劇場OVAアニメ『怪盗クイーンはサーカスがお好き』大和悠河さん×加藤和樹さん×内田雄馬さんインタビュー｜クイーン、ジョーカー、RDの関係性から感じられる“尊さ”、1つの文や挿絵から一気に世界が広がる『怪盗クイーン』の魅力を語る！

「2人の頼もしさが心強かった」

――皆さんの雰囲気が作中の3人とそのままのようで……すごく癒されます。

大和：実は、この3人で会うのはまだ2回目なんですけど、なんか面白い空気になっています（笑）

内田：すごくほのぼのしていますよね。居心地の良さがすごくいいです（笑）

加藤：うんうん。チーム感がすごくありますよね。

大和：物語の3人とすごくリンクする部分はあると思います。今回、収録したときに、2人の頼もしさが感じられてすごく心強かったです。

それは、物語上のクイーンもジョーカーとRDに絶大なる信頼を寄せていて、“どこかで気づいてやってくれるだろう””絶対勝てるだろう”という確固たる信頼があるからこそ、普段はおちゃらけたり甘えたりといろいろなことができるんじゃないかなと。目に見えない絆を感じました。

内田：それはきっと人を見ていて、逆に僕たちを信頼してくれているクイーンだからこそだと思います。器の大きさがないとできないことですし、クイーンの大きさと同じくらい大和さんの器の大きさもあるんじゃないかなと。あのクイーンの最初の一言で、世界の空気感が見えました。

加藤：そうそう。あの一言でこの世界が始まった感じがありました。

内田：僕らは声だけでお芝居をしているので、やっぱり最初の一声はすごく大事なんです。その一声をどうすればいいのか、すごく悩みますし……。

大和：そうなの！ すごくドキドキした！

加藤：しかも、大和さんは今回が声優初挑戦ですから。

大和：作品の方向性が決まってしまう重要な第一声なので、本当に収録前日は胃が痛くなるほどでした。「大丈夫かな……どうしよう……」って（笑）

加藤：そうなんですか？ すごく堂々とされていましたよ。

内田：本当に！ 堂々としたお芝居をされていてびっくりしました。

大和：いやいやいや！　お二人がビシッとされている姿を見て緊張感が一気にほぐれたおかげです。本当にすごく頼もしかったです。

――それだけ最初から信頼関係があったのでしょうね。

内田：あと、大和さんと和樹さんの掛け合いがすごく楽しそうでした。

加藤：正直、すごく楽しかった。

一同：（笑）

大和：うんうん！すごく楽しかった！

加藤：やっぱり、こうやって掛け合いでお芝居ができるのは良いなって。

大和：確かに。

内田：本当にそうですよね。

加藤：このご時世ということもあって、僕自身一緒に収録することがなかったので、舞台以外で人と掛け合いでお芝居をする楽しさというのを強く感じました。だからこそ、この関係性というものも出来上がったんじゃないかなと思います。別々で録っていたら、絶対今のこの雰囲気になっていなかったですよね。

大和：なっていなかったと思う！

内田：全然違った雰囲気になっていたと思います。

――生の掛け合いでしか生まれないものは、やっぱりあるのでしょうね。

大和：かなりあると思います。相手の感情や呼吸を感じてこっちも返すので、やっぱり別々で録っていたら絶対にできなかった空気感があります。

――その空気感をあの大きいスクリーンで感じられるのですね……！ ちなみに、収録現場ではお互いにお芝居について話したり、意見を出し合ったりしたのでしょうか？

大和：収録がいきなり始まったので……

加藤：「じゃあやりましょうか」と割とすぐに始まりましたよね。

内田：そうですね(笑)音響監督さんも手際が良い方で割とスピーディーに収録は進みました。

加藤：テストをして、ちょっとだけ細かいところを調整して本番という流れでした。

大和：そうそう。だから、「えっもう次！？」という感じで進みました（笑）

一同：（笑）

プロデューサー：実は、最初は様子を見ようとしていましたが、お芝居を見てすぐに「あっ、合ってる。OK！」となりました。

大和：そうだったんですね！ 私は最初、声のトーンをご相談しようと思っていましたが、とりあえずテストで声を出してみたらそのまま本番になり、その場に身を任せていました。

内田：キャラクターの声を固定させるまでに何回もテイクを重ねるパターンもあるので、そういうキャラクターの印象にハマるというのは結構“出会い”や“縁”を感じることですし、今回の『怪盗クイーン』は(キャラクターと演者の)生活感や雰囲気がマッチしていて良かったんだと思います。

大和：なるほど……うまく噛み合ったということですね！

内田：はい。RDを真似て分析してみました（笑）

一同：（笑）

内田：キャラクターの生活感と演者の生活感はやっぱり基本的に違うので、それをどこまで寄せられるかがあると思うんです。今回、大和さんと和樹さんの掛け合いを聞いて、呼吸感からキャラクター像がすぐに見えてきました。良い呼吸感、良い相性を感じ取ったので、やっぱりキャスティングがピッタリだったんだと思います。

加藤：クイーンがバシッと1回で決めてくれると、そこにどうアプローチしていけばいいのかが自然と見えてくるので、“じゃあこのぐらいのテンション感で良いのかな”と演じやすかったです。ジョーカー自体がそんなに感情を表に出すことはありませんが、クイーンとの関係性が1番強い人物ですし、そこで感じられる彼の柔らかさというものは大和さんのクイーンに対して出てきたものだと思います。

（嬉しさで言葉が出ない大和さん）

加藤・内田：あはははは（笑）

大和：最初、ジョーカーの第一声を聞いたときに「あ、ジョーカーだ」と思ったんです。その声を聞いただけで『怪盗クイーン』の世界に入ったような安心感がありました。

あと、ジョーカーは感情をあまり出さない役柄ということもあって、棒読みでもなく感情をそこまで出すわけでもない、その中間ぐらいの感じが絶妙に伝わってきて。棒読みに近いけれど何か違うニュアンスがわかりやすく胸にきて、「ジョーカーがここにいる」と思いました。

内田：ジョーカーは声の表面にのせない温度感がすごく良いですよね。だからこそ、掛け合いするときに「ジョーカーをいじりたい～！」と思うほど胸がくすぐられるんです（笑）

加藤：そうなんだ（笑）

大和：くすぐられるんだよ～！ 息遣いとかでも「あっ今怒ってる」とすごくわかる（笑）

内田：そうなんです！それがすごく良いんですよね……！

加藤：あはははは（笑）

大和：そして、RDもRDで第一声から「AIだ！」と。そう感じたからこそ、掛け合いはすごく心地よかったです。

内田：いいなぁ～、もっといっぱい喋りたい（笑）

加藤：RDはどうしても機械的に演じなきゃいけないから、もっとたくさん喋りたいよね。

内田：そうなんです。個人的には、すごく首を突っ込みたくなります（笑）　でも、そこをグッと我慢して演じました。本当に“受け取る”というコミュニケーションをすごく大事にしている座組というか、そういう作りになっているんだなと。掛け合いが楽しい現場ほど素敵なことはないなって思えました。

――いやぁ……もう“尊い”です……。

大和：“尊い”かぁ～！すごく良い言葉～！

加藤：本当に“尊い”です。