
秋アニメ『桃源暗鬼』第二期 OP主題歌「BACKLASH」を歌うHiromitsu Kitayama(北山宏光)さんインタビュー|念願の初アニソンに込めた思い、矢颪 碇を起点に描いていった“正義と悪”
2026年9月28日に、北山宏光さんのDigital Single「BACKLASH」が配信リリースされる。
TVアニメ『桃源暗鬼』第二期~日光・華厳の滝編~のオープニング主題歌となる本楽曲は、北山さんにとって初のアニメタイアップ。自身が手掛けた歌詞には、矢颪 碇(やおろし いかり)をひとつの起点としながら、作品に流れる「何が正義で、何が悪なのか」という問いや、登場人物が抱える葛藤を落とし込んだ。疾走感あふれるサウンドの中には、〈夢やらアイやら〉〈臨界点で君と泳ぎたいぜ〉など、インパクトのある言葉が次々と飛び込んでくる。
今回のインタビューでは、海外で実感してきた日本アニメの存在感、『桃源暗鬼』との出会い、原作者・漆原侑来先生との思いがけない縁、「BACKLASH」の作詞やレコーディングのエピソードなどを教えてもらった。
世界で感じてきた日本アニメの力。初のアニメタイアップに「本当に嬉しかった」
──「BACKLASH」が北山さんにとって初のアニメタイアップとなりますが、決まったときのお気持ちから、まずお聞かせいただければと思います。
北山:シンプルに、アニメという日本が誇れるカルチャーに携わらせていただけることが嬉しかったです。海外に行ったときにも、アニメの強さやすごさはひしひしと感じていたので。日本のアニメは誇りに思えるものだと感じていましたし、そのオープニングを担当させてもらえることは、本当に嬉しいことですよね。
──海外では、どんなところからそういう空気を感じられていたのでしょうか?
北山:アジアだとジャカルタだったり、それこそブルガリアに行ったこともあって。そういうところでアニメのTシャツを着ている方もいましたし、ニューヨークでサウナに行こうと思ったら、受付でもアニメを見ていたりして。本当に至るところで、日本のアニメが世界中から愛されていることを感じてきました。
例えばブルガリアでは、現地の学生と話す機会があり、『NANA』や『NARUTO -ナルト-』が話題になることがあって。現地のファッションにも影響しているんですよね。アニメの力って本当にすごいなと思っていたところに、こうしてご縁があってやらせていただけることになったので、とても嬉しかったです。
──『桃源暗鬼』には、どのような印象を持っていましたか?
北山:第一期の頃から、アニメのランキングなどでよく見かけていて、気になっていたんです。実際にいろいろ見ていたところ、第二期のオープニング主題歌のお話をいただいて。本当に嬉しかったですよ。登場人物も、みんな本当にイケメンですし。たくさんのファンの方に愛されて、推されている印象があります。
──キャラクターそれぞれが魅力的ですが、北山さんが特に面白いと感じたキャラクターは?
北山:皇后崎 迅ですね。実は単行本のプロフィールを見たら、誕生日が9月17日で僕と一緒なんですよ。「おお!」と思って、テンションが上がりました。そこからちょっと追いかけちゃうというか。
──楽曲を実際に制作していくタイミングでは、いろいろな話し合いもあったかと思います。原作の漆原侑来先生ともお会いされたのでしょうか。
北山:はい。
──私も取材をさせていただいているのですが、本当に素敵な方ですよね。
北山:そうですよね。作品に対する思いももちろんですし、キャリアというか、漫画家になるまでの歩みも面白いですよね。美容師として働いていて、サロンのスタッフルームにあった漫画を読んで「漫画をやろう」と始めたという。アウトローというか、根性がありますよね。そういうところも好きです。
あと、僕が16歳から20歳くらいまで出ていたBS(衛星放送)の番組を、先生が見てくださっていたらしくて。先生のお母さんが僕のファンだったらしく、「こういう形で親孝行ができて本当に嬉しい」と言ってくださったんです。しかも、今回一緒に楽曲を作っている藤家(和依)くんとも、当時は実際に一緒にステージに立っていたんですが、それもを先生が観ていたらしくて。「実は今回、藤家くんと作っているんですよ」とお話ししたら、「えっ! それはエモいですね!」と。
──なんだか運命的と言いますか。
北山:後からわかったことですけど、本当にいろいろなご縁があって、こうしてやらせていただけているんだなと感じました。お会いしたときには、先生がお子さんも連れていらして。その様子も微笑ましかったですね。
反逆、反抗、そして覚醒へ。「BACKLASH」に込めた思い
──初のアニソンということで、北山さんが大切にされたところというと?
北山:今回、初めてアニメのオープニングを書かせてもらったんですけど、僕自身もアニメを見ますし、子どもの頃に見ていたものを大人になってからまた見たりもするので、オープニングの持つ強さは感じていて。作品を見た人がこの曲を聴いたときにどういう気持ちになるのか。そういうことも想像しながら作らせてもらいました。
──曲については制作側や漆原先生から、何かリクエストはあったのでしょうか?
北山:(制作サイドと)やり取りした上で、何曲か出させてもらっていて、その中から選んでもらったんです。それで「これ、実は矢颪(碇)の思いで書いたんですけど、大丈夫ですか?」って。
──冒頭のバイクの音からは、原作をお読みの方はご存知かと思いますが矢颪の血蝕解放を連想しました。こちらも意識されたのでしょうか?
北山:まさにそうなんです。ベースラインとかもそうですね。最初、仲間と一緒に作っているときに聴いて、「もうこれ、矢颪の曲じゃん」ってなって。そこから作っていきました。
──ベースラインにも独特の疾走感がありますよね。
北山:ただ、矢颪だけの曲になると、それはまたちょっと違うなと思ったんです。だから、登場人物それぞれが抱えているものや、それぞれの葛藤、「何が正義なのか」ということに対しての反逆だったり、反抗だったり……自分にとっての正義とは何なのかを、自分自身で戦いながら探していく。そして、その先にある「覚醒」というところまでを、楽曲のテーマに置きました。そういった力強さを出すために、冒頭のバイクのマフラーのような音を入れていました。
──歌詞について、もう少し伺ってもいいですか?
北山:矢颪の目線で書いてはいるけれど、ほかの人にも当てはまる葛藤があると思っていて。僕が着目したのは矢颪の人間性だったり、素直になれないところだったり。「なんかわかるな」って思える部分があったんですよね。あと、サビは絶対に戦闘シーンになってほしいと思いながら書いていましたね。オープニング映像を見たら、本当に戦闘シーンになっていて。
──バッチリだったんですね。
北山:よかったなと思いました。矢颪の1日3回しか使えない「怒鬼怒氣ヒステリー」を意識して、歌詞の中に〈ドキドキ〉と入れたんです。ただ、戦闘シーンって結構「ドクン、ドクン」と心臓が鳴るじゃないですか。だから、この〈ドキドキ〉は矢颪だけのドキドキではなくて、そこから別の意味にも派生できるなと思って。
──作品全体に通じる「正義とは何なのか」という問いを、矢颪という一人のキャラクターを中心に描いたんですね。
北山:そうですね。そこもテーマのひとつでした。でも、誰かが叫んでいないとダメだなと思ったんです。いろいろな登場人物がいる中で……もちろん(主人公の)四季でもよかったんですけど、あえて矢颪をピックアップして。
──確かに、四季は四季で王道のカッコよさが出そうですよね。
北山:そうなんですよね。四季の言葉もなんとなく混ざっていたりします。
──正義と悪を問いかける一方で、〈夢やらアイやら〉という、内面の思いを感じさせる言葉も印象的でした。
北山:そうなんですよ。結局、心臓から出てきたものは夢とか愛なんだけど、それがわかっていても蓋をしたいというか、蓋をしてしまう。素直になれないんですよね。その上で、正義と悪が混じり合っているような感覚もあって。「今の俺にはちょっとモザイクをかけないと直視できない」みたいなイメージです。
本当は自分の中にある思いがわかっているのに、またそこに素直になれなくて、なぜか涙が出てくる。そういう流れからサビへ走り出していく感じですね。
──歌詞自体にもかなり勢いがありますよね。激しいところはかなり激しくて。
北山:サビの高揚感の中で、どんな言葉を入れるかは考えましたね。難しすぎてもダメだし、キャッチーであるべきだとも思っていて。でも、その中にも何かちょっと引っかかる単語が欲しいんですよね。〈燃える理想とタブーを混ぜて〉とか、〈臨界点で君と泳ぎたいぜ〉とか。
臨界点って、科学的には気体と液体の区別がなくなる境目じゃないですか。そこで自分を解き放つというか、限界の地で、君と漂う、泳ぐ。その感覚を「泳ぐ」という表現に落とし込んだんです。本来だったら、普通に水の中を泳ぐような意味ではないのに、〈臨界点で君と泳ぎたいぜ〉とすることで、ちょっと違うイメージになるかなと思って。
──ここで歌われる「泳ぐ」という言葉は、「踊る」にも近いものを感じていました。
北山:そうそう。最初は「踊る」って書きそうだったんですよ。でも、それだとちょっとフックが弱いなと思って。もう一段、聴いた人に考えてもらえるかなと思って書きました。
それと、〈疾る孤独もハッピーも爆ぜて〉というところも、孤独とハッピーって一見すると矛盾しているじゃないですか。そこは矢颪の、バイク的な要素にもまた戻っていくような書き方をしていますね。
──激しさのある曲ですが、北山さんの声には艶があるので、激しいだけではない聴きやすさもあるように感じました。
北山:自分の声、俺はあんまり好きじゃないタイプなんですよ。
──えっ、そうなんですか?
北山:はい。あんまり好きじゃないなって、いつも思っています(笑)。昔はもっと嫌いでした。
──そこから少しずつ受け入れられるようになったきっかけはあったのでしょうか?
北山:まあなんか、それも個性なんだなと思えるようになったところからかな。楽曲に馴染む声と、馴染まない声ってあるじゃないですか。僕の声は、ちょっと特徴的な部分があるなと思って。それがアニメの楽曲にハマるといいなと思っています。































