『DD北斗の拳』カジオ先生がアニメイトTVに登場!――“笑”撃的な北斗ワールドはどうやって生み出されたのか?多才なカジオ先生が語った「ふざけないで描くのが“面白さ”の秘訣です!」
ケンシロウがコンビニでバイト!?現在、コミックゼノンで好評連載中の『DD北斗の拳』は、『北斗の拳』をベースに「もし世界が滅びず、あのキャラクター達が現代に生きていたら……?」という奇抜な発想をモチーフにシュールなネタが展開するギャグマンガだ。『北斗の拳』と“ギャグマンガ”という、至難(!?)の組み合わせに挑むのはカジオ先生。今回直撃インタビューで『DD北斗の拳』秘話にせまった――
●きっかけはFlashアニメから──『DD北斗の拳』誕生秘話!
――まずは『DD北斗の拳』誕生の経緯からお伺いしたいのですが
カジオ先生(以下カジオ):最初はコアミックスさんの方から「北斗の拳を元にしたギャグ作品をやってみないか」というお話がありまして、それが3~4年前ですね。
最初はそれでFlashアニメを作ろうという話になりまして、僕はマンガ家もやりつつFlashアニメも作っていたので、その時は監督というポジションで、シナリオライターもキャラクターデザイナーも別にいて……という状況だったんです。
で、そのFlashアニメ(3分×12本)が出来まして、それは今年の頭から関西方面で放送されたり、今後色々と展開していく予定なんですけども、今回コミックゼノンさん創刊の時に「『DD北斗』をマンガでやりたいね」と、改めて声をかけてくださったんですよ。
僕はマンガ家でもあり『DD北斗』の監督でもあったのでお受けした、という感じですね。
――最初にこのマンガを読んだ時にかなり特徴的なディフォルメだと思ったのですが、そういう事情があったんですね。
カジオ:そうですね。まずFlash用の二頭身のキャラクターを今回のマンガ用にデザインを起こし直して…という風に描いています。
――マンガ自体は全て手描きなんですか?
カジオ:はい、もう普通に紙にペンで描いています(笑)。逆に一切デジタル感が無いですね、単行本の表紙もデジタルは使わないで色塗ってますし、基本がアナログの人間なんでそっちの方がしっくりくるんですよね。
――カジオ先生の中で、Flashアニメを制作することとマンガを描くという作業で、どんな違いが存在しますか?
カジオ:画を描く場合は自分が描かないと始まらないので、構図を決めたりコマごとに画を決めていったり……と色々ありますけど、Flashアニメの場合は動かすパーツ(キャラの手とか)というか部品を作って、それを配置して作っていくので「どうやって手間を惜しむか」みたいな所を気にしますね、なので考え方が違う部分はありますね。
――ではどちらかというとアナログ(手描きのマンガ)の方が、その場のノリで作り込んでいけるということでしょうか?
カジオ:そうですね、頭で思ったものをなるべく全て表現するようなのがアナログの作り方かな、と思っています。
●『北斗の拳』をギャグマンガにすることは意外と難しくはなかった!?
――『北斗の拳』というマンガ史に残る作品をこういった形でギャグマンガにするのは相当なご苦労があると思うのですが、ネームはどうやって考えていますか?
カジオ:そうですね。「何かネタになるものはないか」って原作の有名な台詞やシチュエーションのシーンを思い描いてそこから捻って……っていう感じで考えていますね。
――『北斗の拳』のキャラが普通の日常の世界にいるっていう時点でもうギャグですもんね
カジオ:やっぱり“普通の日常”というのが一番、北斗キャラを面白く表現できるかなと思ったんですね。常識からどれだけはみ出させられるかというか、常識とか日常とか普通のところで一番動くのかなと思ってます。
――ギャグマンガを作るというのは独特の思考が必要だと思うのですが、その辺はいかがでしょうか?「人を笑わせる難しさ」というのはどのようなものなのでしょうか?
カジオ:本格的なギャグマンガはこれが初めてなんですけど、もともとコメディ的なものは好きだったので、そこから同じ構図でより笑いに特化したものにすらしていく……というように作ってはいますね。
北斗キャラ達がなんか変な行動をして、それにバットがつっこむ…ということで一個ギャグが成立するとしたら、その変な行動に対して説明的すぎると流れが悪くなるので、できるだけ自然と変な事をするように流れをもっていく、その流れを作るのが苦労します。
――今回発売の第一巻には『北斗の拳』の原作の武論尊先生のメッセージが帯に書いてありますが、実際に武論尊先生や原哲夫先生とはやり取りはしてらっしゃるのでしょうか?
編集部:勿論両先生にもネームはお見せしてはいるんですけど、その感想であったりというのはカジオ先生には一切伝えていません。もし何かあったときは我々(編集部)で解決するようにします。
基本的に作家さんには自由に描いていただくというのが我々の考え方ですので、『DD北斗の拳』の世界観を大切にしたいという点からもそのようにしています。
「今月の面白かったよ」と原先生からお褒め頂くこともあるんですけど、それを伝えるのも雑誌が出た後ですね。基本的に自由に描いてもらいたんです。
カジオ:……と言いつつ気は使ってますけどね(笑)。ギャグにしつつも本来のキャラを崩さないようにギリギリのところを狙ってはいます。
――具体的にはどのような処でしょうか?
カジオ:基本的に皆ふざけていないんですよ。皆真面目に自らの信念に基づいて動いているんですよ。だからなんか面白いことを思いついても、キャラがふざけているような見え方になると思ったら、そのアイデアはボツにしています。
――なるほど、つまりラオウが自分で自分のイスを作ってしまうのもあくまで真剣なんですよね
カジオ:そうです。それを真剣にやるからこそ面白いという方向ですね。
――読んでいるとディフォルメされたマンガの中にいきなりケンシロウやラオウがリアルタッチの顔になる場面があるんですけど、描き分けるのは結構難しいのではないでしょうか?
カジオ:いや、そんなに難しいことではないですよ。リアルな顔の方は殆ど模写に近いというのもありますけど。
――道具などを変えたりはしていないのでしょうか?
カジオ:全部一緒ですよ。普通のGペンです。
●次に出るのはサウザー?フドウ?──気になる今後の展開に迫る!
――今後、北斗四兄弟、ユリア、リン、バット、シン以外の原作のキャラ達は出てくるのでしょうか?
カジオ:まだ出ていない原作の重要キャラ達は出していきたいなとは思いますが、出てきたところでどのように動くかは…全く解らないですね。今月号の分でアミバが出てくるんですけど、彼みたいにいじりがいのあるキャラは出しやすいかもしれませんね。
とはいえ新キャラばっかり出てくる話が続いても面白くないんで、レギュラーと絡めつつ話を作っていかなきゃならないので、その辺のタイミングやバランスは考えてます。
――では最後に読者の方へメッセージをどうぞ
カジオ:「北斗の拳」好きの人に怒られなければいいな、と思っています(笑)。自分の中でもちゃんとリスペクトは持ってやっているので、嫌われないだろうなとは思っていますが、ふざけ過ぎだと思われる方がいればその方にはごめんなさい、ということで(笑)、今後ともよろしくお願いいたします。
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