【特別企画】海外取材――フランスのマンガ・アニメブームに迫る!

【特別企画】海外取材――フランスのマンガ・アニメブームに迫る! フランス人コスプレイヤーとマンガ専門店店長にインタビュー

 フランス・パリでは毎年7月に「Japan Expo」が開催されている。「Japan Expo」は欧州最大の日本のポップカルチャーを扱うイベントだが、ヨーロッパではこの「Japan Expo」以外にも多くの日本に関連したイベントが開催されている。スペイン・バルセロナの「Salon del Manga」、イタリア・ローマの「ROMIX」などが代表的だ。日本イベントは現在でも増え続けていて、イギリスでは昨年より「HYPER JAPAN LONDON」が新たに始まり、フランスでは今月、中部の都市・オルレアンで「Japan Expo Centre」の開催が予定されている。これ以外にも多くの主要都市ではマンガ・アニメイベントが多数開催されている。

 今回は、そんなヨーロッパにおける「クール・ジャパン」の発信地・フランスに住んでいるコスプレイヤーの若者と、マンガ・アニメグッズ店の店長にインタビューを行った。

 「BLEACH」に登場する綾瀬川弓親のコスプレをしているのはイヴァンカさん。彼女は世界遺産でもあるフランスのリールに住む18歳の女子高生だ。コスプレの衣装はすべて手作りで、布の選定から裁縫まで自分で行った。手にしている「藤孔雀」も木材から自らの手で切り出した。彼女がコスプレをしたのはこれが初めてであったが、コスプレの楽しさに目覚め、今後もいろんなキャラクターになりたいという。

 イヴァンカさんが日本のアニメに出会ったのは「NARUTO -ナルト-」がきっかけ。それ以来、アニメ・マンガにはまり多くの作品に釘付けになった。情報収集はもっぱらインターネットだという。最近はまっている作品を聞くと、「NARUTO -ナルト-」、「BLEACH」に加え、やまねあやののBL作品「ファインダー」と答えてくれた。フランスでもBLややおいがマニア層を中心に広まりつつあり、用語はそのまま「Yaoi」、「Fujoshi」などと訳されている。日本でも一般的とはいい難いこれらのジャンルが、国境を超えてどこまで受け入れられるのか、興味深いところだ。

 イヴァンカさんに、日本に行きたいかと問うと、放射能のことを気にかけながらも、「行きたい!」と力強く答えてくれた。日本に来たら「マンガの世界」を覗き、日本のコスプレイヤーと友達になるのが夢だそうだ。

 イヴァンカさんが、コスプレの衣装や小道具を手作りしていたことからもわかるように、フランスで、マンガ・アニメグッズを手に入れるのは難しく、「アニメイト」のようなマンガ・アニメの専門チェーンが存在しないというのが現状だ。その反面、個人経営のマンガ・アニメグッズ店が多くある。今回はその中からパリの「Manga Spirit」を取材した。話を聞かせてくれたのは店長のスリム・セディリさんだ。

 「Manga Spirit」はメトロ9番線の「Voltaire」駅とメトロ1,5,8番線の「Bastille」駅の近くに位置し、「バスティーユ広場」まで徒歩10分程度と観光客にも好ロケーションだ。最近では日本人観光客のお客さんも増えているとか。このお店の近くにはアメリカン・コミックスの専門店やゴスロリ衣装のショップなども軒を連ねサブカルファンにはたまらない場所だ。

 店内に一歩足を踏み入れると、そこはまるで「オタクの一人暮らしの部屋」のようだった。

 天井近くまで積み上げられたマンガは中古のものが中心で1冊2ユーロから売られている。日本で出版された画集なども日本語のまま販売されていた。

 店の奥には、フィギュアやポスターが並べられており、18禁と思われるフィギュアも見境なく陳列されている。どうやらフランスは日本よりも規制が弱いようだ。

 店長のセディリさんがお店を開いたのは昨年の2010年9月のこと。前職の体育教師を退職し、夢であったマンガ・アニメの専門店を開いた。フランスで本格的にアニメ放送が始まったのが1990年代で、「北斗の拳」、「美少女戦士セーラームーン」、「ドラゴンボール」といった作品が人気をはくした。セディリさんも例外なく、これらの作品のファンであったという。この世代は、いわばフランス・アニメオタクの第一世代で、現在フランスのマンガ出版社やイベンターとして活躍しているのもこの世代が中心となっている。

 最近の売れ筋を聞くと、「ナルト」、「ワンピース」などの人気作品はもちろん、「プルートゥ」、「黒執事」、「D.Gray-man」という作品の名前が挙がった。CLAMP作品や「聖闘士星矢」もいまだにヒットし続けていてフランスではかなりのロングセラーだ。お客さんは小さい子どもから四十代の中年までと幅広く、商品の選定には苦労しているという。それでも「いい作品を知ってほしい」と人気作品に偏らない商品構成を心がけているそうだ。セディリさんに現在の目標を伺うと、「他業界とも協力して、マンガ・アニメを盛り上げていきたい」と答えてくれた。

 フランスで日本のポップカルチャーが流行している背景には、このようなフランス人が多く存在することを知っておきたい。
<取材・文:坂井拓也>


Manga Spirit (Facebook)

関連タグ
おすすめタグ
あわせて読みたい

関連商品

おすすめ特集

今期アニメ曜日別一覧
2024年春アニメ一覧 4月放送開始
2024年冬アニメ一覧 1月放送開始
2024年夏アニメ一覧 7月放送開始
2024年秋アニメ一覧 10月放送開始
2024春アニメ何観る
2024年春アニメ最速放送日
2024春アニメも声優で観る!
アニメ化決定一覧
声優さんお誕生日記念みんなの考える代表作を紹介!
平成アニメランキング