
閉じるのではなく開ける──「ずっと残響が残り続けるような、心の中に残っていくような終わり方に」劇場アニメ『最終楽章 響け!ユーフォニアム』後編 小川太一監督インタビュー
「ファンムービーだったら、これで良いと思う」と言われた
── 監督に小川さん、総監督にテレビシリーズで監督を務めてきた石原立也さんという体制は、2017年公開の初監督作品『劇場版 響け!ユーフォニアム〜届けたいメロディ〜』と同じです。9年前とは、お二人の役割分担も変わったのかなと想像しているのですが、いかがですか?
小川:実は、そんなに変わっていない気がします。
『届け』の時も石原さんは相談役みたいな形で。いろいろと相談させてもらいましたが、かなり僕に任せてもらえていたんですよ。もちろん今回も任せてもらえました。ただ、新規カットなど作業量がとても多かったので、一部の演奏シーンなどのコンテは、石原総監督に持って(担当して)もらうことになりました。
── 監督として、今回特に大事にしたことを教えてください。
小川:色々とありますが、先ほどお話ししたようなコンセプトやテーマにどこまで忠実にできるかは大事にしようと思っていました。経験上、そこが歪むと観ている方に見透かされてしまう。作品の骨がなくなってしまうんですよね。
── 『最終楽章』は1期、2期の劇場版以上に新規カットも多いですが、物語の展開はどのように固めていったのですか?
小川:前編は、自分が全体の構成を考えて、後編は花田さんにシナリオを書いていただいています。実は僕、前編で一度失敗したんですよ。
── 失敗ですか?
小川:まずは自分なりにどういうことを見せたくて、どういう結末にしたいかも考えて構成をまとめたのですが「何を描きたいか」と「どうまとめられるか」は、必ずしも一致しないんです。そのあたりにすごく苦労して。一度失敗したというのも、まさにそこでした。
「こんなまとめ方はどうだろう」と思って花田さんにお見せしたら「ファンムービーだったら、これで良いと思う」と言われたんです。それがめちゃくちゃ悔しくて!(笑)
── 痛烈な一言ですね(笑)。
小川:だいぶオブラートに包んでもらったのだと思いますが、それでも痛烈ですよね(笑)。ファンムービーが悪いわけではないのですが、自分はそういうつもりではなかった。一本の『響け!ユーフォニアム』の作品として、テレビシリーズからエクステンドしたものとして描きたいと思っていたので。
でも花田さんの指摘の後で読み返すと、なるほど花田さんの仰ったとおりだなと自分でも思いました。その時の構成は、何を描きたいのかよりも、どう上手くまとめられるかに終始し過ぎてしまっていたんです。完全な敗北ですよ(笑)。
それで、最初から考え直した時、一見(劇場版には)必要じゃなさそうなシーンがすごく大事だなと気がついて。3期の時に大事にしていたことが間違いじゃなかったなと、確信を持てた瞬間でもありました。
── 地味に見えるところでも、重要なことをたくさん描いていたわけですね。
小川:例えば、久美子と(剣崎)梨々花がサリー(義井沙里)の家に行くシーンは、まさにそうです。
── サリーたち1年生仲良し4人組が中心のエピソードなので、劇場版では、カット候補に挙がりそうな気がします。
小川:実はあそこ、サリーの物語のようでいて、久美子としてもターニングポイントになっている話なんですよね。「部長とは何か」を考えるきっかけになるエピソードだから、あれがないと始まらないんですよ。改めて自分の中で構成し直した結果、とても分かりやすくなって、もうひとつの勝算になったのかなと感じました。












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