『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説』坂本監督インタビュー

シリーズ史上かつてないスピード&スケールに感動!『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』公開記念連続企画――坂本浩一監督にロングインタビュー「今回の作品はアニメファンにぜひ観ていただきたいんです」

 ウルトラシリーズ最新作となる映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』が12月12日から全国ロードショー公開される。実に43年の歴史を誇るウルトラシリーズだが、今回の『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』は、その伝統を受け継ぎながら、新たな地平を切り開いたと言っても過言ではないほどの完成度で、観る者の心を熱くさせることだろう。

 初代ウルトラマン~メビウスまで“光の国”の戦士たちが、シリーズ初となる総出演を果たすのはもちろん、こちらも初となる光の国の本格映像化。さらにウルトラマンたちの誕生の秘密も明かされるなど、かつてシリーズのファンだったお父さん世代や大人のファンにとっても見逃せないシーンがいっぱいだ。

 さらに今作は2007年からスタートしたTVシリーズ『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル』の世界観の延長で展開されるため、怪獣を召喚できるアイテム・バトルナイザーも登場。シリーズで活躍したZAP SPACYのクルー、そしてレイが、ウルトラ兄弟たちと本格的に競演を果たし、壮大なスケールの戦いを繰り広げるなど、とにかくこれまでのシリーズの様々な要素が存分に凝縮。密度の濃い傑作に仕上がっている。

 もう1つの注目が、今作で初登場する新ウルトラ戦士のウルトラマンゼロだ。セブンの息子でレオとアストラのもとで修行してきたというこの新ヒーロー。スクリーンでどんな活躍を見せるのか?そしてゼロの声を担当しているのは、人気声優の宮野真守さん。アニメ・声優ファンとしても要チェックな1作になりそうだ。

 この壮大な物語をまとめあげたのが『パワーレンジャー』シリーズなどを手がけ、海外で活躍する坂本浩一監督。海外ドラマを思わせるスピード感ある展開と、自身もシリーズのファンだという“想い”が詰まったこだわりの映像は、そのスピード、スケール感に圧倒されることだろう。これまでの日本の特撮映画の概念を根本から変える作品になったといっても過言ではない。

 「僕もアニメファン。だからアニメファンにもぜひ観てもらいたい」と語る坂本監督。今回、その坂本監督に話をうかがった。撮影秘話やゼロを演じた宮野さんとの意外な収録エピソードなど、公開が待ちきれないアナタに送るスペシャルなロングインタビューとなった。これは必読!


●STORY
M78星雲・光の国に緊急事態が発生!数万年前に宇宙牢獄に閉じ込められた悪のウルトラ戦士・ウルトラマンベリアルが脱獄したのだ。はるか昔、光の国で反乱を起こし、ウルトラマンキングの手で永久牢獄に封じ込められたならず者だが、100体の怪獣を操ることが出来る“ギガ・バトルナイザー”を手に入れ、光の国を急襲するウルトラマンベリアル。次々と倒されるウルトラ戦士たち。光の国は、暗黒の闇に包まれてゆく…。ウルトラマンメビウスは、同じく怪獣を操る力を持つ“怪獣使い”のレイのもとに飛ぶ。レイオニクスの力を借りて、ベリアルを倒し、光の国を再興させるために…。

⇒次ページから監督インタビュー!

普段は海外で活躍している坂本浩一監督!

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『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』<br>12月12日(土)、全国ロードショー<br>配給:ワーナー・ブラザース映画

『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』
12月12日(土)、全国ロードショー
配給:ワーナー・ブラザース映画

これが噂の光の国の悪のウルトラマン、ベリアルだ!

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ウルトラ兄弟が勢ぞろい!冒頭のアクションはすごいの一言

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『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル』で活躍したZAP SPACYのクルーも登場!

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●監督:今回の作品はアニメファンにぜひ観ていただきたいんですよ。

――映画を拝見して、地球が全く出てこないことに驚きました。ほとんど宇宙を舞台にしていますが、撮影はどのように行ったのでしょうか?

坂本監督:CGとグリーンバックですね。


――セットはどれぐらい使用されたんですか?

坂本監督:セットはスペースペンドラゴンという宇宙船の内部だけです。TVシリーズの『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル』で使用されたセットを改造して、汚しとディテールアップを施しました。


――特に冒頭の惑星αでメビウスが戦っているシーンのカット割がアニメ的に感じました。

坂本監督:意識というより、僕の体に染み付いているものなんです。僕は生まれが1970年。ちょうど日本の特撮とアニメ界が伸びていた時期で、子供の頃から特撮とアニメで育って、一時期はマンガ家になりたいと思っていたぐらいでしたから、僕の演出にもそれが影響してきたりとか、こういうアングル、動きがかっこいいというのは、すごく出ていると思うんですよね。


――実写でアニメと同じような演出をすると、そのままでは上手くいかない点もあると思います。監督のなかで、アニメ的な演出と実写である部分との整合性はどうバランスされたのでしょうか?

坂本監督:僕は今回の映画で“どうすればウルトラマンがかっこよく見えるか”という部分を特に意識しました。実写的、アニメ的問わず、かっこよく見えるカットは出来るだけつぎこんだつもりです。アニメの方法をそのまま実写にすると、テンポなど違和感もありますが、これまで実写を撮ってきたなかで培ったノウハウや経験を生かしながら、どうすれば一番かっこよく見えるかを追求しました。
 今作品のCGを担当したビルドアップの合成チームの方々が、すごく優秀な方ばかりで、背景や光線の描写など、僕からのリクエストを実現するために、すごく努力していただいて。アニメの画面に向かってビームが飛んでくるのがすごく好きで、過去のウルトラマンでは、画面上で光線は横向きに飛ぶんですが、立体感を出すために、光線を撃つときには画面に向かってだったり、手前から奥に向かって飛ばすようにしました。そういうシーンはアニメの影響が大きいと思います。


――全編がアクションに次ぐアクションですよね。前半で光の国がベリアルに襲われていくシーンなど観ていると、ウルトラマンと怪獣だけでも映画が出来そうですが、今作は『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル』の世界観ともリンクしています。融合させるのは大変だったのではないでしょうか?

坂本監督:多少リンクしながらも別に展開していたものを、どう一緒にすればいいか?そこが一番苦労した点です。同じ宇宙でも非常に離れているのでお互いは出会わないのですが、『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル』にもウルトラマンは登場しているので、上手く話を持っていって自然につなげていこうと。監督のオファーが来た段階で、岡部プロデューサー(円谷プロ)の綿密な脚本構成がすでにあったので、それをベースにどう上手く演出していけばいいかを考えました。『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル』で陰のボスだったレイブラッド星人と悪のウルトラマン(ベリアル)が融合した存在であれば、ウルトラ族とレイオニクスが力を合わせなければ倒せない存在になるだろうと。

ウルトラマンダイナ/アスカ・シンとして、つるの剛士さんも出演!

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ウルトラマンメビウス/ヒビノ・ミライを演じる五十嵐隼士さんも勇姿をみせてくれる!

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●歴代ウルトラマンの個性を出しながら演出したアクションシーン

――おおよそのプロットに監督はどんな要素を加えていったんですか?

坂本監督:こだわった点としては、先ほども話が出た最初の光の国でのアクションシーンですね。これだけ歴代ウルトラマンがいるなかで、どうやってそれぞれのウルトラマンの特徴をみせていくか。それぞれのウルトラマンについて、ファンの期待に応えられる見せ場を出しつつ、弱く見えないようにしつつ、ウルトラマンベリアルの強さをどう見せるか。最初の脚本では、ウルトラ兄弟が入り乱れての大乱闘だったんですが、それを要所要所で再構成しました。
最初はタワーの外で、その次が中、上で戦って……という構成なんですが、実はこれはブルース・リーの『死亡遊戯』という映画をイメージしました。ベリアルが各エリアでウルトラ兄弟と戦って倒して、次のエリアに行くと。『死亡遊戯』も異種格闘技で毎回アクションの形態が違う。うちのアクション部と相談しながら、各ウルトラマンごとにアクションも変えていきました。

――あのパートでは密度の濃さを感じました。特に海外ドラマのスピードやリズム感のような。監督は海外で『パワーレンジャー』などを演出されていますが、その経験は今回どんな部分に生かされているのでしょうか?

坂本監督:テンポ感ですね。アメリカではチャンネル数が多いので、子供はすぐチャンネルを変えてしまいます。競争相手も激しいので、そこで勝ち抜くためには、子供に飽きさせないことが重要になります。日本と違い、向こうでは24時間子供番組を放送しているチャンネルがあり、同じ時間帯にも競争相手がたくさんいます。飽きさせないために、テンポを一番重要視しています。テンポの速さは今回も生かされていて、子供が飽きない90分に仕上がっていると思います。


●“ちょいワル”ウルトラマンゼロのイメージは矢吹丈と不動明!

――話は変わりますが、今回、各ウルトラマンのアクションについては、どのように個性を出そうとお考えになりましたか?また今回から登場する新ウルトラマンの“ゼロ”は格闘アクションがメインですね。

坂本監督:アクションのディテールについては岡部プロデューサーから一任されていて、僕とスタントチームで考えながら作っていきました。ゼロについては、師匠がウルトラマンレオ。レオは歴代ウルトラマンのなかでも唯一格闘が得意で、僕が一番好きなウルトラマンなんです。子供の頃、スポ根モノとか格闘モノが大好きで、『レオ』はスポ根モノなんですよ。モロボシ・ダン(セブン)に鍛えられたおおとりゲン(レオ)が試練を乗り越えて強くなっていく。ゼロがセブンの息子ということで、今回どうしてもレオを出したいと提案して、その時にゼロの姿は最初は見せないようにしようと。


――大リーグボール養成ギブスみたいなものとヘルメットみたいなのを装着してましたよね。あれもかっこよかったです。セブンの息子をレオが鍛えるというのもスポ根ですよね。

坂本監督:『巨人の星』もそうですけど、『エースをねらえ』、『あしたのジョー』も大好きなんですよ。ゼロのイメージも僕のなかでは、矢吹丈であったり、不動明なんですよ。


――ゼロのキャラクターがヤンチャなのも驚きというか、ウルトラマンなのに。

坂本監督:今までのウルトラマンは地球に派遣されたエリート戦士なんですよ。


――名門大学のラグビー部出身みたいな。

坂本監督:ゼロはちょっと悪ぶった感じで。岡部さんがもともと持っていた不良のようなイメージと、僕のやりたかった矢吹丈のイメージがマッチして、「それでいきましょう」と。アフレコの時に(ゼロ役で声の出演の)宮野真守君に「矢吹丈でいこう」と話したら、「誰ですか?」って。ジェネレーションギャップが(笑)。


――今の子供は昔のスポ根などを知らないので、観て新鮮に感じるかもしれませんね。

坂本監督:今の子供たちにこれを観ていただいて、自分が子供の頃感じた想いを抱いてほしいというのもあるんです。それがベースになっているので、格闘技もレオから引き継いだ技を使っていたり。練習中にゼロがレオにしている回し蹴りを、レッドキングを倒すときに使ったり、セブンが格闘中に回転しながらアイスラッガーを出すんですが、ゼロも回転してアイスラッガーを出したり、オマージュ的な意味合いも込めたシーンもあります。


――古くからもウルトラマンファンも楽しめるシーンが盛り込まれてるんですね。

坂本監督:細かい部分にこだわって撮ったつもりです。ゼロが光線を打つときも、レオが光線を打つときのポーズから、セブンが光線を打つときのポーズをとって、とか。


――ゼロはデザイン面でもダブルアイスラッガーなど、新しいスタイリングですね。

坂本監督:ゼロの色については最初、セブンの息子ということで赤ベースだったんです。ただ岡部さんが指摘されたのですが、大画面でたくさんウルトラマンが登場し、セブンと並ぶシーンなどがあると、区別がつきにくい可能性が出てくるんですね。そこで会議をして、最終的に岡部さんの意見で青を入れるということが決まったんです。本当にスーツを使って撮影に入る直前でした。


●豪華なキャスト、声優陣。宮迫さんのベリアルはベストマッチ!

――ゼロの声優は宮野君ですが、収録ではどんな話をされましたか?

坂本監督:僕もガンダムシリーズの大ファンで、宮野君は実力も人気もあるので、本当にゼロを演じる条件を兼ね備えていました。収録の際には先ほども話しましたが「不良っぽく演じて欲しい」とお願いしました。彼が今まで『ガンダム00』や『デスノート』で演じてきたキャラクターとは、ちょっと違うところもあるんですけど、彼自身もすごく楽しんで演じてくれて、アフレコしながら「かっこいい!」と思って見ていました。特に「ウルトラセブンの息子、ゼロだ!」って見栄を切るときに、声を直接聞いていて、すごいなと思いましたね。


――宮野さん以外にも豪華な声の出演ですよね。

坂本監督:黒部進さんと森次晃嗣さんに関しては子供の頃からのファンだったので、緊張しましたね。お二人とも新しいウルトラマンを作ることに関してすごい協力的で、アクションシーンもできる限り協力してくださいました。つるのさん、五十嵐君、南君も元々身体能力が高くて、みなさん新しいものを作ろうという意気込みがすごかったですね。

――そしてベリアル、悪のウルトラマンということで、このキャラクター作りについては、どう演出していこうとお考えになりましたか?

坂本監督:やはり極悪非道で、それでいてかっこよくなきゃならない、というのがあって。脚本の表現をどう演出するかをベリアル役のスタントマンとも綿密に話し合って、その芝居を上手く生かすカメラアングルを考えました。表情が出ないですから、なかの芝居と撮り方で表情がずいぶん変わるんです。それを一番引き立たせることに集中して演出して、その動きに対して宮迫さんが外見と声がマッチする素晴らしい声をあててくださいました。


――また、今回光の国が本格的に映像化されましたが……

坂本監督:コンセプトデザインはすでに岡部さんのほうで作り上げていて、僕のほうでそれをどう演出していくか。脚本にあった設定をどう効果的に見せるかというのを、僕がやりました。全編僕が絵コンテを描いているんですが、冒頭から最後までコンテを書いて構成を考えながら、こうすれば光の国が全部見せられると、絵コンテをスタッフにみせながら説明していきました。


――最後に、アニメイトTVニュースの読者のみなさんにメッセージをお願いします。

坂本監督:実写の日本映画では今までなかったほどの、全編宇宙が舞台の作品で、アニメファンもすんなり入っていけると思いますので、ぜひ観ていただきたいです。僕自身もアニメが好きなので、この新しい世界観を観ていただきたいです。


坂本 浩一(さかもと こういち)氏プロフィール:高校在学中に倉田アクションクラブに在籍し、その後渡米。1993年にスタントチーム・「アルファ・スタント」を設立。1995年、『パワーレンジャー』アクション監督担当。その後、本編監督、脚本原案、共同プロデューサーを務め、2002年以降は製作総指揮。『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』は日本での初監督作となる。


『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』は、12月12日(土)から全国ロードショー(配給:ワーナー・ブラザース映画)。スタッフ&キャストなど詳細は公式サイトで!


>>大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE 公式サイト

(C)2009 「大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説」 製作委員会
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