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宮野真守さんが語る『新劇場版 頭文字D』最終章の魅力とは

声優・宮野真守さんが語る藤原拓海への想い、そして『新劇場版 頭文字D』最終章の魅力とは

 2016年2月6日(土)、ついに『頭文字D』ファン待望の三部作最終章『新劇場版 頭文字D Legend3 -夢現-』が公開! 物語は佳境、藤原拓海と高橋涼介のハチロク対FC3Sの対決を迎えます。熱い男の意地と冷静かつ大胆な駆け引きが繰り広げられるバトルは、フルスロットル全開の興奮を体感できること間違いなしです。

 新劇場版のキャスト陣にも注目が集まった本作ですが、中でも主人公・藤原拓海を演じた宮野真守さんには、読者のみなさんも期待が高まっていることでしょう。2014年から始まったこの新劇場版『頭文字D』。クライマックスまで走り抜けた宮野真守さんは本作へどのような思いを込めて参加されていたのでしょうか? その疑問に迫るべく、本稿では宮野さんへ行ったインタビューの模様をお伝えしていきます。ときに真剣に、ときに笑顔にお応えいただいた、とても宮野さんらしい姿をお楽しみください。

■ 「拓海の根性みたいなものが熱いですよね」

──今作で新劇場版「頭文字D」が完結となりますが、演じてみていかがでしたか。

藤原拓海役・宮野真守さん(以下、宮野):チーム一丸となって新劇場版として動き出した僕らのプロジェクトが、今回三部作の最終章という形でLegend3までやってきました。自分たちにしかできない表現を最大限に込められましたし、それが完成してみなさんにみてもらえるこの瞬間は、やっぱり幸せで嬉しいですね。


──「自分たちにしかできない表現」と言うと、特にこだわったところや思い出に残っていることはありますか?

宮野:音響監督さんやスタッフのみなさんたちとディスカッションしながら、拓海像を作っていったのがとても印象的でしたね。最初はどういう風にこの新劇場版『頭文字D』に向かっていくのかということをしっかりと話してキャラクターを作っていきました。Legend3に至る頃には、細かいことを言わなくても僕らの中でキャラクターたちが息づいて、それを示していけたと思います。


──三部作を通して、拓海の気持ちの変化が大きなポイントだったと思いますが、どういった気持ちで演じられたのでしょうか。

宮野:三部作通して見事にひとつの成長を遂げる流れになっているので、非常に見応えがあるなと僕自身も思って演じさせていただきました。彼自身がまだ知り得なかった自分を見付けていく過程はとても面白かったですね。それは若い高校生の時代だからこその気持ちの流れなんじゃないかなと思うんです。

自分の中にどんな感情があるのか、どんな情熱があるのか、まだ拓海もわからない状態。その“あるのにわからない状態”みたいなものが第1部で描かれていました。ストーリーが進むにつれて実は“自分の中に走ることへの情熱があったんだ”っていうことにどんどん気付いていって、第2部の中ではいろんな闘いを経ていきます。そして今回の第3部で「夢現」というタイトルにもなっていますが、拓海が夢を見付けるところまでいくんですよね。

そこの成長物語というのは、見ていて非常に気持ちが良いし、感情移入できる。思春期ならではの悩みだったりだとか、ぶつかっていくものだったりだとか、見付けていくものだったりとか、そういうものはやっぱり輝いているなって思いますね。

──今作では、高橋涼介との熱いバトルが大きな見どころだと思います。収録を終えての印象や感想などをお聞かせください。

宮野:物語で初めてだと思うんですけど、拓海が一瞬諦めかけるというか、そういうことを口にするシーンがあるんですよ。とんでもなく負けず嫌いな拓海が凄まじい力を目の当りにする。自分の限界ギリギリまでやってるのに“もしかしたら負けるかもしれない”と感じてしまったあの瞬間は、僕も非常に印象的でした。複雑な気持ちを抱きながら、負けたくないけど、どうしようもないものにぶち当たった拓海の姿が、今回は特徴だなと思って。

走ることにおいて初めてマイナスな言葉を口にするんですが、その後に決して折れるわけじゃなく、ちゃんと短い瞬間瞬間でも、自分の活路を見い出し、立ち向かっていく様っていうのがまたかっこよくて。ああいうところがやっぱり、惹かれるところなんじゃないかなと。強大なものにぶち当たることにより感じる気持ちは、やっぱり魅力的だなと思うので、楽しく見てもらえるんじゃないかなと思います。


──あそこで拓海が心折れずに踏ん張れたのは何があったのでしょう。

宮野:やっぱり“負けたくない”っていう思いのもと、一瞬ヤバイなと感じても、活路を見い出そうとする、その気持ちの強さだと思います。「あれ? 差が開かないぞ」ってなった時に、「もしかしたらいけるかもしれない」っていう思いを呼び起こす拓海の根性みたいなものが熱いですよね。あそこでポコンと折れてしまっていたら、たぶん最後に抜き返すことはできなかったと思うんです。


──スポーツものやロボットものに似た熱さを感じました。

宮野:ある意味、両方の要素を兼ね備えているじゃないですか。まさにコックピットなんで(笑)。自分じゃない身体を自分の身体のように操るみたいな、ロボットものっぽい要素もある。自由自在に車を扱う姿って、やっぱかっこいいじゃないですか。特に拓海のドラテク(ドライビングテクニック)が描かれているシーンなんかは、ガガってクラッチ踏んで瞬間的にギアを入れたり、すごい動きをしますよね。一瞬であんな動きができるんだっていうのを見せるあのカットが、めちゃくちゃかっこいいんです。


──迫真の演技とあのカットとの総合芸術ですごくかっこいいバトルになっていたんですね。

宮野:あの動き「すごい!」って思いますもんね。あの手の動きと足の動き。(足の動きを手で表現しながら)ダダッって(笑)。あれかっこいいですよね。

──バトル以外に注目して欲しいポイントはありますか?

宮野:今までのことが嘘かのようにデートシーンがたくさんあることです(笑)。


──気になっていたんですよ。そっちの男としての成長も描かれていたので(笑)。

宮野:そっちの成長も見事に遂げるんですよ。若干1時間の中でよくそんなに成長できるなっていうくらいランクアップするんですよ、彼は。にくい奴ですよね(笑)。

──そこの部分の成長は演じられていていかがでしたか。

宮野:あれは成長というか、まあ、茂木(CV内田真礼さん)がガンガンくるっていうのもあるんですけど(笑)。何気ない思春期のやり取りの中で、いろんなことを経験することによって得ていくもの、みたいなものですね。まあ、成長とも言えるのかな。その心の変化や感情の変化が、やっぱりあるなって思いますし。

拓海はボーッとはしてますけど、二人のやりとりが初々しいので、キュンキュンしちゃいますよ。でも、あそこを内田さんと演じるのは非常に恥ずかしくて、二人で赤面しながら、「なんかこれ、小っ恥ずかしいな」って言ってました(笑)。今まで本当にそういうシーンがなかったので急になんか恥ずかしくなって。突然のロマンスにちょっと対応しきれず赤面する、みたいな(笑)。しかも高校生だから初心なやりとりがね。ほっぺ赤らめちゃって。しかも、作画もかなり気合い入ってて!車の中のシーンになると、急に明かりが変わったり。なんかホワンていう、ロマンスな明かりに変わるんですよ。ドリーミーな感じになるんです(笑)。


──キスした後のカットも良かったですよね。

宮野:引きの画になって、外のカメラが見てるっていう(笑)。僕らはあれを窓ガラス越しに見てるんですよ。なんかあれはドキドキしますよね。


■ 「……安全運転で合流したいと思います!」


──この作品の中で、拓海以外に気に入っているキャラクターはいますか?

宮野:拓海の周りの仲間たちっていうのは、拓海にとって非常に重要な存在なので。拓海は、人のためにはものすごく怒るんですよね。自分の気持はなかなか気付かなかったくせに、友だちがけなされたときには激高して向かっていくっていうのが印象的で。なので、池谷先輩とか樹とかは、拓海にとってとても大事な存在ですよね。しかも、彼らが出てくるとほっとするというか、結構ストイックな物語なので、お笑いをしてくれるのはあの3人くらいかなっていう(笑)。

特に目立つ健二と樹と池谷先輩と…、あ!あと立花さん。彼らがストイックなストーリーの中でもほっこりさせてくれているなって、安心するんですよね。今回音楽もより印象的にそれぞれのシーンで変わっていくっていうのがあって、コミカルなシーンのコミカルな音楽が面白すぎるっていう(笑)。

──現場の雰囲気も和気あいあいと?

宮野:そうですね、楽しかったです。あのガソリンスタンドのシーンの「うぇー!?」って思わず大きな声を出してしまう池谷先輩とか、最高でした(笑)。

あと、僕が好きなのは、最後のお父さんとの会話。あの不器用な二人が、「親父言えよ」「いや、俺はなんでもねえよ」「行くわ」「おう」って会話があって、最後にちょっと照れ笑いする文太、みたいな。不器用な親子で似た者同士ですよね。ああいう何気ないやりとりを見ていると、親子の絆も深まっていて、自分が走ることを決めてからの親父の存在が、きっと拓海の中でちょっとずつ大きくなっていったんだと思いますよね。


──また平田公明さんの親父っぷりもかっこよかったですよね。

宮野:すごいかっこいいんですよ!そして面白い!ドリフト中に煙草吸っちゃうし、みたいな。「文太ぁぁぁ!」って立花さんが(つかまるポーズをしながら)こんなになりながら(笑)。ああいうシーンとかがね、楽しいですね。

──ところで宮野さんは、車はお好きなんですか?

宮野:僕は免許を持っていなかったんですよ。でも、このお話をいただいて、Legend3までに取りたいなと思って、取りに行きました。主人公がアクセル踏んだことがないっていうのはまずいと思って(笑)。AT限定で取ってしまったんで、さすがにクラッチは踏めなかったんですけどね。だから僕はギャギャッってできないんです(笑)。

でも、自分が運転できるようになってから、彼らがどれだけ超絶なことをしているのかがすごくわかって。全然自分の身体のようになんて動かないじゃないですか、車って。どれだけ教官に怒られたことか(笑)。拓海たちはそれをいとも簡単にやりますからね。「ああ、ものすごいことをやっていたんだな」と思えただけでも、すごく意味のあることだったと思うし、ハンドルを握る感覚だったりとか、スピードを感じる感覚っていうのは、やっぱりすごいなって単純に思って。プラス、気持ちよさみたいなのも共感できるようになっちゃいましたね。


──ラストシーンでネクストステージを見据える拓海が印象的だったのですが、宮野さんご自身には何か夢はありますか?

宮野:一人で高速道路に乗れるようになりたいです(笑)。誰かに「今合流できるよ!」って言ってもらわないと、ホント怖いんですよ。自分だけで合流できるようになりたいです。前に練習しに行ったんですけど、「今行ける!」「はい!」みたいな感じでした(笑)。なので、頑張って合流できるようになりたいなと思います(笑)。これから練習して僕もドラテクを、ガガッて決めながら。クラッチないけど、エアークラッチで(笑)。……安全運転で合流したいと思います!

──では最後に、作品をご覧になったみなさんにメッセージをお願いします。

宮野:新劇場版として走りだした今回の『頭文字D』は、三部作という形で製作してきました。今回Legend3まで走ってくることができて、自分たちの思いがひとつの終わりを見せるっていうのは感慨深いものがあります。ラストに向けて一丸となって、僕らのお芝居のチームワークもそうだし、映像や音響などでも新しいチャレンジをしながら、こだわって作ってきました。それらを総合して「僕らにしかできないもの」になっていると思います。

それを、ファンのみなさまに観ていただけるこの瞬間が本当に幸せです。でも、ひとつの終わりを見せると言ったんですけど、涼介が最後、「続くぞ!」みたいに持って行ったので(笑)、僕もその先を夢を見てしまいます…。ひとまず走り出した三部作はここで完結しましたが、Legend4を僕も夢見ていたいなと思っているので、今後とも応援よろしくお願いします!

■映画『新劇場版「頭文字D」Legend3-夢現-』

2016年2月6日(土)全国ロードショー

<イントロダクション>
そして、バトルの先にあるものは・・・?
秋名山の藤原拓海とハチロクは今やもっとも注目される走り屋となった。FDを駆る高橋啓介は、野性的な鋭い走りで拓海に挑んだ。怪物マシン・GT-Rを操る中里毅は圧倒的なパワーで拓海に迫り、EG6の庄司慎吾はガムテープデスマッチというデンジャラスな戦いを仕掛けハチロクをクラッシュ寸前まで追い込んだ。拓海は強敵との戦いを乗り越え、走り屋として覚醒し、自分の中に闘争心が芽生えるのを感じた。

『頭文字D』は平凡な高校生がひとりの男として成長する物語でもある。キャストはシリーズを通して、主人公藤原拓海を宮野真守。高橋涼介を小野大輔、高橋啓介を中村悠一、茂木なつきを内田真礼が演じ切る。拓海とハチロクのバトルは佳境を迎え、対するはFC3Sの高橋涼介。「赤城の白い彗星」と呼ばれる赤城最速の男だ。冷静沈着な理論派で、ハチロクの弱点を鋭く見抜く。ハチロク・拓海×涼介・FC3S。夢現の世界で、運命を決めるバトルの行方はいかに!?

<ストーリー>
「逃げる気はない」
拓海は、赤城最速の男・高橋涼介とのバトルを前にして、そう呟く。拓海の脳裏には高橋涼介の姿が広がっていた。
自分は走り屋ではないといい、家業の豆腐屋の手伝いで乗っていたハチロクには興味がなく、峠のバトルに熱意を示さなかった青年は自分のなかの変化に気付いていた。
一方、高橋涼介はFC3S の仕上げにかかっていた。彼の最終判断はマシンのスペックを下げること。340 馬力から260 馬力に下げ、パワーよりもトータルバランスを重視する。「屈辱だ」という涼介の口元からは笑みが消える。
秋名の峠を舞台に、ふたりの運命を決定づける伝説のバトルが始まろうとしていた。ひとりが勝ち、ひとりが負ける。どちらが勝つのも負けるのも見たくない。その場の誰もが不思議な気持ちを抱えていた。
公道に並んだハチロク、FC3S の間に涼介の弟、啓介が立つ。運命のカウントダウンが刻まれる。勝負の時は拓海の未来とともに、今、走りだす!!



<スタッフ>
原作:しげの秀一(講談社)
総監督:日高政光
監督:中智仁 
脚本:関島眞頼
キャラクターデザイン:羽田浩二
音楽:土橋安騎夫 
製作:新劇場版「頭文字D」Legend3-夢現-製作委員会
(講談社/エイベックス・ピクチャーズ/松竹/Sammy/ウルトラスーパーピクチャーズ)
制作プロダクション:サンジゲン×ライデンフィルム
配給:松竹

<キャスト>
藤原拓海:宮野真守
高橋涼介:小野大輔
高橋啓介:中村悠一
茂木なつき:内田真礼
武内樹:白石稔
中里毅:諏訪部順一
藤原文太:平田広明


>>映画『新劇場版「頭文字D」Legend3-夢現-』公式サイト

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