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『ノーマン・ザ・スノーマン』八代健志監督&吉野裕行さん対談

『ノーマン・ザ・スノーマン~流れ星のふる夜に~』八代健志監督&吉野裕行さん対談――プラネタリウムで楽しむ心あたたまる物語

 前作が全国28館以上のプラネタリウムで上演された『ノーマン・ザ・スノーマン』シリーズ第2作目『ノーマン・ザ・スノーマン~流れ星のふる夜に~』が11月19日より東京・コニカミノルタプラネタリウム"満天" in Sunshine Cityを皮切りに、全国のプラネタリウムにて上映されます。

 人形を使って1コマずつ丁寧に撮影するストップモーションアニメという珍しい手法、プラネタリウムでのみ見られる上映スタイル、雪だるまのノーマンを吉野裕行さんが演じ、今作に登場する気球に乗って現れる青年役を梶裕貴さんが担当するなど豪華キャスト陣も魅力がいっぱい。

 そんな作品の公開を祝して、八代健志監督とノーマン役の吉野裕行さんにインタビュー! 本作の見どころや魅力、制作秘話など語っていただきました。

 

雪国育ちの監督が伝えたかった雪の素晴らしさ。
――『ノーマン・ザ・スノーマン』を制作しようと思った経緯や理由を教えてください。

八代健志監督(以下、八代):僕が雪国出身で、雪の世界の素敵なところをみんなに知ってもらいたいなと思って。それがこのシリーズの出発点で、あと前作(『ノーマン・ザ・スノーマン~北の国のオーロラ』)からのふくろうや、今作のきつねであるとか雪の素晴らしさを広めたいなと雪国出身の里心ですね。秋田県出身なので。

――ふんわりした雪、家や教室など北欧っぽい雰囲気も感じられました。吉野さんが感じた『ノーマン・ザ・スノーマン』の印象はいかがですか?

ノーマン役・吉野裕行さん(以下、吉野):物語がファンタジーで、今の情報量があるアニメと違って必要最小限のもので、少年と雪だるまのノーマンが中心で、少年とノーマンは過去に何度か会っているというところから始まって。そのシンプルだけど温かい世界観がいいなと思うし、安心できます。監督が言っていた雪国の魅力も見ていると伝わるんじゃないかなと思います。

僕がおもしろかったり、うれしいなと思ったのは1作目にサンタクロースが出てきたり、ちょっとした遊びもあって、しかもただ出てくるだけじゃなく、ニヤっとさせる表現の仕方があったりして。大人だから情報をいっぱい得て楽しめるというのではなく、子供でも見ていたらある情報だけでも楽しめるところが魅力的ですね。

 
プラネタリウムのイメージがこの作品で一変! プラネタリウム上映ならではの制作の苦労も

――前作同様、プラネタリウムで上映されることについてどう思われますか?

吉野:ビックリしますよね。今までのプラネタリウムのイメージは星空をずっと見ているだけだと思っていたけど、少年と2人で旅しながら星の話をしたり、ストーリー性があり、少年の成長物語もあったり。

映像もアニメーションと言っても人形を1コマずつ細かく動かして、汚れ1つとってもすごいこだわりで、うれしいですよね。こういう映像を見られること、自分が関わることができたことがうれしいです。

八代:映像を作る側としては、広く映る分だけ広く作らなくてはいけなかったりして大変なことも多いんですけど、この広さと大きさが出ると楽しいですね。

吉野:冬の空や空気感があの映像からすごく伝わってくるのがいいですね。見てても楽しいし。

――1点を眺めるだけでなく、視線や角度を変えて見るのが能動的に参加しているようで楽しかったです。ドーム型のスクリーンならではと思います。

八代:セットの大きさと囲われる難しさがストップモーションアニメではあるんですけど、通常映像に使っているフレーミングという構図の概念が無くなるんですよね。臨場感を出そうとしたら寄り絵や引き絵、狭く撮ることで大きく感じさせるフレーミングが使えなくなるのが手強い部分でもあり、新鮮な部分でもありました。


少年とノーマンの関係性と世界観で自然にノーマンでしゃべれました
――吉野さんは少年の親友の、雪だるまのノーマンをどのように演じているのでしょうか?

吉野:台本を読んで僕がイメージしたことと、八代監督はじめスタッフさん達がイメージしたことを現場ですり合わせて。でも特に演じるにあたって難しいことはなかったです。1作目で僕が持っていったイメージが八代監督と近かったというお話をトークショーでお聞きしてうれしかったです。確かに振り返ってみると年齢の上げ下げとか細かい指示を受けた記憶がなくて。

八代:僕もトークショーで話して改めて、地でしゃべっている声とあまりかけ離れていないなと。吉野さんはいろいろ声やキャラができると思うけど、自然なところでちゃんと作れたのかなと思います。

吉野:小細工とかなくて、単純に少年がいて、この子とどういう距離感でしゃべるのか。ちょっと乱暴な言葉使いだったとしてもその中に関係性や信頼性があるから、それを持ってしゃべったら自然とノーマンになるようにしてくれていると思うし、やりやすかったです。


吉野さんの声をイメージして制作され、監督と吉野さんのノーマン像が一致
――トークの中でも1度ノーマンの声を収録してから撮影されたり、その後もう1度収録されたとおっしゃっていましたね。吉野さんの声からフィードバックされるような。

八代:そうですね。今回も収録は2回やっていますが、最初はそれぞれの持っているものを合わせてみるわけですが、繰り返すうちにキャッチボールになってきて。普通は監督が求めるものがあるけど、逆に吉野さんならこういうだろうという感覚を得ている部分もあるし、そうやって作っているので僕が考えるノーマンと吉野さんのノーマンが段々近づいてきている気がします。

――今作の制作期間も半年間と聞いて驚きました。

八代:美術の制作から始まって、作って撮影しての繰り返しで半年、その前のシナリオ制作を入れるとだいたい1年弱になりますね。

吉野:気が遠くなる細かい作業を丁寧に、長くされていることがすごいですね。


吉野さんが驚いた人形の目の動きは監督が大切にしている点
――人形を使ったコマ撮りなのに滑らかに動くことにも感心しました。

吉野:そうですよね。

八代:滑らかさで言えば、もっと動かす方もいるし、まだまだ粗いところもあるのかなと思いますが、自分が監督をしつつ、アニメーターもする立場からすると上手に動かすということ以前に思っている役柄が出るようにと。しかも僕が監督なのでNGを出す人がいませんから失敗OKで(笑)、かなりアグレッシブにやっています。そういうところが良く出てくれたのかなと思います。

吉野:すごく加減が難しいと思います。どれだけ滑らかさを出すのか。また人形を動かすということでリアルを追求するというのではないし、口が動いたり、形がすごく変わるわけではないけどちゃんと表情があるように見えるし。特に驚いたのは動かせる目で、人形を見たら確かに穴が開いていたから「ここも動かすんだ」って。

八代:声優さんも何でこの言葉を言うのか、こう動くのかと考えると思いますが、人形も動かし出すと人間の行動原理、目玉が大きいんですよね。人間は視覚があるから行動する時、先に動くか後に動くかでその人の意志も出ると思うし。

吉野:細かいことをやってますね。


前作より成長した少年、気球に乗った青年、流星群の描写など見どころいっぱい!
――今作、『ノーマン・ザ・スノーマン~流れ星のふる夜に~』の見どころは?

吉野:前作は少年のプチ家出みたいな感じだったけど、今作はその時よりも少し成長しているのが感じられると思います。成長したからこその新たな壁というか、それをどう乗り越えていくのか。そして少年とノーマンの関係性からいろいろなことが想像できるところもあって。少年の家庭環境とか気になるところも出てきて、僕も2作目をやることでより世界が広がりました。そして精巧さ、緻密さのなかにある温かさは前作通りです。あと気球に乗った青年が温暖前線を連れてくるという表現もおもしろいですよね。

八代:そこに引っかかってもらえたらうれしいですね。特に"満天"はドーム状なので見上げる感覚はおもしろいので、気球が飛んでいくところも意識しました。

吉野:ああいう表現の仕方が上手でおもしろいです。今回流星群がテーマの1つですけど、実際の説明だけでなく、絵で起こす時にどういう映像にするのか。演じ手としてだけでなく、いち視聴者として見ても楽しいです。

八代:降り注ぐ流星群もぜひ体感していただけたら。


雪の素晴らしさ、友情や親子愛、星空の美しさなど老若男女に楽しんでほしい

――最後に皆さんへメッセージをお願いします。

吉野:星には必ず物語があるように、『ノーマン・ザ・スノーマン』にもノーマンと少年の2人の物語があり、八代監督が人形を使って緻密に丁寧に作り出す素敵なファンタジーの世界もとても温かくて。雪国や雪の素晴らしさもこの作品を見れば、より膨らむんじゃないかなと思います。大人もお子さんも、老若男女が楽しめる作品なので、東京を皮切りに各地で上映された時には見てほしいです。そしてプラネタリウム"満天"ではならではの仕掛けや見方もできますので遊びに来てください。

八代:プラネタリウムという素敵な空間で雪と星のシチュエーションを味わってほしいです。そして少年とノーマンの友情、少年とお母さんという親子の関係の変化も。普通、親子と親友が一緒になると気恥ずかしい部分がありますが、ノーマンが動かないことでそう感じないかなと。

吉野:ノーマンとお母さんがニアミスするシーンもありましたよね。

八代:友情と親子関係との微妙なところがこの作品を作る時にいつも思うところで、今回は同じところに同居することで、見る人によって共感できる点が違うと思うので、味わってもらえたらいいなと思います。前作を見てくださった方だけでなく、プラネタリウムや星が好きという方、新鮮な体験をしたい方はぜひ見に来てください。



 『ノーマン・ザ・スノーマン~流れ星のふる夜に~』はコニカミノルタプラネタリウム"満天" in Sunshine Cityにて現在公開中(2017年5月21日まで)。福島市子どもの夢を育む施設 こむこむ館では12月1日、さぬき子どもの国では12月10日、刈谷市 夢と学びの科学体験館では12月10日より上演開始です。


>>『ノーマン・ザ・スノーマン~流れ星のふる夜に~』公式サイト
>>コニカミノルタプラネタリウム"満天" in Sunshine City
>>『ノーマン・ザ・スノーマン』公式サイト

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