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『恋は雨上がりのように』アニメ渡部紗弓&平田広明インタビュー

『恋は雨上がりのように』渡部紗弓さん&平田広明さんインタビュー|普通のおじさんに想いを寄せる女子高生ーーありえないカタチがリアルに描かれる

1月11日(木)より、フジテレビ“ノイタミナ”ほかにて放送がスタートするTVアニメ『恋は雨上がりのように』。美しい映像と共にAimerの歌が流れるPVが印象的でしたが、眉月じゅんの原作を『宇宙兄弟』の渡辺 歩監督と『進撃の巨人』のWIT STUDIOがていねいにアニメにしていることが感じ取れます。

今回は、その主人公である橘あきら役の渡部紗弓さんとファミレスの店長・近藤正己役の平田広明さんに作品の印象などを語ってもらいました。

素直な女子高生とどこにでもいるおじさん
──『恋は雨上がりのように』の原作や物語に触れたときの感想を教えてください。

渡部:ゆっくりと時間が流れているなって思いました。また、人の気持ちや風景に対しても、ひとつひとつ丁寧に描かれていて、眉月先生の力がとても入った作品だと感じました。


──女の子の心の揺れ動きみたいなのが、すごく伝わってきませんでした?

渡部:そういう子もいるよなとか、こういうこと昔あったなって思いました。気持ちの変化や、合間の感情がセリフではなく絵で表されている繊細なところも素敵だなって思います。

──絵柄はどういう印象でしたか?

渡部:懐かしい感じの絵ですよね。でもあきらは、他のキャラクターに比べて目ヂカラがあって、とても綺麗な目をしているなと思いました。今のところ全巻の表紙があきらで、いろんな表情をしていて、目がとても印象的なんです。
読んでいる周りの子も表紙の目が印象的だよねって話してました。


──表紙買いしたくなる作品ですよね。どこか昭和っぽさがありません?

渡部:表現等もそうですよね。懐かしい感じというのは、私も昔の漫画を読むのが好きなので、わかります。

──平田さんはいかがでしたか?

平田:アニメ化が発表されたときに(公式サイトの)トップに出ていた絵が、メルヘンな絵だった事と、収録の時に見せて頂いた映像が、想像していた以上に表情が繊細で、美男美女に描かれていたので、そういう世界観なのかなと思い原作を読んでみたら、意外とキャラクターの表情がアクティブなので、当初のイメージとはギャップがありました。

原作にはコミカルなギャグ顔も結構あるので「(ここまでやっても)いいんだ!」と思いましたが、アニメの近藤は原作より少し上品に描かれているようにも思いましたね。なので、ギャグは少し抑えめにしようと思っています。

──それぞれのキャラクターの印象ですが、あきらちゃんはどんな子ですか?

渡部:無愛想でクールな、普通の女の子かなってイメージが最初ありました。そこから回を重ねるごとにいろんな表情が出てくるんです。

ですが、1話から顔を赤らめたりしていたので、店長への反応はわかりやすくて。足の怪我をする前のシーンとかも時折出てくるんですけど、そのときは活発で素直な女の子だったので、クールが全面に出ている子ではないのかなって感じました。


──演じているときも、その素直さみたいなものは大切に?

渡部:それを感じたのは少し経ってからです。最初に意識したのは、怪我をしたことに対して落ち込んでいることです。監督に「少し意識してね」と言われて、逆に意識していたのはダークな面というか。

明るくなっていったのは徐々にで、あるシーンで「女子高生っぽく笑って」と言われた時、こういうふとしたところで、普通らしさが出るんだなと思ったんです。

だから好きな人のことを思ったりとかするところでは、普通の素直な子なのかなって思いました。

──近藤店長についてはどうですか?

平田:アニメの登場人物にしては、特徴が少なすぎると言っても良いくらい普通の中年男性ですよね。少々偏屈で突飛な男だけれど、どこか不思議な魅力があって……と言うタイプでもない。

だから、何で彼が可愛い娘さんに惚れられたのか不思議だし、「こういう人物をストーリーの中心に登場させてもいいの?」と思ってしまうくらい、どこにでも存在している普通の男だと思いました。


──そういう普通のおじさんを演じることは、逆に楽しかったりするんですか?

平田:実在しそうなリアルなキャラクターをアニメーションを通じて表現するのは、難しいですよ。きっと皆さんの身近にも近藤みたいな人がいると思いますし、実際に対面していなくても、「こういう人いる!」ってすぐに思い浮かんだりするでしょ。

たとえば、空を飛べるとか、非現実的な設定の人物だったら多少好きに演じても、「本物を見たことないでしょ!」って言えますけれど、近藤はその真逆ですから。でも、難しいからこそ演じる楽しみも多くあります。


──そういうキャラクターに声を当てることって、あまりないんじゃないですか? 実はすごいみたいなことはよくあると思いますけど。

平田:モブの通行人とか、道を訊かれただけのキャラクターは山ほどやったことがありますが、ごく普通の日常を淡々と演じるっていうのは、僕に限らず少ない気がしますね。


──ここまで演じてきて、その普通のおじさんになれている手応えはありますか?

平田:なんの変哲もない日常を過ごす中年男性が、全くの想定外のことに巻き込まれた場合、どう反応するんだろうって考えますね。

もちろん、ガイドとして原作があり台本がありますが、それらに描かれた掴みどころの少ない近藤という男を物語においてどんな存在にさせられるのか、まだまだ格闘中です。

──今作は、高校生のあきらが店長に恋をしている話ですけど、このシチュエーションは、渡部さん的にはありえそうですか?

渡部:年上に憧れるっていうのは高校生にありがちだなって思うんですけど、珍しいかなぁと…。そういう漫画でもあまり読んだことがなかったですね。


──周りにそういう子もいなかった?

渡部:流石にいなかったです(笑)。先生に憧れるっていう人もあまりいなかったです。でもありそうに描かれてますよね。

ただ、自分と接点がない人に対する魅力ってあると思います。自分が知らないことだったりとか、経験したことがないことを知ってる人を私は魅力的に感じるので、もしかしたらあきらもそういうところが引っかかったのかなって。

平田:でも、中年男性としては夢物語のようなシチュエーションですよね。今の話を聞いて思ったけれど、同年代の男子って(女性から見たら)ガキですから。だから年上の人に憧れることはよくあることかも知れませんが、だとしてもちょっと年上過ぎかな。

包容力や知識や優しさがあったりして、力強く見えるところに憧れるのはわかるけど、近藤店長は頼りがいのあるそういうタイプではない感じだからね。


──全国の普通のおじさんに夢を与えているかもしれないですね(笑)。若い頃、そりゃ年上の男のほうがお金も経験もあるから魅力的に映るに決まってるよなって、理不尽さを覚えたことを思い出しました。

渡部:やっぱり余裕があるからですかね?

平田:でもその相手が近藤店長だったら、若い男性はすごく複雑な心境になるのかな?

雨の音にも色んな種類が
──二人のやり取りや掛け合いが大事な作品だと思うのですが、どういうところを意識していますか?

渡部:そうですね……しゃべる前に平田さんを見るようにしてます(笑)。

平田:えっ、見られてるんだ!

渡部:いつも見ています。見ると気持ちが切り替わるような気がするんです。

平田:こっち半分だけメイクして来ようかな……。

渡部:あはは(笑)。やっぱりまだまだ未熟なので、考えるよりも見たりすることで切り替わるのかなって思って。

──平田さんは、渡部さんの演技をどう見ていますか?

平田:俺だったらこうやるなぁっと思える役ではないからね、あきらは。「違うよ! 女子高生はこうだよ!」と言い切れるものが僕にはないから、女子高生ってこういうふうに演じるんだ~って感心しながら見ています。


──では最後に、お二人が考える、このアニメならではの魅力はどこだと思いますか?

渡部:“雨上がりのように”なので、雨の音っていろんな種類があるんだなって、ダビングを見させていただいたときに思いました。その調整の過程も見ていたんですけど、雨が降っていることを考えて、かき消されないくらい大きい声でしゃべったところがあったんです。そこもピッタリ合わせていてすごいなぁって。

あと、気持ちによって天気が変わる作品だと思います。だから、そういう雨の“音”に対してもていねいに扱っている。セリフのないシーンでも、そういうところを見たり聞いたりすると、いろんな発見があると思います。

──それってアニメならではの演出方法ですよね。画面にある全部を使って心情描写をする、みたいな。

渡部:そうですね。あとダビングの段階ですがキラキラした感じの音も入っていたんです! 漫画ではなさそうな音が入ったりするのもアニメならではだなぁって思いました。

平田:どのシーンにそんな音が入るの?

渡部:あきらが店長を見つめてるところとかです。

平田:それ面白い。僕は、やっぱり作画がとてもきれいだったから、PVのクオリティのままで全ての話数が進むといいな、と密かに期待しています。心理描写、天気の移り変わりもありますけど、場面転換で街の景色が入ってくるのは情感が出ますよね。

例えば学校でのエピソード、ファミレスでのエピソード。そのエピソードのひとつひとつは各場面ごとに成立するんですが、風景描写で登場人物たちの情感が感じられると思います。ひとつひとつは日常の何てことはない見慣れた景色なんですけどね。

でもきっと、ストーリーを盛り立てる素敵な仕上がりになっていると思います。

[取材・文・撮影/塚越淳一]

作品情報
TVアニメ「恋は雨上がりのように」

2018年1月11日よりフジテレビ“ノイタミナ”にて毎週木曜24:55 から放送開始。ほか各局でも放送。

Amazon プライム・ビデオにて日本・海外独占配信
第1話:日本では1月10日(水) 24:00 頃より先行配信
第2話以降:日本では毎話フジテレビ放送開始1時間後より配信予定

<INTRODUCTION>
2014年より連載を開始し、“純粋な正統派ラブストーリー”として話題を呼び『マンガ大賞 2016』『このマンガがすごい!2016』オトコ編などにランクインした大注目作、「恋は雨上がりのように」眉月じゅん(小学館「週刊ビッグコミックスピリッツ」連載)。累計発行部数185万部突破の本作が“ノイタミナ”にていよいよテレビアニメ化!

陸上部のエースだったが怪我で走ることをやめてしまった橘あきら(17歳)と、夢を諦めた過去を持つあきらのバイト先、ファミレス「ガーデン」の店長・近藤正己(45歳)。海辺の街を舞台に、青春の交差点で立ち止まったままの彼女と、人生の折り返し地点にさしかかった彼が織りなすものがたり。

胸が熱くなる瞬間を、本当は誰だって待ってる――。

<STAFF>
原作:眉月じゅん(小学館「週刊ビッグコミックスピリッツ」連載)
監督:渡辺 歩(「映画ドラえもん のび太の恐竜 2006」「宇宙兄弟」)
シリーズ構成:赤尾 でこ(「荒川アンダーザブリッジ」「ノラガミ」)
キャラクターデザイン・総作画監督:柴田 由香(「君に届け」「魔女っこ姉妹のヨヨとネネ」)
音楽:吉俣 良(「篤姫」「Dr.コトー診療所」)
オープニング・テーマ:CHiCO with HoneyWorks 「ノスタルジックレインフォール」
エンディング・テーマ:Aimer 「Ref:rain」
アニメーション制作 :WIT STUDIO(「進撃の巨人」「甲鉄城のカバネリ」)

<CAST>
橘あきら:渡部紗弓
近藤正己:平田広明
喜屋武はるか:宮島えみ
西田ユイ:福原 遥
吉澤タカシ:池田純矢
加瀬亮介:前野智昭

TVアニメ「恋は雨上がりのように」公式サイト
TVアニメ「恋は雨上がりのように」公式ツイッター(@koiame_anime)

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