声優・アーティスト・寺島惇太さん3rdミニアルバム「Soul to」インタビュー｜表現の幅を広げるためにさまざまなタイプの楽曲に挑戦！　立ち止まって考え、勉強したことで生まれた楽曲も

立ち止まって考え、勉強したことで生まれた「tie」

――4曲目は「tie」。寺島さんご自身が作詞作曲をされていますが、どういった思いが込められているのでしょうか？

寺島：これは今年のバースデーイベント用に作った曲で、もともとは1ハーフサイズだったものを、アルバム用にフルサイズで完成させました。

これまでのアルバムに収録されている、バラードっぽい「actor(s)」、カントリー調の「JOY」とまた違ったテイストの曲になっており、プロデューサーの赤堀さん曰く、ビートルズ感を意識したそうで、ゆったりとしたロックになっています。

コロナ禍で考える時間が増えたからこそ生まれた曲でもありますね。僕は、20代半ばくらいまで能天気に生きていましたし、声優のお仕事が増えてきてからは、がむしゃらにやるので精一杯で、ちゃんと立ち止まって人生設計などを考える機会が全然なかったんです。

でも、コロナ禍になり時間ができたことで、これまで考えなかったことや、興味がなかったことも勉強するようになりました。外国の情勢を知ることで、海外作品の吹替をするときに登場人物の心情がより分かるようになったりと、役者をやるうえで、興味のないことにもちゃんと目を向けなきゃいけないことを実感しましたね。

そうやって勉強していく中で、世の中に対して思ったことや、こうすればいいんじゃないか、と感じたことを綴った歌詞になっています。

――確かに、これまでの楽曲も含め、寺島さんが作詞作曲された楽曲はファンタジーではなく、等身大な思いを歌っているように感じます。

寺島：もし、アルバムの全ての楽曲を自分が作詞作曲するのであれば、ファンタジーな曲も作るとは思います。

ただ、僕が作詞作曲をする以上、お客さんは僕のパーソナルな部分が垣間見えるのを期待していると思うんです。なので、最近自分が思っていることを聴かせてあげるのが役割なのかな、と。

逆に他の方が作詞された楽曲は、役をもらっているような感覚ですね。自分に落とし込んで歌う、というよりも、曲のキャラクターがいて、そこに自分を近づけていく、といった感覚で歌っています。

――そのお話でいくと、5曲目の「Thank you for…」は、どういった“役”と言えるのでしょうか？

寺島：この曲は少し特殊ですね。作詞をされた山中（真一）さんは、僕のことをよく知っているので、他人が思う“寺島惇太像”を僕が歌う、という面白い曲になっています。

例えば、「また太ったけど そろそろ走ったりしてみようかと」はすごく僕っぽいなと思います。逆に「よく眠れるように 枕替えたり コーヒーやめたり」は違います（笑）。僕は寝る前でも平気でエナジードリンクとか飲んで、後で「あ、眠れないじゃん」と気づくタイプなので（笑）。周りから自分ってこう見えているのか、という発見がたくさんありましたね。

――お気に入りの歌詞はありますか？

寺島：「土曜の天気も ニュースも多少は気になるけど　不確かなものに やたら振り回されたりしないように」ですね。山中さんに言っていないはずなのに、まさに最近考えていたことだったので驚きました。

結局その状況になってみたら、案外なんとかなるのが人間だと思うんです。自分も、あまりやったことのない役柄に不安を覚えても、いざ録ってみたら、予想外の評価を受けたことがあったので。勝手に未来を予測して、振り回されないようにしようと思いました。

――アルバムの最後を飾るのは「Lightning」。

寺島：これは、比較的早い段階で完成形ができあがった曲でした。赤堀さんと話していく中で、「しっとり終わるより、希望に向かっていく終わりがいい」という話が出たので、なんとなくライブのエンディングも見える雰囲気になっています。

このアルバムでは全体的に今までにない楽曲を増やしたので、「路線を変えるのかな？」と不安に思う方もいらっしゃると思うんです。そういった方が安心できるように、原点回帰のような、これまでのアルバムに近い雰囲気の楽曲で締めることにしました。

作詞は、僕が出演したアニメ『みだらな青ちゃんは勉強ができない』の主題歌「WONDERFUL WONDER」を手がけたエドガー・サリヴァンのボーカル・佐々木萌（Moe Sasaki）さんが担当されています。言葉選びが新鮮で面白かったですね。