
遂に最終回!吠は「日常」を手にすることができるのか?——『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』脚本家・井上亜樹子さん × 東映・松浦大悟さん最終回直前スペシャル対談
熊手の運命、陸王とブーケの現代的な関係性
―― 第48話『覚悟の世直し!厄災の風の中で』では、熊手真白がレクスとの戦いの果てに衝撃の結末を迎えます。
井上 : 熊手にはカッコ良く死んで欲しいという思いがあって。クオンには生き恥を晒して欲しかったんですけど……(笑)。視聴者的にはクオンは死んでもそこまで悲しまないけど、熊手が死ぬと悲しんでくれると思っていたんです。
熊手は最初から「ほぼ神」の視点で「自分の人生はもういいや」と思っている人なので、「死」が相応しいと思っていたんです。
――陸王とブーケの関係も現代的で素敵な関係でした。
井上 : あのふたりの関係性はお気に入りです。ドラマ的にも盛り上がりましたし。個人的にはあくまで男女の関係にはならず、アイドルとファンの関係を崩さないでいくという意識は常に持っていました。
松浦:その割には甘いこと言いすぎじゃない?(笑)。鈴木くんの持つメロパワーが強すぎて「あれは勘違いするファン出てくるよ」という意見が多かったのが罪な男だなと(笑)。でも陸王はああいう生き方しかできないんですよね、だからアイドルなんだと思います。
井上 : 第42話が凄く良かったですよね。ブーケが「私は……生きていけます。貴方がいない世界で」と言って、陸王が一緒に歩んでいきたいと返して、ブーケが最後小さくうなづく。まるぴさんのブーケのお芝居もいいですよね。
松浦:第42話は最初からロボットでやりたいことって言っていた劇が、見事に佛田特撮監督と田﨑監督の手で成立させていただいたなと。
「肉親より、推しを取る」って話は共感できない人がいるだろうなと思ってはいました。「いやいや、リボンちゃんを殺しちゃった事実は変わらないわけだし、どういうつもりなの?」と考える人も居て当然だと思います。ただ、亜樹子さんが書いてくれた敵味方の関係よりアイドルとファンの関係は濃いものだっていうのが、個人的にはすごく響いて。
『ゴジュウジャー』ってそういう番組だよねって思っています。たとえ後天的な繋がりであっても、その方が大事になっちゃって、そこが居場所になることもある。今回はアイドルとファンの関係になるんですけど、そこはすごく僕としては納得いく展開だったと思っています。
―― 第47話 「GO FIGHT 陸王!百の夜が明けるとき」では、ブーケが応援するシーンも印象的でした。
松浦:第46、47話は打ち合わせはすぐ終わりましたね。今までの積み重ねでやることは決まってたので、そこがブレない亜樹子さんだから、信頼しています。
井上 : 珍しくすぐ終わりましたね。応援するシーンは書いているうちに思いつきました。
松浦:台本読んでいて驚いた記憶があります。「ブーケが応援しちゃうのか!」って。山口監督が「メインテーマ2回流すしかないのか、まあしょうがないな!」と笑っていました(笑)。
クオンの願いは「吠を許すこと」
―― 第43話『決戦クオン!天使からの贈り物』では、吠とクオン決着が描かれました。
井上 : 「クオンの本当の願いって何なんだろう?」っていうのが自分の中でも問いが結構ずっとあって。キャラクター設定の段階から、女王の呪いに縛られている自分の状況から、「本当は吠に助けて欲しいと思ってる」みたいな。脆さのあるイメージのキャラクターではあったんです。それを具体化できない自分がいて。吠とクオンの決着の回を書いているときに、「クオンの願いって吠を許すことなんだ。」っていうのが、ふと腑に落ちた瞬間があって、あのラストになりました。
松浦:「許す」っていう結末が、今はとても好きなんですけど……お恥ずかしながら一番最初は、クオンのその感情が理解できなかったんです。なんでだろう?と省みた時に、自分はクオンを「兄」というフィルター越しに見ていたんだな、と思い至りました。私事なのですが、自分も妹を持つ兄でして。兄として見ると、クオンが吠に謝るのは分かるんだけど、吠がクオンに謝るのが分からなかった。
嶺さんのことや、求婚とか酷いことしてきたクオンが「ごめん」と謝るのを「吠が、許すのか断罪するのか」って事なのかなと思っていたんです。
でも亜樹子さんは兄としてのクオンじゃなくて、〝遠野久光〟としてクオンを見ていた。ノーワンワールドに迷い込んで青春を奪われた一人の男の子として見ていたんですよ。そこで結構ハッとさせられたというか。「ああ、クオンは怒っていて、哀しくて、どうしようもなかったんだ」って。目からウロコが落ちたのが「俺を許せ」という台詞でした。
井上 : クオンの願いは「許すことだったんじゃないか」って言ったら、松浦さんは「なるほど……」と言っていましたね(笑)。
松浦:亜樹子さんとは読んでいる漫画が近かったりするんで、よく漫画の話をしたりするんですけど。亜樹子さんの中では、第8話のクオンのモデルは『HUNTER×HUNTER』のイルミのイメージらしいんですよ。「イルミがキルアをいじめるところを…」と言っていて、台本が上がってきたのがノリノリで4行くらいイジメ抜いていて...(笑)。読んだ瞬間に腑落ちしました。
クオン初登場の台本を読んだ時の興奮は新鮮に思い出せます。井上亜樹子流のイルミができるって思っていたら、「これは、イルミなのか?ちょっと違くない?」と思いつつ、あのクオンになりました。アニメイトタイムズさんの読者ならわかってくれるはず(笑)。
――「ははは!結婚しようよ、吠!」は、非常に反響が大きかったですね。
井上 : そうなるとは思っていなかったんです。自然とねちっこいキャラのクオンがテガジューンの側で「テガソードに結婚を望んでいるから、テガジューン側のノリとして、結婚しようよ」と。テンションが上がったクオンを書きました。結果的には、パワーワードになりましたね。
松浦:「ははは!」がいいですよね。テンション上がってるんだろうなって感じというか。
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――放送を見てキャストの成長を感じることはありましたか?
井上 : 皆さん本当に何でもやってくださったので、こちらも遠慮なく書けました。禽次郎と譲二はだんだん本当に同じ人なんだ感が出てきましたし。
松浦:本当に松本仁くんはすごかったですね。第46話のゴジュウイーグル回も、最後に負けるかどうかっていうのは結構話したんです。「禽次郎の性格的に、本当に勝利を願うのかな」という話をプロットの段階で話した記憶はあります。
――白熱する指輪争奪戦からレクスとの戦いになっていきましたね。
松浦:指輪争奪戦の組み合わせは定石ですけど、因縁ある組み合わせにしました。熊手が散っていくシーンは亜樹子さんが映画『ターミネーター2』をやりたいと言ったら、田﨑監督が盛り上がっちゃって(笑)。
監督曰く、『ターミネーター2』の沈んでいく溶鉱炉サムズアップは、テレビドラマ版『ジャイアントロボ』のオマージュらしいんです。テレビドラマ版『ジャイアントロボ』って伊上勝先生(井上亜樹子さんの祖父)が脚本を書いているんですよ。だから田﨑監督は「亜樹子さんの口からそれが出るのは胸熱!」って言っていたんですけど、亜樹子さんはポカンとしていて「そうなんですか。盛り上がって何より」みたいな顔をしていましたね(笑)。ところで、実は亜樹子さんって8月のTVは1本も書いていないんですよね。自分が担当してない回で好きな回あります?
井上 : みんな良かったですけど、お気に入りなのは長谷川圭一さんが書いたブーケ記憶喪失回(第27話「バトルで勝ち取れ! 一攫千金!」)です。
松浦:長谷川圭一さんが「ゴジュウジャー、めっちゃ面白いよ」と褒めてくれて。圭一さんもクオンがすごい好きでクオンにめちゃめちゃ悪いことをやらせたい。亜樹子さんがちょっとマンネリを感じて、餅つきとかし始めた所だったから、「もっと悪の道を突き進まなきゃダメだよ!」って。その一方で餅つきもやっちゃったけど(笑)。
井上 : 松浦さんは「クオン警察」なんです。ちょっとギャグに寄せようとしたら、「それはちょっと」って言ってくださるので。丁度いい塩梅になりました。アーイー語が出来たのは良かったですね。
松浦:見方によっては、外国語を喋るカッコいいお兄ちゃんですもんね。というか、亜樹子さんがふざけすぎなんですよ(笑)。油断すると東映特撮はああいうキャラはギャグキャラ化することがありますが、それは嫌だったんで良いバランスが取れたと思っています。
















































