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アニメ『さんかく窓の外側は夜』平田広明 インタビュー連載 第7回

アニメ『さんかく窓の外側は夜』先生役・平田広明さんインタビュー|原作を何度も読み返すほど深い作品。先生は“正解”がない難しい役どころ!?【連載07】

自分たちで正解を作っていく作品でありキャラクター

——収録のエピソードや印象に残っているディレクションなどがあれば教えてください。

平田:特にディレクションと意見が合わなかったこともありませんが、先ほどもお話した先生の居住まいの塩梅に関しては、いろいろとディスカッションしました。

ただ、終盤で先生の心がぐちゃぐちゃになるシーンというか、ドロドロになるシーンはとても難しかったです。「これで不気味な感じが出るのかな?」と思いましたし、原作を見てもそこまで極端に怖いシーンでもなかったので、一体何が正解なのかわかりませんでした。

どちらかというと、正解を探すんじゃなくて正解を作っていく、ここで作らなくちゃいけないキャラクターなのかなと思ったことが何回かありました。

——“正解を作っていく”キャラクターですか。

平田:はい。いわゆる、ホラー系の作品でよくあるお約束のお化け登場シーンとかあるじゃないですか。でも、この作品にはそのお約束がない。変化球ともいえる表現方法がたくさん出てくるんです。

演じていて腑に落ちるか腑に落ちないか、スッキリ収まって気持ち良いか気持ち悪いかと感じるのは、もともとの正解があり、その正解に照らし合わせる事によって得る感覚であって、正解がないこの作品では“わからない場面”が結構多かった。

我々で正解を作っていかなくてはという気持ちがありました。まず、落とすべき腑を作ると言うか…。

——なんだか「深い」という言葉だけでは表現できないほどの深いお話です……。ちなみに、収録はお一人だったのでしょうか?

平田:基本はメインのキャストさんと一緒に収録しました。全体的な収録の雰囲気というのは把握しかねますが、信長(島﨑さん)や羽多野くんがロビーにいて「これ全然分からないよ!」と自分が弱音を吐いたり愚痴を言ったりしていると「そうですよね」と彼らも難しさを感じていたので、一緒に悩みながら収録に挑んでいた感じはありました。

でも、みんな澄ました顔して自分の出番を待っているんですよ? もしかしたら俺に気をつかってくれたのかな。

——でも、羽多野さんにインタビューさせていただいたとき、とても難しかったとおっしゃっていました。

平田:やっぱりそうですよね!良かったぁ! メインの2人もそうですが、結構難しいと思います。

本当に近年稀にみる演じるのが難しい作品です。あくまで自分の意見ですが、キャラクターの中で1番難しくないのは用心棒の逆木一臣(CV:諏訪部順一)ぐらいじゃないかな。キャラクターが一貫していますし、英莉可ちゃんを守るという立ち位置がしっかりしていますから。

ただ、英莉可の影響で視え始めてから少し様子がおかしくなるんですよね。「逆木、やっと俺たちの苦労がわかったか」と思いました。

一同:(笑)。

——やっとこちら側(視える側)に来ましたからね。本当に、ベテランの平田さんから「難しい」という言葉が出るほど深い作品だなと思いますし、貴重なお話が聞けてありがたいです。

平田:いつも鼻歌交じりで演じているわけじゃないですよ!?

一同:(笑)。

平田:キャラクターとしてもシーンとしても理解できていても、どう演じればいいのかわからず悩むことはもちろんありますし、サラッと演じられる作品のほうが少ないです。

にしても、この『さんかく窓の外側は夜』はすぐには理解できない深い作品でした。だからこそ、毎週のオンエアがすごく楽しみです。

家族のシーンは胸にくるものがある

——平田さん自身が心に響いたシーンや印象に残っているシーンはありますか?

平田:家族絡みのシーンです。奥さん役の本田貴子さんもとっても明るいお芝居をしてくださって、2人の馴れ初めのシーンは僕のほうが少しわざとらしい若作りになってしまったかもしれないと思いました。

——いえいえ! アンニュイな雰囲気が伝わるようで素敵でした。

平田:そう感じていただけたなら嬉しいです。彼が人並みの幸せを感じることができたのは彼女のおかげで、そのまま当たり前の幸せをずっと感じるはずだったのに……という一連の話はすごく好きですね。

やっぱり家族の話は胸にくるものがあります。また、奥さんであり三角のお母さんがとっても健気で素敵な人。あんなに良い奥さんをもらったのに……だから悪いのは信長です!

一同:(笑)。

平田:能力を受け継いじゃったから、あいつが悪い。

——そんな島﨑さんですが、お母さん役の本田さんとお芝居しているときは、まるで子犬のようだったと羽多野さんがおっしゃっていました。

平田:僕自身、海外映画作品でもよくご一緒させていただいていますが、本田さんはとてもナチュラルなお芝居をされる方です。

ちゃんとお芝居をしているけど、「お芝居をしている!」という感じにはしないので、すごくナチュラルで引き込まれるんです。だから、信長も子犬になっちゃったのかもしれません。

本田さんのような上質なお芝居をされる方と一緒になると何が良いかというと、自分が上手くなれたような気になるんです。

——良い影響を受けられるのですね。

平田:はい。過去のシーンでも若く見せることができたのは、実は本田さんのおかげでもあります。2人の良い雰囲気が上手く成立できたのは、彼女が上手く引き出してくれたからだと思います。信長が子犬になったのなら、僕は何になったのかな?

一同:(笑)。

平田:でも、それで信長が可愛らしい子犬のようなお芝居ができたのなら素敵ですよね。羽多野くんだけに見えて、他の方にはそう見えなかったらダメですけど。

——厳しい……!

平田:あはははは。

(C)ヤマシタトモコ/リブレ・さんかく窓プロジェクト
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