アニメーター志望の若者よ集え！　若手アニメーター育成プロジェクト「アニメミライ」記者会見の模様をレポート

　若手アニメーターの育成とアニメ制作環境の問題解決を目的とし、昨年度よりスタートした「若手アニメーター育成プロジェクト」。その活動をもっと公に広め、より一層アニメの振興を図るべく、本年度より「アニメミライ」という名称に変え、活動を盛んにしていくことが明らかにされている。

　そして、この「アニメミライ」についての記者会見が、1月18日に行われ、文化庁の芸術文化調査官・佐伯智紀氏と、現役のアニメーション監督であるヤマサキオサム氏、そして「アニメミライ」広報大使に任命されたアーティストの西川貴教氏の3名が出席。「アニメミライ」についての概要と、今後の展望などについて語った。

　まず壇上に登場したのは、文化庁の芸術文化調査官である佐伯智紀氏。「アニメミライ」の活動について、各アニメ制作プロダクションや団体の協力のもと、アニメーター志望の若手を実際の現場、さらにはベテランの監督下で実際にアニメを制作しながら学んでいく、実践形式の育成方法であると述べた。

　実際に現場で技術を学んだ若手アニメーターたちは、その成果として30分程度のオリジナル短編アニメーションを作成する。このアニメーションを広く公開することで、人材の育成と共に「アニメミライ」の活動をより多くの人に知ってもらうことができるというわけだ。すでに去年の制作物は2011年の3月頃より各所で公開され、そのクオリティの高さから各所で評判を得ている。「中には名指しで次の仕事を請け負った若手もいる」と佐伯智紀氏はコメントしていた。

　続いて現役アニメーション監督であり、一般社団法人日本アニメーター・演出協会の代表理事を務めるヤマサキオサム氏が登場。現在のアニメーション作成は、海外への作業委託や、作業のデジタル化や分業化が進み、日本の若手とベテランが同じ場所で作業することによって生まれる技術の継承が進んでいないという問題があると指摘。それらの問題点を解決するべく、同氏は「アニメミライ」プロジェクトでは若手とベテランの距離を近くし、より密に作業を行うことで、ベテランの持つ技術の継承や、若手のいち早い育成を行うことを目指していくようだ。1アニメーション監督としても、「アニメーションは多くの人に見てもらって初めて成り立つもの。こういった場を設けて、広く知ってもらえるというのは素晴らしいこと」と述べている。

音楽アーティスト・西川貴教氏

文化庁の芸術文化調査官・佐伯智紀氏

現役のアニメーション監督・ヤマサキオサム氏

　　最後に登場したのは、アーティストでありながらディープなオタクであることを公言している西川貴教氏。氏はこのたび「アニメミライ」の広報大使として選ばれ、活動内容を周囲に広めていくと共に、現状のアニメーションを取り巻く環境を少しでも変えられるよう努力していきたいと述べた。

　また、日本のアニメーション技術が海外へ流れていっている現状を憂い、「今、立ち上がってアニメの周囲をみんなで守って、みんなで変えていかなければいけないと思う。そのために自分が何ができるかはまだわからないが、アニメ制作スタッフやアニメファンたち、そしてその周囲を結ぶクッションになれたらいいと思う」と熱いコメントを残していた。

　なお、「アニメミライ」の本年度の活動として、春頃より、若手スタッフたちが大手制作プロダクション協力のもと作成された以下のアニメーションが、劇場やニコニコ動画などで順次公開されることが決定している。各アニメーションの詳細や各媒体における公開日時については、アニメミライ公式サイトにて順次掲載されていくので、そちらを参照してほしい。



●株式会社アンサー・スタジオ
『ぷかぷかジュジュ』

●株式会社白組
『しらんぷり』

●株式会社テレコム・アニメーションフィルム
『BUTA』

●Production I.G
『わすれなぐも』


>>アニメミライ公式サイト
>>ニコニコ動画-アニメミライチャンネル