日本ナレーション演技研究所

日本ナレーション演技研究所出身 大地 葉さんインタビュー 後編

2017-07-04 12:00:00

PROFILE

大地葉(たいちよう)

8月6日生まれ。埼玉県出身。ヴィムス所属。2012年にアニメデビュー、翌年に『恋愛ラボ』の水嶋沙依理役で初レギュラー。2017年4月より『アイドルタイムプリパラ』(虹色にの役)、『ゼロから始める魔法の書』(アルバス役)、『つぐもも』(皇すなお役)に出演中。また、今夏より『魔法陣グルグル』(ジュジュ・クー・シュナムル役)、『プリンセス・プリンシパル』(ドロシー役)がスタート!

 大地 葉さんは2012年にアニメデビュー後、多くの作品に出演し、この春にスタートした『アイドルタイムプリパラ』(虹色にの役)、『ゼロから始める魔法の書』(アルバス役)、『つぐもも』(皇すなお役)に出演中。また、今夏より『魔法陣グルグル』(ジュジュ・クー・シュナムル役)、『プリンセス・プリンシパル』(ドロシー役)も始まるなど、現在活躍中。

 後編となる今回は声優をめざしたきっかけと日本ナレーション演技研究所(以下、日ナレ)を選んだ理由や学んだこと、今後の目標についてお話ししていただきました。

――声優になろうと思ったきっかけを教えてください。

大地 葉さん(以下、大地さん):アニメが好きになったのは小学5年生の頃でしたが、声優という仕事を認識したのは中学1~2年生の時で、声優さんがキャラクターソングを歌っているのを知ってからです。でも、いちアニメファンとして観て楽しんでいただけで、声優になりたいと思ってはいませんでした。 そのまま高校3年生になって、周りが進学や就職という進路を決めていくなか、私は目標が見出せなくて。唯一、自分が好きだったのが歌で、一時期、歌のお仕事をやりたいと思って調べたり、オーディションを受けたりしたんですが、結果が出なくて。でもあきらめきれないまま進路も決まらず、遂に卒業時期になり、「これはマズい」と焦っていた時に、「アニメが好きだし、声優をめざそう」と思い立って。調べて日ナレに入所申込を出そうと思ったらギリギリで、速達で何とか間に合わせたのを憶えています。

――今までこのインタビューに登場した方の中でも珍しいケースですね(笑)。ご両親はその決断に対してどんな反応だったんですか?

大地さん:うちの親は、私が歌をやりたいことを何となくわかっていたので応援してくれていたんですけど、「結果が出なかったらちゃんと勉強して大学に行って、就職しなさい」と約束していたのに、守らなくて…。4月から何もしないなら家を出て行けと言われました。 養成所に行くと告げたら最初は「とんでもない!」という顔をされたけど、「まあやってみれば?」と認めてくれて。ただし「2年間だけね」と。私も2年以内で結果が出なければ、声優の道は諦めてちゃんと勉強し直そうと思っていたので、2年というリミットを設けられたことで、真剣に緊張感を持って取り組めたのでよかったのかなと思います。

――なぜ日ナレを選んだのでしょうか?

大地さん:これも安直な理由なんですが、ネットで「声優 なる」と検索したら一番上に出てきたから(笑)。もちろん、その他の養成所や専門学校も調べたんですたけど、日ナレの出身者一覧を見たら、林原めぐみさんをはじめ、素晴らしい方ばかりで、こんなに実績があるなら大丈夫だという安心感を得ました。それと受講料の安さも決め手でした。いきなり入らなきゃいけなかったし、自分で学費を稼がないといけなかったので。あと私は演技経験がまったくなくて、養成所の中には演技経験が1年以上ないと入れないところもありましたが、日ナレはそういう条件や制約がなかったので、助かりました。

――日ナレの基礎科では週に何日通っていたんですか?

大地さん:私は週3回のコースでした。私、ダンスがすごくヘタクソで、運動が苦手なんですよ。役柄は運動神経が良くて、ダンスもできるキャラを演じているのに(笑)。週3回クラスでは演技レッスンに加え、ボーカルレッスンとダンスレッスンがあるので苦手なダンスにも向き合えると思って。でも大変でした。

――リズム感はいいはずなのに意外です。

大地さん:体が全然ついてこなくて。でも、ダンスレッスンをやっていなければ今、『アイドルタイムプリパラ』でもプレッシャーに押しつぶされていたかも(笑)。

――クラスには声優への想いが強い方や、演技経験がある方もいるのでは?気後れすることはなかったですか?

大地さん:長年声優になりたいと想い続けていた人が多いなか、私は異端の存在で(笑)。目の輝きや真剣さが尋常ではなくて、私も入った瞬間、ちゃんと向き合わなくちゃいけないと気が引き締まりましたし、勉強していくうちにお芝居が好きになって。声優の奥深さも知って、なりたいという気持ちが強くなりました。また周りの人達も支えてくれて、いい刺激を受けることができました。

――基礎科ではどのようなことを学びましたか?

大地さん:基礎科ではマイク前に立たず、体を使った演技を重視していて。正直、なぜ体を使う演技が必要なのかな?と疑問に感じたこともありましたが、マイク前だと想像できない距離感や、ある動きをした時の声の出し方など、実際に体を動かして体験しておくと、演じる時にイメージしやすいと現場に出て実感しました。相手のいない、動きのない世界だけでやっていると薄っぺらい、平面的な演技になってしまうので、立体的な部分を出すんだったら相手は必ず必要ですし、体も動かさなきゃならないんだと勉強になりました。マイク前に早く立ちたいという気持ちはわかりますが、それよりもっと大切な根底の部分をしっかり身に付けておかなくてはいけないんですよね。

――入所前に歌手をめざしていたことは、発声などプラスになった点もあったのでは?

大地さん:入所前は独学でずっとやってきたので不安があったんです。「もっと正しい方法があるんじゃないか」とか。日ナレでは、ロングトーンの出し方など基礎の部分から教えてくださったので、改めて自分自身の声の出し方などと向き合うことができました。あと人前で何かすることに恐怖心がある人にも絶対プラスになると思います。私自身、苦手でしたが克服できましたから。

――レッスンの時間以外はどんな過ごし方をされていたんですか?

大地さん:学費を稼がなきゃいけないのでアルバイトをしていました。もちろん自主練も。ダンスは特にやっていました。やっていないとすぐ忘れてしまうし、身に付かないし、体を使った演技が家でもできるので。基礎科の時、講師の方から教えていただいた、部屋に入った瞬間、目に入ったものを実況する練習は、「それをやったらアドリブ力も対応力も付くよ」と言われたので毎日していました。自己PRやフリートークをしなさいと言われたら何もできないタイプだったので、瞬発力やアドリブ力は基礎科のレッスンで身に付きました。

――1年通った基礎科から本科へステップアップして、どんなことを学んだのでしょうか?

大地さん:本科で学んだことは、自然体の大切さを学びました。実写ドラマのように脚本を覚えて、お芝居するレッスンをしましたが、最初はその必要性がわかりませんでした。でも事務所に所属してオーディションを受けるようになったら、「自然体でお願いします」というディレクションが多くて。「力を全部抜いて、口を開けることも考えなくていいので、自然体のしゃべりを聞かせてください」とか。「~風に」とか言われたら対応できるんですけど、何もないのはむしろ難しいんですよね。 私は教わっていたので対処できましたが、戸惑う人も多いんじゃないかな? 演じることとしゃべることの差を実感させてくれたのが本科です。実際、「自然体で」というオーダーを受けた時のオーディションは良い結果になることが多いので、すごく身になったと思いますし、感謝しています。

――ちなみにヴィムスに所属になったのはいつ頃ですか?

大地さん:基礎科に1年通った後に決まりました。2年で結果を、と思っていたので、まったく心の準備もできていないまま、事務所にお世話になって。ただ本科の後の研修科までマイク前でのレッスンをしていなかったので、初めてのマイク前がいきなり現場でした。でも臨機応変に対応できて、結果として何とかなりました(笑)。

――アニメでのデビュー作は?

大地さん:『となりの怪物くん』です。その次が初レギュラーの『恋愛ラボ』です。初めて現場に行った時は出演されているのが大先輩の方ばかりで、「ヘタなことできない」とすごい緊張感の中、現場に行ったら、皆さんとても優しくしてくださって。例えば日ナレのOBの先輩が私ともう一人の新人の方に、「これからラジオの収録に行くから見学においでよ」と声をかけてくださったり。

――アニメ2本目がレギュラーというのはすごいですね。

大地さん:プレッシャーは大きかったですね。共演されている方々は普段からご一緒されていて打ち解けている中、どう入っていけばいいのか不安でした。ただ、メインの方々が私と年齢が近い方が多かったこともあって仲良くしてくださって。オン・オフ関係なく、まるで家族のように接してくれて、誕生日会をやったり。距離感を上手に縮めてもらえたおかげで、最初はガチガチだった私も自然と打ち解けて、みんなでいいものを作っていこうと一丸になれたし、初めてのレギュラー作品がそういう現場で幸運だったと思っています。

――日ナレで学んだことの中で、現在のお仕事で特に役立っていることは?

大地さん:人前で何かをする度胸が付きました。日ナレでは進級審査というものが毎年1回あるんですけど、事務所に所属している人もしていない人も受けるんです。審査では課題が出されて、それを人前で披露しなくてはいけなくて。私はそれまで人前で何かをするのが嫌で、恥ずかしさなどでやり切ることができなかったんですが、この経験のおかげで肝がすわったなと。今は人前でおしゃべりしたりする機会があっても物怖じしなくなりました。

――改めて、日ナレの魅力を挙げるとすれば?

大地さん:クラスメイトと一緒にレッスンを受けることですね。個人レッスンでみっちり学びたいという人もいると思いますが、視野や世界が狭くなってしまう気がするんです。私は日ナレで4年間学んで思ったことは、周りからたくさん刺激を受けたことです。 クラスには自分にない引き出しを持っている人が必ずいて、目からウロコみたいにハッとさせられることもあるし、悔しい思いをすることもあったけど、その人と出会わなければ気付けなかった可能性があるわけです。たくさん人がいれば、その分、個性もありますし、自分の引き出しを増やすいいチャンスですから。私は家にこもりがちだったので(笑)、同じ目標をめざす人達と一緒に切磋琢磨しながら成長できたことは財産になっています。一緒に学んでいると絆が深まって、現場で会えたりするとうれしいですし、頑張ろうと思えます。

――今後の目標やどんな声優になりたいかなど教えてください。

大地さん:(インタビューの)前編でもお話ししましたが、自分の声に特徴を見出せない人間なので、一時期、「自分の武器って何だろう?」と悩んだことがありました。でも「何色にも染まれる声優になれば強みになる」と思えるようになって。その音、そのキーでの勝負に勝てる、その色に染まれる声優になっていけたら長く続けていけるんじゃないかなと。いい意味で便利な声優になりたいです。

――声優をめざしている方へアドバイスとメッセージをお願いします。

大地さん:声優には実力はもちろん必要だけど、運も大切で。思わぬ出会いや些細なきっかけがどうつながっていくのかわかりませんので、一期一会の気持ちで出会いを大切にしてください。あと日常生活を送る中でムダなことは何一つなくて。日々の会話やTVから流れてくる音など、どんなことでも聞き耳を立てて、いろいろなことを吸収してください。 私が声優になろうとしたきっかけはともかく、決意してからの努力にはウソはないし、頑張ってきたと胸を張って言えます。目標を持ったら自分自身とちゃんと向き合うこと、そしてリミットは設けたほうがいいと思います。自分の中で締め切りを決めておかないとダラダラ、グズグズしちゃうので、期限の中で「ここからここまでは頑張った」と自信を持って言えるようになれれば、声優になれても、なれなかったとしても今後の人生の大きな自信につながると思います。頑張ってください!

<取材・文:永井和幸>

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