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『ReLIFE』夜宵草先生、小坂知監督、小野賢章さんインタビュー

『ReLIFE』夜宵草先生、小坂知監督、小野賢章さんインタビュー|自分の作品が他人の人生にちょっとでも関われているんだと思うと嬉しいです

2018年3月10日に、ついに最終話を迎えた漫画『ReLIFE』。3月21日にBlu-ray&DVDで発売されたアニメ『ReLIFE(リライフ)』の“完結編”では、2016年7月にTOKYO MXほかで放送されたTVアニメ全13話のストーリーを引き継ぐ形で、主人公・海崎新太のリライフ実験が終了するまでを全4話で描いています。

そのBlu-ray&DVDの発売を記念して、3月18日にReLIFE“完結編”ファンミーティング『ReLIFE “卒業式”』が開催! 原作の夜宵草先生、小坂知監督、さらにはサプライズゲストとして小野賢章さん(海崎新太役)が登壇し、作品への感想や見どころを紹介。また、制作時の裏話やアフレコ現場の様子などについても語られました。

イベントの後には、お三方へのインタビューを実施!『ReLIFE』誕生秘話から最終話の感想、さらには夜宵草先生の次回作『BLUE HEARTS』についてなど、ファンが気になるあれこれについて大いに語っていただきました。

『ReLIFE』が完成したのは、実体験があったからこそ

――まずは最終話を描き終えた感想をお願いします。

夜宵草さん(以下、夜宵):1年前くらいから完結の日を見据えてずっと描き続けてきたので、ちゃんと無事に終われたなあという、安心感が大きかったですね。

――監督は最終話をお読みになっていかがでしたか?

小坂知監督(以下、小坂):実は原作より、アニメの完成の方が先だったんです。先生とはSNSで話せる間柄ではあるんですけど、変に感想を送って刺激しないように、ちょっと配慮していました(笑)。

夜宵:でも時々、「今週の話は泣きました」っていうメッセージが監督から届いて(笑)。一体どこで泣いたんだろうっていう。

小坂:先生によると、私の泣きポイントは違うらしいんですよね。大神和臣(CV:内田雄馬さん)の兄のエピソードとか文化祭での出来事とか、大人としての海崎の出発点が決まったみたいなシーンで「海崎さん……!」って思いながら泣いたり。でも先生からは「えっ、何で!?」って言われて(笑)。

一同:(笑)。

――小野さんはいかがでしたか?

小野賢章(以下、小野):僕はやっぱり日代千鶴(CV:茅野愛衣)が、海崎のことを忘れないように手のひらにマジックで名前を描いているシーンがグッときましたね。「草先生、なんでこんなことを!」っていう(笑)。リライフが終わると、お互いがお互いのことを忘れてしまうっていう設定は最初から考えていたんですか?

夜宵:はい、最初からそうしようと思ってました。

小坂:設定というか、それがありきで進んでいった部分で。物語の中で、一番面白いと感じたところでした。

――そもそも『ReLIFE』という作品は、どのような構想から生まれた話だったのでしょうか?

夜宵:私は新卒で入った会社を3か月で辞めているんですが、その経験を無駄にしたくはなかったんです。そういった経験ができたからこそ、何か自分に描けるものはないかと思ったのかキッカケだったんですね。

「ニートが何かをやり直す物語を作れないか」というところから描き始めました。

――オールカラーで縦スクロールの漫画を連載するにあたって、ご苦労があったのではないでしょうか?

夜宵:最初は描き方が全く分からなかったんです。パソコンで作ったものをスマホで見返してみると、色が鮮やか過ぎてしまったりとか。カラーの色味も、モニターによって違ったりするんですよね。パソコンで描いては自分のスマホに送って確認したりと、何回もチェックをしながら作業をしてました。

――縦スクロールならではの表現や、工夫というのは普段から考えていらっしゃったのでしょうか?

夜宵:縦で描くことに慣れてくると、スマホの1画面に映る絵のサイズや、スクロールの感覚も掴めてきて。そういった、読者に与える余韻などを考えられるようになってきました。

――監督は最初に原作を読んだとき、どのような感想をお持ちになりましたか?

小坂:面白いと思って読んでいたところで狩生玲奈(CV:戸松遥さん)のエピソードで、「とんでもない話だな」と思って(笑)。女子高生が他の子のカバンを盗むシーンなど、心をえぐってきますよね。

夜宵:けっこう重い話ですよね(笑)。

小野:やり直すとか過去に戻るとかいうのは、確かによくある話ではあるんですが、自分の見た目だけが若返って、誰にも知られないようにやり直していくみたいな話は、今まであまりなかったような気がして。そういった設定が、すごく印象に残っています。

まさに僕も海崎と同世代だし、MDが今の学生には分からないというところで衝撃を受けたりとか(笑)。海崎と同じ目線で漫画を読んでいましたね。

小野さんが海崎新太の演技論を語る

――自身の作品のアニメ化が決まった時の感想を教えて下さい。

夜宵:驚きしかなかったような気がします。当時のことはよく覚えてないんですけど、担当からさらっと言われたと思うんですよね。「草さん、あれ何日までに出しておいてね。あとアニメ化決まったよー」みたいな(笑)。

――先生が休載されるときに、「担当さんと私」というコーナーがありましたね(笑)。

夜宵:まさにああいう、ゆるっとした感じなんですよ(笑)。

――アニメを作るにあたって、監督と先生はどういったやり取りをされたのでしょうか?

小坂:13話のテレビシリーズ化が決まった時には、まだ連載が追い付いていなくて、かなりの量を同時進行で進めていく必要があったんです。さらに、原作とアニメの終わり方は揃えたいということもあったので。物語の展開について、根掘り葉掘り聞かせていただきました。

――監督はアニメ化の際に、どのような作品にしようというイメージがありましたか?

小坂:もちろん原作のストーリーに寄り添いたいというのはあったんですけど。リアルな人生を描いている作品なので、空気感をより濃くしていくために、できるだけ実写っぽい雰囲気を作りたかったんです。背景の描き込みなど、とにかく丁寧に作っていこうと心掛けていました。

――エンディング曲が毎回凝ってますよね。第2話で『HOT LIMIT』が流れたりとか。

夜宵:あれは私も笑った(笑)。

小坂:『HOT LIMIT』に関しては、掴みという意味もあって(笑)。1話目は海崎さんの出だしのストーリーの話だったので、年齢的にもおっさん味を出したくて、『イージュ−★ライダー』にしてみたんです。2話目の『HOT LIMIT』に関しては……(笑)

夜宵:どの話でどの曲が流れるかは聞いてたんですけど、曲が流れてくるタイミングまでは知らなかったんです。海崎がタバコをしまおうとする、良いタイミングで曲が流れてきて、思わず笑っちゃいました(笑)。

小坂:海崎の謎の禁煙シーンで終わったけど、あれから全然吸ってるし。一体何の決意だったんだっていう(笑)。

夜宵:そうなんです。その時だけ思い切った感じで。

小坂:曲によって絵コンテの尺が変わってきてしまうというのが『ReLIFE』のエンディングの、ちょっとだけ大変だった部分ですね。

夜宵:エンディングって普通は固定だから、尺も固定されているんですけど。

小坂:とにかく先に曲を決めないといけないので、「この曲どうですか?」っていう感じで許可をもらいに行くという感じだったんです。それが16話に関しては……。

小野:16話のエンディングはやばかったです、鳥肌が立ちますよ(笑)。

夜宵:「これ許可取れたんだ!?」って思いました。

――そこは現在発売中の『ReLIFE完結編』のBD・DVDを観てのお楽しみ、ということですね。『ReLIFE』では所々でキャラクターたちが飲み会を開くシーンが描かれていました。あれは夜宵草先生自身がお酒がお好きだったからということでしょうか?

夜宵:実は、そんなにお酒が強い方ではないんです(笑)。

小坂:そうなんですか?(笑)

夜宵:海崎さんは大人なんだぞっていうのを、節目節目で読者に見せておきたいという思いがあったんです。海崎さんは大人として高校生をやってるというのを分かってもらいたかったので。

――見た目は若返るんですけど、中身の機能までは若返らないという設定はそのためだったんですね。小野さんは自身のキャラクターについて、どのような印象がありましたか?

小野:正義感が強くてまっすぐというか、すごく良い奴そうという。だからこそ、巻き込まれ体質だし、運が悪かった人だとも思いました。もしかしたら、自分の身にも起こってもおかしくない話だよなっていう。

――なるほど。そういった印象を受けて、役作りで気をつけた点を教えてください。

小野:役作りをしていく中で一番のキーワードだったのが、“おっさん”であることだったんです。普段やっているキャラクターは、10代の役が多いのですが、それからいきなり27歳をやるというのは、僕の中では“かなり大人に作らなきゃ”という印象が強くありました。

小坂:今の自分の年齢と同じくらいなのに、それを演じてくださいと言われても難しいですよね。27歳っておっさん感がまだ出ないぐらいには、若いじゃないですか。それを演じなきゃってなったら「えっ!?」てなると思います。

小野:原作もありますし、海崎目線で話が進んでいくことも多かったので、気持ちの面での苦労というのはわりとなかったんですけど。声の聞こえ方だったり、受け取る側の印象というのはすごく気をつけていましたね。

――原作のコメントの中で、読者からのメッセージに励まされているというものがあったんですけれども。印象に残ったメッセージはありますか?

夜宵:『ReLIFE』がきっかけで仲の良い友達ができましたとか、先生になろうと思いましたというのがあったり。彼氏と付き合うことになりましたっていうのもあって(笑)。自分の作品が他人の人生にちょっとでも関われているんだと思うと嬉しいですね。

『BLUE HEARTS』は夜宵草先生の10年前の作品のリメイク

――アニメ『ReLIFE 完結編』について教えてください。

小坂:最初は完結編ではなく、卒業編と呼ぶのはどうかという案があったんですけど。でも『ReLIFE』は卒業で終わりじゃないと思ったので、それは違うよねと。学生の話っぽく長く続いても、”リライフしている大人の人生”という芯の部分が重要だったので。そこから完結編という呼び方にしました。

――原作に無いシーンとして、日代が海崎のネクタイを締めるシーンはすごく印象的でしたね。海崎はよく我慢してくれたなと。

小坂:原作ではあそこから深く長いエピソードがあるのにっていう。4話に収めるために色々と工夫が(笑)。

夜宵:アニメ版海崎さんは色々と大人なので(笑)。

――小野さんは原作に描かれていないエピソードで、見てみたい内容ってありますか?

小野:結局原作では、玉来ほのか(CV:茜屋日海夏)は誰が好きかっていうことは、まだ明かされてないですよね。

小坂:雰囲気だけしか伝わってないと思いますね。

小野:幼馴染の関係が崩れるからという話とかは、切ないなーと思いつつ(笑)。夜明了(CV:木村良平)と小野屋杏(CV:上田麗奈)の関係もまた不思議ですよね。小野屋もあんな感じだし(笑)、お互いどう思っているのか分からないですし。

一番見たいなと思うのは、やっぱり海崎の今後についてですね。アニメをやっている時から、どういう終わり方をするのかっていう予想はみんなでしていたんですよ。最終的にどういうシーンで終わるかっていうことを僕は予想していたので。それはさすがに外れていましたけど(笑)。海崎はリライフを終えた後の何になるのかってところはバッチリ合っていましたね。

――描かれていないエピソードは、今後コミックスの中でスピンオフとして描かれる可能性はあるのでしょうか?

夜宵:難しいですけどね。コミックスに収まるものしか描けないので。

――『ReLIFE』の最終話の掲載があってすぐ、先生の次回作『BLUE HEARTS』についての発表がありましたね。

小坂:原作の『ReLIFE』が最終話を迎えたので、先生はしばらく休みがとれると思っていたみたいなんですよ(笑)。

夜宵:「しばらくゆっくりできるんですよね〜」みたいな話を監督としていたら、一週間前ぐらいになって担当さんから「草さん次〜」とか言われて(笑)。

――そうだったんですね(笑)。

夜宵:『BLUE HEARTS』は10年前に私が一番最初に描いた作品で。それを読んでくださったcomicoの方が私をスカウトしてくださったので、思い出深い作品ではあります。

――10年前の自身の作品を見返してみていかがですか?

夜宵:恥ずかしかった(笑)。comicoさんに全データを渡したんですけど、絶対に外部秘でお願いしますと(笑)。

一同:(笑)。

夜宵:実は『ReLIFE』の花火大会の話にも『BLUE HEARTS』のキャラクターが登場していたりします。『BLUE HEARTS』時代から応援してくださっていたファンの方がたくさんいて。いまだにサイン会でも『BLUE HEARTS』のキャラクターを描いてくれませんか?」と言われたりもするので。

10年間応援してくださっているファンの方たちに、「今私はお仕事としてちゃんと漫画やってるよ」というのが伝えられたら、感謝を形にできたら、と思って入れ込んだ感じですね。

――最後にファンの方々に一言ずつメッセージをお願いします。

小坂:完結編は余すことなく『ReLIFE』を詰め込んだ作品になっていますので、皆さんにもぜひお楽しみいただければと思います。

小野:本当に楽しかったので、これが出てしまうといよいよ最後という気がしてすごく寂しいんですけれども。海崎として最後までやれたのは本当に幸せですので、皆さんも『ReLIFE』アニメ版を最後まで見届けていただけたらと思います。

夜宵:3年ぐらい同じチームでやってきたものが、いよいよこれで最後なんだという寂しさもあります。残り4話という短い中にギュッと詰め込んでいただいたので、本当に濃密なものに仕上がっています。ぜひアニメ版も最後まで見届けていただいたら嬉しいです。

――ありがとうございました。

[取材・文・写真/島中一郎]

BD&DVD発売情報

タイトル:「ReLIFE」“完結編”
発売日:2018年3月21日(水)
Blu-ray:ANZX‐12475~12476/9,800円+税
DVD:ANZB‐12475~12476/8,800円+税

【完全生産限定版特典】
◆キャラクターデザイン・山中純子描き下ろし三方背ケース
◆ブックレット
◆ノンクレジットエンディング映像
※特典・仕様は予告なく変更になる場合がございます。

★購入はコチラ
【アニメイトオンライン】【Blu-ray】ReLIFE 完結編 完全生産限定版
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<店舗共通特典>
◆A4クリアファイル
対象店舗:
ANIPLEX+、アニメイト、 ゲーマーズほか

<店舗別特典>
◆ANIPLEX+
・夜宵草先生イラスト使用ミニ色紙2枚セット
・リライフ実験報告書ノート

作品情報

<INTRODUCTION>
無職でニートの海崎新太(27歳)はリライフ研究所の社会復帰プログラム「リライフ」へ参加し、1年間限定で高校生として高校に通っていた。2学期に入り日代と一緒に青葉祭の実行委員を任された海崎は日代にある気持ちを抱く。一方、日代も花火大会以降、海崎を意識するがその気持ちが何なのか整理がつかないでいた。そんな二人に「リライフ」が終了するタイムリミットの卒業式が迫っていた。

<STAFF>
・原作:夜宵草(comico)
・監督:小坂 知(「弱虫ペダル」演出)
・シリーズ構成:兵頭 一歩(「おおきく振りかぶって」脚本)
・キャラクターデザイン/総作画監督:山中 純子(「神様はじめました」キャラクターデザイン)
・色彩設計:磯貝 深雪
・美術監督:秋山 健太郎
・美術設定:座間 智子
・撮影監督:設楽 希
・編集:坂本 久美子
・音楽:坪口 昌恭
・音響監督:はたしょう二
・音響制作:HALF H・P STUDIO
・アニメーション制作:トムス・エンタテインメント
・製作:リライフ研究所

<CAST>
・海崎 新太:小野 賢章
・日代 千鶴:茅野 愛衣
・夜明 了:木村 良平
・狩生 玲奈:戸松 遥
・大神 和臣:内田 雄馬
・小野屋 杏:上田 麗奈
・玉来 ほのか:茜屋 日海夏
・犬飼 暁:杉山 紀彰
・朝地 信長:浪川 大輔
・天津 心:沢城 みゆき

原作情報


夜宵草による原作「ReLIFE」、 全222話をcomicoで掲載中!
comicoは、 国内累計1,500万ダウンロードを超える国内有数のマンガ・ノベルアプリです。 縦スクロールで読み進められる形式やフルカラー表現など、 スマートフォンに最適化したスタイルが特長的で、 約500の多彩なオリジナルマンガ・ノベルを連載中。 それらを基本無料で読むことができます。
・アプリダウンロードページ:App StoreGoogle Play

◆150万部突破!単行本「ReLIFE」1巻~7巻 好評発売中!
作者:夜宵草
判型:B6判 オールカラー
定価:1巻650円(税別)/2巻~7巻 647円(税別)
販売店:全国書店ならびにネット書店
出版:株式会社アース・スター エンターテイメント


★第1巻の購入はコチラ
【アニメイトオンライン】【コミック】ReLIFE(1)

>>アニメ「ReLIFE」公式サイト
>>アニメ「ReLIFE」公式ツイッター(@ReLIFE_anime)

(C)夜宵草/comico/リライフ研究所
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