
“約束を守ろうとする気持ち”がつなぐ「パンタン」の約束と友情の物語――映画『それいけ!アンパンマン パンタンと約束の星』戸田恵子さん×土屋太鳳さんインタビュー
戸田恵子さんが38年の中で受け取った、やなせたかし先生の言葉
──戸田さんは、1988年のアニメ放送開始から長年アンパンマンを演じられていますね。
戸田:30歳でアンパンマン役を演じ始めて、今年で38年なんですよ。
土屋:えっ?! 最初からですか?
戸田:そうですよ(笑)。私、2代目だと思ってたの?
土屋:(アニメ)放送が長すぎるから、勝手にそう思っていました。
戸田:うちのチームのレギュラーは私、中尾隆聖さん(ばいきんまん)、山寺宏一くん(めいけんチーズ、カバお)、佐久間レイちゃん(バタコさん)とか、みんなそう。キャストで亡くなられた方もいらっしゃるから、二代目の方もいるけど、基本的にはサブキャラクターもね。
土屋:えぇ~?!
戸田:(土屋さんにジョークで)先代の戸田恵子さんはね……。
土屋:先代の戸田恵子さん……?
戸田:(笑)
土屋:(イベントの)ステージでアンパンマンが質問されると、恵子さんがサッと返して、誰よりも早くアンパンマンとして答えていらっしゃっていて、その姿に感動しました。完全にアンパンマンでしたもん。
──長く演じる中で、ご自身の日常にアンパンマンらしさを感じることはありますか。
戸田:ご期待に沿えるほど、私はアンパンマンみたいに、いい人ではないので……(笑)。特に、私からアンパンマンが出てくることはないです。ただ、なるべく人に寄り添いたいという気持ちはあります。
困っている人がいたら、助けにはなりたいし、やれる限りのことはしたいし、力になりたいと思っています。それはアンパンマンを演じているからというより、誰か困っている人がいたら、やれる限りのことはしてさしあげたいと、人として最低限そうありたいと思っていますね。
やなせ先生がおっしゃっていた言葉で、印象に残っているものがあります。震災の後によくお話されていたんですけど、やなせ先生はその時はお年をめされていたので、「僕は被災地へ行って、みんなのように瓦礫を片付けたりはできない。でも僕にできることがあるから、それをやる」とお話されていました。
そして、「時間があるなら、その時間をMAX使える人になりなさい」ということもおっしゃっていました。これだけ持っているのに、やらないのが一番よくない。人によって、与えられているものは違うけど、「自分の持っている中で、どれだけやれるかが大事なんだ」と。
今作に登場する「守ろうとする気持ちが大切」という話にも近いですけど、やっぱり“やる気”ですよね。「これだけあるなら、ここまでは頑張ろう」という気持ち。それは私も、なるべく心がけたいなと思っています。アンパンマンみたいに無償で全部できるわけではないけれど、寄り添える人ではいたい。
私も年齢を重ねてきたので、いろいろな相談も受けます。そういう時に、集中してお話を聞いて、答えることくらいはしたいなと思っています。
土屋:恵子さん、本当に(メッセージの)お返事が早いですよね。
戸田:違う違う(笑)。忘れちゃうから!
土屋:こんなにお仕事量が多くて、体力を使っているのに、返信の早さは一番です。次に(寺門)ジモンさん……。
一同:(笑)。
土屋:やっぱり私にとってはヒーローですよ。嬉しかったこと、大変だったことに対して、恵子さんは両方とも返信が早いです。アンパンマンもそうですけど、楽しかった時、大変な時に助けてくれる。その両方に寄り添ってくださるというのは、めちゃくちゃ嬉しい。辛い時や大変な時に寄り添ってくれる人はいるけど、楽しい時にも「良かったね~」とか、(メッセージの)やりとりが早いというのはありがたいですし、見習いたいです。
戸田:携帯を見て、「あとで返そう」と思うと忘れちゃうので、すぐ返すようにしているんです(笑)。
土屋太鳳さんから、戸田恵子さんへのリスペクト
──今作の公式サイトの出演コメントにもありましたが、お話を聞いているだけでも、戸田さんへの尊敬、リスペクトを感じます。
土屋:リスペクトありまくりですよ! 長年アンパンマンも演じられていらっしゃいますけど、舞台に立ち続けて、映像もやり続けて、ありとあらゆるもので長年表現していらっしゃるのは憧れです。戸田恵子さんの生き方みたいなものが声の波動に乗っていくから、小さい子どもだけでなく、大人も「楽しくなれる、頑張ろう」という気持ちになれるんだろうなと思います。
戸田:お子さんが生まれて、アンパンマンをかわいがってくれているから、本当にありがたいですよね。
土屋:大人になると、なかなか時間がとれなくて、TVを見ることが少なくなりますよね。でも、子どもが生まれて、TVを見たり、絵本を読んだり、『アンパンマン』に触れる機会が増えました。子どもがいることで、「アンパンマンって、こんなに大切な存在だったんだ」と改めて気づかされて、「小さい子どもがいてよかったな」と思う瞬間でもあります。
──長年愛されてきた『それいけ!アンパンマン』という作品に触れた中で、何かご自身が感じていることはありますか?
土屋:私が最初にアンパンマンに触れたのは、絵本なんですよ。少しオレンジがかった表紙の本です。
戸田:やなせ先生が最初に出された絵本ですね。
土屋:その本を実家でずっと読んでいました。小さい頃は少し怖いイメージや不思議なイメージもあったんですけど、その怖さや不思議さの中にも、大切なことがあるんだろうなと感じていました。大人になって、アニメも放送されて改めて見ると、「見返りを求めずに、何かをすることの大切さ」をより感じています。
「子どもたちがどうしてこんなにアンパンマンを好きになるんだろう?」と思った時に、少し怖いと感じることや不思議だなと感じるようなことも、物語にはたくさんあるんですけど、でもやっぱり「大事だよね」と思える作品なんです。だから、自分の中に、少しずつ何かがプラスされていくような感覚がありますね。
──最後に、今作の見どころや注目してほしいポイント、ファンのみなさんへのメッセージをお願いします。
土屋:パンタンを演じていて、「もう1回、パンタンの声を出したいな」と思う瞬間がたくさんありました。パンタンが長年の経験を持ちながら、乗り越えていく姿って、お父さんやお母さんが、子どもの前で頑張っている姿にも重なる気がするんです。ぜひパンタンを見て、みなさんも一緒に頑張ってもらえたら、嬉しいなと思います。
戸田:太鳳ちゃんが演じてくれているパンタンは、おじいさんなんだけど、今は子どもの姿になっているキャラクターです。パンタンを演じるために、太鳳ちゃんがいろいろ勉強して、準備してきてくれたんだなというのが、現場でもすごく伝わってきました。
パンタンは決めるところはビシッと決めてくれるし、優しさみたいな部分もしっかりあるキャラクターです。今作はいつものゲストキャラクター以上に、物語の要所で、大切な役割が多いんですけど、太鳳ちゃんはしっかりこなしてくれていて、「さすがだな」と思いました。
今作のテーマもすごく良いです。「約束」というテーマがあって、その先にどんな結末が待っているのか。詳しくは言えないですけど、ぜひみなさん、楽しみにしていてください。
[取材・文/宋 莉淑(ソン・リスク)撮影/藤本厚]
【戸田恵子】ヘアメイク/相場広美(マービィ)/スタイリスト:江島モモ
【土屋太鳳】ヘアメイク/新山いずみ スタイリスト/藤本大輔(tas)
作品情報
6月26日(金)全国ロードショー!
あらすじ
遠い昔に、ある冒険家と交わした大切な約束を守るため、旅をしていたレッサーパンダのパンタン。しかし、旅の途中で、ばいきんまんの赤ちゃんスプレーを浴びて子どもの姿になってしまいました!
アンパンマンたちに助けられ、旅をする理由と大切な約束を破ってしまったという後悔の気持ちをみんなに話します。すると、「約束は守ろうとする気持ちが大事なんじゃないかな」とジャムおじさんに勇気づけられ『今度こそ約束を守る』と気持ちを新たにし、クリームパンダと一緒に虹の星を目指すことにします。クリームパンダは「絶対にあきらめない!」とパンタンと約束をして冒険の旅についていきますが、たくさんのピンチにくじけそうに。
そこへこっそり飛行機に乗り込んでいたばいきんまんたちも宝物を目当てにやってきて…。
何があっても絶対にあきらめない!と頑張るパンタンたち。
虹の星がもう一度輝いた時、約束の場所で見たものは…。
パンタンは今度こそ約束を守ることができるのでしょうか。
大切な約束と友情の物語―
キャスト
(C)やなせたかし/フレーベル館・TMS・NTV (C)やなせたかし/アンパンマン製作委員会2026

































