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TVアニメ『オズマフィア』アフレコレポ&原作者インタビュー

女性向け恋愛ADV『OZMAFIA!!』原作者・ゆーますさんが感じたTVアニメ版での“原作に近い雰囲気”とは

 PCゲームとしてリリースされ、昨年にはPSVita移植版も発売された女性向け恋愛アドベンチャー『OZMAFIA!!(オズマフィア)』が、ショートアニメ化!

 記憶喪失の少女・フーカと、3人のマフィア「オズファミリー」との恋模様を描く……のが本来のストーリーですが、アニメでは(尺に収まらないので)舞台が一変! 「オズ学園」という学校に勤める3人の教師と、学園に転入する男子生徒・スカーレットを中心にしたドタバタな日常を描きます。

 原作ゲームとはひと味違った雰囲気を漂わせる本作。「どんな世界観なの?」と気になっている人は多いのではないでしょうか? というわけで「アニメイトタイムズ」では、初回のアフレコ現場を取材! 収録の様子をレポートします。

※以下、大きなネタバレはしていませんが、「先入観無く観たい」という方はご注意ください!


■ 初回ながらサクサク進む収録 その理由は“理解度”にあった?

 この日現場に顔を揃えたのは、主演陣である新垣樽助さん(カラミア役)、興津和幸さん(キリエ役)、梯 篤司さん(アクセル役)、市来光弘さん(スカーレット役)の4名を含む、8名のキャストたち。

 時間になると、総監督のひらさわひさよしさんや原作者のゆーますさんらも交え、あいさつのほか今作の世界観の説明が行われました。キャスト・スタッフの多くは、『OZMAFIA!!』とは長い付き合い。かしこまった空気はすぐに消え、笑い声が幾度となく起こる和やかな雰囲気に変わっていきます。

 とくに、ゆーますさんからとあるキャラクターの役職が明かされると、キャストは一様に驚き顔! なんでも、収録話の台本上では明かされていなかったため、ここではじめて知ったようです。「マジか!」「(該当キャラを演じるキャストはとくに)収録前に知れてよかったね」と笑いあう一同。現場はすっかり温まった様子♪

 台本の最終確認を終え、いよいよ収録! 5分アニメのため、この日は1話から4話まで収録されました。先のあいさつで、総監督から「アドリブをどんどん入れて欲しい」と告げられていたキャスト陣。第1話のテスト収録の段階から、キャラの動きに合わせた“気づき”やリアクションなどを、次々に吹き込んでいきます。

 なかでも、今作のスカーレットは動きのあるキャラクター。走る、転がる、あわてる、壁に突っ込む(!)などさまざまな顔を見せる彼に、市来さんがリズムよくアドリブをつけ、より魅力的な人物にしていきました。

 ただ、原作と違って“掛け合う”必要があることに加えコメディ要素が強いので、テンポはかなり速め! これには悩まされるキャストも多かったよう。第1話にあるカラミアのひとり語りでは、テストの際尺に収まりきらず、新垣さんが「むずかしいねえ」と悔しそうにする場面も。本番では見事に修整していましたが、今作には今作なりの難所があることを感じさせます。

 また、アクセル役の梯さんも第4話でこれに直面。話すスピードがゆるやかなアクセルは、尺に収めようとテンポを速めてしまうと「アクセルではなくなる気がする」とか。そこで、「ここのフレーズを省いてセリフを短くするのはどうですか?」と自ら提案。個性も世界観も保ちながら、演じきりました。

 アドリブから修整まで。初回収録でここまで臨機応変に演じられるのは、キャスト一人ひとりがキャラクターの“軸”を把握しているからこそ。収録は終始サクサクと進んでいきました。

 ちなみに、ひときわ大きな笑いが起こったのは、第2話で切羽詰まったスカーレットがキリエの胸ぐらをつかみ揺り動かすシーン。「ここのキリエに声をつけたらどうなるだろう?」というスタッフたっての希望で、興津さんが2パターン別録りしました。毒舌サディストなキリエに興津さんがつけた、コミカルな声色。このギャップにキャスト大ウケ。録り終えるたび、堰を切ったように笑い声が響きました。総監督曰く「実際に声をつけるかどうかはわからない」そうですが……一体どうなる?

 物語の舞台が変わっているものの、雰囲気は極めて原作のまま。キャストの深い理解や細部へのこだわりが生み出したこのバランスは、原作ファンのみなさんにもきっと感じ取れるはずです。もちろん、原作を知らない方も『OZMAFIA!!』の入口に足を踏み入れる絶好の機会。まずは、学園にいるコミカルな彼らに癒やされてみるのもいいかもしれません。初回放送まで、あと少し!


■ 原作者が見たTVアニメ『OZMAFIA!!』

 『OZMAFIA!!』原作者でありTVアニメ版のシリーズ構成も手がけたゆーますさんにインタビューすることができました。アフレコ取材で我々取材班が見た“原作に近い雰囲気”。ゆーますさん自身も、さまざまな部分で感じていたようです。


――あらためて、TVアニメ化に対する心境から伺ってみたいです。

ゆーますさん(以下、ゆーます):『OZMAFIA!!』って、PC版の収録が5年前で発売が3年前なんですけど、発売の少し後くらいに英語版のリリースも決まって。ボイスドラマの収録現場で、オズのお三方(新垣さん、興津さん、梯さん)に「英語版が出るらしいんですよ」って言ったんです。そうしたら「じゃあ次はアニメっすね!」って返されたんですよ(笑)。


――サラッと(笑)。いろいろと展開しているから、期待を込めて言ったんでしょうね。

ゆーます:そう(笑)。でも、アニメってそう簡単にできるものではないじゃないですか。金額が金額だし。そんなコネクションがあるわけでもないので。だからそのときは、あーなんか言ってるわあ程度に思ってたんです(笑)。そうしたら本当にアニメ化のお話をいただけて。あ、あのときのことが現実になるんだ!って驚きました。コツコツ積み重ねてきた結果なのかなあと……。継続は力なんだって今あらためて思っています。


――では、「学園モノにしよう」というアイデアはどこから?

ゆーます:提案はひらさわさん(総監督)からいただきました。私自身、こんなに長い話絶対尺に収まらないなって思ってたので、この提案はすごく嬉しかったですね。それに、実は今まで特典ドラマとかで『桃太郎』のパロディとかやってたんですよ。なので、学園モノって聞いたときは純粋に納得できましたね。ひらさわさんは「こんな提案してもいいのかな?」ってすごく怯えてたみたいなんですけど、私は桃太郎よりよっぽどいいな!と思ってました(笑)。


――しかも、今回はスカーレットを中心にストーリーが展開していきますよね。原作でいうヒロインの立ち位置にいるからか、ゲームに近い感覚がありました。キャラ同士の関係性もそのままですし。

ゆーます:アニメのスカーレットは結構ネガティブで弱虫だから、彼だけはちょっと違うんですけどね。でも、できるだけゲームに近づけたい気持ちはあって。全員出せるわけではないんですけど、1話だけでもといろんなキャラクターを登場させています。

――第1話から第4話まででも大勢出ていましたもんね! そういったところで作品全体の世界観を感じ取れるから、アニメから原作ゲームへと流れてもすんなり馴染めそうです。

ゆーます:あとはキャラデザも。顔の造形がすごくうまくできて、さとい(原作原画)の絵をSDにしたらまさにこうなるんだろうなって思いました。さとい本人も言ってたんですけど、こういうアニメの場合キャラデザはSDのほうが動かしやすいんですよね。アフレコのときに見てみたら、すごくしっかり動いてたのでびっくりしました。


――コミカルな表情って原作ではそこまで出てこないのに、ちゃんと雰囲気が残っているんですよね。そうそう、あとは“声”も。実際に掛け合いを見て、いかがでしたか?

ゆーます:そもそも、私のゲームって立ち絵、SE、音楽、テキストがすべてで、素材が限られているんです。だから会話するとなると、その都度相手の名前を言わなくちゃいけないんですけど、アニメはそれがなくても成立するんですよね。そういう“台本の違い”を感じつつ書いていたんですが……キャストのみなさんは、そんな私の台本にアドリブも加えつつ“アニメに落とし込んで”くださってた。すごくありがたかったですね。キャラクターを知っているからこそできるんだろうなあと。おかげで、アニメがより面白くなったと思います。


――では最後に、アニメ版の見どころを教えてください!

ゆーます:先ほどもおっしゃっていた通り、ぜんぜん違う世界なんですけどベースは変わってないんですよね。なので、そのままゲームに移ることもできると思います。それにゲームを知っている方なら「あ、もしかしてこのシーンって……?」と思えるようなネタにもハッとしてもらえると思うので。両方の世界を楽しんでもらいたいと思います。


――ありがとうございました!


 別記事では、メインキャスト陣のオフィシャルコメントも見られます。こちらの記事とあわせてぜひチェックしてみてください!

>>『オズマフィア!!!』アニメになってどう変わった?見どころは?

[文・松本まゆげ]


■ 作品情報

【放送情報】
TOKYO MX 7月6日(水) 24:00~
サンテレビ7月11日(月) 25:30~

【スタッフ】
原作:『OZMAFIA!!』Poni-Pachet SY/HOBIBOX
監修:さとい
総監督:ひらさわひさよし
シリーズ構成:ゆーます
アニメーションキャラクター原案:なつのはむと
アニメーションキャラクターデザイン・総作画監督:黒岩 園加
アニメーション制作:Creators in Pack

【キャスト】
カラミア(CV:新垣樽助)
キリエ(CV:興津和幸)
アクセル(CV:梯篤司)
スカーレット(CV:市来光弘)
シーザー(CV:桐本拓哉)
ヘイディ(CV:高橋英則)
ソウ(CV:井口祐一)
ベルシー(CV:峰岸佳)

【ストーリー】
 記憶を失った少女、フーカ。見知らぬ街を彷徨っていた彼女は、突然何者かに追われることに。逃げ惑う彼女を助けてくれたのは、街を支配するマフィアのひとつ、オズファミリーだった。争いと友情が背中合わせの街の中、フーカは誰の手を取るのか。そして、彼女が記憶を持たない理由とは――?

という内容の原作『OZMAFIA!!』ですが、尺に収まらないので学園モノに。アニメオリジナルの、可愛いキャラたちが織りなす学園バラエティーとなりました。オズ学園に転入してきたスカーレットは、あるトラブルに巻き込まれてしまう。そこに現れスカーレットを救ったのがカラミア、キリエ、アクセルの3人だった……。



>>公式サイト
>>公式Twitter(@OZMAFIAanime)

(C)OZMAFIA!!制作委員会
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