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神田沙也加さんにとって声優は憧れのお仕事。『ヤマト』インタビュー

神田沙也加さんにとって声優は憧れのお仕事──インタビューで見えてきた『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』への思い

 世界に誇る日本のアニメ作品は星の数あれど、『宇宙戦艦ヤマト』(以下、ヤマト)は間違いなくそのひとつに入ることでしょう。大作と言われるほどの『ヤマト』ですが、2017年2月25日からは最新作『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』(以下、2202)の第一章が劇場上映されます。

 新たな展開、新たなキャラクター、そして新たなキャスト、すべてに注目が集まっています。その中でもテレサ役に起用された神田沙也加さんは特に注目すべきキャスティングです。『アナと雪の女王』をはじめ、多くのアニメ作品に関わってきた神田さんはどのような演技を披露してくれるのでしょうか?

 今回、アニメイトタイムズでは、神田さんへインタビューする機会をいただきました。アフレコは不安を抱えたままの収録だったと語る神田さん。しかし、新たな挑戦を前に神田さんの情熱が垣間見られることとなりました。

小野大輔さんに言われた一言が支えに
──長年、ファンに愛されている作品ですが、出演が決まっていかがでしたか?

神田:『ヤマト』は私も当然知っている作品でしたし、私が生まれる前からあった歴史ある作品です。しかも今回演じたテレサは、すごく重要なキャラクターで……。とても印象に残るキャラクターということを知って震え上がり、さらにほかのキャストを聞いて震え上がり(笑)。「大丈夫かな……」っていう不安の方が最初は大きかったですね。


──出演されている声優さんはかなり豪華ですからね。今回、共演して驚いた声優さんはいましたか?

神田:驚いた話ではないんですが、古代進役の小野大輔さんとの共演は緊張しました。以前、「声優アワード」(※1)で小野さんとお話しする機会があったんですけど、「じゃあ神田さん、次は現場で会いましょうね」って言われたんですよ。

※1:その年度の「最も印象に残る」声優や作品を対象に、その業績を称える本格的な「声優を対象とするアワード」。2015年の「第九回声優アワード」にて、小野さんは主演男優賞、神田さんは主演女優賞を受賞しています。


──おお!

神田:私は「はい! 必ず頑張っていきますね!」って返事して。それから共演することになり、「覚えて下さっているかな?」という思いもすごくあって緊張しました。

でも、序盤はテレサがそこまで物語に関わってこないので、「小野さんとご一緒できました!」って言える感じじゃないというか……(笑)。もう少し時間が経って、アフレコ現場でもご一緒する機会が増えたら、思い切って共演できたことを小野さんに報告してみようかなと思っています。

テレサは神々しく、引き算のお芝居
──神田さんは『ヤマト』に対してどういったイメージがありましたか?

神田:私が小さかったころに、現場の大人のスタッフさんや先輩のダンサーさんたちが、みんなでツアーの打ち上げに行ったときに、カラオケで必ず『宇宙戦艦ヤマト』を熱唱していたんです。私の中ではそのイメージが強いですね。私よりも上の世代の男性がドンピシャな世代という勝手なイメージです。


──ちょっと大人の作品、みたいな。

神田 そうですね。放送が1970年代なので、文字通り私が生まれる前だなって……。


──これだけ歴史がある作品への出演は、やはり相当なプレッシャーがあると思いますが。問

神田:ありますあります! しかも、テレサは一言で説明するのが難しいキャラクターで、ヤマトクルーたちが行動する大きなきっかけになる重要な役どころなんです。一種の神々しさというか、神格化した者の説得力を持たないといけないと思いました。それを、これだけの貫禄ある声優さんたちの中でどう演じるのか、今もすごく考えています。

──演じる上で気を付けていることはあるのでしょうか?

神田:TVシリーズの『ヤマト』のテレサの声は非常に落ち着いていて、大人っぽいイメージがありました。見た目はすごく麗しい少女ですけど、あまりキャピキャピはしていないだろうな……と想像しています。

どういうイメージをスタッフさんがお持ちなのかを、実際に現場で聞いてみたら、「キャラクターは女神なんだけど、演じる人間は神にはなれない。しかし、その中でも喋った瞬間に他のキャラクターとはちょっと違うと分かるような神々しさを出してほしい」と言われて。

「神々しさって何だろう?」ってアフレコの短い時間の中で考えましたね。テレサは切なる願いをずっと宇宙に送り続けていて、それは切実な思いで……って。そこでたどり着いた答えが、そんな感情に「お願い!」っていう感じを入れ過ぎると、一気に人間っぽさが出ちゃうことだったんです。「淡々と喋りましょう」とスタッフさんにも言われました。すごく引き算のお芝居でしたね。


──引き算のお芝居、ですか。

神田:そうです。あまり動きもなかったので、自分の地声に近いところで演技してます。

本当にすごいんですよ、声優さんって
──神田さんは『アナと雪の女王』のアナ役(※2)はもちろんのこと、『銃皇無尽のファフニール』の篠宮都役など、声優としても活躍されています。神田さんにとって声優とはどういうお仕事なのでしょうか?

神田:当たり前なんですけど、私たちが見ているアニメは声優さんの演技も含めて完成しているものなんです。ただ聞いているだけだと普通に聞こえるけど、聞いているよりもはるかに考えて演じられているんです。

演じてみるとよく分かって、聞いているのとやるのとでは大違い。それが最も顕著に表れるジャンルのお仕事だなと思います。だから私の中でも一番のあこがれの職業でもあるし、一番難しいものなんじゃないかなって思いますね。

※2:2013年公開されたウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ製作による3Dアニメ映画。全世界で社会現象になるほどの大ヒットを記録した。神田さんは主人公・アナ役として出演し、劇中の歌も担当している。
※3:2014年に放送されたツカサ先生原作(講談社ラノベ文庫刊)のTVアニメ。神田さんは篠宮都 役で出演。


──演じてみて「ここ、想像と全然違うな……」と思ったことはありましたか?

神田:アフレコはひとりで行うこともあるんですが、ひとりで収録していると「アニメの声になってる」と思う瞬間が何度かありました。でも、ずっと声優さんをやられてるプロの方の中に混じると、ひとりだけ別空間の声になっていたんです。声がひとりだけ浮いて聞こえるんですよ。

そこから「声が馴染むということはどういうことだろう?」と考えるようになって、TRUSTRICK(※4)でアニメのタイアップ曲をやらせていただいたときに知り合えた声優さんに、ちょっと相談に乗ってもらいつつ……。

※4:ボーカルの神田さんとギターのBillyさんによるユニット。『ダンガンロンパ THE STAGE ~希望の学園と絶望の高校生~』『銃皇無尽のファフニール』『俺物語!!』などのアニメタイアップがある。2016年のワンマンライブをもって活動休止。

──どうすれば声が馴染むようになるのでしょうか? その答えは見つかっていますか?

神田:聞いたところによると……ある日馴染むらしいんですよ。急に。「なんか、自分だけ違うな……」と思ったら、「この音がちょっと落ちがちだ」「少し声がこもっている」と、技術的なところを修正していって、いつか馴染む時が来るそうです。

好きな声優さんの演技を真似してみたりもするそうですよ。その人のどこが好きかを自分で理解して、その要素を取り入れていくんです。いろいろな方に聞きましたが、やっぱりみなさんやっていると仰っていました。


──なるほど……。

神田:今回は他のキャストさんたちと一緒に収録しているので、声が浮いている感覚もよくわかるようになりました。でも、自分が思うことと他人が思うことは違うと思うんです。だからこそ、常に挑戦し続けています。


──今回はみなさんと一緒にアフレコされたということで、「この声優さんの演技すごかったな!」と思った瞬間はありましたか?

神田:いや、そんな! 誰かひとりというわけではなく、みなさんすごいんです。聞いてるだけで、宇宙が見えるんです(笑)。

いろんなシーンを声だけで演じて、見ている人にキャラクターの気持ちを浮かばせるって、頭ではわかってるけど、やってみると相当に難しいんです。本当にすごいんですよ、声優さんって。

リアルタイムじゃない世代に見てほしい!
──『2202』に出演してから、『ヤマト』に対するイメージは変わりましたか?

神田:作品の中身をちゃんと理解したからこそイメージは変わりましたね。あと、やっぱりすごく感じたのは、『2202』への出演が決まったときに、うちの事務所の人が全員喜んでたんですよ! もちろん、みんな私より年上で。「ヤマト決まったの!?」みたいな感じで喜んでいました(笑)。それだけすごい作品だっていうことがよく分かったし、多くの人のテンションが平等に上がる作品ってなかなかないですよね。


──たしかに。

神田:そんな作品が今も現役で、さらにリメイクもされる。すごく強い作品なんだなっていうイメージが増しました。


──『2202』は今まで語られていなかった部分にも触れられていますし、強い作品というイメージもより強くなると思います。神田さんも作品に期待していることなどはあったりするのでしょうか?

神田:そうですね。こういう作品に参加するときは、ファンの方が一番喜ぶ結果になればいいなっていつも思っているんです。コアなファンの方が「よしきた!」「これがシリーズ最高作」って思えるものをキャストもスタッフも一緒になって作っています。ファンの方の鳥肌を立たせられる結末が一番いいですね。

──ファンの方はもちろんのこと、どんな方に『2202』を見ていただきたいですか?

神田:リアルタイムじゃない世代ですかね。「懐かしい!」とか、「楽しみにしてました」という方はもちろんなんですけど、「なんか難しそうなイメージがある」と思っている方に見てほしいです。私も最初に見たときは、映像を再生しては戻しを繰り返しながら「これはこういうことだから……あ! あれ、あそこからのミサイルのことだ!」みたいな感じでしたから(笑)。


──(笑)。

神田:そういうことも、わかってくるとすごく楽しいんですよ。私よりも年下の方や「『ヤマト』って聞いたことあるけど、見たことないな……」という方にぜひ見てもらいたいです。現代にマッチする絵柄になって、『ヤマト』への入り口を広げたいと制作陣も考えているみたいなんです。だから私も、その助けができればいいなと思います。


──いろんな「愛」がテーマになっているようですし、思いが伝わればいいですね。もちろん、古代進と森雪(声:桑島法子さん)のイチャイチャシーンもありますし、意外と女性にもオススメなんじゃないのかなと……。

神田:そうなんです(笑)。それずっと話題になってたんですよ、収録現場で。南部康雄役の赤羽根健治さんが「ずっとね、イチャイチャイチャイチャしてますから!」って言ってました(笑)。シリーズをずっとやられてるみなさんって、そういうファミリー感があって、超絶に羨ましいんですよ。

──それは確かに(笑)。

神田:そこに入れるように頑張っていきたいですね!

「この「愛」は宇宙を壊す──」というキャッチコピーも「どの愛なのか?」「どの愛を指しているのか?」と、妄想が膨らむキャッチだと思います。ファンの方は存分に妄想を膨らましていただいて、「これがどの物語のリメイクなのか?」と想像しながら楽しんでいただきたいです。

[インタビュー/石橋悠]

◇第一章STORY◇
時に西暦2202年。
あの壮大な片道16万8000光年にも及ぶイスカンダルへの大航海から宇宙戦艦ヤマトが帰還して、既に3年――。
〈コスモリバースシステム〉により、かつての青い姿を取り戻した地球は、ガミラス帝国とも和平条約を締結。復興の傍ら、防衛のためと最新鋭戦艦アンドロメダを含む新鋭艦隊の整備が進められていた。イスカンダルのスターシャの願いも虚しく、地球は軍拡への道を歩み始めていたのだ。はたしてこれが、かけがえのない数多くの犠牲の果てにヤマトが成し遂げた、本当の平和なのだろうか?
宇宙の平穏を願う女神テレサの祈りが、ヤマトを新たな航海に誘う。
いま、宇宙を席巻するガトランティスの脅威が、地球に迫っていた――。

―各話STORY- ※第一章は第1話、2話で構成されます。
第1話「西暦2202年・甦れ宇宙戦艦ヤマト」
あのイスカンダルへの大航海から3年。〈コスモリバースシステム〉によって蘇った地球は、急速に復興を遂げようとしていた。一方、地球とガミラスの混成艦隊が、謎多きガトランティスの前衛部隊と武力衝突を繰り広げる。その渦中に、元宇宙戦艦ヤマト乗組員・古代進の姿があった――。

第2話「緊迫・月面大使館に潜行せよ」
最新鋭戦艦アンドロメダの観艦式が盛大に執り行われる。新しく樹立された地球連邦政府は、軍備拡大路線を突き進んでいるのだった。沖田艦長の命日に英雄の丘へと集う元ヤマト乗組員は、イスカンダルとの条約を反故にしてまで再軍備を進める地球の現状に、激しい違和感を覚えていた。

<CAST>
古代進:小野大輔/森雪:桑島法子/真田志郎:大塚芳忠/徳川彦左衛門:麦人/南部康雄:赤羽根健治/
相原義一:國分和人/榎本勇:津田健次郎

<STAFF>
製作総指揮:西﨑彰司/シリーズ構成・脚本:福井晴敏/監督:羽原信義/副監督:小林誠/メカニカルデザイン:玉盛順一朗/メカニカルデザイン:石津泰志/キャラクターデザイン:結城信輝/音楽:宮川彬良

>>『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』公式サイト

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