
「Ave Mujicaというジャンルを作りたい」。“儀式の記録”と、その先に待つ予測不能な景色――Best Album『Ave Música』に込められた歩み、進化を佐々木李子さん&岡田夢以さんが語る【ロングインタビュー】
新曲「The Whole Blue World」を含む全15曲を収録したAve MujicaのBest Album『Ave Música』が、2026年6月17日にリリースされた。「KiLLKiSS」「Symbol I : △」「黒のバースデイ」「八芒星ダンス」など、これまでAve Mujicaが築いてきた世界を凝縮。数量限定生産特装盤およびBlu-ray付生産限定盤には、Ave Mujica 6th LIVE「Ulterius Procedere」東京公演の映像も収録される。
今回、アニメイトタイムズでは、Gt.&Vo.ドロリス/三角初華役の佐々木李子さん、Ba.ティモリス/八幡海鈴役の岡田夢以さんにインタビュー。Best Albumを“儀式の記録”と表現する佐々木さんの歌への向き合い方、岡田さんが感じるステージ上での手応え、そしてAve Mujica LIVE TOUR 2026「Exitus」を通して深まったメンバー同士の信頼関係などについて語ってもらった。
さまざまな積み重ねの先で、Ave Mujicaは今、どのような景色を見ているのだろうか。彼女たちの「今」を、ぜひ、あなたに知ってほしい。
一曲一曲に宿る記憶、愛
──Best Album『Ave Música』のリリースが決まったとき、おふたりはどのように受け止めましたか?
ドロリス/三角初華役・佐々木李子さん(以下、佐々木):まずは、嬉しさが大きかったです。これまで積み上げてきたAve Mujicaの歩みを、記録として残せるんだと思いました。
Best Albumというと、振り返りのイメージもあると思いますが、私としてはどちらかというと、これまで積み上げてきた“儀式の記録”のような一枚だと感じていて。この一枚を経て、またここからみんなと一緒に進んでいきたいという気持ちになりました。
一方で、「もうBest Albumが出るんだ」という感覚もありつつ……。Ave Mujicaでの時間の感じ方って、すごく独特なんです。あっという間な気がするし、すごく長い年月を歩んできたようにも感じる。それだけ一つひとつの出来事の時間が濃かったからこそ、その重みを感じられる一枚になっていると思います。ぜひ、たくさんの人に届いてほしいです。
ティモリス/八幡海鈴役・岡田夢以さん(以下、岡田):不思議ですよね。「もうそんなに曲が増えたんだ」と思いました。Ave Mujicaの楽曲が一曲増えるごとに「またこんなにいい曲をいただけるんだ」と、いつも感じてきました。その積み重ねでBest Albumになりましたが、今回入らなかった曲たちも出てくるわけじゃないですか。
佐々木:うんうん。
岡田:その時々で「これが最高だ」と思ってきた曲が外れるくらい、渾身の一枚で、重みのある一枚でもあると思いました。ファンの方も、それぞれの楽曲に対して「この曲が好き」という思いを持ってくださっていて。
「この曲はなんで入っていないんだろう」「この曲が入っていない理由が知りたい」とSNSに書かれている方もいるくらい、一曲ずつ愛していただけているんだと感じて、ありがたかったです。
──佐々木さんが先ほどおっしゃった“儀式の記録”という言葉が、すごくAve Mujicaらしいなと思いました。
岡田:分かります。
佐々木:でも本当に、そういう感覚なんですよね。一曲一曲、レコーディングしたときの気持ちや、ライブで初披露したときのことが思い出される一枚でもあって。時にはつらい気持ちや痛みを込めて歌う曲もあるので、それも含めてこの1枚を通して感じられるんです。
Ave Mujicaの標本画のようでもあるというか……。アニメを経て、アニメの中で流れた楽曲もありますし、キャラクターたちもいろいろなことを経験して、一度は解散して、時間が終わってしまう。でも、そこからまた蘇る。まさに標本のように、楽曲を聴くことでまた生き返るような感覚があって。そういう意味でも、いいアルバムだなと思いました。
──収録曲を聴いて、特に思い出したことはありますか?
佐々木:どの曲も、本当に……血管が切れるんじゃないかと思うくらい、神経を澄ませて歌ってきたんですよね。だから、どの曲にも思い出があるんですが……。
岡田:じゃあさ、一番レコーディングの時間が長かった曲ってどれなの?
佐々木:基本的にレコーディングはどれも長いんですよ。半日かけて録る曲も多いので。どれだろう……。
このBest Albumの中だと、新曲の「The Whole Blue World」も結構時間をかけてこだわりました。Diggy-MO'さんとのやり取りも多かったです。
──とても繊細な作業なんですね。
佐々木:そうですね。最近もレコーディングがあったんですが、現場に行って歌い始めても、気持ちを作る工程が本当に繊細すぎて。「一度、時間をもらえませんか」とお願いして、ブースの中でひとりで集中する時間を設けていただくこともあります。そういう曲ばかりなので、やっぱり重みが……。
岡田:あるよね。命をかけているよね。
佐々木:本当に。
──ブースの中でひとりで気持ちを作るときは、具体的にどう向き合っているんですか?
佐々木:まずは歌詞と向き合って、その世界を自分の中におろすような感覚です。そこが少しでもブレてしまうと、自分の中で気持ちがぷつんと途切れてしまう感覚があって。そうなると、一本筋の通った、説得力のある歌い方ができなくなってしまう気がしています。
ドロリスはすごくストイックな人だと思うので、少しでも私の中で気持ちがブレると、「自分がもう歌っちゃいけない」と思ってしまうんです。だから、とにかく初華やドロリス、Ave Mujicaのみんなが歩んできた人生を何度も反芻しながら、Diggy-MO'さんともいろいろお話を重ねながら作っています。
でもやっぱり、責任感が大きいです。Ave Mujicaはバンドみんなの曲なので、それを形に残すということには、すごく重みがあるんです。一つひとつ、絶対に妥協せずに録りたいという気持ちは、昔から変わらずあります。
──佐々木さんが生み出す魂の歌は、針に糸を通すような繊細さと集中力の賜物でもあるんですね。
佐々木:ありがとうございます。
岡田:もうメンバーとして、めちゃくちゃ感謝しています。りこちの歌を聴いて本当に感動してしまって、いてもたってもいられず連絡しちゃうことがあるんです。
佐々木:時々長文で連絡をくれるんですよ。それが本当に泣きそうになるくらい嬉しくて。
岡田:(横にいる佐々木さんに身体を向けて)いや、もうファンなのよ(笑)。いちファンとして伝えているような感じです。CDはもちろんなんですけど、(確認用の)ライブ音源を聴いて、この間もすごく感動してしまって。
先日の東京公演(5月4日開催のAve Mujica LIVE TOUR 2026「Exitus」東京公演)の、「Sophie」の 〈ほんとヤダ… 〉のところを、セリフっぽくアレンジしてくれたんですよね。そこから曲に戻る橋渡しが、あまりにも自然で、「よくそこから歌に入れるな」とびっくりして。音源でめちゃくちゃリピートしました。
佐々木:嬉しい! 自分のベースだけじゃなくて、そこまで聴いてくれているんだなって。
岡田:本当に感動したの。もう超人だよ。
佐々木:でも、そういう瞬間って、決めてそうしようと思って歌っているわけではないんです。その日のギター、ベース、ドラム、ピアノの音圧を感じて、それに突き動かされるようにしてアレンジが出てくるので、私もみんなに感謝しています。情熱が連鎖していく感じなんです。
岡田:この前もメンバーに言わずにロンダートしてたもんね(笑)。
佐々木:(「Exitus」東京公演の)「八芒星ダンス」で(笑)。「八芒星ダンス」ではギターを持たずに歌っていて、途中のソロからギターを背負いました。だから、そこまではヘッドセットで両手が空いていて。しかも「八芒星ダンス」はサーカスをモチーフにした楽曲でもあるので、サーカスにいる、人々を楽しませるパフォーマーとして表現したいなと思って、誰にも言わずにやりました。
──抜き打ちだったんですね。
岡田:そうなんです。知らせずにやってくれるからこそ、私たちもファンの方と同じように「うわっ!」と新鮮に見られるんです。それでアドレナリンが出るし、嬉しくなる。そこからさらにブーストがかかって、生のライブ感に引っ張られていくんですよね。本当にすごいなと思うし、リスペクトしています。なによりも、感謝しています。
佐々木:嬉しい、ありがとう〜。でもあのロンダートは直前までどうしようかなという気持ちはあったんです。その部分は、モーティス(Gt./若葉 睦役・渡瀬結月さん)がギター回しをしたこともある特徴的なパートでもあったので、いろいろな視野を持ちつつ、「今だ!」と思った瞬間に出ました。
──その場で判断してやるのがすごいです。
岡田:6th LIVE「Ulterius Procedere」東京公演でも一度やったことはあったよね。ただ、そのときはステージ上で動ける幅をちゃんと広めに取っていたんですよ。でもこの間のZepp Haneda (TOKYO)では予定していなかったので、すごかったです。そこでブレずにできるのも。
佐々木:子どもの頃、器械体操部だったんです。Ave Mujicaのライブは、何が起こるかわからないところも面白さだと思うんです。だから、一回一回のライブをただこなすのではなく、自分の中で「ここはこうしたら面白いかもしれない」という企みのようなものを持っていて。今回のツアーはいろいろな場所を回らせてもらったので、思いついたことを結構やらせてもらいました。
──逆に佐々木さんから見て、岡田さんのステージ上で驚いたことや魅力を感じたところはありますか。
佐々木:ベースソロのときにいろいろな場所へ行ってくれるところですね。たとえば、ドラムソロのときにドラム台に上がっていくことがあって。めいしゃんを見上げることって今まであまりなかったので、びっくりしました。
今回のツアーでは、めいしゃんの背中を見ることが多かったんです。後ろから見ているのが面白かったし、ずっと見ちゃうんですよ。歌いながら、「次はどう動くんだろう」と注目していました。
岡田:今回のツアーは、ファイナル公演を除くと公演数とメンバーの人数が近かったんです。だから、一公演ずつメンバーのところに行ってベースソロを弾こうと思っていて。
佐々木:私も「今日はどっちに行くんだろう」と楽しみにしていました。
岡田:ツアーの良さだよね、いろいろできるっていう。





































