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ポケモン映画20周年|松本梨香・山寺宏一インタビュー

親友・ライバルである松本梨香さん&山寺宏一さんの関係から見る、「ポケモン」と歩んだ20年。「劇場版ポケットモンスター キミにきめた!」インタビュー

20年前に公開された「劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲」。TVアニメ「ポケットモンスター」(以下、ポケモン)は大人気シリーズとなり、2017年7月15日からは、最新作・20作品目となる「劇場版ポケットモンスター キミにきめた!」が公開となります。「劇場版ポケットモンスター キミにきめた!」はサトシとピカチュウの旅立ちを新たに描き直す、原点回帰とも言える作品となっています。TVアニメの放送がスタートした当時を思い出させる内容になっていますが、その気持ちに浸っているのはファンだけではありません。

今回、20年間サトシを演じ続けている松本梨香さんと、「劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲」から20作連続で劇場版に出演している山寺宏一さんへインタビューを行うことができました。声優としてもほぼ同期のお二人。お話は、「ポケモン」の思い出から、お二人の親友・ライバルとも言えるエピソードまで多岐にわたりました。

「あれ!? サトシずっと頑張ってんだ」って思ってもらえたらいい
──今回、「ポケモン」映画が20周年、20作目となりました。20という数字を初めて聞いた時、どう思われましたか?

山寺宏一さん(以下、山寺):まあ19の次は20だろうと思いました(笑)。急に20と来たわけじゃないからね。それは僕よりも......。

松本梨香さん(以下、松本):個人的にやっと成人式を迎えたという気分です。だから、いろんな方にポケモンワールドを愛してもらって、これからももっと頑張っていかなきゃって……。

山寺:十分認知してもらってますけど、さらにね。

松本:アニメが始まったときは、一年間というお話だったんですよ。それが、劇場版になって、今を迎えられるなんて夢のようです。20年も続いていることに感謝の気持ちでいっぱいです。

振り返ると波乱万丈いろいろな事を思い出します。その中で20年間やり続けていられることへの感謝の気持ちが大きいですね。


──20年同じことを続けるのは、なかなか難しいことだと思います。

松本:そうですね。人生の中で20年続けたことってなんかある

山寺:うん、ある。この仕事(笑)。

松本:仕事はもちろんそうなんですけどね(笑)。毎週、毎週通い続けたお稽古事みたいな……。そういう意味では20年続けてこられたことってあまりないと思う。20年って考えると、言いたいことがいっぱいありすぎて、うーん。20年かー。

山寺:長いようで、あっという間だったよね。

松本:そうですね。あっという間でもあり……ですね(笑)。

山寺:梨香も俺も、キャリアがね、ほぼ同じくらいなんですよ。俺の場合はほぼ劇場版だけなんで、出演したのは20回くらいですけど。シリーズで言うと、もう1000話近いでしょ それにプラス劇場版だから。梨香は、それだけサトシを演じてきたわけですよね。

松本:「ゲットだぜ」ってこんなにたくさん言った人は他にいないんじゃないかと思います。

山寺:「ゲットだぜ」ね。そんなに言うのって、トータス松本さんか、松本梨香さんかでしょ……。あっ 両方、松本さんだ ゲットだぜ……あっ「ガッツだぜ」だった。


──(笑)。

松本:それわざと! わざとでしょ。

山寺:あとはダンディー坂野さんくらいだね。

松本:ああ、「ゲッツ」ね。

山寺:“だぜ”付いてないけどね。

一同:(笑)。

山寺:僕も『おはスタ』は18年半で卒業させていただいたので、20年はいってないんですよ。梨香はもうすごいです。パワーも衰えないし。

──そうですよね。そこが一番ビックリするところ。

松本:褒めてもらえて嬉しいです(笑)。

山寺:なかなかですよ(笑)。あんだけガーッて声出してるのにさ。


──いつでもTVをつけると「サトシがいてくれる」っていうのはすごいことですよね。

山寺:サトシって、色んな経験をして成長しているけど、ずっと同じ純粋な気持ちを持ち続けていますよね。

松本:うんうん。

山寺:今回特にね、それが色濃く出ているから。


──そうですね。今回は特に原点回帰ということで、ストーリーで懐かしい部分もいくつかありました。

山寺:どう? そういうのって。20年経って、同じシーンをまた演じるのって。

松本:うーん。こういう日が来るとは思ってなかったって感じですね。

山寺:そうだよね。

松本:20年って言われるなんて当時は思ってもいなくて。だから20年目にして見られる景色は違うなとすごく感じています。

「ポケモン」を見ていた子どもたちが成長して、いずれアニメから卒業して行く人たちが多い中で、フッとTVを点けたら、「あれ!? サトシずっと頑張ってんだ」って思ってもらえたらいいですよね。「じゃ、オレも頑張んなきゃっ」て背中を押してあげたらいいな
「ポケモン」は、自分がくじけそうになった時に、戻ってこられる場所になっていたら嬉しい。そういう場所であり続けたいなってすごく思うし、その想いが強いですね。

20年、同じ作品で共演できる不思議
──お互いの20年間を見ていて、変わったこと、変わっていないことはありますか?

山寺:変わってないですねぇ〜(笑)。

松本:良いこともたまには言ってくださいね(笑)。

山寺:良いことですよ、変わらないってのは(笑)。出会った日のことを昨日のことのように思い出せるくらいですから。でも、何年かぶりに会ったわけではないんで、改めて考えると、変わっているところもあるのかもしれない。……どっちだろうな。

松本:(笑)。

山寺:ずっと会ってるからその変化に気づいてないのかもしれませんね。これだけやってるんだから、お互い成長してないとね。成長したかなぁ、俺。

松本:してると思います。上から目線ですけど。あ、私は山さんに会ったころから「山さん」って呼んでいるので、インタビュー中も山さんで大丈夫?

──大丈夫ですよ。

松本:一度、山さんに、「山さんって誰だよ。俺は山ちゃんだ」って言われたことがあって(笑)。どう呼べばいいのかちょっと分からなくなっちゃったことがあるんです。

山寺:いちおう、俺が年上なんでね。友達なんですけど、気を遣って、山さんって言ってくれているんですよ。

松本:山さんが、色んなTV番組に出たり、何か他のことを一生懸命チャレンジしようとしていたり、この業界を良くしようとしていたり、頑張っている姿はいつも見ていたんです。こんな話、ちゃんとしたことはないんですけど(笑)。

そんな山さんを見ると、私もすごく背中を押してもらえてるし、「山さんが頑張っているから自分も頑張んなきゃ」って踏ん張れる。だからある意味、本当に良い同志になれているのかなって、自分の中では思っているんです。

山寺:うーん……全くその通りですね!

一同:(笑)。

松本:養成所の時からライバルっていう感じだったんです。その割には一緒にユニットを組んでたりもしていたんですよ。お芝居も一緒にやっていたし。

山寺:ユニットを組んで色々やってたんですよ。

松本:養成所を卒業してから、8年くらいやってました。そういうのもあって、仕事での知り合いではなく、友達を超えて親戚とか家族みたいな感覚なんです(笑)。結婚式で日舞も踊らせてもらったし……(笑)。

だから、例えば山さんが座長で舞台をやる時とかは、山さんは「来て」とは言わないんですけど、知ったときは、チケットを買ってこっそり見に行ったりするんです。「頑張れ」っていうちょっとした応援ができればと。そんなこと、直接言ったことはあんまりないんですけど笑。ずっと一緒に頑張ってたから、今度はちょっと離れて応援するみたいな。ユニットはもうやってないけど、ずっとこの仕事をしていたら、「ポケモン」で一緒に仕事をしたり、どこかで繋がっているんです。

私が具合を悪くして、舞台を当分できなかった時、「声のお仕事に挑戦してみようかな……」と相談した所、山さんが「お前だったらできるよ」って声をかけてくれました。本人は「もう忘れた」って言うんですけど、背中を押してもらって戻ってこられたところもあるので……(笑)。

山寺:そうなんだ(笑)。

松本:そうだよ(笑)。Tシャツを持ってお見舞いに来てくれたことがあるんですよ。ちょいちょい優しかったりするんですよ。あとはもう、すごくひどいですよ(笑)。よく女房を人前で悪く言う人いるじゃないですか。そんな感じでいじめるんです。

山寺:ツッコミがいがあるんですよ(笑)。

松本:なんでやねん(笑)。だからね、泣けてくる時があるんですよ。山さんが汗かきかき自分のやりたいものを表現してるのを見ると。

山寺:親か!?

松本:親! そうそう! なんか、そんな感じ(笑)。自分の事のように思っちゃうことが何かあります。はじめて言っちゃった~(笑)。

山寺:こういうのね、世の中では腐れ縁と言うんですね。

──あぁ〜! そうですね!

山寺:そんなに大きく頷かないで(笑)。


──(笑)。

山寺:でもこういう感じですよ。出会ってからずっと。梨香は情が深いといいますか、人情家なんです。サトシそのままですよね。だからまっすぐでね。繊細な部分も持っているんですよ。普段は誰よりもでっかい声で「ワァー」って、みんなを盛り上げてくれるんですけど、本当はデリケートな部分を持っていて、まっすぐで。

そういうところが、お互いに気になる存在なんですよ。元々、喧嘩友達みたいな感じだったんです。でもお互い認め合っているから、そういう関係でいられると思うんです。もちろん俺も、梨香が頑張っている姿を見ると「頑張らなきゃな」って思いますから。ずっと、お互い体に気を付けて元気でやっていきたいなと(笑)。

松本:本当にそうですね(笑)。


──親友でライバルどうしみたいな関係なんですね。

山寺:そうですね。

松本:山さんのことをみんなが褒めたりするとすごく嬉しいんですよ。自分が褒められたみたいになるんですよ、一瞬ね(笑)。

山寺:俺なんか、梨香は上京してすぐの友達ですから。お互いに仕事だけの付き合いじゃないんです。本当に古いんですよ。そのおかげで、上京したときから楽しかったんですよね。いろんろ不安なこともあったはずなんです。上京してから不安だった一人暮らしで、「この世界でやっていけんのか」って色々思っていた。でも、友達がいたことで、何の苦労も感じなかったんです。

その仲間たちの中心が梨香だったんですよ。上京して、どうなるか分からないのに、養成所が楽しくて。仲間で喧嘩もよくしたけど、楽しかったですよね。

そういう間柄で、こうやって一つの作品で20作。一緒に出演できるなんて、不思議ですね。


──毎年絶対一回は同じ作品で共演できるっていうことですね。

山寺:こういう風に一緒にインタビュー受けるってね。だいぶ経ってるのに。ありがたいです。

松本:いや、本当に感謝です。

「ポケモン」はひとりぼっちにさせない
──長く関わってきたお二人は、「ポケモン」の魅力を何だと考えていますか?

山寺:「ポケモン」って独特の世界観がありますよね。「「ポケモン」って○○みたい」って他のものに例えられないじゃないですか。「ポケモン」は「ポケモン」なんです。どうやってその世界観を作りだしたんだろうっていつも思います。

そして、ポケモンと人間の関係。今回なんて、サトシとピカチュウが愛し合っている夫婦みたいな関係になってましたから。ポケモンワールドって制限が無いですからね。いろんな物語を描けるもの魅力だと思います。

で、主人公サトシの松本さんがどう思ってるか。間違ってないでしょ(笑)。

松本:正解(笑)。魅力はたくさんあると思うんですけど、「ひとりぼっちにさせない」「いつも寄り添ってくれる」ということがすごく大きいんじゃないかなって思っているんです。

アニメを見てくれた人たちが寂しい思いをしない。だから、私はサトシっていう役を演じながら、たくさんの人とのつながりができたらすごく嬉しいなって思います。

私はピカチュウとサトシの間柄は、親子のような感じがします。ピカチュウは、やんちゃで聞かん坊だけど、サトシはそれをかまってあげる愛がある。それを見ている人たちも愛を感じて、ひとりぼっちにならないんです。「ポケモン」愛から、自分たちの愛を感じてくれたらいいなと思って演じています。

山寺:ひとりぼっちって話で思い出しました。今ちょうど七夕の時期ですけど、去年の七夕の時に、うちのマンションに七夕の笹が飾ってあったんです。「どうぞお好きな願い事を書いてください」って。恥ずかしくてなかなかマンションで書けないじゃないですか(笑)。でも、こそっと誰もいない時に、すごく考えて書いたんです。

松本:書いたんだ(笑)。

山寺:酔っぱらってたの俺。だから人類愛をものすごく思い描いちゃって(笑)。「世界平和とかは違うな。究極は何だろう」とか考えて。酔っぱらってるとセンチメンタルになるじゃないですか。考えた結果、「ひとりぼっちの人がいなくなりますように」って書いたの。

──おお〜。

山寺:俺、素晴らしいこと書いたなあと思って(笑)。後で見て恥ずかしくなったんですけどね。

でも、梨香の話を聞いてそうだなって思いましたね。「ポケモン」を見て、ひとりぼっちじゃないって、思ってもらえるのはすごいですよね。誰かと繋がることの大切さを分かってもらえたら素晴らしいですね。……よし、今日の舞台挨拶そういうことを言おう(笑)。(※インタビュー当日は完成披露試写会が行われた)

一同:(笑)。

山寺:いつもまとまんないでしょ、お互い。言いたいことが多すぎて。

松本:そうそう。いつも困る!

──(笑)。では、そろそろお時間ですので、最後に『劇場版ポケットモンスター キミにきめた』の見どころをお聞かせください。

山寺:「ポケモン」の良いところが本当に見事に詰まってるなって思いました。でも、とってもわかりやすくて。監督も仰ってた「「ポケモン」の入門書」になっているんです。昔から見ていた人は懐かしいって感じられて、今回初めて見る子どもたちにも感動してもらえる。誰でも楽しんで感動してもらえる、とてもいい作品だと思います。

しかも、すでに描いている感動的なエピソードも盛り込んでいるんだけど、新しいものにも見えるんです。すごく不思議な感じがしますね。20周年に相応しい作品です。そして、新たなスタートと言えるような作品です。

松本:20周年ということで、「ポケモン」に関わった全てのスタッフ、キャストのやりたいことがいっぱい詰まっているんですよ。だから、今回サトシを演じていて、もう目頭が熱くなる部分がすごく多かったんです。「泣かずに見られるのかな、私」って思います。

変な話なんですけど、映画を見ながら、当時の自分がどう過ごしていたかフラッシュバックするんです。すごい作品だと思いますよ。そこまで思わせちゃう。

作品を見終わって、「ああこうだったな。自分はどうだろう」って考えさせられるんです。今回の作品を見てくれるみんなもきっとそうだろうなって思います。おっきなタオルを持って、泣くのをこらえずに楽しんでもらえたら嬉しいです。


──バスタオル必須ですね(笑)。本日はありがとうございました!

[インタビュー/石橋悠 撮影/トヤベコウヘイ]

作品概要
公開日:2017年7月15日(土)全国ロードショー

<ストーリー>
全てのポケモンファンへ――、これはふたりの「出会い」と「約束」の物語。
マサラタウンに住む少年サトシは、ポケモントレーナーになる資格を得ることができる、10歳の誕生日の朝を迎えていた。まだ見ぬポケモン、まだ見ぬ世界への憧れを胸に、オーキド研究所で仲間となるポケモンをもらうはずが、大寝坊をしてしまったサトシに残されていたのは、人間に懐こうとしない、残りのポケモンのピカチュウだった。「キミはオレが嫌い? オレはキミが好きだよ!」ぶつかり合いながらも、少しずつ友情を深めていくふたりだったが、旅立ちの日に空を飛んでいた伝説のポケモン・ホウオウを見上げ、虹色の羽根を手にサトシとピカチュウは誓ったのだった。

「いつか一緒に、あいつに会いに行こうぜ!」

こうして世界一のポケモンマスターになるため、旅を始めたサトシとピカチュウは、途中でトレーナーのマコトとソウジに出会い、ホウオウに関する言い伝えを聞かされる。「虹色の羽根に導かれ、ホウオウに会う者、虹の勇者とならん。」いつの間にかサトシの影に潜んでいた、謎のポケモン・マーシャドーに導かれるようにして、ホウオウが住むテンセイ山を目指すサトシたちだったが、そこに強敵が現れる。ふたりはホウオウにたどり着くことができるのか!? 旅立ちの日に誓った約束を果たすため、今、ふたりが「本当のパートナー」になるまでの冒険が始まる!

<キャスト>
サトシ:松本梨香
ピカチュウ:大谷育江
ムサシ:林原めぐみ
コジロウ:三木眞一郎
ニャース:犬山イヌコ
ナレーション:石塚運昇
特別出演:本郷奏多 佐藤栞里 山寺宏一 中川翔子 古田新太

<スタッフ>
原案:田尻 智
監督:湯山邦彦
エグゼクティブプロデューサー:岡本順哉 宮原俊雄
プロデューサー:下平聡士 松山 進 知久 敦 片上秀長
脚本:米村正二
アニメーションプロデューサー:加藤浩幸
キャラクターデザイン:一石小百合 松原徳弘
総作画監督:一石小百合
音響監督:三間雅文
音楽:宮崎慎二
製作:ピカチュウプロジェクト
配給:東宝

オープニング主題歌:松本梨香「めざせポケモンマスター -20th anniversary-」(SMEレコーズ)
エンディング主題歌:林明日香「オラシオンのテーマ ~共に歩こう~」(EPICレコードジャパン)

>>ポケモン映画公式サイト
>>劇場版ポケットモンスター キミにきめた!公式ツイッター(@pokemon_movie)

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