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『ファインディング・ドリー』監督来日記者会見レポート!

“絶対に作らない”続編はなぜ生まれたのか? ディズニー・アニメーション『ファインディング・ドリー』監督来日記者会見レポート!

 7月16日(土)に日本公開がスタートする『ファインディング・ドリー』は、全米にて『トイ・ストーリー3』や『ズートピア』を超えるアニメーション史上歴代No.1のオープニング成績を樹立! 批評家から"ピクサー最高傑作"との呼び声の高い、超注目の作品となっています。

 そんな本作の監督を務め、前作『ファインディング・ニモ』と『ウォーリー』で2度のアカデミー賞を受賞したアンドリュー・スタントン監督と、名匠と共同監督を務めたアンガス・マクレーン監督が来日! さらに日本語吹替版を担当した室井滋さん、木梨憲武さん、上川隆也さん、中村アンさんの豪華キャストも登壇し、作品の魅力や見所についてたっぷりと語りました。今回はそんな会見の模様をお届けします!

■“絶対に作らない”続編はなぜ生まれたのか?
 会場のステージは海を連想させる青系の色で統一されています。中央に設けられたスクリーンには映画から切り取られたような美しい海の光景が映し出されていました。

 まずは、本作の監督を務めたアンドリュー監督とアンガス共同監督が盛大な拍手に迎えられ登壇します。アンドリュー監督は「日本はアニメに関して文化的で豊かな歴史がある国です。アニメーションに対するリスペクトを持っているこの日本に、ピクサーの映画を持ってこられることは、我々にとっても大変なことです。今年は『ファインディング・ドリー』を伝えるため日本に来られたことを嬉しく思っています」と、アンガス共同監督は「本作をアンドリューと共に伝えることができ嬉しく思います。日本は私たちが仕事の中で大きな影響を受けている国なので、このような形でみなさまにお披露目できてたいへん光栄です」とそれぞれ日本への思いを語りつつ挨拶を行いました。

▲アンドリュー・スタントン監督(写真左)、アンガス・マクレーン共同監督(写真右)

▲アンドリュー・スタントン監督(写真左)、アンガス・マクレーン共同監督(写真右)

 カクレクマノミ=ニモというほどに、全世界で大ヒットした前作『ファインディング・ニモ』。当時「絶対に続編はやらない」と言われていたにもかかわらず本作を製作することになった経緯を聞かれたアンドリュー監督は「"絶対"という言葉は使ってはいけないと今回の経験で学びました(笑)」と冗談を交えつつ「当時はこの物語を語り終えた気持だったのですが、改めた前作を見たときにドリーのことが心配になっている自分に気がつきました。ドリーの家族は見つかっていませんでしたし、なにより物忘れが激しいことをもう周りに誤って欲しくないと思ったんです。それからは続編のことで頭がいっぱいになってしまいました」と誕生の経緯を語ります。

 また、全米にてアニメーション史上歴代No.1のオープニング成績を達成するに至った要因を尋ねられたアンガス共同監督は「前作が世界中で愛された作品であったこともそうですし、みなさんがキャラクターたちを大好きでいてくださったことが大きいです。ニモを見て大人になったという人も多いでしょうし、そんなみなさんがドリーのことを本当に心配してくれていたので、旧友に合うような感覚で本作を楽しんでくださったのが成功の要因ではないかと思います」と話しました。

 本作は、キャラクターたちの友情にも焦点が当てられているのが印象的です。アンドリュー監督は「作り手である我々が過去に体験した感情が、作品に表れていると思います」とコメント。またアンガス共同監督は「この作品とは4年の歳月を共にしています。監督としてはどういたメッセージを伝えたいかを常に考えていますし、それが私たちとみなさんとの繋がりになると考えています」と語ります。

 また、前作から1年後が舞台ということで気になるのが、本作でのニモの役割。アンドリュー監督は「ニモは片ヒレが小さいというハンデを負っているのですが、前作での経験で自分に大きな自信を持っているんです。年齢はドリーより若いかもしれないけど、そんな自信からくる賢さを持ったキャラクターに成長しています」と、またドリーについても「人間はありのままの自分を受け入れられた時に、平穏を得られると僕は考えています。忘れん坊という自分の欠点を受け入れて生きているドリーに、そんなメッセージを込めています」とキャラクターデザインについて明かしました。

 映像面での拘りを尋ねられたアンガス共同監督は「前作に敬意を表してオリジナルの良さを残しつつ、技術の進化で細部のディティールにまで拘って製作しています。視覚的な驚きを与えられる作品に仕上がっているので、ぜひ劇場に足を運んでいただきたいです」と作品への自信を表しました。

■主人公となったドリーを室井さんが13年ぶりに熱演!
 監督たちによるトークが一段落すると、本作で日本語吹替え版を担当する室井さん、木梨さん、上川さん、中村さんの4名が登壇します。大勢の拍手に迎えられ、それぞれ一言ずつ挨拶。キャスト陣はそれぞれ担当したキャラクターのぬいぐるみがくっついた帽子をつけて登場したのですが、感想を求められた監督のコメントを木梨さんが「とっても似合っています。このまま実写のキャストとして出演してもらいたい」と嘘翻訳してしまい登壇者一同大笑い。言葉の壁を感じさせないユニークなやりとりに、監督たちも笑顔を溢しました。

▲室井滋さん(写真左)、木梨憲武さん(写真右)

▲室井滋さん(写真左)、木梨憲武さん(写真右)

▲上川隆也さん(写真左)、中村アン(写真右)

▲上川隆也さん(写真左)、中村アン(写真右)

 今作で久々にドリーを演じた室井さん「前作ではマーリン役の木梨さんとの絡みに助けられた部分もあったんですが、今作では一人でさまようシーンなどもあり苦労しました。海の映像が物凄く綺麗で、子供だけでなく大人もお年寄りにも楽しんでいただける作品になっていると思います」と作品の魅力を述べ、「忘れん坊なドリーですけど、そのことをマイナスに捉えていないんです。私もこの夏はドリーのような生き方を目指して頑張っていこうと思っています」と13年ぶりに演じるドリーへの愛情を語りました。

 演じるマーリンついて尋ねられていたはずの木梨さんだが「収録も絵コンテの段階で行ったり、使った台本も公開前のものだからと全て回収されたりと、アメリカのプロ集団による作品作りの厳しさを体験しました」と製作に関する話を初めてしまい会場の笑いを誘います。その後は何度も脱線しかけたのを他のキャストらが必死で引き戻すという場面も見られ、最終的には室井さんが「マーリンは説教臭くなりましたよね」とまとめてしまったことで会場からは今日一番の笑いが沸き起こりました。

 1986年の『ルクソー Jr.』からピクサー作品に触れ、"ルクソーボール"や"A113"などの隠し要素を探して楽しむほどのファンだという上川さん。演じる7本足のタコであるハンクについて「僕の演じるハンクは、ドリーの冒険に巻き込まれてしまうキャラクターなんですが、なかなかに男気のあるタコなんですね。だけど実は弱々しい部分も抱えていて、演じているうちに、この人間臭さがピクサーの描くキャラクターたちの魅力なんだなと感じました」と話し、ピクサー作品に参加できる喜びを噛みしめている様子でした。

 オーディションによって役を勝ち取った中村さんが演じるのは、ドリーたちが水族館でであるジンベイザメのデスティニー。「私の演じるデスティニーは、ドリーの過去を知るキャラクターということで、こんな重要な役を演じさせてもらえて光栄です。ジンベイザメなんですけど目が悪くて泳ぎが苦手なんですが、それを前向きにとらえている可愛いキャラクターです」と語りました。

 
■描いたキャラクターたちがスクリーンを動きまわる!
 ステージ中央に用意されたスクリーンには、本作の舞台となる海が映し出されているのだが、生き物の姿がなくちょっと寂しい雰囲気を感じます。そこで登壇者たちが事前に描いた絵を泳がせることで賑やかにしようという、演出企画が行われました。

 最初に登場したのはアンドリュー監督のドリーと、アンガス共同監督のニモ。アニメーターの経験もあるということで、2人の特徴を捉えた可愛い絵が優雅にスクリーンを漂います。

 続いて上川さんのハンクと、中村さんのニモ、そして室井さんのドリーが登場。こちらもなかなかの出来で、特に上川さんの絵を見た監督たちは「うちで働いてほしい!」と、その塗りの細かさを絶賛しました。

 最後は木梨さんの絵なのですが、こちらはうって変わりオリジナルのキャラクター。名前はそれぞれ"ノーリン"、"しげる"、"大山さん"。アーティストとしても活躍しているだけに、色遣いや表情など独創的な絵となっていました。

 合計8匹の魚たちが増えたことで、水槽も随分と賑やかになりました。ときおり画面の外に泳いでいってしまっり、かと思えばふらった戻って来たり。魚たちはみなのんびり気ままに海の中を泳ぎ回っていました。


■翻訳キャストから監督へ日本の思い出をプレゼント!
 本作のテーマは、忘れん坊のドリーがただ一つ忘れなかった家族との"思い出"。会見も終盤にさしかかったところで、日本語吹替え版のキャスト陣から監督たちに日本の思い出をプレゼント! 今日のため用意されたドリーとニモが描かれた"巨大オリジナル提灯"が贈られました!

 仄かに和の明かりが灯った提灯を受け取り、「『ファインディング・ドリー』のムードに相応しい贈り物をありがとうございます」とアンドリュー監督、「美しく優美さを感じますね」とアンガス共同監督がそれぞれコメント。満面の笑みで日本の思い出を受け取ってくれました。

 最後に登壇者を代表して、室井さんとアンドリュー監督から公開を楽しみに待つ日本のファンへ向けたメッセージをいただき、来日記者会見は幕を下ろしました。
 
 室井さん:これから暑い夏を迎えると思いますが、まずは涼みに劇場に足を運んでください。きっとこの夏一番の思い出を作っていただけると思うので、私も、ドリーも、ニモも、マーリンも、全員がみなさんをお待ちしております。よろしくお願いいたします!

 アンドリュー監督:まずは『ファインディング・ニモ』をご覧になってくださったみなさんに"ありがとう"と申し上げたいですし、今回の『ファインディング・ドリー』にもぜひ来ていただきたいと心から思っています。愛情を込めて作った作品ですので、長い時間でじっくりと楽しんでいただけたら幸いです。

 大切な思い出をめぐる、ドリーとニモの新しい大冒険! 『ファインディング・ドリー』は7月16日(土)公開です!

■作品情報
タイトル:『ファインディング・ドリー』
監督:アンドリュー・スタントン
共同監督:アンガス・マックレーン
製作総指揮:ジョン・ラセター
原題:Finding Dory
公開:全米/6月17日、日本/7月16日
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン



>>ディズニー『ファインディング・ドリー』ページ

[取材・文・写真/原直輝]

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