作家・宮田俊哉が苦しみながらも物語を作り続ける理由。血肉を分け与えたキャラクターたちがロンドンを舞台に挑戦する。ライトノベル『境界のメロディ２』発売記念インタビュー

Kis-My-Ft2のメンバーとして活躍する宮田俊哉さんが描き出す、音楽×青春ストーリー最新刊『境界のメロディ２』が2025年11月25日（火）に発売！　ロックの聖地・ロンドンを舞台に、前作に登場した3ピースバンド・サムライアーの挑戦を、宮田さんが瑞々しい筆致で綴ります。

そんな本作を執筆するにあたり、なんと2泊4日の弾丸日程でロンドンを訪れたという宮田さん。そこで得た経験がなければ「この作品は生まれなかった」という物語の内容、さらに登場人物に込めた想いや、特装版に付くドラマCDについてまで、広く深く語ってくれました！

前作が高い評価を得たことで、大きなプレッシャーの中で始まった第2巻の執筆

――『境界のメロディ』第1巻は大きな反響があったと思います。読者の方はもちろん、宮田さんのファンの方、お仕事で近くにいる方など、どういったリアクションがありましたか。

宮田俊哉さん（以下、宮田）：SNSで、学生の方が読書感想文に『境界のメロディ』を選んでくれたという投稿を見たり、共演した子どもたちも読んでいてくれたりと、自分が想像していた以上に、多くの方に読んでいただけているんだなと感じました。

他にも同業の方にも「読んだよ」と言ってもらえたりしましたね。僕がよく行くアクセサリーショップの方も「境界のメロディ読んで泣いたよ！」って言ってくれたり（笑）。最近行ったら第2巻も予約してくれたみたいです。ドラマCDに出演してくれた伊東健人くんとは佐久間（大介）を含めて今も仲良くしてもらっているので、チームとしてもいい雰囲気なんじゃないかなと思います。
　

――第1巻が「次にくるライトノベル大賞2024」で四冠という偉業を達成し、続編を書くのはかなりプレッシャーがあったのではないでしょうか。

宮田：めっちゃありましたよ！（笑）　“もう、どうしよう！”みたいな……。第2巻を書いているときは、担当の編集さんに「これっておもしろいですか？」と何度も聞いて（笑）。「大丈夫です、自信を持ってください。おもしろいです」と言ってくれるのですが、“本当におもしろいんですか!?”と懐疑的になっちゃう瞬間が何度もありました。第1巻は、「0」から「1」を生み出す苦しみがあったのですが、第2巻は「1」を膨らませていく作業で、また違った苦しさがあったというか。

アイドルとして仕事をするうえで自分の中で決めているのは、アイドルの活動をおろそかにする場面が一瞬でもあったら（それ以外のことは）全部やめる、そこをちゃんとできないんだったら別のことをする資格はないと思っているんです。だから、執筆と両立することの苦しさはありました。でも、そうやって苦しまないと、きっと自分は物語を描けないなとも思っていますし、逆に執筆業1本だと難しいと思います。

――ちなみに今回の執筆で一番大変だったのは？

宮田：改稿作業ですね。「こっちの展開を後に持ってきたらどうか？」「いや、前に持ってきた方がいいんじゃないか」といった感じで、物語のすべての設計図をバラバラにして組み替えたりするんですが、これが大変で……（編集のほうを見ながら）ねー！（笑）　その修正で心が折れて、「いやー、どうしよう！　ああ〜……もう飲みに行こう！　明日からがんばろう！」ということもありました（笑）。

あとはスケジュール的にも大変でしたね。作業がひと段落つくまで休みという休みがなくて、最後に丸一日休んだのが正月休みくらいな感じで、向き合っていたので。でも……今思い返したらそういうのも楽しかったですね。

――第2巻の構想自体は、いつ頃から温めていたのでしょうか。

宮田：第1巻が発売されたとき、この後のサムライアーがどうなるか、自分の中では決めていたんです。「そこを（続編として）書いてみませんか」というお話をいただいたので、「がんばります！」と。

サムライアーを軸にしたいと思ったのは、第1巻を書いた中で一番かっこいいバンドだったからです。サムライアーが旅立った後に何が起きたのか……それを想像するのがすごく楽しかったので、彼らを軸に第2巻を書かせていただきました。