【夏アニメ特集】『ギヴン』佐藤真冬役・矢野奨吾さんインタビュー｜BLを知らない人にぜひ見てもらいたい“青春群青劇”ーー真冬にしか出せないものを大事に表現したい

雄馬くんの立夏を聴いていると自然と気持ちが動きます

――歌のシーンは、すでにアフレコでも収録されたのでしょうか？

矢野：まだそこまで収録が進んでいないのでアフレコでは歌っていませんが、序盤の話数であたりで鼻歌を披露しています。

――“鼻歌”の収録ですか？

矢野：はい。もうハードルが高すぎて……（笑）。

――（笑）。

矢野：自分なりに練習をして、曲を作ってくださるアーティストの方と打ち合わせもして、しっかり準備をした上で、真冬がどういう気持ちで歌うからこの曲になるということだけを考えました。

ただ、大きな声で歌うのか、一人だけに聞こえるように歌うのか、自分の世界の中で歌うのか、そこは音響監督さんとディスカッションさせていただきました。

あくまでもその鼻歌は、日常の中にある真冬と立夏のやり取りの中で自然と真冬の気持ちが乗ったときに出てくるものなので、日常感というものがすごく表れているように感じます。

――その鼻歌に、真冬の素が表れているのですね。

矢野：そうですね。そして、「こういう歌がずっと頭の中で流れているんだ」と思いながらポロッと歌った真冬の鼻歌が、立夏の琴線に触れます。

それは、真冬自身も気づかないうちに、大切な人への想いが鼻歌に乗っているからだと思うんです。

ただ、その想いを意識的に詰め込むのではなく、あくまで日常にあるやり取りの中で歌った鼻歌ということで、より日常感に近づけるアプローチがしたいと思いながら収録しました。

――真冬の過去を知っていると、鼻歌を聴くだけで涙が出てきそうです。

矢野：本当に、鼻歌を聴いているだけでも泣けてきます。

――また、立夏は真冬の過去やこれからの人生に大きく関わることになります。真冬にとって、立夏はどのような存在だと思いますか？

矢野：救世主というか、真冬を救ってくれた光なので、立夏じゃないとやっぱりダメなんだと思います。そして、立夏を演じる内田雄馬くんのお芝居が本当に魅力的で素敵です。

自分でいろいろと準備したものをアフレコ現場に持っていくんですが、雄馬くんの立夏の演技を聴いていると自然と気持ちが動きます。まっさらな状態で真冬のセリフを出すことができるんです。

立夏は直情的な部分もありますが、真冬のことを想って寄り添ってくれる。雄馬くんのお芝居にもそれがすごく出ているので、僕としては、立夏は真冬の自然体を引き出してくれる相手なのかなと思います。

――真冬と立夏は正反対とも言える性格ですが、気持ちが良いほどに自然と混ざり合っているように感じます。

矢野：2つの磁石がパチンと繋がるような唯一の存在だと感じます。