2016/3/21 17:30

ソニック役でお馴染み、金丸淳一さん声優30周年! オリジナルアルバム再販記念ロングインタビュー

 『サイバーフォーミュラ』の風見ハヤト役や、アクションゲーム『ソニックシリーズ』のソニック役などで人気の声優・金丸淳一さんが昨年、声優生活30周年を迎えました。爽やかな青年役から、ギャグ作品でのツッコミ役まで得意とする芸の広さ。そしてソニックのような英語と日本語を自由自在に使いこなして演じるスタイルは「お家芸」と呼ばれ、外画の吹き替えでも活躍されています。音楽活動も近年は声優ジャズライブを精力的に行い、ファンとの身近な交流を大切にするなど、ファン想いなところも魅力です。

 その金丸さんが声優30周年記念の一環として、1993年に発売したオリジナルアルバム『インスパイアード カラーズ inspired colors』を3月23日に再リリースすることになりました。ボーナストラックとして新たに2曲を追加しており、思い入れも大変強いものとなっています。これを機会に、金丸さんに声優生活30年を迎えてのお気持ちや、興味深いキャスティング秘話などを語っていただきました。声優をめざす人は、大先輩からの実践的なアドバイスも必見です!

▲金丸淳一(かねまるじゅんいち/10月27日生まれ。山梨県出身。血液型A型。81プロデュース所属。主な出演作は『新世紀GPXサイバーフォーミュラ』風見ハヤト役、『ママレード・ボーイ』須王銀太役、映画『ピューと吹く!ジャガー~いま、吹きにゆきます~』ピヨ彦役、ゲーム『ソニックシリーズ』ソニック・ザ・ヘッジホッグ役ほか。
▲金丸淳一(かねまるじゅんいち/10月27日生まれ。山梨県出身。血液型A型。81プロデュース所属。主な出演作は『新世紀GPXサイバーフォーミュラ』風見ハヤト役、『ママレード・ボーイ』須王銀太役、映画『ピューと吹く!ジャガー~いま、吹きにゆきます~』ピヨ彦役、ゲーム『ソニックシリーズ』ソニック・ザ・ヘッジホッグ役ほか。

 
 
■ 大学生でスカウトされ、初めての役名は日本一長い名前!?

――今年は声優生活31年目になるわけですか?

金丸淳一さん(以下、金丸):そうです。4月で31年目になります。


――デビュー作は『うる星やつら』なんですね。

金丸:僕は大学生のときにスカウトされてこの業界に入ったんですけど、入ってすぐにスタジオ見学に「おいで!」って呼ばれたのが『うる星やつら』だったんですよ。だけど、当時は映写機を使ってアフレコをしていたから、みなさんが暗い部屋でスゥ~ッと立ってマイクに向かう動きが異様でね。「これは無理!」と思って帰ろうと思ったら、「おい、そこの少年! 走っているアドリブを入れてくれないか?」って言われたんです。

予備知識も何もなかったので、僕はただ黙ってマイクの前で一所懸命マラソンの真似をしてたの。もう、どっと笑いが起こりましたよ。一番笑っていたのは田中真弓さんだったんですけどね(笑)。そうしたら神谷明さんがすぐに助け舟を出してくれて、「これは『ふっふっはっはっ!』てやればいいんだよ」って教えてくれたんです。それがすべてのきっかけでしたね。そして家に帰ってみたら、事務所から留守番電話に「次の新番組のオーディションを受けてみないか?」と入っていて、その1ヶ月後にはレギュラー4本になっていたんです。


――ものすごいスタートダッシュですね! 最初に役名がついたのも『うる星やつら』ですか?

金丸:スーパーデリシャスキッドというヒーローのキャラでした。


――おそらく、いまだに最も長い役名ではないですか? 正式名は「スーパーデリシャス遊星ゴールデンスペシャルリザーブゴージャスアフターケアーキッド28号」ですから。

金丸:すごぉい!! スーパーデリシャスキッドとしか憶えていなかったのに! 僕、『キャプテン翼』の劇場版で新田瞬というのをやらせてもらったときも、「ノートラップランニングボレー隼シュート」ってなんて長い技名だろうって(笑)。試合中にいちいち言ってたら、蹴る前にボール転がってっちゃうよ!(笑)


■ 緒方賢一さんとのギャグの応酬で鍛えられたツッコミ力

――声優生活30周年を振り返って、どのような心境ですか?

金丸:デビューしたのがついこの間のようでもあるし、長くやってきた実感はないんですよ。特にアニメなんて毎回が新鮮じゃないですか。だから瞬間瞬間でよく憶えています。でも、「あそこのスタジオはもうないんだな」とか、当時先輩だった方々が「もういらっしゃらないんだな」という形で、時の経過に気づかされることはありますね。


――30年前と現在では、声優を取り巻く状況も激変していると思います。1990年代に始まった「第3次声優ブーム」では、声優の活躍が多方面に広がり、中でも歌の活動はヒットチャートを賑わせたり、武道館のような大きな会場でライブが行われるなど飛躍的に拡大しました。金丸さんはブームが盛り上がっていく真っ只中にいらしたわけですが、当時の状況はどのようなものでしたか?

金丸:僕が風見ハヤト役で初主演した『新世紀GPXサイバーフォーミュラ』などは、毎月アルバムを出していました。初登場14位で、超人気アーティストより上位だったんですよ。歌に関しては、本当に『サイバー』のおかげで慣れさせていただいた感じでしたね。

僕がスカウトされた1980年代後半というのは、第2次声優ブームと第3次声優ブームの谷間だったんですよ。だからスカウトされたのかもしれない。今みたいな声優ブームの真っ只中だったら、声優志望の子もたくさんいるからスカウトされることなんてないと思うんです。


――30年の間には、何かのきっかけになる役との出会いや、様々な出来事があったと思いますが、思い出深い役などを教えてください。

金丸:『つるピカハゲ丸くん』という作品で、初めてたくさん喋る役をいただいたんです。お金持ちの息子の近藤くんという役で、ハゲ丸くんのお父さん役の緒方賢一さんとギャグの応酬があるんですけど、やすみ哲夫監督から「おふたりでよろしく」と言われたんですよ。

緒方さんに「ツッコミが甘い」とか言われたりして、最初の頃はスタジオに行くのがつらくなった時期もあったんです。でもそれを乗り越えてからは楽しくなりましたね。今までは「なになにしなければいけない」という“must”だった考え方が、「なになにをしたい」という“want”に変わったんです。

そこからギャグとかが好きになって、アドリブもできるようになったんですよ。テレビ局のイベントで各地を回るという経験もさせていただいて、そこで子供たちとの生のやりとりが上手く出来たのも、緒方さんとのやりとりがあったからじゃないかなと思っています。アフレコで「画面に合わせなきゃ!」ということだけに始終していたのが、「テレビの前のチビっ子に伝えなきゃダメなんだよ」という意識に変わっていった作品でしたね。

それからずいぶん経って、『セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん』でフーミンという役をやったんですけど、そのツッコミもたぶん『つるピカハゲ丸くん』で培われたのではないかと思います。「尺がこれくらいの間隔なら、これくらいはズバズバって言えるかな」とか、どんどんツッコミにもキレが出てきて。かたや『ママレード・ボーイ』の銀太役でトレンディドラマみたいなことをやっている反面で、ギャグアニメのような両極端の作品をやらせていただけたのはすごく嬉しかったですね。

野沢雅子さんには「来る役には絶対に理由があって、超えられないものはないのよ。それをあなたなりにお演りなさい」と教えていただいたんです。だから僕、すっごい悪役もやりました。『セイント・ビースト~光陰叙事詩天使譚~』という作品の大神ゼウスという役で、これが石田彰さんが演じるユダをいじめるんですよ(笑)。指示された通りにねちっこくいじめていたら、名前に同じ淳が付く音響監督の渡辺淳さんに「おい淳、それはやりすぎ」って(笑)。それも転機になりましたね。その役の後に『仮面ライダー電王』の怪人役をやらせてもらって、低い声の面白さに気づくこともあったりして、怖いものがなくなりました。


――ファンの方たちは、爽やか系のイメージだった金丸さんが悪役をやることに対しては、どんな反応だったのでしょうか?

金丸:僕はわりとキーが高いので、低いところを気に入っていただけたのは良かったですね。「ウソ、あの声がそうだったの!?」みたいに言っていただいたり。


――誰かわからなかったくらいに芝居を変えられたということですから、それはすごい評価ですね。

金丸:ソニック(セガのアクションゲーム『ソニックシリーズ』の主人公)の「今、こいつに何をした」というセリフをすごく低い声で言ったときに、みんなドキッとしたらしいです。最初、監督は「声が低すぎるかもしれない」と言ったんですけど、ユーザーの方々はそれが面白かったようですね。


■ 語学力を買われたソニック、そして英語がお家芸に!

――そしていよいよ『サイバーフォーミュラ』ですが、やはり風見ハヤト役で一気にファンが増えたり、活動も広がったのではないかと思います。

金丸:そうですね。元々『サイバー』はテープオーディションだったんですけど、安達忍さんが演るはずだったんですよ。ハヤトは14歳の役で、当時は男性が14歳の少年の声を演ることはあまりなかったらしいんですね。前番組の『魔神英雄伝ワタル』では、田中真弓さんが主人公を演られていて、その後の『サイバーフォーミュラ』も当然女性の声優さんが男の子の声を演るものだと思っていたら、テープ審査で僕に演らせてみたいとなったようで、最初はサンライズ内でもちょっと抵抗があったそうです。


――『サイバー』で思い出深かった出来事は?

金丸:『サイバーフォーミュラ』のバスツアーがあったんですよ。その少し前に、僕と冨永みーなさんと山口勝平くんで宮崎にバスツアーに行く企画があったんですけど、泊りがけのアニメイベントは目新しかったので、これを『サイバーフォーミュラ』でもやりたいと提案したら実現したんです。バス9台で浜名湖に行ったり猪苗代湖に行ったり秩父に行ったりと、ほとんど修学旅行の気分でした。速水奨さん、関俊彦くん、緑川光くん、置鮎龍太郎くん、しまいには福田監督まで一緒に来たりして、それが一番大きなイベントでしたね。

今みたいにモバイルが発達していないので、情報が漏れる心配もないですから、思い思いにロビーとかに集まって、明け方までアニメの話をしたりしたんです。未成年の方も多かったので、ひとつも事故が起こらなくて本当に良かったと思います。今ではもう無理でしょうね。


――『サイバー』以降の印象的な作品は?

金丸:『ママレード・ボーイ』ですね。東映アニメーションで初めて女性でプロデューサーになった関弘美さんという方が、けっこう戦って日曜朝のあの枠を取ったんですって。それまで少年アニメの枠だったのを、『ママレード・ボーイ』で女の子向けに替えて、今の『プリキュア』につなげていったんですね。

その関さんから「トレンディドラマのようにしてください」という注文があって、そこでまた新たな境地を拓くことができました。最初は小学生、中学生を対象にしていたはずなのに、いつしか高校生、大学生とか、サラリーマン、OLの方が観るようになっていましたね。「朝からキスシーンなんて」と、物言いをするPTAの方もいらしたようです。

あと『ママは小学4年生』というのも、「えっ、サンライズがこんなのやるの!?」とびっくりされた作品でしたね。『サイバー』もそうですけど、なぜかサンライズの実験的な作品には、いつもしれっと入れてもらっていたんですよ。僕はイタリアから来たマリオという男の子で、イタリア語も喋るみたいな役でした。


――そういう外人役も多いのでは?

金丸:英語を喋る役は多かったですね。外画で『愉快なシーバー家』という作品を演っていたときに、音響監督をされていた東北新社の木村絵理子さんという方に「淳ちゃん、英語喋れるんだよね。ちょっと喋ってみて」と言われたんです。実はそのとき控室に、ソニック役を探していたセガの方がいて、その場でソニック役に決まったような感じだったんですよ。

その頃は英語を喋る人というと、小林克也さんみたいな野太い声というイメージがまだまだ強かったんですって。そうではなく、アニメのテイストは崩さずに、少年っぽい声で英語と日本語を喋れる人はいないのかと探していたらしくて。それが今では僕のお家芸みたいに言われていて、さらなる新境地だったのかもしれません。

その後はディズニーの仕事がけっこう来るようになりましたね。アメリカの子供番組って、英語と、第二言語のスペイン語を喋るんですよ。それを日本で吹き替えるときには、英語を日本語に、スペイン語を英語に変換するんです。しかも外画のアニメには必ず歌があって、毎回新しい譜面を見ながら歌を歌うということをやっていました。その素地を作っていただいたのは、『サイバーフォーミュラ』で毎月歌っていた経験かもしれないですね。


■ 声優をめざす人への超実践的アドバイス!

――今や声優をめざす人は非常に多いわけですが、たとえば語学力をつけるというのは、声優の武器のひとつになりそうですね。

金丸:歌手とか役者さんって、耳がいい人が多いじゃないですか。僕もラジオでNHKの基礎英語を聴いてそのまま喋るみたいなことをしましたけれど、聴き上手になるのが一番、喋り上手になるのかなと思うんですね。


――たとえたどたどしくても、それが味になればOKなんですよね。女性声優さんで、少し舌足らずなところがかわいいみたいなのもありますし。

金丸:不完全性の中の魅力ですよね。


――30年続けてきて、役者というものに対する自分なりの考えは何かありますか?

金丸:あまり構えすぎないことかな。とある大先輩に「適当でいいんだよ、芝居なんて」と言われたのが、心に残っているんです。その適当というのは、適宜ということなんだろうなと思うんですけどね。

それと僕は映写機の世界で育ったから、鍛えられたのかもしれません。今のビデオ収録なら、セリフを間違えてもすぐに戻せるじゃないですか。でも映写機だと、また最初からリールを戻さなきゃいけないんですよ。あれを体験しているから、口から出てしまったものは取り返しがつかないという心持ちで、よほどトチったりした以外は自分から「すいません、もう1回お願いします」とかは言わないようにしています。


――失敗したときの、ごまかし方がテクニックになるみたいな?

金丸:そうですそうです!(笑) 今こう言っちゃったけど、こうすれば行けるかも、とか。そういう捻じ伏せるようなやり方は、大塚周夫さんがよくやっていましたね(笑)。間違えてもとりあえず最後までセリフを言うんですよ。滑舌とか間ばかり気にしていると、むしろ変になるので、多少滑ってもいいからニュアンスを伝えるほうがいいんです。

あと、吉田理保子さんからは「100%はやらないで、腹八分目くらいにして、あとはお客さんに味わってもらえばいい」と習いましたね。ギッチギチに作り込んでしまうと、入り込む余地がないんですよ。周夫さんも言っていました。「悪役も、悪の権化みたいにやってしまうと離れていくんだよ。遊園地のショーとかで子供が悪者を蹴飛ばすのは、人気があるってことなんだよ。本当に嫌いだったら寄ってこないよ、怖いから。悪をやるにしても、ツッコミどころがあるようなものが魅力があるんだ」って。


――『チキチキマシン猛レース』のブラック魔王なんて、まさに愛される悪役でしたからね。さて、声優をめざしている子たちに、何かアドバイスをお願いします。

金丸:いま流行っているものだけを追いかけない、ということですね。僕がいつも後輩たちに言っているのは、1960年代から90年代までのアニメをたくさん観たほうがいいよと。60年代後半の自分的なベストワンは何? 70年代にはどんなのがあった? みたいな感じでカテゴライズするんです。

ファッションにしても音楽にしても、サブカルチャーにはアーキタイプがあって、そこから派生していくじゃないですか。お芝居も、昔のものをちゃんと観てみて、今では使わない言い回しとかをちょこっと取り入れてみると、進化系になるんじゃないかなと思うんですよ。

ずばり言うなら、オーディションで選んでくれる審査員の方々は、お父さんお母さん世代じゃないですか。ならば、その年代の人たちが「嬉しい!」と思う話題をリサーチしておくんだよ、と(笑)。


■ アルバム『インスパイアード カラーズ』が新曲を加えて再販!

――歌の活動についても伺いたいのですが、やはり『サイバーフォーミュラ』がきっかけですか?

金丸:そうですね。キャラクターソングは『サイバー』からです。最初にキーを決めるから歌ってくれと言われたときには、ジャズを歌ったんですよ。


――元々ジャズは歌われていたのですか?

金丸:父親がアマチュアのジャズバンドをやっていて、母親も歌うことが好きだったので、洋楽レコードが家にたくさんあったことから自然とそうなりましたね。その後、声優がアルバムを出すブームに乗って、オリジナルアルバムの『インスパイアード カラーズ』を出すきっかけになったのは、僕が主役をやらせていただいたOVAの『超音戦士ボーグマン2』だったんです。

それまでポリスターから出ていた『サイバー』のアルバムでは、ハヤトのキャラソンで元気いっぱいな曲をずっと歌ってきたのですが、『ボーグマン2』で東芝EMIに来たときに、アーティストメインで仕事をされていた方々と巡り会ったんですよ。


――当時は声優のアルバムといえば、人気が出たキャラクターのイメージに寄せたものが多かったと思いますが、『インスパイアード カラーズ』はかなりアーティスト的な作り方ですね。

金丸:10年、20年経っても歌えるような曲を、というのをめざして作ったんですよ。アルバムでどんな曲を歌いたいかを聞かれたときに、「山下達郎さんとか大瀧詠一さんみたいな、スタンダードな曲がいいです」って言ったら、大瀧詠一さんの曲などをディレクションした青野光政さんというディレクターの方のスタジオに連れていってもらえたんです。

そこでの数々の出会いは本当にラッキーでした。「ラヴストーリーは突然に」を英語バージョンにした「suddenly(サドゥンリー)」の編曲は、MISIAの曲などを手掛けている松井寛さんだったりとか、「上を向いて歩こう」も小森田実さんという、SMAPの曲などを書いている方と一緒に歌ったりとか。

カバー曲と、自分で作詞作曲したオリジナル曲でアルバムを作りたい。そこに作家さんが作ってくださった曲も入るみたいなイメージだったんですね。そうしたら、ちゃんと作家さんと会わせてくれて、一緒に食事をしながら曲のイメージを伝えることもできたんですよ。

その当時、僕がいろんな声優学校にゲスト講師として呼ばれるようになり始めて、誰もいないスタジオの中で手を震わせながら台本を読んでいる子たちがいるという話をしたら、白峰美津子さんが「Voice-actor(ヴォイス・アクター)」という曲を書いてくださったんです。声優にしか歌えない曲を歌ってみたいなという希望もあったので、まさにぴったりな曲でしたね。

「12月のフェアリーテール」は僕が作ったんですけど、うちの両親ってクリスマスの頃に出会ったんですよ。それを洋画のようなタッチでクリスマスソングにしてみたいなと思ったんです。そして編曲の方も、大瀧詠一さんっぽい感じで作ってくださって。「通好みなアルバムになったね」とは当時言われました。


――10年、20年経っても歌える曲というのが、今回の再リリースで本当になりましたね。

金丸:あとはネットのおかげも大きいんですよ。ソニックで僕のことを知った人たちが、YouTubeやニコニコ動画で僕の曲を知って「ソニックが歌ってる!」と話題にしてくださり、「CD出ないんですか?」という問い合わせが増えたからこそ、再リリースにつながったのかなと思いますね。


――ボーナストラックとして新たに2曲追加する曲についてもお聞かせください。

金丸:僕は旅行が大好きで、いつも狭いスタジオで仕事をしていると、ひとりで海外に行きたくなったりするんです。特にインドネシアのバリ島が好きなんですよ。なんとなく『モスラ』のイメージがあって。「モスラの歌」の歌詞のヒントは、インドネシア語らしいですね。そのバリ島で昼間は農業や家の手伝いなどをしている人たちが、夜になるとミュージシャンやダンサーになる。そんな生活と芸術の共存にすごく惹かれて何度も行くようになったときに、歌を作りたいなと思ったんです。

中学生くらいの男の子と女の子が、手をつないで砂浜を走っていく姿が印象に残っていて、それで作ったのが「晩夏」なんですよ。アジアっぽい感じにして、あえてジャズのトリオ(ピアノ、ベース、ドラム)で歌ったんです。というのは、『インスパイアード カラーズ』の本体のほうがけっこう分厚い音にしているので、その対極として作ったんですよ。

もう1曲の「バードランドの子守歌」は、有名なジャズのスタンダードナンバーなんですけど、聴いてくださるアニメファンの方にもニュアンスを理解してもらいたいので、半分を英語、半分を日本語にしようと思ったんです。ところが、ハードルがすごく高くて。販売ルートに乗せるためには許諾が必要なんですけど、アメリカと日本に2つある版権元を説得しなくちゃいけない。僕が日本語に訳した歌詞をアメリカに送ったところ、「一語一句もれなく訳してください」と返答が来たんです。

中でも「朝もやの静寂(しじま)に」という和訳がすごく難しかったですね。「morning mist」は「朝もや」、「silence」は「静寂(しじま)」と訳したのですが、「静寂(せいじゃく)と静寂(しじま)の違いはなんですか?」とつっこまれたりして。何度も協議を重ねて、ようやくOKをいただいたときには「こんなきれいな詞に訳してくれて、ありがとうございました。この曲を歌として訳した日本人は、あなたが初めてです」と言っていただけたんですよ。日本人初なんていう経験も初めてでしたし、本当に嬉しかったです。


――最後に後輩たちへのメッセージをお願いします。

金丸:『インスパイアード カラーズ』のブックレットにも書いたのですが、「1秒前にも1秒後にもこだわらず、目の前に広がっている瞬間を100%生きる」というのが、一番いいのかなと思いますね。セリフで「間違えそうだな」と気にしていると、言えたと思ったその次のセリフで間違えたりするのは「今にいない」から。毎瞬毎瞬、新しい自分でいるということが、一番成長できるんじゃないかなと思います。

だから僕、30年やってきて、あまり後悔することもないんですよ。失敗しても、次につなげればいいわけだから、反省はしても後悔はしない。そのときに出来る最善の方法を人はやっているわけだから、それでいいじゃないかと。やる前からダメだと思わないことが大切だと思いますね。


――数々の貴重なお話をありがとうございました!

■インスパイアード カラーズ inspired colors/金丸淳一
発売日(配信日):2016年3月23日
発売元:ユニバーサル ミュージック
価格:2,500円
 ※ただしダウンロード販売サイトにより価格は若干異なります。

ダウンロード販売サイト:iTunes、Amazon ほか
 ※Android端末向けの配信サービス「Google Play」は対象外。

※こちらのジャケットは1993年に東芝EMIから発売されたアルバムのものです。

「歌声からマイナスイオン」が定評の、金丸淳一の魅力が味わえる―― 1993年に発表したオリジナルアルバムを、声優30周年記念として配信版で再リリース。オリジナル曲10曲のほかに、新たに録音したボーナストラック2曲を収録した全12曲。

【収録曲】
suddenly ラブストーリーは突然に~English Version
12月のフェアリーテール
Voice-actor
二人より一人
ラジオスターの悲劇~Video killed the radio star
こわれた花瓶
Two yesterdays
上を向いて歩こう
人の数だけ恋の仕方があるはずだから
Daybreak
[ボーナストラック]
バードランドの子守歌~Lullaby of Birdland
晩夏


<イベント情報>
●金丸淳一 インスパイアードカラーズ 配信記念 ミニライブ&トークショー 食いだおれの街・大阪でおかわり
大阪・阿倍野の小劇場+Bar「ステージプラス」にて、4月24日(日)に配信記念 ミニライブ&トークショーを開催! 詳細、お申し込みは下記サイトまで。
http://junbowz-shop.com/events/2.html

>>金丸淳一オフィシャルサイト<JK-EXPRESS>
>>金丸淳一オフィシャルプライベートショップ<JUNBOWZ SHOP>

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