声優・アーティストの上坂すみれさんが振り返る最新ライブ「SUMIRE UESAKA LIVE 2023 TALES OF SUMIPE 運命の書／同人の書」で開いた新たな“物語”＝TALE／WOWOWオンエア記念インタビュー

急遽セットリストを変更

——「SUMIRE UESAKA LIVE 2023 TALES OF SUMIPE 運命の書／同人の書」のコンセプトをお聞かせください。

上坂：実はライブの準備をしている最中に声出し解禁が決まったので、当初予定していたセットリストから大幅に改変して、声出しライブをイメージした曲構成になっています。「久しぶりの声出しライブを全力で頑張ろう！」っていうのが一番のコンセプトだったかもしれません。1日目は新曲を多めにして、2日目には定番の曲を多めにしています。

——ライブに向けて話し合いはどのように進んでいたのですか？

上坂：当初からは曲構成がだいぶ変わっています。ライブなのでアップテンポな曲を中心にしていますが、さらに「よっぱらっぴ☆」や「踊れ!きゅーきょく哲学」などの定番曲を声出しでやりたいという思いがあったので、結果的には盛り上がる曲がどのブロックにも入るような形になりました。

——上坂さんとしても、盛り上がるようなセットリストにしたいと。

上坂：そうですね。お便りなどで「声出しライブに初めて行きます」という声が届いていたんです。学生さんや「最近知りました」という方もいます。そういう方にも「きっと声出ししたら楽しいよ！」と伝えたかったので、コールの定番曲を多めにして「楽しかった、また来たいな」と思ってもらえるようにしたかったんです。4年分、我慢していたものを発散できるようなライブにできたらなと。4年ぶり……長かったですよね。

——MCでの「同志は実在したんだ！」という言葉に、その感慨が込められていましたよね。

上坂：これまでも拍手などで盛り上がってくださっていましたし、存在を感じていないわけではないのですが、お互いに遠慮しているような感覚がありました。今回は同志が思い思いに楽しんでいる姿を見て、見覚えのある景色というか……以前の光景が戻りつつあるのを感じて「みんなちゃんといたんだ、いなくなってなくて良かったな」という気持ちでした。

皆さんのうれしそうな表情を見ることができたのが今回一番良かったところだと思います。マスクを着用しての声出しではありましたが、皆さん生き生きしているというか。振り付けを一緒にやってくれたり、ペンライトを振ってくれたり、みんな自分の楽しみ方をしてくれていて。みんなも自分の個性を取り戻している。前方にいた方は、細かい表情だけではなく、何のTシャツを着ているのかも分かって。くっきりと、楽しんでいる様子を見ることができました。

——MCで年齢をチェックされていましたが、年齢層も幅広かったですね。

上坂：女子もかなり来てくださいましたし、10代から60代以上までいろいろな人が、同じ曲でノッてるというのがとても良いなって。

——性別も年齢も国も関係なく盛り上がっていて、音楽のすばらしさを感じました。

上坂：そうですね。私は自分のことを生粋のアーティストと思うことはあまりないんですが……とにかくアニソン文化がすごく好きなんです。その文化にいろいろな人が参加しているのが面白くて、すごく良いことだなって思いました。

倒せ！倒せ！右坂！倒せ！倒せ！左坂！

——ライブタイトルは上坂さんご考案ですよね？

上坂：そうですね、毎回私がタイトルを決めています。

——放送される「同人の書」では、タイトルに合わせてステージもコンセプチュアルな雰囲気になっていました。

上坂：本棚風のセットにしていただき、ライブパンフレットもタイトルに合わせた仕様にしてもらいました。世界観は何となくありますが、中身はわりとおなじみの曲たちが多いですね。

——10周年の軌跡をたどるようなセットリストでありながらも、声出しライブとあってこれまでの曲に新たな輝きが加わった印象を受けました。

上坂：そうですね。「ウエサカダイナミック」（2020年1月発売のアルバム『NEO PROPAGANDA』収録）や「EASY LOVE」（2021年4月発売のシングル）を発表した当時は、声出しがない状態でのリリースだったので“満を持して”という感じでした。

——「ウエサカダイナミック」の「倒せ！倒せ！右坂！倒せ！倒せ！左坂！」のコールも盛り上がっていましたね（笑）。

上坂：あれはコールしたい曲だったので、うれしかったですね。みんな予習してきてくれたんだなと。