音楽
fripSide『infinite synthesis 4』全曲解説!八木沼悟志インタビュー

fripSide NEWアルバム『infinite synthesis 4』八木沼悟志が全曲解説/インタビュー

サウンドメイク&プロデュースを手掛ける八木沼悟志とボーカル・南條愛乃のユニット、fripSideのニューアルバム『infinite synthesis 4』が10月10日発売!

アニメ『キリングバイツ』OP曲「killing bites」、『されど罪人は竜と踊る』のOP曲「diveine criminal」のヒットシングルに加え、セルフカバー曲「colorless fate」など12曲を新録!

12月24日から来年3月9日に渡って行われるライブツアーも決定&11月7日には『寄宿学校のジュリエット』OP曲「Love with You」もリリース!

下半期も一気に加速中のfripSideの八木沼さんに今作のコンセプトや聴きどころと全曲紹介をしていただきました。


 

その時々に作りたい曲を収録する『infinite synthesis』シリーズ

――まず今作のコンセプトやテーマを教えてください。

fripSide 八木沼悟志(以下、sat):『infinite synthesis』シリーズはその時に作りたいものを作るというコンセプトで。収録されるシングル曲に対して色を合わせたり、シングルではやっていないことをやろうかなという調整は入りますが、基本的にはできた曲を自然に収録するスタンスです。

――今作は1枚の流れの中でいくつかブロックができている気がしました。4曲目の「snow of silence」から「colorless fate」はウインターソング、7曲目の「under a starlit sky」と8曲目の「breaking dawn」は星空と夜明け、9曲目の「one dream」から「beyond the horizon」は風というワードが歌詞に入っていたり。

八木沼:確かに「snow of silence」からの3曲は冬の曲を集めています。ちなみに10曲目の「adverse wind」は中国版スマホゲームの『とある魔術の禁書目録』の主題歌ですが最近、仕事で中国に行くことが多いので、「one dream」と「beyond the horizon」もそのイメージで新たに書き下ろしました。

中国に感銘を受けることがたくさんあって、自然の大きさや人の温かさだったり。「これを曲にしたら素敵じゃないかな」という瞬間が何度もあって。だからその2曲は大陸を意識した作りになっています。

▲初回限定盤ジャケット

▲初回限定盤ジャケット

リード曲「Edge of the Universe」は初期の理想を今の技術で。「colorless fate」は3度目のセルフカバー!?

――1曲目の「Edge of the Universe」は昨年15周年を迎えたfripSideのこれまでとこれからを歌ったような曲ですね。

八木沼:その通りです。サウンドメイキング的なお話ですが、2002~2003年頃のまだ世に出していないデモを発見して。そのデモが後々に形を変えて1期の「trangitory orbit」に繋がるんですけど、その1つ前のテイクが見つかって、「この当時の僕はこういうことをやりたかったんだな」と思い出して。

その当時のデモのイントロをそのまま持って来て、そこから広げていった曲なんです。当時の自分はこういうテイストでこういうクオリティのものを作りたかったけど、その時の力量ではできなくてああいう感じになったんだなという気がしていたので、今の自分の力量でやったら昔の理想通りの曲になるかなと。

最近としては珍しくデジタルに傾倒した、潔いサウンドで、おもしろいものができたかなと思います。

――6曲目の「colorless fate」は第1期の2003年に発表した曲をセルフカバーしていますが、どういう意図で?

八木沼:この曲が好きで、実は2007年と2011年にもセルフカバーしているんです。過去3回やっているけど、自分の理想にまでは至っていなくて。超えなきゃいけないクオリティのハードルや「もっと情感を出したい」とか、ずっとフラストレーションを抱えていて。

また去年の『crossroads』はファン投票で曲を選んだけど、この曲が入ってくれたらやりたいなと思っていたら入らなくて(笑)。

『crossroads』は自分の原点を振り返る、いい機会であり、そこで得た見識もあったので、アンサーソングとして収録したらおもしろいし、やりがいがあるなと思ったのでセルフカバーしました。今回、理想のサウンドができたので、もうカバーはしないんじゃないかな?

▲通常盤ジャケット

▲通常盤ジャケット

「White relation」はPCゲームOP曲を新たにアジャスト。「under a starlit sky」は作・編曲すべてを齋藤真也さんが担当

――「White relation」はPCゲーム『シュヴァルツェスマーケン 殉教者たち』のテーマソングです。

八木沼:『シュヴァルツェスマーケン』シリーズはアニメにもなって、アニメでもOP曲を担当させていただきましたが、この曲は2016年に発表されました。ゲーム会社さんのサウンドトラックアルバムには収録されていましたが、fripSideのCDには初収録となります。

せっかくなので、少し形を変えてお届けしたいなと思って、冒頭部分やミックスバランスも新たに作らせていただきました。

▲TVアニメのキービジュアル

▲TVアニメのキービジュアル

――最後の「Like a blink,a short night.」は南條さん作詞の曲ですが、さわやかな楽曲ですね。

八木沼:作曲の段階である程度、アレンジもできていて。このアルバムの制作でもうデジタルはお腹いっぱいだなと思って(笑)。またアルバムの最後にこういう曲があると安心して終われるかなと。

毎回話題のMVはスペーシーな映像! 気になるゲストは過去に言及したあの人!?

――そしてCDを出す時にいつも話題になるのがMVですが、今回の「Edge of Universe」のMVはどんな撮影と映像に?

八木沼:映像のイメージは宇宙です。CGがすごいです! 宇宙船に僕と南ちゃんが乗っていたり、地球の危機を救ったり。映画好きの僕の趣味が半分入っています。ゲストですが、ヒントを言うと昔、公言してました。『infinite synthesis 4』になったらこの人にしたいねと。それが実現できました。

――撮影時の印象的なエピソードは?

八木沼:とにかく風が強くて。ビルの屋上での撮影では南ちゃんの髪の毛がぐちゃぐちゃになって大変でした。あと何カ所かでロケをしましたが、宇宙船内部でのシーンはまさにそういうスタジオがあって、実際は学園祭レベルじゃないかと思うくらいチープで。メモリも100均の温度計だったり、それが映像で見ると宇宙船に見えるんですから。

プロの技術ってすごいですね(笑)。ちなみにジャケットのイメージも宇宙で、背景にもここまでがっつりCGを使ったのは初めてかも。だからアルバム全体でやり切った感がありますね。

12月24日からツアー、11月7日にはニューシングル「Love with You」も!

――あと今後のご予定ですが、まず10月から始まるアニメ『寄宿学校のジュリエット』のOP曲もfripSideが担当していますね。

八木沼:「Love with You」が11月7日に発売します。ロマンスや秘密の恋が描かれている、かわいい作品なので、お話をいただいた時、楽しい仕事が来たなと。かわいい曲調で出す機会が普段なかなかないので、すごく燃えましたね。

楽しんで作れたし、fripSideとしても可能性を広げられたと思います。これでいつかわいい作品のタイアップが来ても怖くないぞと(笑)。アニメなどのショートサイズではお披露目できないんですが、ぜひ2番の後に来るDメロを聴いていただきたいです。めちゃくちゃ可愛いです(笑) 。

――そして12月24日から全国ツアーが始まります。

八木沼:クリスマスイブに札幌からスタートして、3月のパシフィコ横浜2DAYSまで5カ所6公演になります。アルバムを出してツアーという流れが一連のお祭りの1つで、アルバムの世界観を生で聴いて、感じていただいて、それぞれの曲で僕や南條さんがどんな雰囲気でやっているのかを目の前で見られることも醍醐味だと思うので、いいライブにできたらいいなと思います。

またフェスに出演する機会も多くなりましたが、たくさんの曲を聴けるのはワンマンライブだけです。新旧の曲を織り交ぜつつ、その時のベストというラインナップでやりたいなと思っています。

ツアーやライブの時ってなぜか冬なんですよね。リリース時期が秋が多いからというのもあるけど(笑)、でもfripSideは冬が似合うかなと。ラストの横浜2DAYSでは何かしらの発表ができるんじゃないかなと思っています。

あとライブといえば、10月28日に僕のバースデーイベント『freakSide presents八木沼悟志Birthday Live2018~さとしと愉快な仲間たち~』を、横浜ランドマークホールで行います。ゲストに先輩アーティストのIKUさん、ラッパーのMotsuさん、齋藤真也君が来てくれます。

ギターやアコギ、シンセ、ピアノなど様々な楽器を弾く予定ですし、歌います。普段のfripSideではお見せできないことや、近い距離感で皆さんと接することができるので楽しみにしています。

――最後にメッセージをお願いします。

八木沼:『infinite synthesis』というタイトルも4枚目になり、皆さんにも認識していただけたかなと。さすがに4枚目なので、fripSideとしての安心感と新しいことに挑戦しているドキドキ感をうまく両立して、絶妙な1枚になったと思います。

「fripSideってすごいな」と思っていただける、自信作となりましたので、ぜひ聴いてください。そしてツアーで一緒に盛り上がりましょう! その前に僕のバースデーイベントもよろしく(笑)。
 
▼全曲視聴クロスフェード公開中!

八木沼さんによる全曲紹介

1.Edge of Universe

昔、思い描いていたfripSideの理想像に最近、かなり近づけているのかなという気がします。昔は機材の制約や予算もなかったし、時間はあったけど(笑)、力量が足りなかったかなと思う節があって。

インディーズの頃は、自分がこういうサウンドにしたいなという半分くらいしかできてなくて。それから10年以上経って、イメージ通りにサウンドメイキングができるようになったから昔やりたかったことを今のクオリティで聴いていただいたらおもしろいかなと思って、作った曲です。
 

2.killing bites(アニメ『キリングバイツ』OPテーマ)

アニメの『キリングバイツ』は全体的にコミカルな雰囲気がありながらも生きるか死ぬかのバトル、重苦しさもあって。「緊迫感のあるOPをお願いします」と言われて作った曲です。自分の中でデジタルロックやハードロックなど普段のfripSideでは見せられていない要素をお見せできたかなと思います。

リスナーの方は生ドラムだなと思うかもしれないけど、実は生ドラムを完全にパソコン上でシミュレートして、プログラミングしています。

DTMをやっている方ならおわかりいただけるかと思いますが、サンプリングのループでやるのは簡単だけど、1音1音打ち込んでこのくらいやるのは難易度がかなり高いことで。スタジオ代やドラマー代がかからないのがメリットです(笑)。

生ドラムでは音の強弱や「もっとそのニュアンス欲しい」とか「そのニュアンスいらない」と言った人間臭さも出てしまうデメリットもあるんですよね。「Luminize」は生ドラムでそれはそれでいいけど、曲によってはDTMで作り上げることでうまくいくこともあるので、聴き比べてもらうとおもしろいかもしれません。
 

3.divine criminal(アニメ『されど罪人は竜と踊る』OPテーマ)

メロディやアレンジにとても満足している曲で、これ以上どう研ぎ澄ませばいいのかと。いまだに振り返って聴いてみてもケチをつけるところがないと思っています。

アニメのテーマ曲で、fripSideといえば、速く、激しい曲を想像される方が多かったと思いますが、この曲ではその期待をいい意味で裏切ることができたかなと。そしてこんなfripSideもあるんだと認識していただけたかなと思っています。
 

4.snow of silence

このアルバムが10月にリリースされて聴き込んでいると冬になっているだろうなと。そういえば『infinite synthesis』が出るのはなぜかいつも冬ですね(笑)。だから4、5、6曲目と冬っぽい曲を並べてみました。

2期の初期の頃の作風のジャンルに入るのかなと思います。でもイントロと間奏にオケヒ(オーケストラ・ヒット)という新しい要素も入れて。fripSideの冬の定番曲と思ってもらえれば。
 

5.white relation(IS4 version)

メロディとアレンジと歌詞が絡み合って、良い曲になったかなと思います。基本構造が3年前の音なので、手入れはしましたけど。少し前のことに思えるけど、皆さんはどう感じてくれるのでしょうか?

作品の設定資料をいただいた時、雪が降っている中で重装備のロボが歩いていて、そういうシチュエーションにもマッチするように、と思って作った記憶があります。
 

6.colorless fate -version 2018-

アルバム『crossroads』の最終的な出口というか、本当はこの曲をやりたかったんだよというのが伝わればいいかなと思います(笑)。7分超えの大作なので、新旧ファンの方に楽しんで聴いてもらえたらと思うし、2003年、2007年、2011年にこの曲をやっているので、聴き比べて進歩を感じてもらえたらいいなと思います。
 

7.under a starlit sky

齋藤真也君と綿密な打ち合わせをして、2曲目の「killing bites」がロックなので、「真也君はロックなテイスト得意だからそのテイストで1曲やろうよ」と。「ロックにもいろいろあるけど、どんなのがいいの?」と尋ねられたので、「空色デイズ」と即答しました(笑) 。
 

8. breaking dawn

この曲は珍しく南條さんの声を切り刻んで並べる、スライサーという手法を使っています。結構はっちゃけた曲で、EDMの手法を取り入れながらfripSideポップスとして成立するバランスで作りました。
 

9.one dream

中国に会社を作って、オーディションやプロデュースなどしているんですけど、オフィスも完成して、現地でも曲作りができる環境が整った時に向こうで作った曲です。

海外に身を置くことで書けた歌詞でもあって、中国大陸をイメージして作った曲で、メロディにも納得していて、年配の方が聴いても「いいんじゃない、これ」って言ってもらえるような。NHKで流れてもおかしくない曲なので、タイアップを取ってきてもらおうかなと思っています(笑)。
 

10.adverse wind(中国スマホゲーム『とある魔術の禁書目録』主題歌)

おととしぐらいに作った曲で、かなりタイトなスケジュールだったけど、『とある』シリーズだから頑張らなきゃという責任感とプレッシャーの中で作ったことを覚えています。

外国でタイアップの機会をいただいて……なぜか歌詞は日本語なんですけど(笑)……今回日本の皆さんに聴いていただけることは良いことじゃないかなと思っています。日本の『とある』ファンの皆さんにも聴いて、らしいなと思っていただけたらうれしいです。
 

11.beyond the horizon

ちょっとゆったりしていて、雄大な感じの曲を書きたくて。satはこういう曲がやりたいという気持ちの表れなのかなと思うし、作っていても楽しかったです。こういう引き出しを本当はどんどん開けたいんですけども、なかなか機会がないんです。こういうテイストのお仕事、お待ちしております!(笑)
 

12.you only live once

南條さんの歌詞も第2期のスタートの時から見ているので、感情表現がうまくなったなとか、言葉の選び方がきれいになったなと彼女の努力や進歩を感じていて、今では彼女じゃないと書けない歌詞になったなと改めて思わせてくれました。

でも僕もまだまだ負けませんけど(笑)。カラーの違いというか、どこに主観を置くかなど、男性と女性では違ったりしておもしろいし、お互いが常に上を目指すことでfripSideも成長していけるので、今後も競い合い、補い合えたらと思います。
 

13.close to you

90年代のテイストが詰まっていて、遊んでいるような感覚で楽しく作りました。歌詞は曲名のようにラブソングにも聴こえるせつなさもあって。実はアルバムの新録曲の中で一番最初に作った曲で、ライブでダンサーが踊っている風景を思い浮かべて作ったし、盛り上がるんじゃないかなと思います。
 

14.Like a blink,a short night.

結果的に、いいメロディを、南條さんのきれいな声でしっとりと聴かせる曲になったけど、何かを意図して作ったわけではなく、自然に出てきた曲で。このアルバムは広大な宇宙感から始まって、最後は人に戻ってくるというコンセプトで曲を並べた部分もありました。

宇宙に想いを馳せるのもそうだし、身近な人にスポットライトを当てることも同じことなんだよというfripSideの音楽観を、1枚を通して表現できたと思います。

リリース情報

■fripSide『infinite synthesis 4』
2018年10月10日発売

初回限定盤(CD+ブルーレイ)5,300円(税別)

 
初回限定盤(CD+DVD)4,800円(税別)

 
通常盤 3,000円(税別)

発売:NBCユニバーサル
 
■fripSide「Love with you」
2018年11月7日発売

・初回限定盤(CD+ブルーレイ)3,600円(税別)
アニメイトオンラインショップでの購入はコチラ

・初回限定盤(CD+DVD)1,800円(税別)
アニメイトオンラインショップでの購入はコチラ

・通常盤 1,200円(税別)
アニメイトオンラインショップでの購入はコチラ

発売:NBCユニバーサル
 

ライブ情報

■『fripSide Concert Tour 2018-2019 -infinite synthesis 4-』
2018年12月24日(月・祝)北海道・わくわくホリデーホール
17:00開場 18:00開演
2019年1月12日(土)大阪国際会議場グランキューブ大阪メインホール
17:00開場 18:00開演
2019年1月14日(月・祝)福岡市民会館
17:00開場 18:00開演
2019年2月11日(月・祝)愛知県・一宮市民会館
17:00開場 18:00開演
2019年3月8日(金)神奈川県・パシフィコ横浜
17:30開場 18:30開演
2019年3月9日(土)神奈川県・パシフィコ横浜
16:00開場 17:00開演
全席指定7,560円

fripSide公式サイト
NBCユニバーサル fripSide公式サイト

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