『ヤマト』と共に浮上してきた“アニソン界のレジェンド”の隆盛！　ささきいさおさんデビュー60周年記念スペシャルインタビュー【第2回】

プレスリーの吹き替えから声優デビュー、そしてアニメ出演へ。その縁からアニソンも！

――アニソンを歌うことになった経緯をお聞かせください。

ささき：ちょっと長くなりますよ（笑）。歌の勉強をし直していた時期に、以前に舞台に出演した時の舞台監督が音響制作の会社を立ち上げていて、「ささき君は『和製プレスリー』と呼ばれていたんだから映画の吹き替えをやってみないか？」と声をかけられて。

プレスリー主演の『燃える平原児』という西部劇映画で、プレスリーの吹き替えをしたんですけど、ありがたいことに評判が良かったようで、そこから洋画の吹き替えの仕事がたくさんくるようになりました。

それからまた同じ人から「今度はマンガをやってみない？」と誘われたのが『科学忍者隊ガッチャマン』のコンドルのジョー役でした。アニメは好評で2年続いたんですけど、その1周年パーティで、子門真人君が歌っていた主題歌「ガッチャマンの歌」をキャストみんなで歌ったら、違うプロデューサーから「別の作品の主題歌を歌ってみませんか？」と。当時はアニメの主題歌を歌う人が子門君と水木（一郎）君くらいしかいなかったからでしょうね。

それで『新造人間キャシャーン』の主題歌「たたかえ！キャシャーン」を歌ったらヒットして、その半年後に4作品の主題歌を担当することになりました。その中には『宇宙戦艦ヤマト』も入っていましたが、アニメ自体は『アルプスの少女ハイジ』の裏だったこともあり、ヒットしなかったけど、その後に劇場版になったら大ブームになって。

当時はアニメではなく、テレビまんがと呼ばれていたけど、『宇宙戦艦ヤマト』のヒットがきっかけでアニメやアニソンが見直されたり、注目されるようになったと思います。僕自身もヤマトと一緒に浮上させてもらえて、マスコミにも取り上げられました。一度沈んだ『ヤマト』と共にささきいさおも浮かんできたと（笑）。社会的現象になったし、アニメやアニソン隆盛のきっかけになったと思います。

「ヤマト」ヒット時は少なかったアニソンシンガー。「たたかえ！キャシャーン」で歌への自信も

――アニメがテレビまんがと呼ばれていた頃は、アニソンを歌う方に対する様々な偏見もあったかと思いますが、ささきさんはアニメの声優も担当されていたこともあって抵抗はなかったのでしょうか？

ささき：歌の練習をして、まともに声も出るようになった頃だったので、どんな曲でもいいのでレコードになるのが嬉しかったんです。子供が幼稚園の頃に、「パパは声だけじゃなく、歌も歌っちゃうから」と言ってみたり（笑）。

「たたかえ！キャシャーン」を歌った時には「ちゃんと歌えるようになったな」という確信が持てました。コロムビアもイケると思ったから半年後にまとめて歌わせてくれたんでしょうね。努力をすれば、どこかで神様が見てくれて、願いを叶えてくれるんだなと思いました。

――『キャシャーン』や『ヤマト』が放送されていた頃は主題歌を歌う声優さんは少なかった気がします。当時のアニメは同じ方が歌っていることがよくあった気がして。

ささき：子門君が歌手を辞めてしまったため、主題歌を歌う男性歌手は僕と水木君の2人になってしまって。そこに違う人が入ってきたり、『銀河鉄道999』のようにゴダイゴなどニューミュージックのグループや歌手が担当したり、少ない人数でまわしてましたからね。逆に僕らはレパートリーが多いからイベントはやりやすかったけど（笑）。

――また当時はアニメがゴールデンタイムで放送されるのが普通だったので、主題歌を知ったり、聞いたことがある人も多かったと思います。

ささき：だから作品名を忘れてしまっても曲を聞いた瞬間に思い出せるんですよね。そんな国民的な娯楽の1つになっていたところに、若い人たちのアニメブームも重なって。『ヤマト』はカッコよさや重厚なストーリーで大人のファンも多かったし、広く浸透したと思います。そう考えると僕らはいい時代を生きてきたなと。

今はアニメの放送期間が短いから声優さんたちも大変ですよね。『ガッチャマン』で共演した森 功至君とは今も親しいけど、アニメで数々の主演を務めた後、ナレーターとしても活躍するようになって。ブームの中にいる人たちはブームが過ぎた時に、生き方を努力して変えていかないといけないから大変だなと思って見ています。