アーティスト・三澤紗千香が自由な活動方針で感じた責任感ーー2ndシングル「I'm here／With You」インタビュー

自分の「声」について歌った歌詞。ファンと共鳴する箇所とは？

――歌詞は、すごく三澤さんのパーソナルな部分が出ているなと思いました。

三澤：やはり三澤紗千香だなという歌詞が聴きたいのかなと思うので、それは大切にしたんですけど、自分の世界に入ってしまうと、（聴いている側が）置いていかれてしまうとも思って。だから、誰もが「この気持ち分かる」って思えるシーンがあればいいなと思いました。

――この曲では、私には声があるんだと歌っていますけど、誰にでも自分の支えになるようなものがあるでしょうからね。でも、自分のアイデンティティが声であるというのをはっきり強く歌っている曲だなと思いました。

三澤：声って、似た地声の人がいても、こういう言葉選びやしゃべり方をする人って、世界に私以外はいないと思うんです。「この手は」を出したときの反応で、「やっぱり三澤さんの歌声って良いよね」と言ってもらうことが多かったので、変えられないものだからこそ、私にしかできない表現がこの声からたくさん生まれるんだと思ったんです。

それが声優やラジオパーソナリティの仕事になっていると考えると、自分の個性だし強みだし、自分にしかない唯一無二のものだから、それを歌にしたいという気持ちはあったんですよね。それが突然歌詞になって出てきたので驚きました。

――ボイスメモに録った曲には、歌詞も付いていたんですね！

三澤：メロと一緒に歌詞も出てきて、ほとんどこのまま歌っていました。

――よくメロディと歌詞が一緒に出てくるのが理想と言いますが、まさにそうだったんですね。

三澤：1番はそうでしたね。でも2番以降は考えましたよ。2番って、1番を聴いて良いなと思った人や私を好きな人じゃないと聴いてくれないと思っていたので、そこではちょっと弱いところを見せても大丈夫だと思ったし、私を知っている人は私が頑固なことも知っているから、そういうパーソナルなところも出しました。

それと歌詞内の〈救われたんだ それは声〉は、みんなの声にも救われているということでもあるんですよ。声援やラジオのメールもみんなの声なので。

そこからの〈君の瞳で見えるはずなんだ この影　君とおそろい わかるでしょ〉は、私、闇キャラと言われていた時期がありまして、そういう部分が出ているんですけど、多分私のファンはみんな暗いと思うので、みんなの声に救われつつ、「みんなもあるよね、私と同じような闇、一緒だね！　共鳴するよね～！」っていうのが、2番のBメロになっています（笑）。

――あははは（笑）。でも、そうやって、すべての言葉の意味が分かっていて、それを語れるのは自分の歌だからこそですよ。

三澤：それはありますね。だから早く歌詞カードを見ながら聴いてほしい。漢字の変換やスペースをどこに入れるかとかも考えたんですよ。ブックレットの歌詞の確認をお願いしますと言われた時は、「私、プロ！」と思って、ちょっとミーハーな気持ちで嬉しくなりましたから。

――今後の作詞・作曲も期待しています！

三澤：でもだいぶここで三澤紗千香の人生観を綴ってしまったので、これからそれが変わったりしないと書けないのかなと思いました。あとはストーリーを空想して作るようなことができたら、作家としてもレベルが上がるのかなと思ったり。

――でも、どのアーティストも、デビューした時と最新作とで、言ってることって大して変わらなかったりするんですよ。

三澤：そうかも！　人間ってそんなに簡単に変われないですからね。言い方がその時その時で変わっていったりするのかな。それも楽しみです。

「結果一緒じゃん！」とか、「この時なんだか血迷っているね」とか、恥ずかしいけど感じてみたい。曲を並べたからこそ分かる自分の心の動きとか、夏はいつもこうなっているなぁとか。

――それが分かるためには、10年以上は活動をしてもらわないと……。

三澤：そこはもう、みんなに支えてもらって（笑）。でも、1stシングルをみんなが買ってくれたおかげで、こんなに早く2枚目が出せることになったところはあるんです。しかも結果が良かったことで、今回は多くの楽器を生でレコーディングすることができたんですよ！　やはりプレーヤーさんの味が入ると、曲って厚みが出るんだなと思いました。

今回はどちらの曲も弦楽器は生で録ってもらったので、シンセの弦の音とは全然違うし、それもすごく良かったと思います。