「角川映画祭」開催記念！りんたろう監督インタビュー｜『幻魔大戦』制作時の思い出や、監督おすすめ映画を語る

りんたろう監督が語るこれだけは見ておいてほしいという作品とは？

──これだけは見ておいてほしいという作品はありますか？実写でもアニメ作品でも結構です。

りん：あるって言えばキリなくあるし、無いって言えば無いんだけど（笑）。僕の大好きな作品のひとつに『べルヴィル・ランデブー』（03）があって、このアニメーションの表現はすごいんですよ。これはぜひ見て欲しいですね！

あと、実写の方ですが、あまりにもかけ離れているかもしれないですが、僕が世界で一番尊敬する映画監督がジャン・リュック・ゴダールなんです。彼の作品はわけわかんないんだよ（笑）。でも僕はその訳の分からない映画を、僕より少し年上だと思うんだけど、確かスイスのレマン湖だったかな？　そこでずっと作り続けているという、それはもう尊敬に値します。

あともうひとりは、フェデリコ・フェリーニかなあ。僕らの世代は『フェリーニのアマルコルド』（73）だよな、って、大友君ともよく話します。自分の中にずっとコアとして残っている作品だなと。

──次はどんな作品を手掛けたいですか？

りん：映画は、アクチュアリティ(現実性)だと思うのですが、今の時代の映画のアクチュアリティって言ったら大体“家族”や“仲間”なんですよね。もちろんこれはこれで素晴らしいと思うのですが、僕に関して言えばそこに全く興味はないんです。

だから、今から同じ年代の仲間たちと「これを最後に作ろうぜ！」ってなるとしたら＜伝奇物＞かな。今や伝奇物ってそんなにないのですが、かつては半村良（SFの手法を取り入れた伝奇的な時代小説が有名）とか、凄い人がいて。＜伝奇物＞の底辺には、はみ出しものとか被差別のテーマとかがあって、僕はそれをエンターテイメントとして描き出したい。

例えば、栗本薫さんの伝奇SF小説『魔界水滸伝』とか、ああ言う世界だと現実の世界とは全く違った裏の世界だから、ある種別のパワーがあるかもしれないと。まあ、映画会社に持って行ったら「お客さん、入りますか？」って言われちゃうかもしれないですけどね（笑）

りんたろうプロフィール

1941年生まれ
1958年東映動画に入社。その後、虫プロダクションへ移籍。TVアニメ『鉄腕アトム』（63-）の演出や『ジャングル大帝』（65-）、『わんぱく探偵団』（68-）、『ムーミン』（70-）などのチーフディレクターを担当した後、フリーになり『宇宙海賊キャプテンハーロック』（78）などを監督。1979年監督を務めた映画『銀河鉄道999』（79）が大ヒット。その他の角川映画監督作品に『火の鳥鳳凰編』（86）、『X-エックス-』（96）など。