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映画『鋼の錬金術師』公開記念!朴王路美さんに独占インタビュー

『鋼の錬金術師 嘆きの丘(ミロス)の聖なる星』いよいよ7月2日公開で朴王路美さんがアニメイトTVに登場!――「『鋼』のアフレコは“自分との戦い”」エドと歩んだ8年間を語った!

 『鋼の錬金術師』劇場版映画最新作『鋼の錬金術師 嘆きの丘(ミロス)の聖なる星』。

 未だ旅の途中である主人公のエドワード・エルリック(以下エド)とその弟・アルフォンス(以下アル)が、これまで原作やTVアニメでは描かれなかった西方の街・テーブルシティを舞台に冒険を繰り広げるストーリーとなっている。

 原作、TVアニメ共に最終回を迎えながらにしての完全新作劇場映画版公開ということもあり、公開前から大きな話題に。さらに脚本には小説家の真保裕一氏を起用、謎解きと『鋼の錬金術師』の世界観が融合した見ごたえのある作品となっている。

 今回は劇場映画版の公開に先駆け、主人公のエドを演じる声優の朴王路美さんに独占インタビュー。朴さん本人の言葉でアフレコ時の赤裸々な思いや映画の見どころなどをたっぷりと語っていただいた。

●「監督からきっちりと説明をいただいて、すーっと映画のストーリーに入っていけました」

――まずは、今回の映画『鋼の錬金術師 嘆きの丘(ミロス)の聖なる星』のアフレコを終えての感想をお願いします。

朴さん:TVシリーズのころからこの劇場映画版があるということは聞いていたんですけれども、その頃TVシリーズもクライマックスに向かっていくところで、そちらのほうへ重きを置いていたので、劇場映画版がどのようになるかということに全然気持ちが回らなかったんですね。

――そうですよね、気持ちがそちらに行ってしまいますもんね。

朴さん:はい、「劇場版をやるぞ」となった時にも、TVシリーズが終わって少し時間が経っていたからか、なんだかあんまり自分の中で実感がまだ湧いてこなかったんです。けれども、台本を頂く前、そしてアフレコも始まる前、そういったことの何よりも前にこの劇場映画版のCMを収録するということでスタジオに行ったんです。何も分からないまま行ったんですけれども、その時に現場に監督さんがちゃんといらしてくださって。

 そして「この映画のストーリーはTVシリーズの20話以降のお話になります。実はエドとアル、西には行っていないんです」というお話をしていただいて、「行っていなかったんだっけ!」と思いました。そして「母親を錬成したと思っていた彼らがお墓を自ら暴き、自分の罪と向き合ったあと、結果自分たちは誰の魂も汚していなかったということと、アルの身体を取り戻せるという確信めいたものを得て、新たな旅に出るというところなんです」という説明をきっちりいただいたので、何の迷いもなく、この映画のストーリーにすーっと入っていけたような気がします。


●「またエドに“持っていかれる”日が始まるのかと思うと嬉しい半面、正直しんどいなと」

 ですが、はじめに台本を頂いた時にあまりの台本の分厚さに若干ひいてしまって(笑)。三時間くらいの尺があるんじゃないかと思いました。台本を1ページ開くのにすごく時間がかかって、またエドに“持っていかれる”日々が始まると思って……。うれしいんですけど、正直しんどいんですね。

 本当にエドはアグレッシブな人で、“ばたばた”っと私の中に入ってきて、“ざばざばざばっ”と駆けずりまわって、“ぶわっ”と何かを持って行って去っていくんです。なので、なんだかすごく気が重いなぁと思いながら台本を鞄の中に入れっぱなしにして、そのうち表紙が擦れてきたりして、まるですごく読みこんでいる人のようになってきたんですが、実は全然読んでいなくて(笑)。

 でも、「もうだめ。ちゃんと向き合って!ろみちん!」と思って、決意して読みましたら、(脚本を担当された)真保さんが持っている独特の謎解き感満載のストーリーと『鋼の錬金術師』というものが見事に融合していて、「こんなの鋼じゃない!」なんてかけらも思うところなく、すんなり入っていけました。


●「絵が動きまくってる!台本の分厚さが理解できました」

 また、「リハV」といってアフレコの前に声を当てる“画”を収録したDVDを頂くんですが、それを見た時にこの台本の分厚さが理解できました。リハVの画はまだ完全なものではないのですが、それでもわかるくらいものすごい動き方していて、リハVを見るのにこんなに時間がかかったことは今までありませんでした。

 なかでもアクションシーンがすごすぎて、若干吐きそうになるくらい動いていたんですね(笑)スタッフさんひとりひとりの想いがぎっちり詰まったものが、この台本の分厚さなんだなということをひしひしと感じました。この台本が分厚くて重いのは当たり前だよなと思ったんです。


――では、TVシリーズ以上にアクションシーンは期待できるということでしょうか?

 期待できます!もう、台本の1ページ目を開いたら「炎・メラメラ、パチパチ」ですからね(笑)「なんだこの台本」と思いました。エドとアルも街中のアクション、電車の上でのアクションや崖のアクション、空のアクションなどもう!アクションだらけです!リハVの線画を観ただけでもすごかったので、完成品はどうなるんだろう、と楽しみにしています。


●「実際にアニメの制作現場を見たら、涙がでてきました」


朴さん:それからこの間、アニメーション制作をしているボンズさんに陣中見舞に行かせて頂いたのですが…スタッフさんたちが全部手で作っているんです。たった2秒のコマ割を何日もかけて作られている…。頭でわかってはいましたけれど、実際自分の目でこれだけの人たちが手作業で全部つくっている姿を見たら、涙がジュワって出てきてしまって…。どれだけの人の想いがここには詰まっているんだろうと震える思いでした。

 いくらデジタル化されている時代といっても、やっぱり物を創るというのは人の想像力から始まって、人の“手”から創り上げられるものなんだと実感しました。もちろん色を塗ったりするのはデジタルですけれど、最初の、はじめの部分は絶対に人の手からなんだな、と。


●「『鋼の錬金術師』独特の緊張感を今回も味わいました」

 一通りの準備を整えながらもやはし緊張していて、でも自分を奮い立たせてスタジオへ「いざ、収録!」と向かったんです。ビルの中に入っていくまではいつも通りの風景なんですけど、スタジオ前の階段を上がっていったあたりから“もわーん”としたものが下りてきていたんです。悪寒が走るくらいの、何とも言えない蒸し暑い、湿度の高い熱気が。…重いんです、全部下に落ちていって階段まで垂れ下がっているような。その瞬間「は~……鋼だ……」と感じました。


――それは『鋼の錬金術師』独特のものなんですか?

 そうですね(笑)鋼でしか感じたことのない、独特のものです。そしてスタジオに入っていくと、重い空気の根源(笑)であるプロデューサーたちがそこに居て。「おはようございます」と挨拶をすると「おはよう」と言ってくれるんですけど、そう言いながら「お前ちゃんとやれよ」という空気を漂わせている(笑)。「あーもうやだやだ」と思いながら、(空気が)真理の扉のあの手のように私に“べろべろべろーん”とまとわりついてくるんですが、それを振り払いながらスタジオに入って、その瞬間「緊張している場合じゃないな私!」という気持ちにさせられました。そこからは自分との戦いになるので、プレッシャーをかけられるまでもなく、戦わなきゃという気持ちになりましたね。


――TVシリーズや前回の映画のアフレコの際なども毎回こういったプレッシャーや『鋼の錬金術師』独特の空気はあったんでしょうか?

 はい、毎回です(笑)

――それは、何度経験しても慣れないものなんですか?

 慣れないというか……重いんですね。そして結局、戦う相手は自分なんです。自分と向き合うのってものすごいエネルギーが必要じゃないですか。結局自分で向き合わなければなにも表現はできないので、周りのみなさんが一生懸命「逃げるんじゃないぞ」と朴王路美を追いこんで包囲網を張ってくださっているだけなんですけどね。でも……しんどいんです(笑)


●「しんどいからこそ楽しいのが『鋼の錬金術師』のアフレコ」

――ということは映画のアフレコはしんどかったんですね。

 しんどいですね~。でも、しんどいからこそ、だから楽しいんです。ガチの勝負になるので。苦しいんですけど、こんなにガチで真っ向勝負できるお仕事っていうのもそんなにあるものではないな、と。苦しいところを少し乗り越えてくるとランナーズハイのようになって、ちょっとだけ楽しくなってくるんです(笑)そして終わった後に瞬間だけ「終わったー!」という爽快な気分になれるのが醍醐味ですね。あくまでも瞬間なんですけど(泣)

――終わった後の感情も『鋼の錬金術師』ならではのものなんですね。

 はい、終わった後、すごくもやつきもあるんですけれど、「戦いが終わった!」という気持ちにはなれるんですね。


(C)荒川弘/HAGAREN THE MOVIE 2011

(C)荒川弘/HAGAREN THE MOVIE 2011

●「作品を作る側の中でも、ラストの解釈の違いがありました」

――なるほど、そしてもやつきというのもあるんですね。それは今回の映画でいうと、どういった感情だったんですか?

 本当に「鋼」という作品は一筋縄で行かせてくれないんですよね。今回のもやつきは、最後の解釈の問題で、ネガティブにとっている人もいれば、ポジティブにとっている人もいるっていうのが役者やスタッフの中でもあって。


――では作り手側のみなさんもそれぞれの考え方を持っていて、それが別々だったということですね。

 はい、それが真保さんマジックだと思うんです。私はポジティブであって欲しくて。じゃないとやりきれないなと。でも中にはこれは絶対にネガティブじゃないと終われないでしょうという意見もあって……。でも、そういうことを洗いざらい話し合えるというのも、これまで色んなことを乗り越えてきた鋼のこのチームだからなんだと思うんです。

 そんな中で、この作品をロイが“締める”のか、エドが“締める”のかという話し合いもあって。台本上はロイが締めるということになっていたんですけれども、もしかしたらエドが“締めた”方がいいんじゃないかという意見も出て、2パターン収録が行われたんです。実際どちらが締めたのかはご自分の目で確認していただきたいなと思います。また、みなさんがこの作品を観てどう受け取られるか、それも私自身聞いてみたいですね。


――では映画館で作品を観る際に、「もう1つのパターンの締めもあったんだな」ということを想像しながら見るということですね。

 そうですね、それを想像しながらでもいいですし、じゃあどうしてこちらの締めが使われることになったのか、ということを考えながら観ていただけると、さらに作品自体が面白くなるかもしれないですね。


●「すべてのエンターテインメントが詰め込まれた作品です」

――では、最後に劇場版を楽しみにされているファンのみなさんにメッセージをお願いします。

 すべてのエンターテインメントがこの『鋼の錬金術師 嘆きの丘(ミロス)の聖なる星』には入っていると思うんです。真保さんの謎解きがどうなっていくのか、わくわくしながら観ていただきたいですし、そこに『鋼の錬金術師』の世界観が見事に融合しています。鋼を楽しみにしていただいている方はもちろん楽しめると思いますし、鋼を知らない方も、この作品1本でも絶対に楽しめるものになっていると思うんです。

 また、先ほどからお話しているアクションシーンをはじめ、全体通してボンズの総力を挙げた絵作りというものを堪能できると思います。そして音響チームもこの作品に総力を挙げてくださり、すごい出来になっています!。

 今、映画を自宅で観られる方も多いと思うんですけれど、できればぜひ、大きな劇場で、大きなスクリーンで、このたくさんの人の想いが詰まった作品を、五感をフルに活かして思う存分楽しんでほしいなって思います。絶対に満足できると思います!

<取材・文:福島 槙子 撮影:河井 彩美>

映画『鋼の錬金術師 嘆きの丘(ミロス)の聖なる星』
2011年7月2日(土)全国ロードショー
配給:松竹/アニプレックス

※文中の「朴王路美」の「王路」は機種依存文字のため代替文字を使用しております。

>>『鋼の錬金術師 嘆きの丘(ミロス)の聖なる星』オフィシャルサイト


(C)荒川弘/HAGAREN THE MOVIE 2011
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