長縄まりあ「自分の宇宙を信じて、自分自身を思いきり愛してほしい」――色とりどりのやさしい想いが芽吹く『microcosmos』誕生【インタビュー】

大切なメッセージに加えて、好きな食べ物もテーマに？

──では収録された楽曲についてもおうかがいさせてください。まずは1曲目の「sugar box」。ピンクにホワイトイエローにブルーと、たくさんの色が混ざった、まさにコットンキャンディのようなかわいくておしゃれな曲で、さらに〈きっと大丈夫〉という言葉がとてもやさしい曲です。

長縄：すごくおしゃれな曲です。最初に収録した曲でしたので、とても緊張していたのですが……。デモをいただいて初めて聴いたとき、「あ、めっちゃ可愛い……！」と思い、家でもたくさん練習していました。実は当時のデモからプラス2くらいキーを上げています。自分名義の曲なので、「もしかしたら、これ上げてもいいのかな？」と思い、お願いしてみました。上げていただいたおかげでさらに歌いやすくなりました。

──1曲目の収録ということで緊張もあったと思いますが、楽しくレコーディングできましたか？

長縄：楽しかったです。レコーディングのときに「ここをこうしたら、もっと可愛くなるかも」というディレクションを受けて、実際にやってみたら本当に可愛くなって。すごかったです。それとは別に、ラップに近いパートがありますので、そこも頑張りました。

──続く「恋してUFO」もいちご色とかピュアレッドなど、色の表現が多いですよね。そしてこれも渋谷系のニュアンスを感じるような、すごくおしゃれな曲で。

長縄：この曲もおしゃれで。コーラスを複数パターン録りましたが、低めで録るとき、高めで録るとき、それぞれ自分が担当してきたキャラクターが少し頭をよぎりました。

──〈せーの〉〈そわそわ〉など、コーラスがたくさん入っていますよね。それは例えば……？

長縄：たとえば、少し低めにすると『小林さんちのメイドラゴン』のカンナちゃんっぽいな、とか。逆に高めで歌うと、（『わんだふるぷりきゅあ！』の）こむぎが浮かんだりとか。でもキャラクターとして歌っているわけじゃないので、「そういうふうに聞こえたら良くないのかな？」とも思ったのですが……「でもまあ、全部私だからいいか！」と思いました（笑）。

──「stay with you」は〈そのままのキミでいいんだよ〉〈もう少し自分を愛してみよう〉という温かなメッセージをギターのやさしい温度感とともに伝えている曲です。

長縄：〈おはよう〉からはじまる曲なので、私の中では“朝の曲”なんですよね。朝の5時くらいに、葉っぱにしずくがついている冬の空気の中で、コーヒーなどを飲みながら「今日は何しようかな」と思いながら聴いてほしいです。その一方で〈帰り道〉も登場するので、夕方18時くらいの夕日の中でも聴いてほしいですし、夜寝る前にも聴いてほしい！

──24時間いける曲……！

長縄：はい、24時間対応してます（笑）。

──ちなみに長縄さん、朝5時に起きられるんですか？

長縄：起きないです……！　朝5時までゲームをしていることはありますが……（笑）。

──（笑）。「ハニードライブ」はアルバムのなかでもひと際かわいらしい、ドリーミーな曲というか。

長縄：このアルバムの中で私的にはいちばん“甘い”曲です。なんといいますか、ハーモニーからして甘いんですよね。サビもめちゃくちゃ甘くて。「ドライブ」とあるように、私も歌っているときに、赤いオープンカーに乗って、かわいい空の下をドライブしているようなイメージが自然に出てきました。別に「こうやって想像しよう」と思ったわけではなく、勝手に浮かんできました。

──虹色っぽい空というか、綿あめみたいな空というか。

長縄：うんうん、そうです！　おしゃれですよね。〈Twinkle Twinkle Twinkle〉の、最後に下がるところが難しくて、少し苦労しました。ここは元の仮歌から少し変えて、ディレクターさんの「ちょっと一癖入れたい」というご意見もいただいて変えたところなんです。その“癖”がめっちゃ良い意味で効いていて。すごく好きです。

──「Cheese Anthem ～とろけてドリーミン～」はぜひミュージックビデオを作ってほしいなあと思うような楽しい曲ですね。

長縄：この曲はいちばんキャラソンっぽい雰囲気があり、どこか懐かしい感じもある曲です。これを聴いただけで世界旅行に行った気持ちになり、すごく楽しかったです。アルプス山脈も入っていたり、カレーの要素もあったり（笑）。1曲でこんなに色んな地域を巡る感じはなかなかないので、すごく楽しかったです。

──すべてがチーズでつながっていますが、長縄さんのお好きな食べ物だったりするんですか？

長縄：チーズが好きなんです！　先日別の取材をしていて気づいたのですが、チーズが嫌いな人からしたら、ちょっと……な曲になってしまうかなと。

──少なからず私はチーズ大好きです！（笑）　長縄さんからの希望でチーズの曲を？

長縄：アルバム制作の最初に「好きな食べ物ありますか？」と聞いていただいたので、チーズやポテトやお菓子とお伝えしました。

──歌詞にはワインも出てきますが、ワインも？

長縄：お酒はあまりたしなめずなんです（笑）。

──最後の「わたしロマンティック」は、作詞が常楽寺澪さん、作曲が石黒剛さん、常楽寺さんと、冒頭の「sugar box」と同じ布陣による曲で、少し懐かしい空気をまとった曲ですね。

長縄：「わたしロマンティック」は、今私がよく聴いている曲の雰囲気や「こういうのが好きなんです」と事前にお伝えしていました。ちょっと音の感じが90年代っぽいというか、懐かしい感じが好きで、それを汲んで作っていただいたので、曲調がめちゃくちゃ好きです。本当に“大好きな曲”ですね。だから覚えるのもすごく早くて……一瞬で覚えました。

──ちなみに、長縄さんがよく聴いてきた曲というのは……。

長縄：子どものころからずっと聴いてきたといった曲はなくて、いろいろな曲をそのときどきで聴いてきたタイプです。でも家族は特定のアーティストが好きで、好きなアーティストのCDやカセットを寝る前にずーっと流していたんです。その中でも私のお気に入りの曲が、Tommy february6さんの曲で。おしゃれで、世界観がしっかりとあって、良い曲だなあって。家族はライブにも行っていたようです。

──ご家族の皆さんも「わたしロマンティック」の魅力にハマるのではないでしょうか。

長縄：この曲がいちばん好きって言いそうです！

──全体を通しても、宇宙みたいに多彩で、いろいろな色が詰まったアルバムだなと思ったのですが、長縄さんご自身は通して聴いてみて、どんな印象を持ちましたか？

長縄：でも、本当にどの曲も“素敵な曲”と思っています。自分が歌っているのに、第三者みたいな気持ちで聴いてしまうくらい。私の声を聴いて、癒される……とまでは言わなくても、少しでも気持ちが楽になったり、「明日からまた頑張ろう」って思ってもらえたら、本当にうれしいです。

──やさしい応援歌がたくさんありますよね。「sugar box」の歌詞には〈わたし色〉というフレーズがありますけど、長縄さんは“自分らしさ”について、音楽を通して感じたことってありますか？

長縄：やっぱり、私は“マイペースだなって。それと声が高い人”なんだなと思いました（笑）。

まずは自分を大切にしてほしい

──ジャケットもまた、本当に可愛くて……初回限定盤も豪華な仕様ですが、その“ビジュアル面”でお気に入りのポイントはありますか？

長縄：「こんな感じにする予定です」と最初にいただいた資料を見たときに、「なんで私の好きなもの全部知ってるんだろう？」って思うくらい全部可愛かったんです。衣装も、お花の色合いも、全部私の好みです。お洋服は「こんな感じがいいです」と私が希望を出させていただきました。チュールみたいな、ふわっとした感じが好きなんです。ロゴを含めて、全部気に入っていますね。おしゃれだなと思いました。

──最後に、気づけばもう年の瀬というタイミングなので、長縄さんが今後“挑戦してみたいこと”を教えてください。

長縄：今回のアルバムの中では、「わたしロマンティック」という楽曲を“女の子に寄り添う”感じに仕上げていただきました。全体を通して性別も年齢も関係なく、老若男女に向けて、“まずは自分を大切にしてほしい”という意味合いが込められているんですけど……。もし次にまた何かやるとしたら、もっと“女の子の味方”といった曲をやれたら楽しそうだなって思います！

──それもぜひ聴いてみたいです！　今日はありがとうございました！

　
［文・逆井マリ］

CD情報

　
【発売日】2025年12月24日
【価格】
通常：3,300円（税込）
初回限定盤：4,950円（税込）

≪収録楽曲≫
1 sugar box　作詞：常楽寺澪　作曲：石黑剛, 常楽寺澪　編曲：石黑剛
2 恋してUFO　作詞：Blue BomBom　作曲・編曲：星銀乃丈
3 stay with you　作詞：N1K0　作曲：ArmySlick, 小久保祐希, N1K0　編曲：ArmySlick
4 ハニードライブ　作詞：amyam　作曲・編曲：トガシシュウヘイ
5 Cheese Anthem ～とろけてドリーミン～　作詞・作曲：浅利進吾　編曲：確認中
6 わたしロマンティック　作詞：常楽寺澪　作曲：石黑剛, 常楽寺澪　編曲：石黑剛