日本ナレーション演技研究所

日本ナレーション演技研究所出身 Lynnさんインタビュー 後編

2017-01-06 12:00:00

PROFILE

Lynn(りん)

6月1日生まれ。新潟県出身。アーツビジョン所属。テレビアニメのデビュー作は2012年『NARUTO-ナルト-疾風伝』、初のアニメレギュラーは『さばげぶっ!』の経堂麻耶役。『競女!!!!!!!!』の神無のぞみ役で主役を担当。12月10日より公開の劇場版『モンスターストライク』では水澤葵役を担当。2017年1月よりスタートするTVアニメでは『風夏』(秋月風夏役)、『エルドライブ【elDLIVE】』(ニノチカ役)、『亜人ちゃんは語りたい』(小鳥遊ひまり役)、『アイドル事変』(不動瑞希役)に出演。

 2016年は『ハイスクール・フリート』や『最弱無敗の神装機竜』など話題作に出演し、今秋の注目作『競女!!!!!!!!』で初の主人公を演じるほか、ED曲やラジオ番組を担当するなど活躍中の声優・Lynnさんにロングインタビュー!
 前後編でお送りしていますが、後編では声優をめざしたきっかけと日本ナレーション演技研究所(以下、日ナレ)を選んだ理由や学んだこと、デビュー作や初レギュラーの思い出、今後の目標についてお話ししていただきました。

――声優という仕事を知ったのはいつ頃ですか?

Lynnさん:小学3~4年の頃、『犬夜叉』と『名探偵コナン』が大好きで、アニメを毎週観ていました。それぞれの主人公、犬夜叉と工藤新一君が好きで、「何でこんなに好きなのかな?」と考えたらその理由は声で、調べたらどちらも山口勝平さんが演じられていて。声だけでこんなにキャラを魅力的に見せて、見ている人の心をつかむことができるなんてすごい職業だなと思いました。元々、お芝居や役者さんに興味はありましたが、声優はすごくおもしろいお仕事だなと思ったのは、それが最初です。

――その頃から『サンデー』っ子だったんですね。

Lynnさん:そうなんです! だから今回、『週刊少年サンデー』に連載されている『競女!!!!!!!!』に出演できたことがすごくうれしくて。本誌にも出させていただいて本当に夢のようです。

――声優になるためにアクションを起こしたのはいつですか?

Lynnさん:日ナレには中学生から通えるジュニア声優クラスがあることを知って、そこに通いたいと思ったんですが、私は新潟に住んでいたので、「中学生が東京へ通うなんて無理でしょ」と親に反対されて。とりあえず高校に上がるまで待ちなさいと言われて、中学の3年間、ずっと高校生になったら日ナレに通うんだと思い続けていました。そして中学3年生の時に入所面接を受けて、高校生になって晴れて日ナレに入ることができました。

――ご両親も了承してくださったんですね。

Lynnさん:「それだけやりたいなら通っていいよ」と言ってくれて。「周りの子たちが塾などに行くところを通わせてあげるんだから、その分勉強は自分で頑張りなさい」と。毎週新幹線で新潟から東京まで通っていました。

――入所して最初のレッスンのことを覚えてますか?

Lynnさん:道に迷いました(笑)。そんな時に「もしかして日ナレに行かれるんですか?」と声をかけてくれたのが今、アイムエンタープライズ所属の飯田友子ちゃんで。しかも基礎科で同じクラスになって!

スタジオにたどり着いた後のことはまったく覚えてなくて…。たぶん緊張しまくっていたからだと思います。ただ講師の方がとっても優しい方で、安心できて。私と友子ちゃんは高校1年生だったのですが、他は年上の方ばかりで、いろいろな人がいておもしろいなと思ったことを覚えています。

――最初の基礎科ではどんなレッスンを受けられたのでしょうか?

Lynnさん:まず基礎的なストレッチや発声練習をやりました。あとエチュードのような即興劇を2人組でやったり、歌のレッスンも「表現するという点では同じだから」とやりました。1人じゃなくてみんなで歌いましたが。たぶん声出しも兼ねていたと思うんですけど。あとは劇や朗読も。演技の基礎的なことをいろいろな形で学びました。

――ちなみに日ナレで学ぶまでに演技経験は?

Lynnさん:小学校の時に発表会の劇に出たくらいで、本格的に学んだのは初めてでした。同じクラスには演技経験がある人もいましたが、負けてないぞという気持ちでしたね。若さゆえの自信があったから(笑)。とにかくお芝居をするのが楽しかったんです。みんなの前で発表する時は恥ずかしかったし、自己表現が上手な人は他にたくさんいらっしゃったので、もっと自分を表現したり、積極的に話をするとか、自信を持って演技をするなど自分にはまだまだ足りていなかったところは、他の人から吸収しました。

――週1回、東京でレッスンを受けて、新潟に戻った後はどんな過ごし方をされたんですか?

Lynnさん:『外郎(ういろう)売り』を覚えて、毎日、お風呂で滑舌や発声練習をしてました。あとは「次回までにこの台本を覚えてきて」という課題が与えられたりした時には、実際に部屋で動いてお芝居して、それを次のレッスンで発表したり。1週間、家でやることのほうが大事で、いかに自分で考えて、作りあげられるかが大切だなと思っていました。

――高校1年生でそれを意識できていたのはすごいですね。

Lynnさん:みんなも一生懸命考えて作り上げてきたものを発表するので、やってこないとわかるんです。セリフが入ってなくて「この人、1週間サボったな」みたいな(笑)。

――毎日じゃなく、週に1回だからこそ差もわかりやすいし、厳しいですね。

Lynnさん:3時間のレッスンの中でできることは限られているので、それ以外の時間でも自分を奮い立たせてやっていかないとダメなんですよね、きっと。

――基礎科で1年間学んだ後、どんな過程をたどられたのでしょうか?

Lynnさん:本科に1年、そして研修科に2年通って卒業しました。本科に上がる時にアーツビジョンに合格して。光栄でしたが、なおさら頑張らなきゃという想いやプレッシャーもあって。今振り返れば、1人で勝手に変なものを背負ってしまってました(笑)。

――本科ではどんなことを学ばれたんですか?

Lynnさん:私の通っていたクラスのレッスンは主に舞台がメインで、シェイクスピアの『真夏の夜の夢』という戯曲をやったんですけど、舞台のセットや小道具、衣装まで自分達で考えました。言い回しが難しいし、セリフ量もすごく多いので、セリフを覚えるのが大変で。でもやりがいがあって、発表会が終わった時の達成感はすごく大きくて、おもしろかったです。

――事務所の所属になってからは?

Lynnさん:高校生の間は実家暮らしだったので、オーディションを受けたり、お仕事をすることはまだなくて。その間に後輩の人達はオーディションを受けたり、役をもらったりしていたので、焦りのようなものを感じたし、不安もありました。でも、きっと事務所の方は高校卒業して上京するまで待っていてくださっているんだと。そこからが私の勝負なんだと、高校卒業までの2年間は日ナレでしっかり学んで、いろいろなことを吸収して、お仕事を始めたいなと思ってました。

――所属後、初めてのお仕事は、アニメではなく外画の吹き替えだったとか。

Lynnさん:元々、映画や海外ドラマをよく観ていたので好きだったんですが、アニメのお仕事をやりたくて声優をめざしたので、「何でだろう?」と思ったりもしました。ですが、吹き替えの現場はベテランの先輩方と共演させていただくことが多く、お芝居についていろいろ学ばせていただけたので、最初が外画のお仕事でよかったと思っています。

最初に演じた役がファッションショーに出る10代の女の子役で、「緊張して心臓が出そう」というセリフがあって、今の私の気持ちそのままで言えばいいんだなと(笑)。厳しいディレクターさんでしたが、「もうちょっと声を出してくれれば、あとはあなたの今の気持ちを言ってもらえばいいからリラックスしてやって」と言われました。先輩方もすごく優しくて、「今日が初めての現場なんです」と話したら「大丈夫だよ」と皆さん優しく接してくださってうれしかったです。

――初めてのレギュラー作品は何ですか?

Lynnさん:『glee/グリー』という海外ドラマでした。私はシーズン4からの参加でしたが、シーズン1から3まで観ていたので、オーディションのお話をいただいた時、絶対にやりたくて。無意識だったんですが、私が演じたマーリーというキャラクターと同じような服を着てオーディションに行っていたようで。当時、髪が長かったんですが、その役者さんに私が似ていたらしく、ディレクターさんがビックリされたそうです。「この子、めっちゃ寄せてきたな」と(笑)。それが決め手になったらしいです。

――経歴を見て、外画のお仕事の多さに驚きました。ちなみにアニメのデビュー作は?

Lynnさん:『NARUTO-ナルト-疾風伝』です。いきなりの大作にビックリしました。オーディションもなかなか受からなくて、「私はアニメには向いていないのかも」とあきらめかけていた頃で、それから徐々にアニメのお仕事もいただけるようになりました。

――そしてアニメの初レギュラーは?

Lynnさん:『さばげぶっ!』の経堂麻耶役です。オーディションに受かった時、「やったね! やっとだね、Lynnちゃん」と事務所の方に言われました(笑)。初めてのユニット活動もあったのですが、他の方達はそういった活動経験もある方達だったのですごく助けられたし、勉強になりました。アフレコ以外の歌やダンス、イベントなど、やったことがないことばかりでテンパったりもしましたが、最初にそれだけいろいろなことができたので、今に繋がっていると思います。

――日ナレのレッスンで印象に残っていることは?

Lynnさん:やっぱり舞台ですね。時間もかけたし、達成感もあったから思い出に残ってます。昔の作品ゆえに言葉遣いが難しかったり、方言があったりして、自分では手に取らないような作品に触れることができたので、いい経験になりました。

本当に苦手だったのは、みんなの前でポツンと1人で立って、1~2分の間でとにかくみんなを笑わせるという内容のレッスン。仮装してもいいし、小道具を使ったり、何をしてもいいと言われたんですが、人前で恥ずかしいことをするのは一番嫌いで(笑)。すごく大変でしたが、一皮むけたというか、自分の殻を破ることができたありがたいレッスンでした。

――日ナレで学んだことで今も役立っていることは?

Lynnさん:お芝居では相手との掛け合いの中で、自分が思い描いていたものとまったく違うものが生まれることがありますが、日ナレのレッスンでも1週間作ってきて、いざ相手と合わせてみようとした時にもそういうことがあって。「そっちがそういう言い方をするんだったら私の返しはそうじゃないよな」とその場で違う表現が生まれたり、いろいろな発見があるんです。同じクラスでも年齢も職業も違うから作り上げてくるものも全然違うので、そういう部分をすり合わせて、より良い作品を作っていくところがお芝居のおもしろさだと感じました。

今、現場でアフレコしていても、相手が自分の想像と違うお芝居をしてきた時、私も応えられるように演技プランをガラっと変えることがあります。瞬発力が必要なので難しいんですが、うまくマッチングすると「ああ、楽しい!」と思えます。それは日ナレで学べたからであり、今後も大切していきたいことでもあります。

――実際に学んでみて感じる、日ナレの良さとは?

Lynnさん:私のように高校在学中から通える週1回クラスなど、様々な形態があることですね。いろいろな年齢、環境や考え方が違う人達が集まって、それだけでも刺激的だし、レッスン以外で得ることも多かったです。

また講師の方も演出家さんもいれば、役者さんもいるし、いろいろな視点からのレッスンを受けられて。役者さんは芝居の表現や基本に重きを置いて教えてくださるし、演出家さんは見る側の視点から教えてくださるのでレッスン内容も違うし。毎年、同じレッスンは2度とないので、その時々で違うレッスンを受けられることも日ナレの素晴らしいところだなと思います。

そして既に現場でお仕事をされている人も一緒にレッスンをしていることもあるので、緊張感もあり、自分の気持ちも高まると思います。

――声優の仕事のおもしろさや魅力は?

Lynnさん:いろいろな役を演じられることですね。声のお芝居は、いろいろな可能性が無限に広がる、すごく夢のあるお仕事だと思います。

いろんな人と会って毎日刺激を受けますし、常に向上心を持って続けていけるお仕事だと思いますね。

――今後の目標はありますか?

Lynnさん: 誰かの心に残るキャラや作品、愛されるものを作っていける声優でありたいです。

初心を忘れず、緊張感も持ちつつ、前向きに楽しく、いろいろなものを吸収し、それでいて自分らしさも出せる、他にはいない役者さんになれたらいいなと思っています。

――声優をめざしている方へアドバイスとメッセージをお願いします。

Lynnさん:声優になりたくても、なかなか踏み出せない方も多いと思いますが、やってみたいと思った気持ちを1番大事にして、とにかく一歩踏み出してほしいです。私と同じようにお芝居を楽しんでいれば、きっと夢につながっていくと思います。

あと、いろいろな人に助けてもらっていいと思います。私も親にも協力してもらい、その恩返しがしたいという気持ちで一生懸命やっているので、皆さんも恐れず、自分の抱いた夢を大切にしてください。日ナレはそのきっかけになる場所であり、得るものも多いと思います。

私も毎日がお芝居の勉強です。一緒に素敵な声優になれるように頑張りましょう!

<取材・文:永井和幸>

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