君嘘、勇者ヨシヒコ……7!! 3rdアルバムで表現したかった意思

四月は君の嘘、勇者ヨシヒコ EDなど収録――7!!(セブンウップス)が3rdアルバムで表現したかった「意思」/インタビュー

 デビュー5周年を迎えた沖縄出身・在住の4人組、7!!(セブンウップス)が3枚目のオリジナルアルバムを2017年2月8日(水)にリリースします。

 TVアニメ『四月は君の嘘』EDテーマ「オレンジ」、オリオンビール『オリオンスタイル』CMソング「FLY」「世界を回せ!!」、さらに自身初のドラマテーマ曲となる『勇者ヨシヒコと導かれし七人』EDテーマ「きみがいるなら」、ヴォーカルのNANAEさんがMCを務める『saku saku』の2015年10月のED「センチメートル」(2016年8月度には前述の「FLY」が抜擢)など、全11曲が収録されています。

 タイアップ曲も満載ながら“シングルのタイトル曲以外は全て未発売曲収録”をコンセプトの一つとし、代名詞である恋愛ソングのみならず、エモーショナルな楽曲にも挑戦。アレンジ面にもこれまで以上に力を入れたと、充実感に溢れた表情で語ってくれました。

 聴き手の背中を押すだけではなく、心にそっと寄り添うように、爽やかな青のイメージから深みのある色調へと変化していく『セツナエモーション』。いまなぜこういう作品を送り届けたかったのか、その想いやこれまでの軌跡を東京にてお伺いしました。

 

「人間のネガティブな部分、普段人には見せないような弱さもこれから表現していけたら」(KEITA)
――<アニメイトタイムズ>では初の取材となるので、いろいろとお伺いしたいのですが、沖縄のアーティストがたくさん音楽シーンをにぎわせているなかで、7!!はどんなアーティストになりたいと思ってバンドをはじめたんですか?

KEITAさん(以下KEITA/ベース):BEGINを筆頭にMONGOL800、HY、きいやま商店など、さまざまな先輩アーティストがいるなかで、新しいミュージックシーン、新しい沖縄の音楽を模索して結成しました。いわゆる三線、琉球音階をあえて使わず、沖縄でもメジャーのポップスができることを発信していこうっていうのがコンセプトで。

――12年以上バンドを続けてきて、音楽性はどのように変化したと思いますか?

KEITA:多くは変わってないんですけど、僕らの成長と共に歌詞の内容も少しずつ変わっていったかなって。恋愛の曲だけではなく、いわゆる応援ソングだったり、人間の弱い部分だったりを書くようになって。アレンジの部分でもバンドサウンドから歌モノ、ピアノメインの曲もあったり、派手なストリングスを入れるようになったり……。

――まさに今作にはそれが全て入っている気がします。特にそれぞれの成長が如実に表れてるなと思ったんですが、アルバムを作るうえでのコンセプトはなんだったんでしょう。

KEITA:まずカップリング曲は絶対入れないでおこうと。シングルと新曲でって考えたときに……デビューして丸5年経って、人間のネガティブな部分、普段人には見せないような弱さもこれから表現していけたらなって。

今までだったら沖縄の青い海、青い空って感じでジャケット撮影はしてたんですけど……沖縄って明るいだけではなく、暗い部分も結構あって、そこも曲で表現できたらいいなと。だから最新のアーティスト写真も青い海とかではなく、衣装も町に溶け込んだグレーにしたんです。ソロカットはそれぞれゆかりのある場所で撮りました。

――なぜいまそこを表現したいと思ったんですか?

KEITA:今まで恋愛の曲をメインに作ってましたけど、29年も生きてきたらいいことばかりじゃない。普段人に言えない分、曲を聴いて「分かるな」って共感してもらえるかなと思ったんです。

――赤裸々に書いたというより、ある意味、等身大の姿を書いたというか。

KEITA:そうかもしれないです。だから書くときに恥ずかしいんですよ(笑)。「こいつこんなこと思ってんだ」って思われるだろうから。

――お互いそういう話をしたりはするんですか?

KEITA:いや、出来上がったのをあとから聴く感じで。あえて歌詞には触れない(笑)。
ある程度世界観はブレないように話はしていて、その枠のなかで作品を手掛けるようにしてて。その中で広げていくっていう作業ですね。


「ずっと一緒にいるからこそ意思疎通ができて、さらに絆が深まった気がします」(MAIKO)
――アルバム制作は順調に進みました?

MICHIRUさん(以下MICHIRU/ギター):3日で4曲とか録ったり、前の日にアレンジが上がってきて次の日レコーディング、みたいなこともあって。前から録りためてた曲もあったんですけど、そういう大変なときもありました。

MAIKOさん(以下MAIKO/ドラム):今までのレコーディング方法とは違ったよね。ドラムから録るので、時間がなくて(笑)。一気にギュッと録る方もいらっしゃるとは思うんですけど、うちらは曲ができるたびに(プリプロを)録って、いい曲があったらレコーディングして、その中からアルバム用にチョイスする……というやり方がほとんどで、進行がゆっくりだったんです。今回は苦労も多かったけど、その分思い入れは強くて。やり切った感があって満足してます。

あとデビュー5周年で、今までは楽しいから4人で音楽をやってたものが、責任感や求めるものが見えてきたり、自分たちでああしてみたい、こうしてみたいっていう気持ちも出てきたり。今回のアルバムは自分たちの意思をしっかり込められたし、個々で成長したなというのも感じたので、そういう意味でも自分たちのやりたいことをしっかり詰め込めたなと思います。

――例えばどんなところに挑戦してみたいと思っていましたか?

MAIKO:4人それぞれ曲は書くんですけど、メンズ2人がサウンド面は率先してやってくれてて。前までは、さらにいい曲にしてもらうためにプロのアレンジャーさんにお任せして、ブラッシュアップしてもらうって作業をしてたんですけど、だんだん自分たちでアレンジをしてみたいって気持ちが出てきて。特にリーダーのKEITAがいちからアレンジをやったりして。サウンド面もそうだし、自分たちで曲のプロデュースもできるようになって成長を感じました。

――それは大きな違いだと思うんですが、実際に作業されてみていかがでしたか。

KEITA:自分でアレンジしたものを最終的にプロのアレンジャーさんに渡してブラッシュアップしてもらったんですけど、自分が思い描いていたものに肉付けをしてもらった形だったので、本当に楽しかったですね。しかも、自分の思い描いていた以上のものが返ってきて、「ああ、そういう方法もあるんだ!」ってすごく勉強になって。直接アレンジャーさんとやりとりさせてもらって、刺激的でした。

MAIKO:わたしも今回久しぶりに曲を書いたんですけど(「大きくなる愛」)、言葉足らずだから「なんて言っていいか分からない」のをKEITAが汲み取ってくれて、わたしの代わりにアレンジャーさんに伝えてくれたり。ずっと一緒にいるからこそ意思疎通ができて、さらに絆が深まった気がします。

――オリジナルメンバーで変わらずここまで続けられてきていることも大きいですよね。

一同:ああ……。

MAIKO:……でもわたし2回クビ宣告を受けてます(笑)。

――えっ、そうなんですか!

MAIKO:ちょっと性格が悪くてですね(笑)。高校生のときに結成して、卒業のときにみんな(音楽の道を選ぶために)進学しないことを選択していたんですけど、当時私は姫気質だったというか、超わがままで、卒業したあとこいつとやっていくのつらいなぁと思われてたみたいで。夜公園に呼び出されて「お前のその自由奔放な性格はムリだ」って。

そのときはすみませんって感じだったんですけど、性格はすぐに直らなくて。また公園に呼び出されたんです。その時はもう悟っててクビ宣告だ、と思って。案の定そうだったんですけど「ちょっと考えさせてください」って。

KEITA:俺らはポカーンとしてた(笑)。なんで俺らが待たされてるんだ?って。

MAIKO:でもテレビの音楽番組とかでメンバーを見るのは悔しいなと思って。「すみませ~ん」って謝って、戻ってきて。それで13年です(笑)。


「曲を書いてきたメンバーに背中を押された」(NANAE)
――今だからこそ笑い話というか。さきほど暗い部分も表現したいっておっしゃっていましたけど、反対にとても明るい曲もあって。特にMAIKOさんが書いた「大きくなる愛」とかは、明るいロックンロールですよね。

MAIKO:あれはわたしの性格が出ましたね(笑)。ネガティブなことは言いたくなくて、MAIKOはハッピーな部分を届けられたらいいなって。それ以外書けないんです。ナイーブな部分はあまりさらけ出せないんです。だからこの曲浮いてるんじゃないかなって。一人だけコンセプトが違う気がします。

KEITA:浮いてないよ。君は浮いてるけど(笑)。

MAIKO:えー!(笑)

――(笑) 1曲目の「相愛性理論」、2曲目の「FLY」(オリオンビール『オリオンスタイル』CMソング)もすごく明るくて、3曲目の「オレンジ」(『四月は君の嘘』ED)からはグラデーションのように色調が変わっていきますよね。そこは意識されたんですか。

KEITA:頭2曲は抜けるような沖縄の青い空、青い海みたいな明るい曲にして、そこからは徐々に暗くしていきたいという気持ちはありました。だからジャケットも虹にしたんです。暗いことを雨に例えて……辛いことや悲しいことを乗り越えるって意味で、雨上がりの虹をイメージしたんです。だから曲のグラデーションは意識したところですね。

――後半にいけばいくほど切ない曲はあるんですけど、どの曲も最終的には前向きなところに持っていく。それが7!!のメッセージなのかなと。

KEITA:そうですね。前向きなメッセージを入れたいし、暗いままで終われないなというか。

MICHIRU:うん。何かしらひとつ救いの言葉を入れたいなと。

――また、これは全曲に言えることなんですが、NANAEさんの言葉の力、表現力が以前に増して強くなったように感じたんですが、そのあたりはいかがですか。

NANAEさん(以下NANAE/ヴォーカル):今まで7!!がやってこなかったような曲がたくさんあったので、それは苦労した部分でもあったんですけど、12年、13年、同じメンバーで駆け抜けてきて、だからこそいま自分ができる表現の最大限をここで……試されたというか。いい意味で追い込まれたアルバムだったなと。

――試したかった、ではなく?

NANAE:ポジティブに“やってやろうぜ”みたいなタイプじゃないんです。でもそれを知ってか知らずか、曲を書いてきたメンバーに背中を押されたって感じですかね。今までやってこなかった曲をあえて入れてきて、それに頑張って応えようとして。言葉では交わしていなくても、そういうところが伝わってきたので、物凄く成長させてもらったなと思います。

――その中でも特に難しかった曲というのは?

NANAE:いっぱいあるんですけど、いちばん難しかったのは「大きくなる愛」ですね(笑)。ミッチー(MICHIRU)やKEITAは、「ここはこういう風に表現してほしい」って細かく指示してくれるんです。ただMAIKOからは「とにかく楽しい曲だから、自由に歌って。メロディーや音程を気にせずに、喋るように歌ってほしい」ってオーダーを受けて。それが初めてだったので、自由ってなんだろうって(笑)。

気持ちの迷いが出たのか、レコーディングブースに入っても全然うまくいかなくて。そしたら急にブースにMAIKOが入ってきて「もっと自由でいいんだよ!」って踊りだしたんですよ。

MAIKO:「こんな感じ~♪」って踊りました(笑)。

――なんと(笑)。

NANAE:よく分からないと思ったんですけど、こんな自由でいいんだなって思ったら面白くなってきて(笑)。そこで自分のなかの葛藤が飛んで、MAIKOが作ってきたメロディーも少し変えてしまうくらい楽しく歌えました。

MAIKO:そこはビックリしたんですけど~(笑)。自由でいいなって!そこは聴きどころのひとつだよね。

――全曲自信作だとは思いますが、特に好きな曲はありますか。

MAIKO:演奏してて好きな曲はラストの「セツナエモーション」かな。さっき私ネガティブなことを言うのがイヤって言ってたじゃないですか。でもこの曲は、そういう人たちの気持ちを代弁してくれるかのように、(辛い気持ちを)めちゃくちゃ言ってくれるんです。<ダメになって涙流して/ひとつずつ大人になっていく>とか……。すごく気持ちが入る。こういうシチュエーションってみんなにあると思うんです。そういう意味でも、みんなに共感してもらえるんじゃないかなって。

KEITA:6曲目の「汚れたスニーカー」ですね。僕はバラードを書くのが苦手で、数年ぶりに書いたんです。バラードはMICHIRUが得意としてるところなので、そことは違うバラードにしたいなと。Cメロをちょっとレゲエっぽいアレンジにしたいなと思ってたんですけど、それのハマりがよくて。アレンジにはすごくこだわりました。時間はかかった分、思い入れがありますね。

NANAE:私は1曲目の「相愛性理論」。とにかくライヴでやるのが楽しくて。あと、数式が出てくる特徴的な歌詞。KEITAだからこそ書ける面白い歌詞だなと。7!!の原点というか、バンドくさい感じが好きですね。

MICHIRU:僕は「オレンジ」です。『四月は君の嘘』の内容が素晴らしくて、その世界観をうまく表現できたなと。この曲をキッカケにクラシックコンサートにNANAEちゃんがゲストボーカルで出演したり、アニメとここまで共に広がってくれた曲ということで印象深いです。

――タイアップ繋がりで、10曲目の「きみがいるなら」(『勇者ヨシヒコと導かれし七人』ED)はどんな思い出がありますか?

MICHIRU:ドラマの監督さんが「オレンジ」を聴いて、こんなイメージだって連絡をくれたんです。楽しく笑ったあとに落ち着けるような曲をお願いしますとのことだったので、バラードにしました。仲間と共にひとつの目標に向かって歩いていくっていう設定を僕らと重ねて、自分たちが歩いていく過程も意識して書いた曲です。

KEITA:ずっと見ていたドラマだったから、話をもらったときは本当に嬉しかったよね。

――ラストの「セツナエモーション」をタイトルにした理由はなんだったんでしょう?

KEITA:もともと造語にしたいという話をしてて、これがいちばんピンときたなと。でもそうじゃないというひともいて、最終的にはプロデューサーに後押ししてもらったんです。多くの感情を曲や歌詞にしていこうという、これからの意思表示的な意味も込められたし、感情的な部分がリンクした曲が多いので、「セツナエモーション」の意味がコンセプトにもハマってる。伝わりやすいんじゃないかなって思ってます。


新しい風を吹かせていけたらいいなって(MICHIRU)
――では2017年はじまったばかりなので、それぞれの目標を最後に教えて下さい。

MAIKO:人任せにしない(笑)。そのひとの得意なところに甘えてたところがあるから、自分から率先してやりたいなと。バンドのアルバムにも言えたんですけど、今まではいろいろな人たちに支えてもらっていたけど、今回は自分たちで作ったアレンジの曲も少し入れさせてもらって。ここからは少しずつ、自分たちの力でできるようになりたいです。

KEITA:僕は今までに書いてこなかったような曲を書きたいなって。枠も広げていきたいなと思って、早速1月から曲作りをはじめました。……1曲できました(笑)。曲作りは遅いほうなんですよね。例えば何かの曲をいついつまでに、ってなるとなかなか書けない。そのあたりはMICHIRUのほうが早くて。

MAIKO:KEITAは野放しのほうが早いんです(笑)。

MICHIRU: (笑) 3枚目のアルバムで、いろいろなことに挑戦してきたので、ここらでひとつ原点回帰じゃないですけど、バンドサウンドを強くしてもいいなと思うし……今まで触ったことのない楽器を入れたりして、新しい風を吹かせていけたらいいなって。それを今年は探していきたいですね。

NANAE:今年、沖縄で野外フェスを計画しているんです。これまで主宰イベントをやったことはあったんですけど、野外フェスは初めてなので、まずはそれを成功させたいなという気持ちがあります。

KEITA:沖縄を代表するアーティストってそれぞれフェスを主宰しているんです。次世代の沖縄のシーンを引っ張るアーティストになりたいというのは常々思っていて、デビューも6年目になったし、僕らもこのタイミングではじめてみるかと。気合いの入ったフェスになると思うので、楽しみにしててほしいですね。

――ありがとうございました!



[文/逆井マリ]


リリース情報
■7!!「セツナエモーション」
 2017年2月8日(水)発売

≪初回生産限定盤≫(CD+DVD) 3,611円(税抜)
【CD収録曲】
1. 相愛性理論
2. FLY
  (オリオンビール「オリオンスタイル」CMソング)
3. オレンジ
  (アニメ『四月は君の嘘』エンディングテーマ)
4. 大きくなる愛
5. 世界を回せ!!
  (オリオンビール「オリオンスタイル」CMソング)
6. 汚れたスニーカー
7. センチメートル
  (tvk「saku saku」2015年10月度エンディングテーマ)
8. 花びら
9. HARU
10. きみがいるなら
  (テレビ東京系ドラマ24「勇者ヨシヒコと導かれし七人」エンディングテーマ)
11. セツナエモーション

【DVD】
「7!!のうぷぷなツアー2016~いちゃりばみーんな☆うっぷすふぁみりー~」ライブ映像

≪通常盤≫(CD) 3,000円(税抜)
【CD収録曲】
1. 相愛性理論
2. FLY
  (オリオンビール「オリオンスタイル」CMソング)
3. オレンジ
  (アニメ『四月は君の嘘』エンディングテーマ)
4. 大きくなる愛
5. 世界を回せ!!
  (オリオンビール「オリオンスタイル」CMソング)
6. 汚れたスニーカー
7. センチメートル
  (tvk「saku saku」2015年10月度エンディングテーマ)
8. 花びら
9. HARU
10. きみがいるなら
  (テレビ東京系ドラマ24「勇者ヨシヒコと導かれし七人」エンディングテーマ)
11. セツナエモーション


>>7!!『セツナエモーション』スペシャルサイト
>>7!!(セブンウップス) Official Site

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