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『僕ヤバ』第2期:佐藤 元×豊崎愛生インタビュー【連載第6回】

『僕の心のヤバイやつ』第2期 連載インタビュー第6回:神崎健太役・佐藤 元さん×原穂乃香役・豊崎愛生さん|作品全体の陽だまりのような優しい雰囲気が途切れないように、みんなで紡いでいけたら良いなって

羊宮さんの演じる山田がお芝居のヒントに

――佐藤さんが模索されていく中で、ヒントとなったものが何かあったんでしょうか?

佐藤:羊宮さんのお芝居にものすごくヒントを得ました。第2期で山田がどんどんと素直に、積極的になっていくのが印象的だったんです。あのまっすぐさを取り入れたら「もしかしたらできるかも」と思ったところがあって。第2期も19話に至るまで何度か出演させていただきましたが、羊宮(妃那)さんと同じ回になった時に、実はものすごく研究していました。

――羊宮さん自身のお芝居を?

佐藤:そうです。山田は京太郎にまっすぐに向かうんですよね。恋愛としての方向性が実は神崎と似ているように感じたんです。羊宮さんに伝えたことはないので、本人が知ったら「えっ」と思われるかもしれませんが(苦笑)。

――羊宮さんもお芝居にとてもまっすぐな方なので「逆にどう思われました?」と興味津々にお話をうかがいそうなイメージです。でも羊宮さんも、特に14話はものすごく悩まれながらお芝居をされたという話をされていて。

佐藤:そう思います。本当に大変なお芝居だろうなって。でも、ものすごく良いお芝居をされるんですよね。羊宮さんにしか出せない山田。

豊崎:うんうん。あのピュアな雰囲気って、羊宮ちゃんにしか出せない山田ちゃんですよね。毎週「かわいい〜!」って思っています。

佐藤:それこそ19話では、最後のグループで堀江さんや豊崎さんたちと一緒にアフレコ現場で収録をしていたのですが……その前が(市川と山田の収録で)。イマジナリー京太郎の(福山)潤さんがブースの前にいたから「今、中ってどんな感じですか?」って聞いたら「すごいよ。今ね、入りづらい」って、良い声で(笑)。

一同:(笑)

豊崎:山田ちゃんと京太郎くんのふたりのシーンは「絶対邪魔したくない!」って気持ちになるんです。みんな忍者の気持ちで見守っています。

遠藤プロデューサー:少し補足させていただくと、19話はラストシーンを先に録っていたんです。ふたりのとんでもなくエモいシーンのあとに、佐藤さんたちに入っていただいていました。

佐藤:そうなんです。だからもうアフレコブースに入った瞬間独特の空気感があって。

豊崎:普通、キスシーンとかってドキドキするじゃないですか。もうそれよりもキュンキュンしちゃうんです。息が止まるほどに。手をつなぐことすら、なかなか進めずで。ゆっくり近づくふたりの、絶妙な空気感。アフレコでもふたりのお芝居を見ていると「ふたりに触れないで!」って気持ちになるんですよ。あの雰囲気、本当にすごいよね?

佐藤:そう思います。あれは堀江さんと羊宮さんにしか出せないものですよね。

――連載第4回で朝井彩加さん、潘めぐみさん、種﨑敦美さんにお話をうかがったのですが、やはり同様なことをおっしゃっていて。

佐藤:もうね、周りの人間はただただ見守りたくなるというか……触れられもしないんですよね。

豊崎:あの空気感を壊したくないからこそ、もうみんな息を止めていて。テストが終わった瞬間に、みんな「ふぅ〜!」と一気に息を吐く感じ。特に、岡本(信彦)くんと、佐藤くん、福島さんたちのにぎやかし系男子たちが、ふたりのお芝居が終わったあとに……。

佐藤:「俺らは、ここにいていいのかな……?」と(笑)。

豊崎:もうね、大人キャストたちが照れ隠しのような空気になって、いろいろと話していて面白いですよ。当のおふたりは真面目だから、次のお芝居に向けて準備していて。

ふたりのシーンではふたりの、クラスの中だとクラスの中の京太郎くん、萌子ちゃんたちと一緒にいる山田、それぞれに独特の空気感が流れていて。それをふたりだけじゃなく、キャストそれぞれが表現しているのも印象的です。

さきほどディレクションの話題がありましたが、赤城監督や音響監督の小沼さんたちのディレクションって本当に繊細なんです。特に主人公ふたりに対するディレクションはものすごくデリケートで、点のところを目指していらっしゃるんだな、という印象がありました。それは役者としては、難しくはあるけれど、とてもやりがいがあることだと思います。他の方に対するディレクションを聞いた時は「私だったらどうするかな」と想像していました。その一方で、作品全体の繊細な、陽だまりのような優しい雰囲気は途切れないように、みんなで紡いでいけたら良いなって思っていましたね。

――陽だまりのような優しい雰囲気ってとても素敵な言葉ですね。ところで豊崎さんは、桜井先生原作のアニメ『みつどもえ』にもご出演されていて。

豊崎:そうなんです。桜井先生たちの描くキャラクターたちって、本当に生き生きとしていて、リアリティがあって大好きなんです。もしかして先生もその場にいたのでは?と思うくらい。『みつどもえ』の時も同じように思っていたんです。「なんでこんなに小学生のことが分かるの?」って。

『みつどもえ』は小学生のにぎやかなコメディで、小学生的な下ネタもふんだんに散りばめられたものすごく楽しい作品で。今回はラブコメというまた違ったジャンルですけど、キャラクターのリアリティ度、解像度の高さにさらに磨きがかかっていて、本当にすごい!って思いました。

――『僕ヤバ』のこともご存知だったのでしょうか?

豊崎:もちろん作品のことは存じ上げていました。実はオーディションをいただいたのは山田だったんです。「こんなに可愛いヒロインは私には……力が及ばない!」と思いながら、自分なりに楽しく受けさせてもらっていました。「ご縁がありませんでした」と聞いた時も、作品は好きだからこれからも楽しみにして読んでいこ〜って思っていて。そしたら「原さんで」というお話をいただいて「むしろやりたかった!」って。

職業病なんですけども、お世話になった先生の作品や好きな作品を読む時って「私だったらこうやって声出すかも」「これは◯◯さんが良いな」って想像してしまうんですよね。何様だよ、って感じですけども、勝手に脳内で再生されて、キャスティングしてしまうんです。そうやって読んでいく中で、私は原さんがすごく好きで。毎話数出てくるわけじゃないけれど、ものすごく可愛くて、好感度の高い子で、まさか自分が演じられるとは思っていませんでした。

4人の良さも、それぞれの成長も詰まったお話

――改めて、19話のダブルデートを振り返ってみると、どのような印象がありますか?

佐藤:コメディチックなところはありましたけど「よっ、京太郎!」「キターー!」って脳内では思っていました。内心、ものすごくテンションが上がっていましたね。まあ最後は原さんに引っ張られていきましたけども……(笑)。

原&山田が誤解してちょっと嫉妬した声を出すところも良かったし、神崎はこわれてしまうし……。実はテストの時、「少しやりすぎてしまったかな?」とも思っていたんです。でもOKをいただけて。Aパート終わるときに「殺すというワードはどこで止めましょうか? そのまま続けますか?」って聞いたら「神崎の“殺す”で終わらせるので大丈夫です」と。「マジか!」と。

そういうドタバタもありつつも、「山田は俺のだ」と言ってからの京太郎の心境の変化にも注目してほしいです。変わりたいと思う原さんに対して「原さんはありのままで可愛い」という神崎。それに対して市川が「それは単なる押し付けだろ」「変わりたいって気持ちを否定するべきじゃない」って言えることも成長したなって思いますし、そのあとにプレゼントをする神崎、それを受け入れた上で「今日は食べちゃおう」って原さんの微笑ましさ……。4人の良さも、それぞれの成長も詰まったお話になったのかなって思っています。ここからの山田と京太郎の心の開き具合も楽しんでもらいたいですね。

――豊崎さんは19話を振り返ってみると、どのような印象がありますか?

豊崎:京太郎くんとふたりで話すシーンがここまで長かったのは初めてだったんです。だからホワイトデーの買い物のやりとりを含めて楽しかったですね。

買い物中に京太郎くんが「あーなんか否定ばっかり言っててごめん」って言うときに、原さんの思う京太郎くんの良さがそこにすごく出ているように感じていました。それは多分、原さんとどこかしら似ている部分があるからだと思います。でも「私たちちょっと似てるね」って言うと、引かれるんですけど(笑)。あの桜井先生のギャグ感がめちゃくちゃ面白くて笑ってしまいます。原さんってあんまりギャグキャラじゃないですか。それなのに「うわ、こわ」って。あの場面は特に好きです。

でも実際、心に抱えているものがあるという意味では、少し似ているところはあって。ラブではないけど、ひとりのよき理解者でもある、というところを視聴者の皆さんに届けられたらって思っていました。「実はみんな京太郎が好きで、愛されているんだよ」ってお話だとも思うんです。神崎もそうですし、もちろん山田にもな!っていう19話。それを際立てられたらなって思いで演じていました。

――この先の展開もものすごく楽しみです。

佐藤:早く25話、見てぇ……!って思っています(笑)。僕は漫画の『僕ヤバ』もずっと追っていて「何このふたり、ずっと見たい!」って思っています。

豊崎:うんうん! それと私は山田のお父さんがものすごく好きなんですよ。(アニメ放送前のため)第2期での登場が今から楽しみです。

――この連載インタビューは、皆さんの“心のヤバイ部分”をうかがっているのですが、おふたりはどうでしょう……?

佐藤:僕は本当にお芝居、演技が好きで。24時間、芝居のことしか考えていない状態なんです。事務所から「休みの日は芝居のことを考えるな」と本気で言われるくらいで。養成所時代は睡眠時間が2〜3時間という状態でした。

――ショートスリーパーというわけではなく?

佐藤:全然。本来はしっかり寝ないと動けないタイプなんです。それを続けていたら、ある日夢の中でボイスレッスンしていました(笑)。

レッスン以外の時間はひたすら練習、研究に費やしていたんです。ありとあらゆる事務所のボイスサンプルを文字起こしして「今なんでブレス取ったんだろう?」とか、気になるところをひたすらメモして。そしたら16万字超えてて……。

――卒論何本分なのか……。

佐藤:あ、そうそう。卒論の基準が25000字だったんですよね。だから「卒論の文字数ってたいしたことねぇな」って思ったくらいで(笑)。それくらい、芝居をすることが大好きで、今ではありがたいことにお仕事として、芝居をさせてもらっていて。何よりも好きなのが、マイク前の緊張感なんですよね。どうなるのか、何が試せるのか……内心では、狂気じみて笑ってるくらい楽しみにしているんです。

だからこそ、神崎がうまく理解できなかった時はめちゃくちゃ悔しかったんですが「まだ俺、伸びしろあるじゃん! これができたら次はなにやる?」って鼓舞することもできて。

豊崎:素晴らしい。天職だ。

佐藤:芝居が好きすぎることが自分のヤバイところですね。他の事務所の友人からも「芝居サイボーグ」「こいつから芝居を取ったらまじでやばい」といわれるくらい(苦笑)。

豊崎:それはヤバイやつだ……! 

――認定された! 豊崎さんはどうですか?

豊崎:いやあ、そんな素晴らしい話のあとにあれなんですけども……私は普段、あまり怒らないんですよ。役者としてはどうなんだって感じなんですけど、基本的には3分反省したら忘れるくらいのマインドで生きていて。でも人間なので、時にはあるんですよ。理不尽なことに「くっそー! なんだと!」って思うことも。

そういう時に何を考えているかというと、地球のことを思っているんです。

一同:(笑)

豊崎:ある時に気づいて。「腹立つ〜!」ってなった時、自分を俯瞰で見て、そのままぐーっと地球を見て……。

佐藤:地球規模!?

豊崎:Googleで地球のことを調べると地球の写真が出てくるじゃないですか。それを見ていると、すーっと心が落ち着きます。「地球規模で考えたら私の悩みなんて、蟻のコンタクトレンズくらいだ!」って。しかも同じ人間という種族同士。『スター・ウォーズ』を考えたら、もっと別の種族が宇宙にはいるかもしれない。そう考えると「どうでも良いや、ご飯食べよう」って。だからみんなも、嫌なことがあったらみんな地球を調べると良いですよ(笑)。でもこの話を友だちにしたら「ヤバイ!」って言われました。

――多岐に渡るお話をありがとうございました!!

[インタビュー&文・逆井マリ]

作品情報

僕の心のヤバイやつ 第2期

あらすじ

重度の中二病で陰キャの市川京太郎と、クラスで人気者の山田杏奈。

美少女らしからぬ行動を繰り出す山田に、市川は目を離せずにいた。

そんな市川の恋心を知ってか知らずか、山田は天真爛漫に近づいて来る!!

全く違う世界にいたはずの2人。しかしその距離は、徐々に近づいていき……。

キャスト

市川京太郎:堀江瞬
山田杏奈:羊宮妃那
小林ちひろ:朝井彩加
関根萌子:潘めぐみ
吉田芹那:種﨑敦美
足立翔:岡本信彦
神崎健太:佐藤元
太田力:福島潤
原穂乃香:豊崎愛生
市川香菜:田村ゆかり
南条ハルヤ:島﨑信長
イマジナリー京太郎:福山潤
安堂カンナ:井口裕香
半沢ユリネ:上田麗奈
山田父:細谷佳正

(C)桜井のりお(秋田書店)/僕ヤバ製作委員会

 

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