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「アニメ・ビジネス・フォーラム+2013」 全講演レポ!

放送、ネット配信、海外展開などを含む、様々な話題の講演が行われた「アニメ・ビジネス・フォーラム+2013」 全講演レポ!

1月30日、デジタルハリウッド大学にて、「アニメ・ビジネス・フォーラム+2013 ~アニメ・ビジネスの胎動~」が開催された。本フォーラムは、今回で5回目を迎え、放送、ネット配信、海外展開などを含む、様々な話題の講演が行われた。本記事では、各講義の概要をダイジェストで紹介。

■ 日本のアニメは世界を目指していく事が大切!

最初のテーマは、「進化するスクリーンメディアの戦略とアニメ産業」と題して、株式会社エー・ティー・エックス 代表取締役社長の岩田圭介氏が登壇。まずは、スマホの登場により変化する視聴環境の現状を説明。次に海外でのアニメビジネスの現状を紹介した。

株式会社エー・ティー・エックス 代表取締役社長 岩田圭介氏。

株式会社エー・ティー・エックス 代表取締役社長 岩田圭介氏。

講義の中で、「海外で日本のアニメが非常に人気だと言われているが、日本コンテンツ輸出額のほとんどはゲームであり、アニメは全体の1.5パーセントほど。多く見ても3パーセントです。コンテンツ輸出は、2006年にピークに減少傾向にあり、2012年はそこを打ったと言われている」と世界市場とアニメビジネスの厳しい現状を紹介。

そして、このようなアニメ市場の縮小の理由として、2006年のピーク後に、リーマンショック(2008年)や、ネットインフラの変化、円高などが強く影響しているという。しかし、そのような中でも『爆丸バトルブローラーズ』(セガトイズ)や『爆転シュート ベイブレード』(タカラトミー)などは、ヒットしているという現状を紹介した。

また、アニメ産業の海外展開の停滞の理由として、「制作にある文化の違い」や「国の戦略」、「クールジャパンの認識の違い」、「見本市での参加スタイルの問題」などを取り上げ、現状の問題点を提案。

講義の最後には、「アニメ産業は、世界を目標にして行くことが大切」とし、「今年、2013年はアニメも増産体制にシフトし、秋アニメの放送枠が足りないと言われている。また、劇場アニメも増えている。今年のアニメビジネスは、大きな期待ができるのではないだろうか」とし、講演を締めくくった。

■ ニコニコは、アニメビジネスの発展に貢献します!

2回目の講演は、株式会社ドワンゴコンテンツの小川文平氏による「niconico のアニメ戦略」。「ニコニコでは、アニメ業界の成長に貢献するために、権利者と共にアニメーションビジネスの発展の一翼を担いたい」として、ニコニコ動画における、現状のアニメビジネスを報告。

株式会社ドワンゴコンテンツ 営業本部 コンテンツ営業部 部長 小川文平氏。

株式会社ドワンゴコンテンツ 営業本部 コンテンツ営業部 部長 小川文平氏。

アニメ配信数の推移や、新旧アニメの展開例、アニメ一挙放送の実例、プロモーション番組制作例などを紹介した。

テレビ放送と同時期に始まる新作アニメ本数の推移や、一括放送の視聴者数。ニコニコ動画だからこそできた、アニメーションとのタイアップなども詳細に解説され、中には、『生徒会の一存 Lv.2』や『009 RE:CYBORG』、『猫物語(黒)』のプロモーションの展開などの具体例を交えて紹介された。

最後に、今後の展開として、「日本だけでなく海外を含めたアニメビジネスのプロモーション、収益に貢献することで、アニメ業界の発展に貢献したい」とし講義を締めくくった。

■ アニメとパチンコは、より密接な関係となっていく!

3講義目は、「アニメをはじめ、映画やアイドル、人気コンテンツが集結、パチンコビジネス最前線」と題して、パチンコビジネスがテーマとして講義された。冒頭で、パチコン業界の概要を紹介しつつ、講義の中で数多く登場しているアニメ関連のパチンココンテンツについても語られた。

エンタテインメントビジネス総合研究所 代表取締役社長 藤田宏氏。

エンタテインメントビジネス総合研究所 代表取締役社長 藤田宏氏。

アニメとパチンコのコラボレーションの転機となったのは、1998年に登場した『パチンコ・CRルパン三世』。この台の登場をきっかけにオリジナルキャラクターから、版権もの、メディアミックスへの展開が強化されて行ったという。

『北斗の拳』や『新世紀エヴァンゲリオン』などは、パチンコをきっかけに再ブレークとなり、また『CRフィーバー創聖のアクエリオン』のヒットでは、「三共が『アクエリオン』台のテレビCMをかなり流していったので、その曲がオリコンのベスト10になったこともあったくらい、パチンコは強い影響力を持っています」と、パチンコビジネスとアニメビジネスの関係性も紹介された。

そして、アニメビジネスとの今後の関係性については、 「現在では、放送前からパチンコと関連しているアニメ作品も多く、今後もアニメ系のパチンコの新機種は多数等登場するでしょう」と語っていた。

■ 実写版『カーボーイビバップ』も現在進行中!?

4つ目の講義は、株式会社サンライズ 尾崎雅之氏による「サンライズの海外展開について」。サンライズとしての海外展開の大枠を紹介する内容となっていた。

株式会社サンライズ 取締役 キャラクターワークス事業部 ゼネラルマネージャー兼 海外営業部 部長 尾崎雅之氏。

株式会社サンライズ 取締役 キャラクターワークス事業部 ゼネラルマネージャー兼 海外営業部 部長 尾崎雅之氏。

現状の海外のアニメファンのトレンドを見ると、情報の即時性の高まりもあって、全世界規模で、ファンはヒットしている作品に飛びつくという傾向が見られるという。

その流れを受けて、『機動戦士ガンダムUC』のブルーレイディスクの全世界同時発売、『機動戦士ガンダムAGE』と『機動戦士ガンダムSEED HDリマスター』の世界同時配信も行っているという。また、日本語だけでなく、英語や韓国語、中国語などのホームページ制作なども行っている。そして、約2000万人存在していると言われている海賊版の視聴者を、正規の動画配信から、正規の情報ページへと誘導しているという。

また、海外イベントも、ビジネスよりからファンサービス重視へとシフトし、積極的に参加しているとのこと。

講義の中では、2009年1月に実写としての製作が発表された『カーボーイビバップ』についても、「現在でも進行中」と紹介された。尾崎氏曰く、「実現するのかは、まだ分かりません」とし、進行中の現状を紹介していた。

また、実写作品のライセンスを結ぶ基準は、「作品愛の深さ」とし、「ガンダムなどの有名な作品は、実写化のオファーは多いが、折り合いがつかないことが多く実現していない」と、実写化にまつわるビジネス的な裏側も紹介された。

■ アニメビジネスには、新たなプロデューサーの育成が必要

フォーラムの最後に登壇したのは、株式会社ぴえろの布川郁司会長。「ぴえろの現場と将来像」として、「アニメ制作現場の今と未来」についての講演を行った。

株式会社ぴえろ 代表取締役会長 布川郁司氏。

株式会社ぴえろ 代表取締役会長 布川郁司氏。

布川氏自身、数多くの海外イベントへの参加や作品作りを通じて、「世界に通用する作品作りのできる人材の確保」が、必要と感じているという。実際、ぴえろでは、近年、海外オファーによるシリーズ作品を作っており、「日本の表現方法の独自性」や「海外放送作品の内容の基準の高さ」などを痛感したのこと。

その経験から、今後は日本でも、作品の内容だけではなく、マネタイズや作業環境の構築なども理解できる「プリプロダクション機能を理解したプロデューサー」の育成が非常に重要になるのではと提案していた。そして自身でも、「布川塾を立ち上げ、製作スタッフの底上げに協力して行きたい」と、今後の展開を語っていた。

《DATA》
『アニメ・ビジネス・フォーラム +(プラス)2013』開催概要

日 時:2013 年 1月30 日(水)10:00~16:10

1:「進化するスクリーンメディアの戦略とアニメ産業」
株式会社エー・ティー・エックス 代表取締役社長 岩田圭介氏
2:「niconico のアニメ戦略」
株式会社ドワンゴコンテンツ 営業本部 コンテンツ営業部 部長 小川文平氏
3:「アニメをはじめ、映画やアイドル、人気コンテンツが集結、パチンコビジネス最前線」
エンタテインメントビジネス総合研究所 代表取締役社長 藤田宏氏
4:「サンライズの海外展開について」
株式会社サンライズ 取締役 キャラクターワークス事業部 ゼネラルマネージャー兼 海外営業部 部長 尾崎雅之氏
5:「ぴえろの現場と将来像」
株式会社ぴえろ 代表取締役会長 布川郁司氏

>>アニメ・ビジネス・フォーラム +(プラス)2013

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