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奥浩哉先生×マンウィズ ジャン・ケン・ジョニーさんが『いぬやしき』を語る! 異業種がシンクロする奇跡の対談インタビュー

奥浩哉先生×マンウィズ ジャン・ケン・ジョニーさんが『いぬやしき』を語る! 異業種がシンクロする奇跡の対談インタビュー

『GANTZ』を生み出した鬼才・奥浩哉先生の新たなる作品『いぬやしき』が、ついにTVアニメとして、2017年10月より放送となります。

還暦前の男性が主人公、しかも変形して武器になるという衝撃の展開は、奥先生ならではの世界観でしか生み出せなかった作品と言えるでしょう。

TVアニメではさらに、声優を小日向文世さんら実力派の俳優が務める中、主題歌「My Hero」を担当しているのは、アニメタイアップを多くこなすMAN WITH A MISSION(以下、マンウィズ)です。

そして今回、奥先生とマンウィズのボーカル・ギター担当のジャン・ケン・ジョニーさんの対談が実現! 誰も予想がつかない、化学変化をお見逃しなく!

僕だったらこうしたら面白いんじゃないかな?
※知らない方のためにお知らせしておくと、ジャン・ケン・ジョニーさんは頭は狼、体は人間という究極の生命体であるため、日本語が片言です。あらかじめご了承ください。


──今日はよろしくお願いします。まさか対談が実現できるとは思っていませんでした。

奥浩哉先生(以下、奥):そうですね。

ジャン・ケン・ジョニー(以下、ジョニー):ハイ、初メマシテトイウコトデ。光栄デス。


──会う前のイメージって、お二人ともどんな感じでしたか?

奥:そうですね……狼(笑)。

一同:(笑)。

奥:でも、すっごいかっこいいバンドで。音楽も濃ゆいですよね。

『いぬやしき』の主題歌も聴かせていただきました。こんなに格好良い楽曲が付くんだと、すごく嬉しかったです。

ジョニー:僕ハ、奥先生ノ作品ヲ昔カラ読マセテイタダイテイマス。会ウマデハ、初対面デイキナリ失礼ナコト言ウヨウデアレナンデスケド、絶対ニ変ナ人ダナト思ッテイテ(笑)。

一同:(笑)。

ジョニー:ソレハ良イ意味デト言イマスカ。クリエイタートシテ切リ口ガ奇抜デスヨネ。

僕ハ漫画トカアニメモ大好キナンデスケド、本当ニソノ中デモ一線ヲ画スルトイウカ、ブッ飛ンデイル方ナンダロウナトイウ印象ガアリマシタ。

奥:よく言われるんですけど、会ってみると割と普通だなと言われます。

──しかも今回は、奥先生の事務所での取材になります。

ジョニー:作品ガ出来上ガッテイル場所ニ呼バレルトイウノハ嬉シイデス! アリガトウゴザイマス。

奥:いえいえ。


──さらに今回、対談はワールドツアー直前の忙しい時期に、ジョニーさんのご希望もあって達成しました。何かお聞きしたいことがあったんですか?

ジョニー:今日ハ1時間シカイタダイテイナイノデ、聞イテイルト多分足リナクナルト思イマス(笑)。

ヤッパリ作品ノ切リ口ダッタリ、展開ガ他ノ漫画家サント違ウトコロガアッテ。

ソウイウノッテ自分ノ培ッテキタ体験談ナノカ、日常デイキナリ思イツクモノナノカトカ、クリエイタートシテ色々聞キタイナト思イマシタネ。

奥:僕の場合は、アイディアはふと何かのきっかけで思いつくことが多いんです。

10代くらいかな。割と若いころから、ずっとアイディアを蓄積していてパッて思いついたのは、ずっと温めているんです。

それを一つずつ形にしていっています。シャワー浴びてる時に浮かんだり、タクシーに乗ってて浮かんだりとか。その都度違いますね。

ジョニー:ソレデ思イツイタコトヲ、ソノ都度作品ニ落トシ込ンデイクミタイナ。

奥:そうですね。これはまだ時間がかかるなというのはずっと置いておきます。今はこれをやるべきだなっていうものをやっている感じですね。

ジョニー:カナリ時間ヲカケテ考エテイラッシャルンデスネ。

奥:そうですね。アイディア自体が今の作品に合うかは分からないんですけど。

でも多分、どの時代や場所で出しても通用するだろうとは思って、その都度アレンジを加えて描いています。

──そのアイディアの種みたいなものの、一番最初の形はどういうものなんですか?

奥:僕は映画が大好きなので、映画を観たり、昔だったらドラマ・漫画・小説とかそういうのを元ネタにしたりしたこともあります。

他の作品を観ていて、「僕だったらこうしたら面白いんじゃないかな?」とか考えるんです。そういう感覚は常にある気がしますね。

『GANTZ』(※1)のネタは、高校生のころに考えついたんですけど、その時大好きだった作品に『必殺シリーズ』(※2)と『不死販売株式会社』(※3)というのがあって。

それを混ぜたらけっこう面白いものができるんじゃないかなと思ったんです。というか『必殺シリーズ』をSFにしたいなというのを考えたのが『GANTZ』の始まりです。

そういう感じで『いぬやしき』は、『GANTZ』が終わって「次に何描く?」みたいなことを考えていた時に、たまたまハリウッドが作った『鉄腕アトム』(※4)を観たんです。

そこから僕なりの『鉄腕アトム』を作ったら良いかなって思いました。それが『いぬやしき』の始まりでしたね。

※1:『週刊ヤングジャンプ』(集英社)で連載されていた、奥先生の代表作。死んだ人間が謎の黒い球体「GANTZ」によって蘇り、宇宙人と戦わせられるという衝撃的なストーリー。アニメ化など多数のメディア展開も行われた。
※2:朝日放送と松竹撮影所が制作している時代劇シリーズ。江戸時代などを舞台に、人の晴らせぬ恨みを金で肩代わりする殺し屋たちが描かれる。人気作として『必殺仕事人』などがある。
※3:ロバート・シェクリイ著のSF小説。交通事故で死んだ主人公が未来で目を覚まし、様々なオーバーテクノロジーや未知の世界に出会う姿が描かれる。心を移し替える技術が登場するなど、『GANTZ』とシンクロする部分も多い。
※4:手塚治虫の『鉄腕アトム』をフル3DCGでリメイクされた映画『ATOM』。2009年に日本とアメリカで公開され、後に中国でも公開された。

──素人の目線で申し訳ないのですが、どの辺りの要素が『鉄腕アトム』と『いぬやしき』がシンクロするのでしょうか?

奥:『鉄腕アトム』っていうのは、代わりに作られたロボットなんです。事故にあったトビオくんという男の子の代わりに、そっくりに作られたロボットがアトムです。

そういう要素をそのまま持ってきて、1回主人公が死んじゃうんだけど、代わりに作られてしまったロボットが、「私は何だ?」と悩むんですよ。

それで正義のために活躍する、みたいな感じを単純に僕なりに「老人でやったら面白いな」と思って作っていった感じですかね。


──面白いですね。全ての物事を奥先生のフィルターを通して描かれるとああいう感じに見えるということですね。

奥:そうですね。僕なりに描いたら、という感じですかね。


──ジョニーさんも、そういう風に作品に影響されて、ご自身の作品に出てきたりすることはあるんでしょうか?

ジョニー:オコガマシイデスケド、今ノ話ヲ聞イテ僕モホボホボ同ジダナト思イマシタ。

インプットデ刺激ヲ受ケテ、自分ナリノ解釈ヲ模倣ニナラナイ様ニ自分ノ色ヲ濃クシテ出シテイマスネ。

今考エルト、ソモソモ一番最初ノキッカケハ他ノ作品、ソレコソ映画・小説・漫画ダッタリシマスネ。自分ノ経験則ト色々結ビツケテ、同化スルワケデス。

ヨク、クリエイターサンガ「降リテキタ」ミタイナコト言イマスケド、僕ハアレヲ1ツモ信ジテイナイデス(笑)。

一同:(笑)。

ジョニー:基本的ニ外的ナ刺激ガナイト出テコナイデスヨ。モチロン温メテイルアイディアハ、アルンデスケドネ。

降リテクルッテイウ感覚ハ、僕ハ生マレテコノ方、一度モ味ワッタコトガ無イデス。

自分ナリノアンテナガ、スゴク大事ナンジャナイカナッテ、イツモ思イナガラ過ゴシテイマス。

──そのアンテナの1つに奥先生の作品があったと?

ジョニー:ソウデスネ。初メテ奥先生ノ作品ニ出会ッタ時ハ、「スゴイブッ飛ンデルナ!」トイウ感覚ガアリマシタ。

僕モ、クリエイタートイウ職業ニ憧レテイル節ガアルノデ、毒ガアッタリ、稀有ナ切リ口ノ作品ヲ見ルト、ドウシテモ当タリ前ノ様ニ興味ヲ持ッテシマウンデス。

一番最初ニ読マセテイタダイタ奥先生ノ作品ハ、多分『変[HEN]』(※5)ダッタト思イマス。

奥:すごい古いのを、ありがとうございます。

ジョニー:ナンカ、スゲーブッ飛ンデンナッテイウカ(笑)。モノスゴク楽シミナガラ、毎回読ンデイマシタネ。

※5:『週刊ヤングジャンプ』(集英社)で連載されていた漫画作品。普通の男子高校生と不良男子高校生がホモではないのに恋愛をするという、一風変わったストーリーが話題に。


──奥先生の作品で一番好きな作品はどれですか?

ジョニー:イヤー、一番カ……。エエト、『変[HEN]』モ『GANTZ』モ、モチロン『いぬやしき』モ好キデス。アト短編集(『奥浩哉短編集「赤」』、『奥浩哉短編集「黒」』)モ読ミマシタ。

短編集ヲ読ンダトキモ「絶対コノ人イカレテルナ」ト思ッテマシタ(笑)。

一同:(笑)。

ジョニー:モトモト漫画ニモノスゴク憧レガアッテ。好キナ文化・ジャンルノ1ツナノデ、自然トファンニナリマシタネ。

奥:ありがとうございます。アシスタントさんでヘルプでやってくれる人とかに、「もっと怖い人だと思ってた」とかはよく言われるんですよ。

一度はやっちゃう! 漫画好きあるある
──奥先生はマンウィズの曲を聴いていましたか?

奥:やっぱり有名だったので、代表曲とかは。タイアップ曲などは、よく耳にしてましたね。


──奥先生はジョニーさんに何か聞いてみたいことはあったりしますか?

奥:聞いてみたいといっても、独特の世界観があるので。どこまで突っ込んで良いのかという感じですね……(笑)。

ジョニー:基本色々ト慣レテマスンデ、大丈夫デス!(笑)

奥:本当に分かんないですもんね。年齢とかも。

ジョニー:作ラレテカラダイブ時間ガ経ッテマスネ。デモ奥先生ノ『変[HEN]』トカモチャント読ンデイマスカラ。

奥:他に漫画は、どんなものを読んでいるんですか?

ジョニー:漫画ハ、メチャメチャ好キデスネ。ジャンルハ問ワナイデスシ。片ッ端カラ読ミマス。

奥:映画もですか?

ジョニー:ソウデスネ。映画モイロイロ観マス。洋画ノ方ガ多イデス。

奥:ああ、そうなんですか。最近観られた映画は?

ジョニー:メチャメチャベタデスケド、クリストファー・ノーランノ最新作『ダンケルク』(※6)ハ観テミタイト思ッテイマス。

クリストファー・ノーランハ、好キナ映画監督ノヒトリナンデス。

※6:フランスの映画監督、クリストファー・ノーランによって制作された映画。2017年公開。第二次世界大戦の西部戦線における戦闘「ダンケルクの戦い」を描く。

──以前、映画のコラムも書かれていましたね。

ジョニー:ヤッテマシタ。映画ノ紹介ヲヤッテイタンデスケド、ソノウチ好キ勝手ニヤッテ良イトイウコトニナッテ、好キナ漫画ヲ紹介スルコーナーニナッタンデスヨ。


──(笑)。

奥:じゃあ漫画の方が好きなんですか?

ジョニー:ソウデスネ。数ダト漫画ノ方ガ多イデス。


──月にどれぐらい買うんですか?

ジョニー:今ハ集メテイルモノダケ買ウノガメインデス。

絶対ヤッテシマウノガ、移動ノ途中デ、キヨスクニ行ク時ニ、100%読ンダコトノアル漫画ヲ買ッテシマウヤツデス(笑)。

奥:もう一回みたいな。

ジョニー:『グラップラー刃牙』(※7)ハ、何回買ッタカ分カンナイデスネ(笑)。「俺、コレ絶対読ンデルノニナー」トカ思イナガラ。

奥:確かに単行本の表紙で同じ様な表紙だと、「あれ、これ買ったんだっけ?」ってなりますよね。

ジョニー:ナリマス。ソウ思ッタラモウ確実ニ買ッテマス。

奥:単行本の表紙はみんな顔のアップだったりするから。「あれ、これ前も買ったっけ、どっちだっけ?」ってなりますよね。

ジョニー:家ニ同ジ巻ガ3ツモ4モアリマスカラ。

移動中時間ヲ潰ス時ニ、モチロン今ノ時代携帯トカモイジルンデスケド、ナンカ漫画ノ単行本ガチョウドヨカッタリスルンデスヨネ。

ソレヲ毎回知ラズ知ラズノウチニ、1ヶ月ニ2・3回移動ガアルト同ジノヲ買ッテシマウトイウカ。

※7:板垣恵介による漫画作品。東京ドームの地下にあるという「地下闘技場」を舞台に、己の拳のみを信じるグラップラーたちの戦いが描かれる。

自分が一番グッとくるものを描いたほうがいい
──ちなみに奥先生の作品の、好きなところはどこですか?

ジョニー:予定調和ノ展開ガ一個モナイトコロデス。「エ? マジデ?」ミタイナ展開バッカリデスヨネ。

一番最初ノ設定ソノモノモ変ワッテイルノニ、切リ口マデ変ワッテイクカラ。本当ニ凄イ独特ナ世界観ヲゴ自身デ作ラレテイル方ダナト思イナガラ作品ヲ読ンデイマス。

予定調和ノワクワクジャナクテ、自分ノ予期シテイナイトコロノ「エ? ナンデ?」ミタイナ感覚ヲズット持チナガラ読ミ続ケルノハ、ナカナカ他ノ作品デハ無イナト思ッテイマシタ。


──その辺りとか意識して作られてるんですか?

奥:読者を裏切ってやろうとかはあんまり考えてなくて。どっちかというと作品を全部読者向きじゃなくて、もう一人僕がいたら大喜びするだろうっていうのを予測して描いているというか。僕に向けて描いてる感じですね。


──自分の中に、自分のファンの自分がいるというか。

奥:そうですね。僕だったらこれを描かれたら喜ぶだろうと予測しながら描いている感じです。

頭の中で考えていたのと、出来上がってきたものとかを見ると、色々良くなっていたり、イメージよりはちょっと駄目だったなというのはもちろんあるんですけど。でも、けっこう良くなることが多くて。

「これ良くできたな」という感じが嬉しいんですよ。自分で出来上がった単行本とかを読んで、「これ良くできてんなー」とか思ったりしちゃいますね。

──なるほど。もちろんその感覚はジョニーさんにも?

ジョニー:ソウデスネ。モウ一人ノ自分自身ガイテ、喜バセルノハ、モノスゴク共感デキマス。一番最初ニ満足サセタイノハ、ソイツダナッテ思イマス。

奥:僕の場合はそうじゃないとモチベーションが上がらないというか。「どうせ他の読者って、こんなことを描いたら好きなんでしょ」みたいなモチベーションで行くと、あんまりやる気がしないんじゃないかなと思っていて。

それよりは自分が一番グッとくるものを描いたほうがいい。

そのためには、もう1人の自分を喜ばせるために、どういう仕掛けをすればいいのかを考えます。いかなる技をも駆使して、一生懸命そのイメージに近づけようと頑張ります。

また凄いブッ飛んだものを描いてくれたな!
──では、そろそろ『いぬやしき』の話題を。ジョニーさんは『いぬやしき』のどんなところが好きですか?

ジョニー:奥先生ノ新シイ作品ガ連載シテイルコトハ知ッテイタンデス。書店ニ行ッタトキニ、チョット変ワッタ表紙ノデザインヲ見テ、読ンデミヨウト思イマシタ。

奥先生ノ作品ヲ知ッテイル者トシテハ、「マタ凄イブッ飛ンダモノヲ描イテクレタナ!」トイウ感ジデ読ミ始メテ、ズット読ミ続ケテイマシタネ。

イキナリアノ爺サン(犬屋敷壱郎)ガ機械ナンダトイウコトニビックリシマシタヨ(笑)。ソノネタダケデモ読ミマスヨネ、マズハ。


──好きなシーンはどこですか?

ジョニー:一番最初ニUFOニブツカッテ二人(犬屋敷壱郎と獅子神皓)トモ死ヌジャナイデスカ。アノ直前マデメチャメチャ落チ込ンデイタ爺サンノ描写ガスゴク好キデスネ。

──また意外なところですね(笑)。

ジョニー:普通ニ落チ込ンデイルンデスケド、ドコヲ見テモズットプルプルシテイルノガ(笑)。アアヤッテ家族ニ虐ゲラレテイル壮年クライノオ爺チャンノ物悲シサガ、ソノプルプルヒトツデ表現サレテイル(笑)。


──確かに(笑)。しかも今回は特におじいさんが主人公で、「売れなかったらしょうがない」と奥先生はおっしゃっていました。しかし、こうやってアニメ化まで行ったわけですからね。

奥:めちゃめちゃラッキーだと思ってますね。しかもマンウィズさんに主題歌を歌ってもらったりしてね。なんというラッキーな作品なんだろうっていう感じです。

お爺ちゃんを主役にするって決めた時には本当に思っていませんでした。連載していたイブニングの人に「アニメ化はちょっと諦めて下さい」って言ってましたから(笑)。


──(笑)。主人公がお爺さんってあんまりないですからね。

奥:そうなんですよ。わりと漫画の鉄則として、イケてない設定でも、主人公はイケメンじゃないと売れないというのがあるんですよ。

それを今回は自由にやらせていただけるということで、僕はひねくれているので、ちょっと変えて、「カッコ良くない主人公にしたいですけど」って言いました。

そうしたら、「良いですよ」って言われて。

──何か伝えたいメッセージがあったんですか? 自分の中でテーマみたいなものが。

奥:いや特には。僕はメッセージを込める作品よりかは、どっちかって言うと「面白かった」っていうエンターテイメントみたいなものが観たい方なので。

特に『GANTZ』にしろ『いぬやしき』にしろ、特にメッセージというのは無くて。

色んな事が描かれるので、人生だとか色んなものはできるだけ込めて。「この人物が本当にいるんじゃないか?」というくらいに色んな多面性を入れて描いています。

人によってはメッセージを受け取ってもらえるかもしれないですけど、そういう感じで良いんじゃないかなと思ってますね。


──読み手が勝手に考えてくれれば良いという感じですかね?

奥:そうですね、はい。

──逆にジョニーさんはご自身の作品でメッセージみたいなものがあったりしますか?

ジョニー:ソウデスネ……5分ニ満タナイ曲ノ中デ、詞ヤ音ハ詰メ込ンデイマス。

ソノ中デ、バンド自体ノメッセージ性ハ、ドウアガイテモ出チャウトイウカ。

自分タチノ主軸トシテイルモノガ出チャウ部分ハ、アリマスネ。多分モノスゴク込メテハイルケド、ソウイウ風ニ捉エラレルッテイウコダワリハ持ッテイルベキダト。

ソレコソ聴ク人ニヨッテ、メッセージガ変ワレバ良イト思イマス。主軸ニアル自分達ノメッセージハ「卑怯」ナンデスケド、聴キ手ガ意識セズニ分カル感ジニ伝ワレバイイカナトイウカ。

自分タチヲ色濃ク出シツツ、「別ニ分カッテクレナクテモ良イヨ」トイウ作品ノ作リ方ハ、僕自身多イノカナト思イマスネ。

モノスゴク出シテイルンデスケド、手ノ内ハ見セタクナイトイウカ(笑)。

自然ト伝ワルダロウトモ思ウシ、ソノメッセージノ答エハ1ツデハナイト思イマス。イクラデモ捉エテモラッテ構ワナイシ、トイウ気持チガ強イカモシレマセンネ。


──そういうところがご自身が言っている“ボーダレス”に近いのかなと。

ジョニー:ソウデスネ。特ニ音楽トカッテ、アマリ押シ付ケガマシイモノハ、意外ト広ガリヅラインデス。

ドチラカトイウト普遍的ナ、モノスゴイワイドナ意味ヲ持ッテイル様ナ作品ノ方ガ、僕自身モ好キダッタノデ。

自分タチガ作リ出ス音楽ヤ作品トカモ、ソウイウ立チ位置マデ消化デキレバ良イノカナト思ッテイマス。

作品そのものを好きで作らせていただいている
──お二人がアニメ化に期待していることはありますか?

奥:やっぱり原作が動いたらどういう風になるのか、どういう化学変化が起こるのかというのが観てみたいですね。

別メディアなので、原作とはまた違う印象になるのは観てみたいですね。


──3Dも凝っているようです。

奥:そうですね。もう3Dはアニメには欠かせないツールとなっているので、期待していますね。特に空を飛んでいるシーンとかはどれくらいのスケール感が出るのか、とか。

ジョニー:僕ハ、本来デアレバ自分タチノ曲ニツイテ触レルベキナンデショウケド、ソレヨリモ、アレガ動イテイル、アノ世界観ガ動イテイルアニメーションニナルコトヲ、タダ単純ニ観タイナト思イマスネ。

アト声優サントノ絡ミダッタリモ気ニナリマス。漫画原作ノファンッテ、生意気デスケド、イツモソコガ引ッカカルモンジャナイデスカ(笑)。

今回ハ、キャスティングモ豪華ナノデ、楽シミデスネ。ソウイウノヲ毎回楽シミニシナガラ観テイマスネ。

──なるほど。せっかくなので、楽曲のお話もお願いします。

ジョニー:自分タチガ最初カラ『いぬやしき』ニ提供スルトイウ形デ作ラセテイタダキマシタ。自分タチトシテハ、ソノ時点デカナリ嬉シイ限リデゴザイマシテ。

欲ヲ言エバ、原作ヲ見テイル方モ、アニメヲゴ覧ニナル方モ、アノ世界観ニ自分タチノ楽曲ガマッチシテ、浸透スレバ良イノカナト思イマス。

オープニングガ、マンウィズノ楽曲デ良カッタナト、ファンノ人ガ言ッテクレル様ニナレバ嬉シイトト思イマスネ。


──漫画やアニメファンの中にもマンウィズのファンは多いですから、すごいことです。

ジョニー:イエイエ(笑)。自分タチガTVヤ本ノ向コウ側ニイル人タチト全ク一緒ナダケデス。

作品ソノモノヲ好キデ作ラセテイタダイテイルノデ、アマリソコノ垣根ヲ感ジル必要モナイママ作ラセテイタダケテイルノガ、一番大キイノカナト思ッタリシテイマス。

一番良い意味で緊張しているのは漫画家さん
──他に何かお互いに聞いてみたいことがあれば、お伺いしたいと思います。

ジョニー:漫画家トイウ世界ニ飛ビ込ムキッカケハ、何ダッタンデスカ?

奥:僕はそもそも小学校4年生くらいの時に、デパートの漫画売り場で手塚治虫先生の『バンパイヤ』(※8)という作品を立ち読みしたのがきっかけです。

それで決めたんですよ、「僕明日から漫画家になる」って。

ジョニー:小学校4年生デ、デスカ?

奥:はい。結構強く決めてしまって。

それでそこから、ずっと頭の中で漫画家になるにはどうしたらいいんだろうと、ずっと考え続けて。

それから人物を描く練習をしたり、絵の練習をしたり、ストーリーを作る練習をしたりしていました。

親にもずっと「僕は漫画家になるから」といい聞かせて。高校時代に賞に出して。本当に入選して、担当がついて、「東京に来なさい」と言われて。そのまま東京に来て、という感じですね。本当に小4のころから始まった感じです。

ジョニー:スゴイデスネ。小4カラズット変ワッテイナイトイウコトデスヨネ。

奥:そのままずっと一直線に来ている感じですね。僕はこう思ったら、そのままそっちの方向にずっと行くというのが、癖みたいなところがありますね。

手塚先生自身が『バンパイヤ』の中で出てきて、主人公を助けて大活躍するんですよ。「漫画家カッコいい! こんなことできるんだ!」って思って(笑)。

ジョニー:タマニ奥先生モご自身ノ漫画ニ登場サセテイマスカラネ(笑)。

奥:さすがにあそこまで自分を活躍させるっていうのは、ちょっと恥ずかしくてできないんですけど(笑)。小4の時は本当にそれが憧れで、漫画家になりたいって思って。

※8:『週刊少年サンデー』(小学館)と『少年ブック』(集英社)で連載されていた漫画作品。狼男が手塚治虫のプロダクションでアニメーターを目指すといった、斜め上の物語が描かれる。

──叶えられる力があるっていうのは、すごいなと思いました。

奥:あまり失敗することを考えずに……(笑)。逆に失敗を考えたことがない。

とにかく成功するにはどうしたら良いのかっていうのを、ずっと考え続けるというのが未だに癖ですね。失敗しないにはどうしたら良いのか、先に考える感じですね。


──そういう姿勢は漫画にも反映されていたりするんですか?

奥:そうですね。原稿を仕上げるには、先にどういうことをしておくべきかみたいなことを先に考えています。

だから、原稿も締め切りを遅れたことがないし、ある程度のストックがあるぐらいのペースではあげられています。


──僕も原稿仕事なので見習います……。逆に奥先生は何かお聞きしたいことはありますか?

奥:『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(※9)の日本版の主題歌は、マンウィズが外国のバンドとコラボしていましたよね。PVを観てすごい格好良いと思ったんですよ。

ああいう外国のバンドとコラボするのってどういう姿勢だったんですか?

ジョニー:アノオ話自体ハ、ゼブラヘッド(米国のロックバンド)ッテイウバンドガ、日本ノサマーソニックトイウフェスデ僕ラヲ見タ時ニ「カッコイイジャン!」ッテ気ニカケテクレテ。

年数ガ経ッタ時ニ、タマニロサンゼルスニ行ッテ海外ノプロデューサート作曲ヤ、アレンジシタリハヨクヤッテイテ、オフ日ニ、ゼブラヘッドノスタジオガ近クニアルカラ行ッテミナイカトイウコトデ会ッタンデス。

行ッテ話シテ、ビールヲ2〜3杯飲ンデイル間ニ「曲でデモ作ル?」ッテイウ話ニナッテ。ソンナ感じジノキッカケデ、タマタマデス。

自分タチガ一番最初ニインスパイアサレタ音楽ガ、90年代デアッタリ2000年代初頭ノ楽ダッタリモシタンデス。

ソノコロノ思イヲ引ッサゲタママ、海外デノチャレンジナドヲヤラセテイタダイテイマスネ。

奥:やっぱり海外にもファンがいっぱいいる感じなんですね。

ジョニー:実ハ明日カラアメリカニ行ッテクルンデス。

奥:え! すごいなぁ。

あと、あれカッコ良かったな。MVで、ゼブラヘッドが歌って、その後にパッてマンウィズが入ってくるじゃないですか。「全然負けてないなあ、すごい格好良いな」と思いました。

そんなバンドに『いぬやしき』の主題歌を作ってもらって本当に嬉しいと思っています。しかも詩の内容も超カッコ良くて。ヒーローぽくってすごいカッコ良いなあと思って、ほんと嬉しかったです。

ジョニー:恐縮デス。アリガトウゴザイマス!

※9:2015年公開の大ヒット映画。マンウィズは日本語版の主題歌「Out of Control」を担当。

──では、そろそろお時間です。最後に今回対談してみて、お互いの印象どうでしたか?

ジョニー:マサカ職場デオ話デキルトハ思ッテイマセンデシタ。色々ナアーティストサンヤ違ウジャンルノ方トオ話シテイル中デ、一番良イ意味デ緊張シテイルノハ漫画家サンナンデス(笑)。

漫画家サントイウノハ、圧倒的ニ憧レテイルクリエイターノ1ジャンルです。シカモ、ソノ中デモ自分ガ昔カラ読ミ続ケテイル作品ノ先生ニ会エテ、メチャメチャ嬉シカッタデス。アリガトウゴザイマシタ。

奥:すごく丁寧な方で(笑)。この風貌から、ちょっと予測はできなかったんですけど、すごく良識のある青年な方で。こういう方なんだっていう感じですね(笑)。

ジョニー:ヨロシクオ願イシマス(笑)。


──(笑)。インタビューは以上になります。ありがとうございました!

▲インタビュー後には、お互いに直筆サイン入りのポスターとCDの交換も行われました。

▲インタビュー後には、お互いに直筆サイン入りのポスターとCDの交換も行われました。

[インタビュー/石橋悠 写真/鳥谷部宏平]

作品情報
TVアニメ「いぬやしき」


2017年10月12日よりフジテレビ“ノイタミナ”にて毎週木曜 24:55 から放送開始。
ほか各局でも放送。(初回放送時間変更の場合あり)
Amazon プライム・ビデオにて日本・海外独占配信

●イントロダクション
定年を間近に迎える冴えないサラリーマン・犬屋敷壱郎は
会社や家庭から疎外された日々を送っていたが、
ある日突然、医者から末期ガンによる余命宣告を受け自暴自棄になる。
その晩、突如飛来したUFOの墜落に巻き込まれ
機械の体に生まれ変わった彼は
人間を遥かに超越する力を手に入れることに。
一方、同じ事故に遭遇した高校生・獅子神皓は、
手に入れた力を己の思うがままに行使し始めていた。
自分の意に背く人々をただただ傷付けていく獅子神と、
獅子神によって傷付けられた人々を救い続ける犬屋敷。
人間の本質は善なのか、それとも悪なのか...?
強大な力を手に入れた2人が、いま、それぞれの想いで動き出す――。

●キャスト
犬屋敷壱郎:小日向文世
獅子神皓:村上虹郎
安堂直行:本郷奏多
犬屋敷麻理:上坂すみれ
渡辺しおん:諸星すみれ

●スタッフ
・原作:奥浩哉 (講談社「イブニング KC」所載)
・総監督:さとうけいいち (「TIGER&BUNNY」「神撃のバハムート VIRGIN SOUL」監督 「GANTZ:O」総監督)
・監督:籔田修平 (「甲鉄城のカバネリ」「進撃の巨人」3D 監督)
・シリーズ構成・脚本:瀬古浩司 (「亜人」「残響のテロル」)
・キャラクターデザイン:恩田尚之 (「神撃のバハムート VIRGIN SOUL」「GANTZ」 キャラクターデザイン・総作画監督)
・音楽:池頼広 (「相棒」「神撃のバハムート VIRGIN SOUL」)
・オープニング・テーマ:MAN WITH A MISSION 「My Hero」
・エンディング・テーマ:クアイフ 「愛を教えてくれた君へ」
・制作:MAPPA (「この世界の片隅に」「ユーリ!!! on ICE」)

>>TVアニメ「いぬやしき」公式サイト
>>TVアニメ「いぬやしき」公式ツイッター(@inu_noitamina)

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