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『イケメン戦国』TVアニメを通じてスタッフ陣がファンたちに伝えたいコト

ハイテンション戦国コメディ TVアニメ『イケメン戦国』のラップシーンはこうして生まれた! 最終回直前、渡辺監督&吉村音響監督に見どころを直撃!

イケメン戦国武将との恋を楽しむ、サイバードのスマートフォン用女性向け恋愛ゲーム『イケメン戦国◆時をかける恋』。PlayStation Vitaソフト『イケメン戦国◆時をかける恋 新たなる出逢い』もオトメイトより2017年発売予定となっています。

その『イケメン戦国』のキャラクターを3DCGでSD化し、日常系コメディとして描いたのが『イケメン戦国◆時をかけるが恋ははじまらない』。織田信長(cv.杉田智和)や徳川家康(cv.増田俊樹)といった戦国武将たちがお座敷テニスやラップバトルに興じ、暗殺に来た刺客はじゃれつく猫のかわいらしさに負けて帰ってしまうといった、なんともゆる~いアニメになっています。

ところが第十話で、なにやら雲行きが怪しくなってきた模様……。そこでクライマックスを前に、渡辺誠之監督と吉村尚紀音響監督にお話を伺いました。意外な制作秘話も続出です!

●渡辺誠之(わたなべ しげゆき)
『イケメン戦国』監督。主な参加作品『ファイアボール』CG監督、『Hi☆sCoool! セハガール』CGディレクター、『ゆかいなアニマルバス』監督&脚本ほか。
好きな話数は「三話と七話です。七話はターニングポイントとなるエピソードです。ここから最後まで怒涛の展開が続きますので、お楽しみに!」

●吉村尚紀(よしむら ひさのり)
『イケメン戦国』音響監督。『イケメン戦国』はアニメ以外にも、ゲームの音響、キャスティング、イベント、宣伝番組等、幅広く関わっている。
主な音響監督作品 アプリ『消滅都市2』PSVita『Caligula -カリギュラ-』アプリ『クルセイダークエスト』他
好きな話数は「一話です。イケメンテニスはゲーム化してほしいです。必殺技名を叫び合うテニスは充分面白いと思うんですよ」

 

いつものイケメン声でギャグをやるというのが今回のウリ
――SDキャラのCGショートアニメでコメディということもあってか、一見して『Hi☆sCoool! セハガール』が頭に浮かんだんですよ。私けっこう好きな作品だったんですけど。

監督・渡辺誠之さん(以下、渡辺):ありがとうございます!

――SDキャラの仕草とか頭の振り方、視線の送り方などが、『セハガール』とよく似ていると感じたんです。これがCG作品における作家性ではないかと思うのですが、作品を作る際のポイントのようなものがあるのでしょうか?

渡辺:『セハガ』には僕はCGディレクターという形で関わっていたんですけど、その時に初めて「MMD(MikuMikuDance)」というソフトを使ってアニメーションを作っているチームと一緒に仕事をさせていただいたんです。今回もSDキャラのギャグアニメなら「MMD」チームと一緒に仕事をしたい! ということで制作をスタートしました。

MMDのクリエーターは、ネットにご自身の作品を投稿している方が多いんですね。スタートがそこから始まっているので、作家性の強いクリエーターが多い印象です。そうした個性的なクリエーター陣を、MMDディレクターのポンポコPさんにまとめていただいています。

今回も『セハガ』の時に関わっていただいたスタッフが何名かいらっしゃるのですが、「この方のアニメーションのこういうところが良かったので、ぜひ参加してほしい」という相談をポンポコPさんとさせていただいて、参加していただきました。ですので僕的には、チーム作りが作品の方向付けのスタートだったんです。

――モーションを付ける人の個性が、動きの個性としてけっこう出るわけですね?

渡辺:そうですね。アクションが上手い方、カメラワークが上手い方、キャラクターをかわいく動かすのが上手い方というように、みなさん得意分野を持っていらっしゃいます。

――一方、普通のアニメとSDキャラのCGアニメとで、音響的に変えている部分はあるのでしょうか?

音響監督・吉村尚紀さん(以下、吉村):視覚的に充分個性が出ているので、音に関して意図的なものはないと思います。それよりも、初めてキャラクターがハイテンポに絡み合うわけですから、役者の芝居を大切にして作っています。元々のゲームでは、キャラクター同士の会話は多くないですし、女性の主人公がいない世界ということもアニメでは肝なので、キャラクター同士の自由な絡み芝居を役者も楽しんでいましたね。

――最後にリアル頭身であま~いセリフを言うところは、芝居もSDとは分けているのかなと思ったのですが。

吉村:あそこは元々の『イケメン戦国』の世界観を、一瞬でもいいから表現しようという想いですね。インパクトもありますし、もしかしたらSDキャラを見て心のどこかで「彼との甘いシーンが見たいのに……」と思う方がいるかもしれないので、最後はきっちりキュンとさせましょう! という狙いもあって、完全に別の世界にしています。

渡辺:昔、『DAISUKI!』というバラエティ番組があって、CM前に女性アイドルが「だいすき!」って言うアイチャッチがあったんですが、あれをやろうと脚本の岐部さんと盛りあがりまして……おっさんのネタで、すみません (笑)。

――意外な制作秘話が(笑)。SDのほうは頭身が低いから、声を若干高くするような感じなのかと思ったんですよ。

渡辺:それをやらずに、いつものイケメン声でギャグをやるというのが、今回のウリだと思うんです。

吉村:声色よりもテンポ感とか、ゲームでは喋ったことがないようなセリフなどの笑いどころに焦点を合わせようという感じですね。

――全キャラにそれぞれのファンがいる、こうしたゲーム原作作品の場合、キャラクターの魅せ方やバランスの取り方には気を使うのでは?

渡辺:シナリオ段階から、バランスよくセリフや見せ場があるように考えてはいます。あとは実際の画作りの中では、メインで喋っているキャラクターの後ろでリアクションしているキャラクターにも力を入れるようにしています。

観ているファンの方は、推しのキャラクターがいるとずっと追いかけて観ているんだなということを、今回発見したんですよ。ですので、画面の端でチョコチョコ動いているキャラクターまで魅力的に見せていこうと気を使っています。

――ファン側の反響の大きさを感じた要素は何かありますか?

吉村:SDキャラになった時点で、ファンが離れることがなかったんですよ。コミカルな『イケメン戦国』という、ゲームとは違う世界にトライしても、これはこれで面白いという受け入れ方をしてくれた方が大半だったのが驚きでもあり、本当に良かった点でもありますね。

――リアル頭身での甘いセリフのようなものは、SDのほうではやらないのでしょうか?

吉村:SDの場合は、短く、面白く、テンポ良くという感じだったので、キリッとかっこいいセリフより、面白く印象的なセリフという感じですね。たとえば第三話の伊達政宗の「ヘイメーン!」とかは、やっぱりみなさん印象に残っているようですね。

――あのラップはどのように録ったのでしょうか?

吉村:リズムトラックを流して、人によってはヘッドフォンをしてソロでやりました。

――つまりそれは、現場でラッパーの方のレクチャーなどがあったわけではなく、キャストにすべてお任せ的な?

吉村:そうです(笑)。

渡辺:まず脚本家の方に歌詞を作っていただいたのですが、そこからラップにしていくには、作曲家の方にリズムを作っていただきながら、そのリズムにあわせて歌詞の調整も必要になってくるでしょうし、尺の問題もありましたので、どのように進めていくか迷ってしまいました。

そこで最終的には、自分でリズムに仮のラップをあてて、ビデオコンテを編集して、それを声優さんに聴いていただいて、収録しました。声優さんのラップは、僕のものより断然良いものになって、ホッとしました。

――最初に監督が「ヘイメーン!」とやっていた、その絵面が面白いです(笑)。

渡辺:そうですね(笑)。

吉村:基本的に戦アニ(アニメの愛称)は全話、仮ナレという形で監督自ら芝居を入れていて、それをみんなにリハV(リハーサル用ビデオ)として渡しているんですよ。余談ですが、そのリハVは演者にも好評で「これはこれで別作品にしては」と盛り上がるほどでした(笑)。

――そうなると、シナリオのネタ出しの時点でラップを出せば、当然自分がまずやることになるとわかったのでは?

渡辺:ラップというアイデアが出たけれど、どう進めたらいいのかは手探りだったんです。ただ、ダンスもののアニメーションは、CGアニメーションの得意分野ですし、パンチの利いたエピソードになりそうでしたので、是非形にしたいアイデアではありました。

――ほかにも第四話の迷惑メールのように、現代のものを戦国時代に持って行ってネタにするような話が色々ありました。これらはどのように作っていったのでしょうか?

渡辺:今回は「恋ははじまらない」ギャグアニメにしていこうということだったのですが、これまでの『イケメン戦国』のドラマCDには、ギャグの要素がけっこうありまして、それがヒントになりました。

吉村:佐助が現代から来たという設定なので、戦国武将が知らない言葉からネタを広げていくことができるわけです。佐助が中心になっているのは、コミカルにするために戦国時代に現代の要素を入れているからで、目新しいシナリオにもなったかなと思います。

渡辺:どういう形でギャグアニメを作っていくかを脚本の岐部さんと最初に話し合った時に、佐助が現代の要素を持ち込んで、その異文化交流で起こるギャップをエスカレートさせていくのが面白いだろうということで、大筋を決めていきました。

――佐助は相当使いやすいキャラですか?

吉村:使いやすいですね。

渡辺:突出して変ですよね(笑)。タイムスリップしてきた上、その時代で忍者になって、戦国ライフを楽しんでいこうみたいな。

――冷静なツッコミタイプかと思いきや、第六話で幸村が語る佐助像に全部ボケで返したのは面白かったです。

吉村:期待と裏腹に、蝶を怖がっていたとかね(笑)。

渡辺:ファンの反響の話でいうと、蝶を怖がる佐助のシーンはファンの方が喜んでくださったようですね。

吉村:蝶嫌いなんだ、とかね。

渡辺:そういうところが面白がられるみたいです。


短い尺でも縦軸になるストーリーを作りたい
――戦国ネタというのは、どのように取り入れようと思われましたか?

渡辺:もともとのアプリでの世界観が、時空の流れが歪んだ戦国時代というものでしたので、今回は戦国ネタよりも、アプリでのキャラクター像を大事にして、それを膨らませていこうという方針で進めました。

たとえば、なんとなく僕らが抱いている織田信長像みたいなものがあるじゃないですか。それは色々な作品で作られたものかもしれないですけど、シナリオを作っていった最初の頃は、そうした織田信長像に引っ張られてしまっていたようで、原作のサイバードさんから、「ステレオタイプな信長ではなく、『イケメン戦国』の信長を描いてください」というリクエストがあったんです。

ファンの方に大事にされているキャラクターですから、歴史がどうこうよりもまずはキャラクター像を大事にして、しっかり表現していきました。

――第九話に武器として棒火矢が登場したりとか、わりとマニアックな戦国のアイテムも使っていますよね?

渡辺:新しいキャラクターとして毛利元就を登場させることになって、シナリオ会議でどういう活躍をさせようかと話していた時に、棒火矢というロケットランチャーみたいな武器を使っている武者絵があって、原作側から「アイテムとして面白いから使ってみたい」という希望があったんですよ。

撃った後に空中で矢が3つに分かれるんですけど、そこは元就の「三本の矢」の逸話に掛けています。そうした戦国ネタは盛り込んでいます。

――信長や秀吉は、共通認識の信長像、秀吉像があるくらい浸透していますが、顕如がキャラクターに取り上げられるのはかなり珍しいです。第五話で「信長に本願寺を焼き討ちにされた復讐」というセリフがあって、これで顕如と信長の関係は一応わかりますが、顕如自身の紹介は特にありませんでした。これはこれで構わない感じでしたか?

吉村:顕如はゲーム上でも特殊で、あまり表に立つ機会も必要ないくらいの感じなんですよ。みんなにとっては敵、悪役という扱いでいいみたいなんです。その中で、猫好きという要素は入ってましたね。

渡辺:そうですね。これも歴史的な掘り下げというよりも、印象的な悪役として登場させることに、気を使いました。

吉村:「憎き信長!」って言うだけのポジションで充分というか。第五話で信長を暗殺しようと忍び込んだけど、猫にほだされて帰っちゃうみたいな、根は優しいみたいなところも描けたから、顕如としては充分かなと思います。五話では「憎き信長!」が導入だったのに「猫が好きなんだ!」と顕如の個性がドラマチックに表現されていますね(笑)。

――毛利元就は、「謎のパリピ」としての登場でしたね。

渡辺:オープニングでは、荒れた船の上にラスボス的に立たせていたり、毛利元就は謎につつまれたキャラクターとして登場させています。九話で正体を明かすシーンでは、OPと同じレイアウトのカットをつくったのですが、青空の下SDキャラでの元就登場シーンを、8頭身のOPと比べて、ギャップを楽しんでいただけたら嬉しいです。

毛利元就だと名乗るところでは、「知ってたよ」とツッコミを入れてやってください(笑)。

――そんな和やかな雰囲気で来ましたが、第十話の最後に怪しい雷が鳴って、一気に事態が緊迫し始めました。この先何が起こるのでしょうか?

渡辺:武将たちが集まってワチャワチャするギャグものをやりましょうという企画で始まったのですが、短い尺でも12本のシリーズの中で、縦軸になるストーリーを作り、物語をきっちり描くということを目標にしました。

謎の盛り上がりを見せ始めたストーリーが、どう帰着するのか、見届けてください。

吉村:佐助は現代に帰るのか、帰らないのか、とかありますからね。武将たちの日常系かと思いきや、もう少し広い世界の話だったという。

――後々パッケージが発売される際に、特典映像のようなものもあるのでしょうか?

吉村:みなさまの大好きなひと言ゼリフが、より攻めたものになって用意されています。それと、原作ファンがSDキャラを楽しんでくれたように、アニメから入った方にも原作ゲームを楽しんでほしいので、ぜひ2種類の世界観を味わっていただければと思います。

渡辺:特典映像では具体的に言うと、より布が減った状態になっています(笑)。セリフの内容もより過激になっています。

――アレの演技指導はどんな感じなのでしょうか? エロく、とか(笑)。

吉村:その辺は役者も汲み取っていますからね(笑)。音響的にも距離感を近めにしていますし、特典であるというのを理解した上での熱演、ぜひお楽しみください!

▲監督・渡辺誠之さん(左)、音響監督・吉村尚紀さん(右)

▲監督・渡辺誠之さん(左)、音響監督・吉村尚紀さん(右)

放送情報
『イケメン戦国◆時をかけるが恋ははじまらない』
俺の名前は佐助。
大学院生だったんだけど、ある日、戦国時代にタイムスリップしてしまった。
しかも、教科書で学んだ歴史とはまったく違う戦国時代に……
大人気恋愛ゲーム「イケメン戦国」 待望のアニメ化!
かわいい武将たちが織りなす、ハイテンション戦国コメディ!

【放送日時】
TOKYO MX 毎週水曜日 22:10~22:15
サンテレビ 毎週土曜日 22:25~22:30

【スタッフ】
原作:サイバード
監督:渡辺誠之(トムス・ジーニーズ)
シリーズ構成:岐部昌幸
原作イラスト:山田シロ
キャラクターデザイン:山中純子
音楽:いとうけいすけ(ノイジークローク)
音響監督:吉村尚紀
音響制作:オブジェクト
主題歌:「Yes/No」スター☆コンチェルト
アニメーション制作:トムス・ジーニーズ、トムス・エンタテインメント

【キャスト】
織田信長:杉田智和
伊達政宗:加藤和樹
真田幸村:小野賢章
豊臣秀吉:鳥海浩輔
徳川家康:増田俊樹
明智光秀:武内駿輔
石田三成:山谷祥生
武田信玄:梅原裕一郎
上杉謙信:三浦祥朗
猿飛佐助:赤羽根健治
顕如  :新垣樽助
毛利元就:小西克幸

商品情報
TVアニメ『イケメン戦国◆時をかけるが恋ははじまらない』
発売日:2017年11月29日(水)
価格:特典付Blu-ray Disc[予約限定版] 10,584円(税込)
   特典付Blu-ray Disc[通常盤] 7,344円(税込)
映像特典:はだけた素肌&未公開お色気セリフ♥ (ちょっと過激Ver.)
封入特典:イベントチケット優先販売申込券
発売元:Age Global Networks株式会社
販売場所:クリオンマーケット
※予約限定版は、超豪華限定グッズ付き&プレゼント応募キャンペーン中!

>>アニメ公式サイト
>>ゲーム公式サイト

(C)CYBIRD / イケメン戦国AP
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