声優
高橋美佳子さんに聞く「800回ラジオを続けるためには?」

16年続くラジオ『美佳子@ぱよぱよ』。高橋美佳子さんに聞く「800回ラジオを続けるためには?」

 アニメイトタイムズで好評配信中の声優・高橋美佳子さんのラジオ番組『美佳子@ぱよぱよ』。高橋さんと、愉快かつ豪華なゲスト陣が織りなしてきたこの番組も、配信800回を迎えました。

 800回と聞くと「なんだかすごそうな数だけど、どのくらいすごいのかよくわからない」と思っている方もいらっしゃるでしょう。簡単に説明すると、800回配信するのには約16年間かかる計算になります(単純計算ですが、毎週1回配信で月に4回更新。1年に48回配信できるので、800÷48=16.6666…年になる)。

 そんな長年続けてきた『美佳子@ぱよぱよ』について、パーソナリティである高橋さんはどう考えているのでしょうか? 今回、「800回ラジオを続けるためには?」そんな疑問を持って、800回記念として高橋さんにインタビューを行わせていただきました。16年続くラジオの神髄をご覧ください。

800回もいつも通りの収録
──配信800回を迎えた心境はいかがですか?

高橋美佳子さん(以下、高橋):正直なところ、すごく嬉しいとかも無いんですよ……。

一同:(笑)。

高橋:800回を目指していたわけでもないので、毎週の『美佳子@ぱよぱよ』の1回が偶然、800回だったという感じです。それが私たちの良さであり、良くないところでもあるのかなと(笑)。そういう節目をほかの番組だったら盛大に「おめでとう!」ってやると思うんですけど、私たちそんな体力がないので……(笑)


──だから、いつも通りなんですね(笑)。

高橋:本当にいつも通りです。普通の回ではあったんですけど、800回に合わせて公開録音をやらせていただきました(『美佳子@ぱよぱよ』は毎月、公開録音を行っている)。今回は、昔からのお友達である杉田智和くんに来てもらったこともあって、特別な感じは出たかなと。

それでも私たちは、いつも通りの『美佳子@ぱよぱよ』の1回という気持ちでやりました。もちろん、長くやらせていただいて嬉しいですが、回を重ねていくことに変な気負いはありません。


──100回、200回、300回などの節目もなにもされていないのですか?

高橋:最初はあったと思います。私も若かったし、番組も100回だと2年目くらいだと思うんですけど。

アシスタント・中村健一さん(以下、中村):「100回やれたらいいね」っていうのを番組立ち上げの頃になんとなく言っていました。

高橋:500回も10年目で重要だったので、感慨深さはあったと思うんですけど、それ以外の600回、700回はこれといってなかったですよね? (スタッフに向かって)記憶にないもんね?

中村:記憶にないって……(笑)。


──(笑)。その日常がリスナー的にはいいかもしれませんね。

高橋:そうですね。もう16年もやっていたらそうなんだと思います。


──16年やっているラジオってなかなか無いですよね。

高橋:そうですね、今では少なくなりました。


──もともと番組はどのような経緯でスタートしたのでしょうか?

高橋:もともとは、私がビクターエンタテインメントからCDを出していて、その販売促進、プロモーションの一環としてラジオをやらせていただいていました。最初はラジオ日本とラジオ大阪での地上波放送で『美佳子のぱよぱよ』という番組名でした。

『美佳子のぱよぱよ』が終了してからは、ビクターエンタテインメントのサイトにある私のアーティストページでインターネットラジオとして『美佳子@ぱよぱよ』の第1回目がスタートしたんです。

そこから私がもうCDを出さなくなったので番組をビクターエンタテインメントのサイトで続けることができなくなるんですけど、番組を終わらせるのは嫌だったんです。構成作家の阿部浩之さんがアニメイトさんに掛け合ってくださって今の形式(アニメイトタイムズの前身となるアニメイトTVでの配信)を取らせていただきました。


──場所を移してもそのまま番組を続けられるはすごいですよね。もしかしたら無限に続けられるラジオなのかもしれません。

高橋:このまま続いたら嬉しいですけど、番組には予算が必要になるので、その為に毎月公開録音をやっています。みんなの参加してくれて出資してくれて番組が一回でも多く続いたらいいな、という感じです。


──公開録音を頻繁に行う理由はそこなんですね。

高橋:私もラジオが好きだから学生の頃から地上波の番組をいっぱい聞いていたんですけど、ラジオは無料で楽しめるものという印象が強いんです。それが有料になってしまうと聞く人にとってもハードルが上がるし、もちろん聞く人もグンと減るので、それはどうしても避けたかったんです。今の公開録音の形式を取りました。


──なるほど。

高橋:今はもうその生活が10年以上も経っているので、公開録音をやるのが日常になっています。他のアニメのイベントに参加するときは「よし、今日は頑張るぞ!」って思うんですけど、公開録音に行くときは「みんなに会いに行くぞー」くらいの、大きな飲み会に参加しているようなつもりでいつもやっています。

そんなモチベーションだから油断もしていて、台本持たないでステージに出ちゃったり、ストップウォッチ回すのを忘れちゃったり、そんなこともしばしばです……(笑)。「みんなー、ひさしぶりー元気ー?」みたいな感じ。それでも毎回たくさんの方に来ていただいて、特に毎月来てくれているお客さんたちもいて、ありがたいです。


──ファンも一緒に『美佳子@ぱよぱよ』を作っているみたいな。

高橋:そうですね! そういう風に思っていただけるとすごくありがたいです。


──800回を迎えて何か変わったことはありますか?

高橋:何か変わった? 私が結婚発表したくらい?

中村:ここ最近のトピックだと結婚発表したくらいじゃないですかね。その前はプロ野球にハマったこともありました。番組的に何かあるかといったら特になく、いつもの通りです。


──(笑)。

中村:平凡にやってますね。下手したら収録回が何回かわかんなくなっちゃうからね!

高橋:回数は本当に気にしていません!

中村:たぶんリスナーの方が把握してる。

高橋:把握してくれていたらありがたいな、くらいで。だから回数はそんなに大事じゃないのかもしれません。798回の収録でも800回を気づかずに進めちゃったし……。回数を見るよりも毎回ラジオをお届けできているっていう事実の方が大切ですね。聞いてくれているみんなが楽しんでくれるのが全てです。

生きた証を『美佳子@ぱよぱよ』に刻んでいる
──特に思い出に残っている収録やゲスト回はありますか? 

高橋:思い出に残っている収録やゲスト……。もう何100人と来られてますから、思い出すのも大変です。今はゲストが来たり来なかったりなんですが、2~3年くらい前までは毎週必ずゲストがいて年50人は必ずいました。

そう考えても500人以上は来ているので、そうですね~、誰だろう……。


──毎回、高橋さんのお誘いでゲストを呼んでいるそうですね。

高橋:そうなんです。特に初期の頃は本当に私からゲストを呼んでいました。快いお友達声優さんたちに遊びに来てもらう感じでした。

その時々のお仕事などで関わった方を呼んでいたので、ゲストを振り返ると私がどんなアニメのレギュラーをやっていたかが大体分かるんですよ。「これはテニスの王子様で固めてるな」とか、気づくと思います。

中村:最初の方だと『テニスの王子様』のキャストの方々や、原作者の許斐剛先生にも来ていただきました。そのときは大勢でやりましたね。

高橋:10人でマイクを囲みました。

中村:普段少人数なのに。

高橋:本当に感謝です、うちの番組のためにみんな来てくれて。初期はそういうことが多かった印象です。

中村:あとは『ハチミツとクローバー』の羽海野チカ先生にも来ていただいて。

高橋:羽海野先生だけじゃなく神谷浩史さんと杉田智和くんも一緒に来てくれました。当時は私も若手だったので、同期の若手の子たちも大勢ゲストに来てくれました。

様々な現場で私が直接ラジオに出てくれるように声をかけていて、「この日空いてる? ラジオにゲストで来てほしいんだけど……」っていうやり取りをよくしていました。昔は今よりもっと怖いもの知らずだったので、大先輩にバンバン声をかけていました。

中村:(笑)。

高橋:たくさんの先輩方に来ていただけたのは本当に嬉しいです。みなさんに支えられてゲストコーナーは成り立っています。


──やはり、高橋さんの人望があってのことではないかと思いますが。

高橋:人望……そうだったらありがたいですけどねぇ。でも、友達は多い方だと思いますけどね!

中村:じゃなきゃゲストさんが、そんなに来ていただけないですよ。

高橋:可愛がっていただいていた新人の頃もあるし、今は後輩の子たちにも慕ってもらっていますから、本当にありがたいです。公開録音になると「次いつ呼んでくれるんですか?」って逆に言ってくれたりするんですよ。私の生きた証や声優人生そのものを毎週の『美佳子@ぱよぱよ』に刻みながらやっています。


──トータルでどれだけ時間がかかるかわかりませんが、最初から番組を聞いてみたいですね。

高橋:最初の頃は全然テンションが違います! とにかく若い! 20歳の私のキンキンした声で訳の分からないことを言っています。

私は自分のラジオを必ず聞くんですけど、昔よりも今の喋りの方が好きです。初期の頃は、ノリとテンションだけで押し切ろうとしていたり、経験値が低いので言っていることに説得力もないですし……。「もう何言ってるんだよ!」っていう感じを1時間ダラダラやっていましたから。

「ぱよっこ」は自慢できるかけがえのないリスナー
──ラジオの収録が日常になっていると仰っていましたが、いつもどんな気持ちで収録に挑んでいるのでしょうか? 

高橋:「基本的にラジオはエンタメだ」という気持ちが強いので、リスナーありきのものだと思っています。「リスナーさんが面白いと思えることじゃないと提供したくない」という思いを大事にしています。なので、リスナーさんが送ってくれるメールは一番大事に、大切に読んでいます。それプラス、自分の近況だとかを面白く届けています。

「こういうのがあったよ」っていう近況報告って、やっぱり面白く届けないとエンタメにならないと思うんです。それはどの番組でも同じです。私は真面目なトーンで話せないこともあるんですが、ラジオは面白くなくちゃダメなので、「いかに面白いものを届けられるか?」を考えて、日常のネタ探しをしています。

ネタがなかったら、ちょっと親知らずを抜いてみたりもしますし、話せることを1つでも多く増やしたいなというのは常にあります。これからもいろんなことにチャレンジして、いろんなところに旅行行って、面白かったことをみんなに伝えたいです。


──日常まで! その生活がもう染みついている感じですか?

高橋:もう16年も『美佳子@ぱよぱよ』をやらせてもらっていますし、リスナーのみんなが楽しいものを届けるのが一番です。たまに微妙な話をしてしまうと、「ちょっと面白くないお喋りしちゃったなー」といまだに反省します。


──すごくまじめですね。

高橋:根はまじめだと思うんですけど……。それが喋りであまり伝わらない(笑)。


──(笑)。リスナーのお話しも出てきたのでお伺いします。『美佳子@ぱよぱよ』では、「ぱよっこ」と呼ばれるメール職人たちが活躍していますが、思い出に残っていることはありますか?

高橋:活躍(笑)。「ぱよっこ」のみんなは、本当にたくさんいるんです。

中村:ラジオのADも元リスナーです。公開録音にも来ていて、途中でスタッフに加わったんですよ。

高橋:もう10何年前だよね。そういうスタッフもいます。


──高橋さん的には、「ワシが育てた!」みたいな?(笑)

高橋:私何もしていないですよ!(笑) これはスタッフの手柄です。私はただ喋っているだけですから。

リスナーにも入れ替わりが多少あるんですが、16年間ずっと聞き続けている人はやっぱり目立ちますし、いつもメール送ってくれてる人や公開録音に来てくれる人だと顔やお名前も覚えることもあります。

中村:そうそう(笑)。

高橋:そういう人は本当に貴重なんですけれど、ありがたいことにいらっしゃるんです。それとは逆に、今回の収録では16歳の高校生の女の子からメールが来ていました。新しいリスナーもうれしいです。

ラジオって長くやっているとリスナーが出たり入ったりしつつも、かつてラジオを聞いてくれていたリスナーが帰ってきてくれるタイミングがあるんです。それってすごく面白いですよね。

中村:「久々に聞いたけどまだやってて嬉しかった」みたいなメールも来ますからね。

高橋:そうなんです。私たちも変に引き止めないので、ずっとやっていれば「あ、そうだ久々に聞いてみよう!」って楽しんでくれたら嬉しいです。そうしたら次に、「あ、そうだメール書いてみよう!」って思ってくれるかもしれない。


──確かに。

高橋:しかも「ぱよっこ」は本当にいい人たちばかりです。公開録音が終わった後に会場の忘れ物やごみのチェック、会場の整理まで自主的にやってくださっているんです。誰も強制していないのに。

中村:僕たちは撤収作業をしているので、裏で作業していて見ていなかったんですが、何年か前に偶然気づいたんです。

高橋:会場が映っているモニターが控室にあって、「みんな何やっているんだろう?」ってスタッフと一緒に見てました。

もう誇らしいです。自分の番組のリスナーさんたちがそこまで番組のことを思ってくれたんだって。私にとって「ぱよっこ」は、かけがえのない自慢できるリスナーです。

リスナーの日常の足しになれば十分
──そんな「ぱよっこ」たちと続けてきた『美佳子@ぱよぱよ』ですが、配信1000回を目指して、意気込みをお聞かせください。

高橋:1000回だとあと4年で私は40歳になるのか……。生きているとは思いますけど、目指しちゃうとドキドキしちゃうので、逆に目指さず、1回1回を地道にやっていけば未来へ繋がっていくんじゃないかなって思います。16年やれていることが奇跡なんですけど、私たちもいい年なのでここからは健康で……。

中村:そうだよね。プロ野球なんて嫌いだったのが大好きになるくらいだから、何が起こるかわからないですよね。

高橋:ほんとそう! 1000回を目指すよりも801回、802回とちゃんと踏みしめて私たちも楽しくやりたいし、リスナーのみんなが少しでも日常の足しにしてもらえればそれで充分です。私たちはホームランはあまりなかったので、ずっとヒットを打ち続けてきました。それをずっと継続できたらそれでいいので、みんなが楽しんでくれさえすればもうそれで十分です。みんなで笑いあえる番組をこれからも続けていきたいです。


[インタビュー/石橋悠]

『美佳子@ぱよぱよ』番組情報
パーソナリティーは声優:高橋美佳子。チャレンジ精神旺盛で苦手だった野球を克服しもはや野球狂に!
他にも笑い屋&ちょい喋り担当:普通の人、うずらん。
構成作家:阿部さんは札幌在住、番組聞いてないおじさん(!)50歳にして結婚&子持ちに!
ディレクター:こだまん。ぽっちゃりパパ!ミキサー:スッチー。最年少パチスロ大好きママ!
この5人が織り成す人間模様とお友達声優様に支えられたゲストコーナー、そして優しさいっぱいのぱよっこと作るトークバラエティー!
月一の公録も町屋で絶賛開催中☆詳しくはぱよまかせの「美佳子@ぱよぱよ情報」を見てね♪

>>『美佳子@ぱよぱよ』配信ページ

◆公開録音情報
3/26(日)
東京都荒川区・ムーブ町屋
19時開演予定
ゲスト:鷲崎健さん

>>高橋美佳子オフィシャルファンクラブ「ぱよまかせ」

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