『ヤマト』と共に浮上してきた“アニソン界のレジェンド”の隆盛！　ささきいさおさんデビュー60周年記念スペシャルインタビュー【第2回】

「宇宙戦艦ヤマト」以外のお気に入りのアニソンは？

――これまでにたくさんのアニソンや特撮ソングを歌われてきましたが、ターニングポイントになった曲を教えてください。「宇宙戦艦ヤマト」は殿堂入りとして。

ささき：ジェームス三木さんに作詞していただいた『超人機メタルダー』の主題歌「君の青春は輝いているか」が好きです。三木さんがこん身の言葉を並べてくださって。僕はよく説教ソングと言っているんだけど（笑）、歌っていても自分が説教されているような感覚で。

『宇宙戦艦ヤマト』関連では、『宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち』の主題歌「ヤマト!! 新たなる旅立ち」も大きくヒットはしていないけど、いい歌です。

あと『新巨人の星』で、あの名曲「行け行け飛雄馬」を歌えるとも思っていなくて。「宇宙戦艦ヤマト」がヒットした後に、「行け行け飛雄馬」を作曲した渡辺 岳夫先生から「歌ってくれる？」と頼まれた時は嬉しかったです。自分の歌にコンプレックスがあるから、大先生からオファーされると嬉しくて。「やっと認められたか」と。

――コメディアンの萩本欽一さんは「視聴率100%男」と呼ばれていましたが、ささきさんが歌ったアニメはゴールデンタイム放送ばかりなので、アニソン界の「視聴率100%歌手」ですね。

ささき：あの頃は評価されなかったけど、今に思うと大変なことですよね。ゴールデンタイムの主題歌を同時期に何曲も歌うということは。女優の中村メイコさんから「ささきさん、全部歌っているんじゃないの？」と言われたことがありました（笑）。

「ヤマト」は自分の価値を守るため必死。アニソンが人の役に立っていることも実感

――アニソンを歌っていく中で印象深かった出来事を教えてください。

ささき：よく「ささきさんの曲に勇気づけられました」というお手紙をいただいて。自殺しそうだったけど、歌に助けられて踏みとどまることができましたというお手紙も何通も。「こんなところで役に立っているんだな」と思いました。

でも、若者に向けたメッセージを込めた「おとこの詩」というアルバムを作ったけど売れなくて。表立って説教するとダメだなと（笑）。すごいミュージシャンも参加してくれたのに。歌にナレーションを挟む形だったけど、アイデアだけで作ってしまったから「ああすればよかったな」とか「もったいないことしたな」とか後悔してます。

――今だったら受けるかもしれませんね。

ささき：今は1対1の時代だし、語り掛けるナレーションが入っているアニソンアルバムなんて、あまりないからね。でも今からそれをまた作るのも大変だし。なるべくなら今あるものを聞いてほしいな（笑）。

――ささきさんはアニソンのベストアルバムもリリースされていますが、楽曲を聞くと作品だけではなく、見ていた当時のことがよみがえるんですよね。

ささき：僕自身も歌うたびに当時を思い出す歌があります。初期の歌は特にそうですね。「（TVドラマで演じるのが）悪役ばかりだからもう出ない」と言ったら、劇団から「お前辞めろ」と。

そして「わかりました。僕は歌とアテレコだけやっていきます」と劇団を辞めた頃に歌ったのが「宇宙戦艦ヤマト」でした。あの頃は一生懸命やらないと自分の生きている価値がなくなると必死でしたね。

1曲のアニソンに対して、内容は違えど、いろいろな想いを共有できるのがアニソンの良さですよね。更にライブでは同じ空間で想いを共にできるわけですから。