曲はすべてゲストに任されたそうだが、富沢さんが選んだのは「ユーロ 恋の発車オーライ!」。太正浪漫に溢れたサクラワールドに突如ユーロビートアレンジを持ち込み、当時のブームに乗ってパラパラを踊るという、飛び抜けて異彩を放つ1曲だ。

▲2001年の新春歌謡ショウで披露し、異様な盛り上がりを見せた「ユーロ 恋の発車オーライ!」が、14年ぶりに復活! 本来は3人で歌う曲であるため、3人目のパートを観客に振り、全員参加で「発車オーライ!」

▲2001年の新春歌謡ショウで披露し、異様な盛り上がりを見せた「ユーロ 恋の発車オーライ!」が、14年ぶりに復活! 本来は3人で歌う曲であるため、3人目のパートを観客に振り、全員参加で「発車オーライ!」

 懐かしの歌謡ショウの映像を観ながら思い出のシーンを語るコーナーでは、今回のためにDVDを観まくったという富沢さんが、立ち回りをテーマにチョイス。最初の花組特別公演「愛ゆえに」での、横山さんの生まれて初めての殺陣から、歌謡ショウファイナル公演「新・愛ゆえに」での伝説の100手の殺陣に至るまでを段階を追って観ていくと、成長ぶりも一目瞭然。横山さんも最初の「腰は据わっていないけれど、目は据わっていた」状態から、「今では人を斬るのが大好き」と語るまでに、殺陣には自信をつけたようだ。

 富沢さんが忘れられない演目として挙げた第3回花組特別公演「紅蜥蜴」では、劇中劇で紅蜥蜴が撃たれて階段から倒れるシーンを何十回と演じた結果、お尻が痣で紫色に腫れ上がってしまったという。「いま思えば、あのとき赤くなったお尻を私の勲章として、1枚でもいいから写真に収めておけばよかった」と富沢さんは笑いながら語ったが、各自がいかに体当たりで歌謡ショウに挑んでいたかが伺われる。

▲生で立ち回りも披露。劇中では有り得ないさくらとすみれの対決を、手合せという形で再現する。木刀と棒での攻防の後、「神崎風塵流・胡蝶の舞」と「破邪剣征・桜花放神」の両必殺技で決め!

▲生で立ち回りも披露。劇中では有り得ないさくらとすみれの対決を、手合せという形で再現する。木刀と棒での攻防の後、「神崎風塵流・胡蝶の舞」と「破邪剣征・桜花放神」の両必殺技で決め!

▲ゲストコーナーの最後は「なやましマンボ」。ステージと客席が「マンボ!」の掛け声で一体になれる、屈指の盛り上げ曲だ。しかも富沢さんがステージを駆け下りて観客席を巡りながら歌ったため、熱気も最高潮に!

▲ゲストコーナーの最後は「なやましマンボ」。ステージと客席が「マンボ!」の掛け声で一体になれる、屈指の盛り上げ曲だ。しかも富沢さんがステージを駆け下りて観客席を巡りながら歌ったため、熱気も最高潮に!

 ラストスパートはゲームやアニメのOP&ED主題歌ばかりという全曲鉄板ナンバー。そして来年大きな節目の年を迎える『サクラ大戦』への想いを横山さんが語る。

「今日こうして歌わせていただいているのは、私にとっては来年のサクラ大戦20周年に向けての小さな一歩だと思っています」

 横山さんの使命感に満ちた顔は、帝都を守る真宮寺さくらそのものだった。

▲今日のステージが終わっても、またきっと逢って夢のつづきを一緒に見ましょうという希望が残る、ラストに相応しい名曲「夢のつづき」。この夢のつづきは20周年に……?

▲今日のステージが終わっても、またきっと逢って夢のつづきを一緒に見ましょうという希望が残る、ラストに相応しい名曲「夢のつづき」。この夢のつづきは20周年に……?

▲イントロが流れれば当然のように観客が全員立ち上がって一緒に踊り出す、『サクラ大戦』の代表曲にして歌謡ショウ名物「ゲキテイ」。このノリは単なるステージを超え、もはやお祭りレベル

▲イントロが流れれば当然のように観客が全員立ち上がって一緒に踊り出す、『サクラ大戦』の代表曲にして歌謡ショウ名物「ゲキテイ」。このノリは単なるステージを超え、もはやお祭りレベル

▲アンコールラストでは、神崎すみれ引退記念公演の際の名曲「センタースポット」を横山さんと富沢さんでデュエット

▲アンコールラストでは、神崎すみれ引退記念公演の際の名曲「センタースポット」を横山さんと富沢さんでデュエット

 
 
■マリア&さくらで14年ぶりとなる大曲「すべては海へ」!

 2日目の昼の部公演は、ハロウィン当日だけにコスプレで来場する観客も多く、『サクラ大戦』総合プロデューサーの広井王子氏が来場してファンとの交流に努めたこともあって、開演前から場内の熱気が高まる。曲目もしっとりと始まった初日とはガラリと雰囲気を変え、「お祭りダンス」「隅田川」とお祭りナンバーでスタートダッシュをかける。

▲『サクラ大戦TV』挿入歌だった「花吹雪・白浪弁天」。曲中の弁天小僧桜之助のいなせな名乗りが見どころ!

▲『サクラ大戦TV』挿入歌だった「花吹雪・白浪弁天」。曲中の弁天小僧桜之助のいなせな名乗りが見どころ!

▲横山さんが「歌いたい曲メドレー」として並べたのは「赤ワニダンス」「トランプの裏表」「希望の星よ」。さくらはキャラ的になかなかイロモノ系の役が回ってこなかった分、赤ワニの着ぐるみでコーラス&ダンスに加わった「赤ワニダンス」は思い出深かったのだろう、ここぞとばかりのハイテンションで歌い踊った

▲横山さんが「歌いたい曲メドレー」として並べたのは「赤ワニダンス」「トランプの裏表」「希望の星よ」。さくらはキャラ的になかなかイロモノ系の役が回ってこなかった分、赤ワニの着ぐるみでコーラス&ダンスに加わった「赤ワニダンス」は思い出深かったのだろう、ここぞとばかりのハイテンションで歌い踊った

 この回のゲストは、横山さん主催の「ちさくらライブ」ではおなじみ、高乃麗さん。高乃さんが演じるマリア・タチバナといえば、帝国歌劇団・花組男役のトップスタアとして二枚目役を一手に引き受けてきたが、その凛々しさと色気はいまだ健在。華麗なステップや佇まいひとつ取っても、手放しでカッコイイというのがさすがトップスタア!

▲「センチメンタルな…」では、軽やかなステップと僅かな手の動きだけで、この上なくダンディに魅せる。タカラヅカの男役的なかっこよさというのは、ただもう惚れ惚れするばかり

▲「センチメンタルな…」では、軽やかなステップと僅かな手の動きだけで、この上なくダンディに魅せる。タカラヅカの男役的なかっこよさというのは、ただもう惚れ惚れするばかり

▲ダンサーを従え、みんなでチャールストンを踊りながら「イッツ ショウ タイム」。初日の公演でも歌ったが、やはり大勢のほうが楽しい

▲ダンサーを従え、みんなでチャールストンを踊りながら「イッツ ショウ タイム」。初日の公演でも歌ったが、やはり大勢のほうが楽しい

 サクラのデュエット曲の中でもマリア&さくらの曲は多いが、劇中劇のクライマックス曲はドラマと密接に関わっており、曲だけ抜き出して歌うとせっかくの雰囲気を壊しかねないということで、歌謡ショウ以来歌われたことのないものもある。

 第5回公演「海神別荘」のクライマックス曲「すべては海へ」はその代表格だが、今回のライブで14年ぶりに披露。たとえ衣装や舞台の規模は違っても、曲が放つオーラは相変わらず圧倒的で、歌い終えた後の拍手の大きさは3公演通して随一となった。

▲海神の公子に、人柱として捧げられた美女。公子は美女を愛するも、美女は蛇と化してしまった身を呪い、公子を恨む。ついに公子は美女を斬り捨てようと剣を抜くが、美女は公子の剣に貫かれることで、初めて愛に応えようとする。サクラ大戦歌謡ショウの集大成ともいわれる名曲「すべては海へ」を、着物や太刀などの小道具も使って再現

▲海神の公子に、人柱として捧げられた美女。公子は美女を愛するも、美女は蛇と化してしまった身を呪い、公子を恨む。ついに公子は美女を斬り捨てようと剣を抜くが、美女は公子の剣に貫かれることで、初めて愛に応えようとする。サクラ大戦歌謡ショウの集大成ともいわれる名曲「すべては海へ」を、着物や太刀などの小道具も使って再現

 映像を観ながら思い出のシーンを語るコーナーで高乃さんが選んだのは、第1回歌謡ショウの幕開け曲として歌った「檄!帝国華撃団」。衣装は全員戦闘服で、アイリスの衣装がオレンジ色だったり、キャラクターデザイン画に忠実にしようとするあまり髪型が不自然だったりと、次々と気になったところを挙げていく。中でも振付の違いが大きく、サビのところで手を前に突き出し、横に持っていって下ろすだけの振りしかついていない。今となっては淡泊すぎるが、当時はそれでも混乱したという逸話が明かされた。

▲アンコールラストの「ストーンモンキー」ではEXILE風ダンスも!

▲アンコールラストの「ストーンモンキー」ではEXILE風ダンスも!

 
 
■ 最後は久々登場の紅蘭と一緒に!

 2日目の夜の部公演は今回のラストということで、選曲も後期の歌謡ショウを中心にしているため、成熟した曲が多い印象だった。圧巻は3曲目の「野生の雄叫び」で、ケチャとアフリカンミュージックを合わせたような旋律に様々な民族楽器が加わり、獣たちの歌声を表した曲は、アニメソングやゲームミュージックの範疇を明らかに逸脱し、ミュージカル曲としても最上級のレベルに達している。

▲「新宝島」劇中劇での横山さん(さくら)の役は、ジャングルの王・タイガーチェリー。「野生の雄叫び」では、密林の王の威厳を漂わせる

▲「新宝島」劇中劇での横山さん(さくら)の役は、ジャングルの王・タイガーチェリー。「野生の雄叫び」では、密林の王の威厳を漂わせる

▲ファイナル公演から、とびきり明るいダンスナンバー「あなたが楽しければ」。ノンストップで踊りながら歌う姿は、歌謡ショウの10年間で鍛えられた証だ。横山さん曰く、2年ぶりの本格的なステージとなった今回は「リハビリライブ」とのことだが、これだけ歌い踊る姿を見れば完全復活と言っていいだろう

▲ファイナル公演から、とびきり明るいダンスナンバー「あなたが楽しければ」。ノンストップで踊りながら歌う姿は、歌謡ショウの10年間で鍛えられた証だ。横山さん曰く、2年ぶりの本格的なステージとなった今回は「リハビリライブ」とのことだが、これだけ歌い踊る姿を見れば完全復活と言っていいだろう

▲こちらもファイナル公演から、涙を誘うこと必至の名曲「さくら咲いた」。さくらの周りを舞い落ちる桜の花びらが見えるよう……

▲こちらもファイナル公演から、涙を誘うこと必至の名曲「さくら咲いた」。さくらの周りを舞い落ちる桜の花びらが見えるよう……

▲今回のライブでは毎回レビュウナンバーを歌っているが、この回はスーパー歌謡ショウ「新西遊記」より「ユンフォア」が歌われた。中華風メロディでレビュウ曲を作ってしまう辺りがサクラの引き出しの多さ

▲今回のライブでは毎回レビュウナンバーを歌っているが、この回はスーパー歌謡ショウ「新西遊記」より「ユンフォア」が歌われた。中華風メロディでレビュウ曲を作ってしまう辺りがサクラの引き出しの多さ

 最後のゲストは、人前で歌を歌うこと自体が4年ぶりということで、相当気合いを入れてライブに臨んだと語る渕崎ゆり子さん。今回は「最も李紅蘭らしい曲」というテーマで選曲をしたそうで、最初のキャラクターソングである「東京的休日」、発明家としてのポリシーを歌った「ひらめきの歌」など、まさしく「ザ・紅蘭」な曲を並べる。

▲歌も踊りも完璧に仕上げ、4年のブランクを一切感じさせない「東京的休日」。渕崎さんの生真面目さが伺える

▲歌も踊りも完璧に仕上げ、4年のブランクを一切感じさせない「東京的休日」。渕崎さんの生真面目さが伺える

▲さくら&紅蘭で歌った『サクラ大戦TV』挿入歌「下町ラプソディ」を久々に披露。新春歌謡ショウで、傘を持って歌ったことも思い出深いという

▲さくら&紅蘭で歌った『サクラ大戦TV』挿入歌「下町ラプソディ」を久々に披露。新春歌謡ショウで、傘を持って歌ったことも思い出深いという

 思い出を語るコーナーでは、歌謡ショウでやって来たことをわかりやすく紹介するという趣旨で渕崎さんが選んだ映像が流れる。振付で要求されるレベルが年々グレードアップしていった結果、最後はタップダンスまでやることになった「イッツ ショウ タイム」。新春公演での、コテコテにボケまくるカンナにマリアが銃を突きつけてツッコむお約束に横山さんが「芸人だよね(笑)」。渕崎さんが劇中劇の主役を務め、「私の宝物です」と語った「新宝島」。

 その「新宝島」の立ち回りシーンで見せた、横山さんの壁宙返り。そして最後に「我々といえばこれだよね」と渕崎さんが語る、三分間ショッピングの映像も。これは歌謡ショウの第1幕と第2幕の間の休憩時間に、さくらと紅蘭のコンビでライブグッズを販促する名物コーナーで、グッズの売れ行きによって日替わりで内容が変わるのが大変だったことや、思い出のグッズなどについて語られた。

 横山さんは物が捨てられない性分であるため、すべてのグッズを残してあるという話からは思い出の大切さが伝わってきたが、数々のドリンク類も冷蔵庫に入ったままだと明かすと、渕崎さんはドン引き。10数年前の飲み物をどうするつもりか問い質す渕崎さんに、横山さんも困り顔で「もちろんもう飲まないですけど、処分のしようがないから。……ヤフオク?」とつぶやき、爆笑を巻き起こした。

▲ハロウィン帽にステッキ、マントの魔女っ娘衣装で「ひらめきの歌」

▲ハロウィン帽にステッキ、マントの魔女っ娘衣装で「ひらめきの歌」

▲すみれが引退し、花組7人で行うことになった「八犬伝」。仁の玉を持つ、まだ見ぬ兄弟を捜しに行くというラストから「未来の兄弟たちへ」につながるクライマックスの感動は、原作を超えたとの評価もあったほどの名作だが、その名曲を絶唱!

▲すみれが引退し、花組7人で行うことになった「八犬伝」。仁の玉を持つ、まだ見ぬ兄弟を捜しに行くというラストから「未来の兄弟たちへ」につながるクライマックスの感動は、原作を超えたとの評価もあったほどの名作だが、その名曲を絶唱!

▲初日の公演で客席を巡った富沢さんのサービス精神に感化され、最終公演の「夢のつづき」では客席をくまなく回って観客とハイタッチする大サービスぶりを見せた横山さん。「みなさまの笑顔を近くで見られたことが本当に嬉しかったです」

▲初日の公演で客席を巡った富沢さんのサービス精神に感化され、最終公演の「夢のつづき」では客席をくまなく回って観客とハイタッチする大サービスぶりを見せた横山さん。「みなさまの笑顔を近くで見られたことが本当に嬉しかったです」

 「19年前に発売されたゲームの『サクラ大戦』がものすごくヒットして、そのお礼の気持ちを何かでお返ししようという時に、『サクラ大戦』は乙女たちが戦う“部隊”と、歌劇団として舞い踊る“舞台”を掛け合わせたものだから、その舞台の部分をやろうじゃないかということで始まったのが歌謡ショウでした。初めてコスチュームをつけて、全員揃って上野精養軒で記者の方に向けて発表会をしたのですが、最初はお互いの姿を見合って『これは大丈夫なのか……』と小鳩のように震える気持ちでした。でもいざ記者のみなさまの前にずらっと並んだら、『おぉ~!』というようなどよめきが聞こえましたので、不安が一気に希望に変わった思い出があります。

 来年『サクラ大戦』は20周年を迎えます。今のところ何も企画されていないじゃないかと不安に思っているファンの方、大勢いらっしゃると思います。私もそんな1人です。せっかく10年、20年と積み上げてきて、こんなに大勢のサクラワールドの住人のみなさんが19年経ってもこうして集まってくださいます。このつながりを大事にしていきたい。私は『夢のつづき』という言葉が大好きなので、この言葉を信じて20周年公演……ライブなのかイベントなのかはわかりませんが、つなげていきたいと思います。そのためには、みなさまの応援が不可欠です。どうぞみなさまも、この夢のつづきを信じていてください! よろしくお願いします!」

 回転が速いアニメ・ゲーム界の中で、20年近く人気を保ち続けるのは並大抵ではない。しかも20年といえば、半生あるいは人生のほとんどともいえる時間で、その間ずっと追い続けている作品があるならば、それに関わること自体がライフワークと言っていい。

 横山智佐さんにとって『サクラ大戦』は紛れもなくライフワーク。会場に駆けつけた観客も同様であろう。同じ時代に、同じ夢を見ていた者たちが、もう一度大きな夢を見ようと立ち上がる。

 このライブは、歌を楽しむのはもちろんだが、サクラワールドがいまだに生きていることを確かめ、住人に決起を促す集会でもあったのかもしれない。舞台を応援する部隊となる。いかにも『サクラ大戦』らしい楽しみ方ではないか!

▲アンコールラストはサクラ初期の名曲中の名曲「つばさ」

▲アンコールラストはサクラ初期の名曲中の名曲「つばさ」

 
 

■ 終演直後のキャストコメント

富沢美智恵さん:今回ちーちゃんのライブにゲストでお招きいただいて、久しぶりにサクラの歌を歌わせてもらい、すごく感動しました。私なりに練習したのに、歌詞は間違えるわ、しくじってばかりでもう、くしゅん……って感じなんですけど、ファンのみなさんが変わらず温かい声援と拍手と笑顔で支えてくださり、改めてみなさんの優しさとかエネルギーを感じることができて、すごく嬉しかったですし、感謝しています。またみなさんとサクラワールドを共有できたら嬉しいなと思います。20周年はぜひ全員揃ってファンのみなさんと一緒に時間を過ごすことができたら、満開のサクラの花をまた咲かせられたらいいなという夢があります。

高乃麗さん:久しぶりにマリアに再会できたという気持ちでいっぱいです。やっぱり仲間との絆のことだったりとか、がんばってきた日々を思い出します。初日のステージでは、私の隣でうるうるしながら観ていた(桐島カンナ役・田中)真弓ちゃんの横顔を見て私もうるっと来たりとか、久しぶりにサクラワールドに浸れたのがとても嬉しかったです。この機会を作ってくれた智佐ちゃんにはとっても感謝しています。たくさんのお客様が忘れずに来てくださったのも、とても嬉しかったです。

渕崎ゆり子さん:幸せでした。私の1年は今日で終わってしまったんじゃないかと思うくらい、燃え尽きました。こうしていまだに『サクラ』の世界にいられて、夢を見させてもらえてハッピーでした。観に来てくださったみなさま、来られなかったけど応援してくださっているみなさま、本当にありがとうございます。これからもサクラワールドをどうぞ応援してください。

横山智佐さん:お客様からは『20周年を楽しみにしています』というメッセージをさっそくいただいております。こんなにも20周年を煽った責任が私にはありますから、しっかりと最後まで旗振り役を務めたいと思います。また20周年にサクラワールドの住人のみなさまとお会いできる機会を必ず設けますので、会いに来てください。



<セットリスト 10月30日>
M-1 さくら
M-2 春が来る
M-3 暁の戦士(第3回花組特別公演「紅蜥蜴」劇中歌)
M-4 いざ立ち上がれ(第4回花組特別公演「アラビアのバラ」劇中歌)
M-5 口ずさむ歌(五周年記念公演「海神別荘」劇中歌)
M-6 サンセットサマー(7年目 スーパー歌謡ショウ「新宝島」劇中歌)
M-7 花組レビュウ
M-8 イッツ ショウ タイム
   ~七色の虹(7年目 スーパー歌謡ショウ「新宝島」レビュウ曲)
   ~花のレビュウ(9年目 スーパー歌謡ショウ「新・青い鳥」レビュウ曲)
M-9 絶対運命のタンゴ
M-10 ユーロ 恋の発車オーライ!



<セットリスト 10月31日・昼の部>
M-1 お祭りダンス
M-2 隅田川(6年目 スーパー歌謡ショウ「新編 八犬伝」劇中歌)
M-3 夜の海月(五周年記念公演「海神別荘」劇中歌)
M-4 わたしはいま(8年目 スーパー歌謡ショウ「新西遊記」劇中歌)
M-5 花吹雪・白浪弁天
M-6 恋をしませう(9年目 スーパー歌謡ショウ「新・青い鳥」劇中歌)
M-7 花のように夢のように(6年目 スーパー歌謡ショウ「新編 八犬伝」レビュウ曲)
M-8 赤ワニダンス(7年目 スーパー歌謡ショウ「新宝島」劇中歌)
   ~トランプの裏表(7年目 スーパー歌謡ショウ「新宝島」劇中歌)
   ~希望の星よ(6年目 スーパー歌謡ショウ「新編 八犬伝」劇中歌)
M-9 センチメンタルな…
M-10 イッツ ショウ タイム



<セットリスト 10月31日・夜の部>
M-1 さくら前線
M-2 夜空の花
M-3 野生の雄叫び(7年目 スーパー歌謡ショウ「新宝島」劇中歌)
M-4 ブルーバード(9年目 スーパー歌謡ショウ「新・青い鳥」劇中歌)
M-5 あなたが楽しければ(10年目 歌謡ショウファイナル公演「新・愛ゆえに」劇中歌)
M-6 さくら咲いた(10年目 歌謡ショウファイナル公演「新・愛ゆえに」劇中歌)
M-7 ユンフォア(8年目 スーパー歌謡ショウ「新西遊記」レビュウ曲)
M-8 カモナ浅草(第3回花組特別公演「紅蜥蜴」劇中歌)
   ~モダンブギ(9年目 スーパー歌謡ショウ「新・青い鳥」劇中歌)
   ~天竺どこだ(8年目 スーパー歌謡ショウ「新西遊記」劇中歌)
M-9 東京的休日
M-10 旅の空へ




>>『ちさくら部』~横山智佐公式ファンクラブ Web Site~

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