日本ナレーション演技研究所

日本ナレーション演技研究所 小澤亜李さんインタビュー 後編

2016-09-12 10:00:00

PROFILE

小澤亜李(おざわあり)

8月10日生まれ。東京都出身。アイムエンタープライズ所属。2013年にデビュー、翌年に『月刊少女野崎くん』の佐倉千代役で初レギュラー&初主役。2016年7月にヒロインの宇佐美みずきを演じる『この美術部には問題がある!』、メインキャラの花咲里あさみを演じる『アクティヴレイド-機動強襲室第八係-』の2期シリーズがスタート。

2013年にデビュー、翌年に『月刊少女野崎くん』の佐倉千代役で初レギュラー&初主役で注目を集め、以降様々な作品で活躍中の声優・小澤亜李さんにロングインタビュー!
前後編でお送りしていますが、後編では声優をめざしたきっかけと日本ナレーション演技研究所(以下、日ナレ)を選んだ理由や学んだこと、今後の目標についてお話ししていただきました。
(2016年9月掲出)

――声優になろうと思ったきっかけを教えてください。

小澤亜李さん(以下、小澤さん):女の子がたくさん出るアニメが好きでよく観ていて。女の子達が楽しそうに学園生活を過ごしているのを見て、「私もこんなふうに、毎日笑顔で楽しく過ごしていたいな」とアニメのキャラに憧れを抱くようになりました。キャラを好きになったら演じる声優さんにも興味が湧いてきて、女性声優さんのラジオを聴いたり、ライブDVDを見るようになって。そして声優雑誌を読んだ時、普段はかわいくて楽しそうに演じている皆さんがインタビュー記事で役について真剣なお話をされていて、「カッコイイな」と感動して、私も役者さんになりたいなと思うようになりました。でも人前に出たり、話すのが苦手だったのでなかなか行動に起こせなくて。

――実際に声優になるための行動を始めたのはいつですか?

小澤さん:中学3年生になって進路を決める時に「どんなことをして生きていきたいか」を考えたんです。「どうしたら納得した人生を送れるのだろうか」と。ちょうどその時に預言者ブームがあって、3年後くらいに世界が終わると言っていたのを信じてしまって(笑)。「どうせならやりたいことをしたほうがいいかも」と思い、声優にチャレンジするため、高校生になったら養成所に通おうと決めました。

その決心を親に話したら、「夢は自分でつかむものだから人に助けてもらわず、自分で何とかしたほうがいい」と言われて。なので、高校入学後に、養成所の学費を貯めるためのアルバイトをはじめて、高校2年生から日ナレに通いました。

――日ナレを選んだ理由は?

小澤さん:あこがれの声優さんたちが日ナレ出身で、何を学んでいたのか気になったのと、同じことを学んでみたいと思ったことがきっかけです。あと高校と並行して通えることも大きかったです。なので、「週1回クラス」の基礎科から通うことにしました。

――日ナレに通ってみた感想は?

小澤さん:めちゃめちゃ私という人間が変わりました。通い始めて半年くらいは1人で帰っていたんですが、レッスンでクラスのみんなと、お芝居を一緒にするようになってから人と関われるようになり、夢のために入ったんだからしゃべらなきゃって思うようになったんです。

――感情を解放することも大切ですからね。

小澤さん:苦手なことだったので、あまり上手にはできなくて。やりたい気持ちと、できないもどかしさのなかで一心不乱にやってました。

――基礎科ではどんなレッスンを受けていたのでしょうか?

小澤さん:私のクラスではクラス内の発表会が多くて、誰かと組んで、3、4回くらい発表しましたね。また自分で考えることも求められました。最後には台本を考えたり、役や作品作りについても学びました。

――小澤さんは演技経験もなかったということで、まさにゼロからのスタートだったと思いますが。

小澤さん:大変でした。人とあまり話さなかったのもあって、滑舌もよくないし、ぼそぼそしゃべったり、腹筋がなかったり、あまり笑えなかったり、いろいろ欠如していたので(笑)。でも家で毎日練習しましたし、自分では頑張ったなと思います(笑)。

私は、声優になりたい気持ちが強すぎて、レッスン後には「これやらなきゃ」といつも必死でしたし、学校にいても日ナレのことが気になっていました。だから高校時代の学校生活の記憶があまりないんです(笑)。その分、日ナレで青春を謳歌していた気がします。

――2年目の本科ではどんなレッスンを受けたのでしょうか?

小澤さん:ずっと舞台でした。舞台は楽しいけど難しくて。どう動けばいいかわからないし。日ナレには6年間通いましたが一番悩みました。

題材が日常なら自分の日常であった経験からイメージが引き出せますが、ファンタジーになると途端に動けなくなってしまって…。それで実際に舞台を観に行ってみたり、自分なりの努力をして。でも役を自分のなかに入れて、体で演じることは楽しかったです。研修科でも舞台をやりましたが、舞台は難しさもありますが楽しいですね。

――朗読は1人でも練習できますが、舞台はやはり相手がいないとできませんからね。

小澤さん:相手のお芝居を受けて、それにまた返すというのは舞台ならではですね。また年上の役を演じる時も悩みました。高校生だったので大人のことってわからないですし。思えば常に壁にぶち当たっていた気がしますし、ずっと必死でした。

――高校を卒業する時には進学は考えず、役者一本で行こうと?

小澤さん:ずっと声優になりたいと思っていましたが、高校卒業時にはまだ事務所への所属が決まっていなくて。あきらめてはいないけどお金も稼がなきゃいけないので、資格があれば働き口もあると思い専門学校へ進学しました。その後、保育園への就職が決まった同じタイミングでアイムエンタープライズへの所属も決まったんです。1年目ではオーディションのチャンスもなかなかないだろうなと思っていましたし、「社会経験を積めば役者として糧になるかも」と最初は就職先で働くつもりでしたが、声優になるために努力してきたので、いただけるチャンスはすべてトライしたいと思い、最終的には声優一本でいくことに決めました。

――アイムエンタープライズへの所属が決まった後も研修科で学んだそうですが、一緒に学んでいる人がデビューしたり、活躍中の人もいて刺激になったのでは?

小澤さん:周りは気になりますが、自分はまだまだだなと思っていましたし、学ばなきゃいけないことがたくさんあったので、ただ目の前のことに一生懸命取り組むだけでした。

――ちなみに事務所の同期は?

小澤さん:長縄まりあちゃん、内田雄馬さん、天﨑滉平さんですね。同期と一緒にお仕事する機会があるとすごくうれしいです。ライバル意識がないわけではありませんが、私も頑張ろうと思えますし、一緒の作品に出演できることは幸せです。

――レッスンで学んだことで今も役立っていることは?

小澤さん:レッスンすべてが役立ってます。教わった時はその意味がわからなくても、後になってわかることもあるんです。お芝居というものは、やればやるほどよくなっていくと思うので、まずやることが大事だと思いますし、人のお芝居を見るのも勉強になります。

研修科で初めてマイク前のレッスンを受けた時は、難しいなと思ったりもしたんですが、自分の良さに改めて気付けたりするレッスンをしてくださったり、講師の方や周りの方々が私の良いところを見つけてくれたりもして、感謝しています。

また、研修科1年目の時に講師の方から、うまくても印象に残らない芝居より、ヘタでもおもしろいとか興味を持ってもらえるような演技をした方がいいと教わり、今も無難なほうでなく、ガツンと自分の個性がのったキャラ作りをしようといつも思っています。

――デビュー作を教えてください。

小澤さん:『俺の妹がこんなにかわいいわけがない。』のWEBアニメ版でゲームの声を担当しました。レギュラー作品としてはその翌年のTVアニメ『月刊少女野崎くん』の佐倉千代ちゃん役になります。千代ちゃんを演じられたのは巡り合わせもよかったのかなと思っています。「一生懸命でいいね」と言っていただきましたが、まだ慣れていない初々しさがよかったのかもしれないですし、2~3年後に受けていたら決まったかもわからないですね。オーディションを受けさせていただいたマネージャーさんや育ててくださった山﨑監督にも、そしてイベントなどで温かい声援を送ってくださった皆さんにも感謝しています。

――アニメもかなり好評でしたね。

小澤さん:そうみたいですね。私はオンエアを見るたび、「ああ!」と声を上げたり、頭を抱えたりして(笑)。「私でいいのかな」と不安もありましたが、自分なりにその時の良さは出せたかなと思いますし、今見てもそう思えます。たくさんの方に見ていただいて愛していただいて。私自身、千代ちゃんとひとつになれた気がしてうれしかったです。私の芝居観にも大きな影響を与えてくれた作品でしたし、初めて私を認めてくれた気がして。私にとって大切な作品になりました。

――実際に学んでみて感じる、日ナレの良さとは?

小澤さん:様々な年代の方がいるのがいいなと思いました。若い子には若い子の、年上の方には年上の方の良さがあって。学校生活ではあまり接することができない年代の方とふれあうこともできたのがよかったです。

また、レッスンも講師の方によって、気付いてほしいことや自分のなかの見つけてほしいことが違っていて、アプローチも違うので勉強になりましたし、毎回挑戦できるのもやりがいを感じました。

6年通っているなかで毎年気付くことも違いましたし、人も環境によって変わっていくと思うんです。クラスメイトが変わると、例えば自分と同じ元気な子というタイプの子がいれば、「もう1つの良さって何だろう?」って考えたり。いろいろな年代、いろいろなタイプの人がいるから刺激的で、そういう人たちと接することで私自身もいろいろな自分を発見しました。そして新たなものを作っていかなきゃいけないと思わせてくれることも多かったです。

――今後の目標やどんな声優になりたいか、教えてください。

小澤さん:今はいろいろなキャラを演じたいです。そのためにはいろいろな引き出しや技術が必要で。今までもいろいろなタイプのキャラを演じさせていただいてきたので、今後も演じたことがないキャラや表現を担当させてもらえるようになりたいと思っています。やりやすいキャラはありますが、いろいろ演じれば自分の目標も広がりますし、何かに打ち込めることが人生においての楽しさだと思っているので、課題を見つけて頑張っていきたいです。

――声優をめざしている方へアドバイスとメッセージをお願いします。

小澤さん:みんな通る道は同じで、私も所属されている方のインタビュー記事を読んで頑張ろうと思っていたので、この記事を読んでくださっている声優志望の方の気持ちはよくわかります。夢に向かっていくための道のりや方法は人それぞれだけど、自分を見つめ直すことは大切だと思います。自分に必要なものを考えつつ、自分の個性も見つける努力もしたほうがいいかなと。その結果、運やチャンスも広がっていくと思うので、例え1年2年で結果が出なくてもあきらめずに頑張ってください。

そして、お芝居は人との掛け合いなので、1人ではお芝居できません。たくさんの人と関わって、いろいろな感情に触れながら、日々の生活も楽しんでください。私はお仕事にのめり込み過ぎて余裕がないタイプですが、応援してくださる皆さんがいるから頑張れます。そんな皆さんに楽しんでもらえるように、例えば原作がアニメ化した時にキャラがより魅力的に映るように演じていきますので、これからもよろしくお願いします。

<取材・文:永井和幸>

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